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厄介な約束
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「さて、これ以上お姫様を待たせるのも悪いし、私はこれで失礼するわ」
ローザがそう言って立ち上がる。
そして人差し指を口元で立てながら
「聞き耳立てられていなければ、本当にショウと一度くらいは遊んでみようかなと思ったのに残念だわ」
「・・・は?」
そう言った次の瞬間、ローザは部屋の扉を勢いよく開いた。扉の向こう側で聞き耳を立てていただろうアミルカが、つんのめって部屋に倒れこんでくる。
どうやらロビーで待たずにずっと部屋の前にいたようだ。
「アミルカお前・・・」
少しばかり呆れてついそう言葉に出てしまう。いや、まぁ、ローザのことがいろいろと気掛かりだったんだろうが。実際にアミルカがいなえれば・・・みたいなこと言っていたし。
「ちょ、ちょっとだけ気になっちゃって・・・」
アミルカはわたわたと手を振りながら早口でまくし立てる。
「別に変なことしちゃいないさ。これからもよろしくね、って挨拶をね」
ローザがそう言ってアミルカを立たせる。
まぁ確かに嘘は言っていない。
「ふ、ふーん・・・そ、そうなの・・・」
アミルカは気まずそうにそう言って納得するそぶりを見せた。
聞き耳を立ててはいたが、それでも何を言っていたのかまではわからなかったようだ。
「ふふ、心配性だねぇアミルカは。そんなにショウのことが心配だったのかしら?」
悪戯っぽく笑ってそう言うローザに、アミルカは耳まで顔を赤くして
「旅先の宿屋であれだけそういう場面に出くわせば心配にもなるわよ!」
と叫んだ。
「気を付けてよねショウ。ローザは本当に手が早いんだから。これまで一緒に泊まった宿屋でだってすぐに男の人に声かけちゃったりして・・・何度私も鉢合わせして気まずくなったことか・・・」
ローザは俺が思っている以上に奔放な性格のようだ。今まで何度も困らされてきたんだろうな・・・
そういう意味では知り合いに手が及ぶのは今後が気まずくなるから・・・と、俺のことを心配する気持ちもわからなくはない。
俺だって実際にソーアのことがなければ流されていただろう。そのときは童貞だったろうし。
・・・あれ、俺は今回なかったけど、ザイル達って大丈夫なのか?そもそも童貞なのか?
いや、娼館に行ってたみたいだからそれはないか。
何かもし彼らがローザとシタともなれば、確かに俺もちょっと気まずくなるかも。
そうしてアミルカとローザを見送った俺は、部屋に戻ってベッドで大の字になった。
アミルカと少しだけ仲良くなったこと、ドロシーのことをフってしまったこと、アミルカのことを頼むとローザに言われたこと、いろいろなことが短い時間に起き過ぎて頭の中がいっぱいいっぱいになってきた。
特にドロシーのことについては、今後も同じように良好な関係を続けていけるのか、それが気掛かりだった。
気掛かり・・・
そう、俺はいつの間にか、今の自分の日常を脅かされることに恐怖を抱くようになっていた。
ランドールを追い出されていても、故郷は、居場所はあくまであそこで、俺は今は流浪のときを生きているだけなのだと思うようにしていた。
時がくればランドールに帰ることもある。
その時にこの地に未練など残さないようにと、あくまで流れ鳥のつもりでいたのだが、どうやらすっかり俺はここを居場所にしてしまっているみたいだった。
どうしよう。本格的に心変わりしないうちにまた違う土地に移住するか?と思ったが、ローザとの約束をついさっき結んでしまった。俺からアミルカから離れれば反故にしたのと同じだろう。
「はぁ・・・」
案外厄介な約束をしてしまったかもしれん。
ローザがそう言って立ち上がる。
そして人差し指を口元で立てながら
「聞き耳立てられていなければ、本当にショウと一度くらいは遊んでみようかなと思ったのに残念だわ」
「・・・は?」
そう言った次の瞬間、ローザは部屋の扉を勢いよく開いた。扉の向こう側で聞き耳を立てていただろうアミルカが、つんのめって部屋に倒れこんでくる。
どうやらロビーで待たずにずっと部屋の前にいたようだ。
「アミルカお前・・・」
少しばかり呆れてついそう言葉に出てしまう。いや、まぁ、ローザのことがいろいろと気掛かりだったんだろうが。実際にアミルカがいなえれば・・・みたいなこと言っていたし。
「ちょ、ちょっとだけ気になっちゃって・・・」
アミルカはわたわたと手を振りながら早口でまくし立てる。
「別に変なことしちゃいないさ。これからもよろしくね、って挨拶をね」
ローザがそう言ってアミルカを立たせる。
まぁ確かに嘘は言っていない。
「ふ、ふーん・・・そ、そうなの・・・」
アミルカは気まずそうにそう言って納得するそぶりを見せた。
聞き耳を立ててはいたが、それでも何を言っていたのかまではわからなかったようだ。
「ふふ、心配性だねぇアミルカは。そんなにショウのことが心配だったのかしら?」
悪戯っぽく笑ってそう言うローザに、アミルカは耳まで顔を赤くして
「旅先の宿屋であれだけそういう場面に出くわせば心配にもなるわよ!」
と叫んだ。
「気を付けてよねショウ。ローザは本当に手が早いんだから。これまで一緒に泊まった宿屋でだってすぐに男の人に声かけちゃったりして・・・何度私も鉢合わせして気まずくなったことか・・・」
ローザは俺が思っている以上に奔放な性格のようだ。今まで何度も困らされてきたんだろうな・・・
そういう意味では知り合いに手が及ぶのは今後が気まずくなるから・・・と、俺のことを心配する気持ちもわからなくはない。
俺だって実際にソーアのことがなければ流されていただろう。そのときは童貞だったろうし。
・・・あれ、俺は今回なかったけど、ザイル達って大丈夫なのか?そもそも童貞なのか?
いや、娼館に行ってたみたいだからそれはないか。
何かもし彼らがローザとシタともなれば、確かに俺もちょっと気まずくなるかも。
そうしてアミルカとローザを見送った俺は、部屋に戻ってベッドで大の字になった。
アミルカと少しだけ仲良くなったこと、ドロシーのことをフってしまったこと、アミルカのことを頼むとローザに言われたこと、いろいろなことが短い時間に起き過ぎて頭の中がいっぱいいっぱいになってきた。
特にドロシーのことについては、今後も同じように良好な関係を続けていけるのか、それが気掛かりだった。
気掛かり・・・
そう、俺はいつの間にか、今の自分の日常を脅かされることに恐怖を抱くようになっていた。
ランドールを追い出されていても、故郷は、居場所はあくまであそこで、俺は今は流浪のときを生きているだけなのだと思うようにしていた。
時がくればランドールに帰ることもある。
その時にこの地に未練など残さないようにと、あくまで流れ鳥のつもりでいたのだが、どうやらすっかり俺はここを居場所にしてしまっているみたいだった。
どうしよう。本格的に心変わりしないうちにまた違う土地に移住するか?と思ったが、ローザとの約束をついさっき結んでしまった。俺からアミルカから離れれば反故にしたのと同じだろう。
「はぁ・・・」
案外厄介な約束をしてしまったかもしれん。
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