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ルーチェ昔話 その9 ~ウラエヌス目線~
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ワシは失望のうちにルーチェに帰ろうと決めた。
ポーションはリーン国の開発で、まだ他国にはそこまでは出回ってはいないはずだが、そっちに移り住んだところで時間の問題でまたワシは用済みになるのはわかりきっていた。
ワシは・・・否、回復術師はもう必要のない時代になったのだ。昔はパーティーに一人必要な存在と重宝されていたが、時代の流れは残酷だ。しかし時代の流れなら仕方あるまい。
ワシはそう自分に言い聞かせ、ルーチェに帰国する準備をしていた。
しかし、そこでワシは思いがけないものを見た。
「おや、ウラエヌスさんではないですか!」
街でワシの姿を見つけて話しかけてきたのは、かつて低級回復術師としてルーチェで活躍していたロビンという男だった。ナオール草がルーチェで普及してから他に漏れず失職し、リーン国に流れたまでは知っていたが、それ以来何をしているかは知らなかった。
「あれから回復術師だけでやっていくことはできないと悟り、回復術だけでなく剣の練習もすることにしまして、お陰で今はパラディンとして活躍することが出来るようになったんです」
「な、なんじゃと!?」
ロビンは元々体格は悪くなくて、確かに剣術を覚えることが出来てもおかしくはなかった。
だが、まさか回復術と剣術の両方を併せ持つ高位職のパラディンになっていたとは思わなかった。
「回復術師の需要が無くなって一時期は腐ろうとしてましたけど、回復術の他にも取柄を見つければどうかなって思いまして剣術を始めた次第です。その甲斐あって、今ではどのパーティーからも引っ張りだこですよ」
簡単そう言うが、素質が無ければできないだろうし、かなりの苦労もしただろう。
「そ、そうか・・・回復術師の中でも君のように道を見つけられた者がいたのか・・・」
ついさっき、自分は道を見失ったというのに。
「確かに冒険者そのものから足を洗った人もいるし、全然関係ない仕事を見つけた人もいますけど、それでも僕のように転身して回復術師だったことを生かして活躍している人は結構いるんですよ」
「・・・なに?」
「今リーン国で出回ってるポーションってありますよね。あれはナオール草で失職した元回復術師が開発に関わってるんです。その人が元々回復術師になったのも一人でも怪我人を救いたいって思いからで、回復術師を辞めてからもポーションの開発者として励んでいたのが、ついに実を結んだみたいですね」
がーーーんと頭を殴られたかのような衝撃がワシの頭を襲った。
かつてワシが見下していたような低級回復術師は、ワシが思っていたような転落などしていなかった。
時代のせいにして腐ることなく、自分に出来ることを考え、新たに道を作っていたのだ。
というか間接的にそれがワシの転落の原因になったのか・・・いやそれはいいとして・・・
ワシは自分の高レベルの法術に胡坐をかき、いつの間にかワシが見下していた者達よりも下に転落していた。
立場も、心も。
時代にせいにして、周りのせいにして、自分で道を切り開こうとしなかった。時代に迎合しようとしなかった。
ワシはただ自分が正しいと思い、導くふりをして周囲を不快にさせていただけの老害になってしまっていたことに気付いてしまった。
ポーションはリーン国の開発で、まだ他国にはそこまでは出回ってはいないはずだが、そっちに移り住んだところで時間の問題でまたワシは用済みになるのはわかりきっていた。
ワシは・・・否、回復術師はもう必要のない時代になったのだ。昔はパーティーに一人必要な存在と重宝されていたが、時代の流れは残酷だ。しかし時代の流れなら仕方あるまい。
ワシはそう自分に言い聞かせ、ルーチェに帰国する準備をしていた。
しかし、そこでワシは思いがけないものを見た。
「おや、ウラエヌスさんではないですか!」
街でワシの姿を見つけて話しかけてきたのは、かつて低級回復術師としてルーチェで活躍していたロビンという男だった。ナオール草がルーチェで普及してから他に漏れず失職し、リーン国に流れたまでは知っていたが、それ以来何をしているかは知らなかった。
「あれから回復術師だけでやっていくことはできないと悟り、回復術だけでなく剣の練習もすることにしまして、お陰で今はパラディンとして活躍することが出来るようになったんです」
「な、なんじゃと!?」
ロビンは元々体格は悪くなくて、確かに剣術を覚えることが出来てもおかしくはなかった。
だが、まさか回復術と剣術の両方を併せ持つ高位職のパラディンになっていたとは思わなかった。
「回復術師の需要が無くなって一時期は腐ろうとしてましたけど、回復術の他にも取柄を見つければどうかなって思いまして剣術を始めた次第です。その甲斐あって、今ではどのパーティーからも引っ張りだこですよ」
簡単そう言うが、素質が無ければできないだろうし、かなりの苦労もしただろう。
「そ、そうか・・・回復術師の中でも君のように道を見つけられた者がいたのか・・・」
ついさっき、自分は道を見失ったというのに。
「確かに冒険者そのものから足を洗った人もいるし、全然関係ない仕事を見つけた人もいますけど、それでも僕のように転身して回復術師だったことを生かして活躍している人は結構いるんですよ」
「・・・なに?」
「今リーン国で出回ってるポーションってありますよね。あれはナオール草で失職した元回復術師が開発に関わってるんです。その人が元々回復術師になったのも一人でも怪我人を救いたいって思いからで、回復術師を辞めてからもポーションの開発者として励んでいたのが、ついに実を結んだみたいですね」
がーーーんと頭を殴られたかのような衝撃がワシの頭を襲った。
かつてワシが見下していたような低級回復術師は、ワシが思っていたような転落などしていなかった。
時代のせいにして腐ることなく、自分に出来ることを考え、新たに道を作っていたのだ。
というか間接的にそれがワシの転落の原因になったのか・・・いやそれはいいとして・・・
ワシは自分の高レベルの法術に胡坐をかき、いつの間にかワシが見下していた者達よりも下に転落していた。
立場も、心も。
時代にせいにして、周りのせいにして、自分で道を切り開こうとしなかった。時代に迎合しようとしなかった。
ワシはただ自分が正しいと思い、導くふりをして周囲を不快にさせていただけの老害になってしまっていたことに気付いてしまった。
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