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襲撃
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オミトのマルセイユ領までの旅は順調に続いていた。今日も今日とて乗り合い馬車に乗って移動中である。あと数日で目的地にたどり着く・・・そんなところまで来ていた。
「・・・オミトさん、どうしたんですか?何だかいつもより一層怖い顔して」
馬車が緩やかな山道に昇り続け、山頂に差し掛かろうとしたとき・・・オミトは何か気配を感じて表情を引き締めていた。
「いつもより一層って酷いね。まぁ強面なのは認めるけどさ。・・・まぁ、ちょっと気にかかることがあってねぇ」
軽口だが、オミトの表情は真剣そのものだ。得物に手を添えているのもあって、ライラも何かを察して同じく表情を引き締めた。
「人の気配がする。それも数人・・・近くでこちらの様子を伺っている」
人里離れた山道で唐突に察知した複数の人の気配に、オミトは最大級の警戒をする。考えられる気配の正体・・・それは山賊だ。
オミトは乗り合い馬車のキャビンを見回す。年老いた商人と、細身の男、どちらも武器は持っていない。恐らく山賊が襲撃してきたら戦闘要員に駆り出すことは出来ないだろうと判断する。
御者と並んで座っているのが用心棒であるようだが、オミトの見立てではそれほど腕が立つようではないとされていた。
つまりもし今襲撃を受ければ、短時間しか戦えぬ自分が加勢したところでかなり苦しい状態になることが予想された。下手をすると息切れを起こした自分ごと全滅するかもしれない。オミトはそんな警戒感を持っていた。
「山賊・・・ですか」
ライラが察して、ごくりと唾を飲んだ。
「いざとなったら、坂道を駆け下りてすぐに逃げなさい」
そのいざというときはきっと来るだろう、オミトはなんとなくそう察していた。
この馬車には商人のものと思われる荷が少ししか積まれていないので、それを察して見逃してくれるといいのだがーー
オミトがそんなことを考えていたときだった。
「あれ、馬車が止まりましたよ。道の対抗側から他の馬車が来たようですね」
馬車の前方を眺めていたライラが声を上げた。
オミトもライラに続き見てみると、王国軍の鎧を着た騎士が十数名、それと荷馬車が三台ほど同じように山頂に差し掛かろうとしていた。
「王国軍の輸送か」
オミトはホッと胸を撫でおろした。
騎士がいる今この場でなら、襲われることはないだろうと。一旦気持ちを落ち着けるかとそう考えたときだった。
「さ、山賊だ!!」
そんな思ってもみなかった叫びの声が轟いた。
「・・・オミトさん、どうしたんですか?何だかいつもより一層怖い顔して」
馬車が緩やかな山道に昇り続け、山頂に差し掛かろうとしたとき・・・オミトは何か気配を感じて表情を引き締めていた。
「いつもより一層って酷いね。まぁ強面なのは認めるけどさ。・・・まぁ、ちょっと気にかかることがあってねぇ」
軽口だが、オミトの表情は真剣そのものだ。得物に手を添えているのもあって、ライラも何かを察して同じく表情を引き締めた。
「人の気配がする。それも数人・・・近くでこちらの様子を伺っている」
人里離れた山道で唐突に察知した複数の人の気配に、オミトは最大級の警戒をする。考えられる気配の正体・・・それは山賊だ。
オミトは乗り合い馬車のキャビンを見回す。年老いた商人と、細身の男、どちらも武器は持っていない。恐らく山賊が襲撃してきたら戦闘要員に駆り出すことは出来ないだろうと判断する。
御者と並んで座っているのが用心棒であるようだが、オミトの見立てではそれほど腕が立つようではないとされていた。
つまりもし今襲撃を受ければ、短時間しか戦えぬ自分が加勢したところでかなり苦しい状態になることが予想された。下手をすると息切れを起こした自分ごと全滅するかもしれない。オミトはそんな警戒感を持っていた。
「山賊・・・ですか」
ライラが察して、ごくりと唾を飲んだ。
「いざとなったら、坂道を駆け下りてすぐに逃げなさい」
そのいざというときはきっと来るだろう、オミトはなんとなくそう察していた。
この馬車には商人のものと思われる荷が少ししか積まれていないので、それを察して見逃してくれるといいのだがーー
オミトがそんなことを考えていたときだった。
「あれ、馬車が止まりましたよ。道の対抗側から他の馬車が来たようですね」
馬車の前方を眺めていたライラが声を上げた。
オミトもライラに続き見てみると、王国軍の鎧を着た騎士が十数名、それと荷馬車が三台ほど同じように山頂に差し掛かろうとしていた。
「王国軍の輸送か」
オミトはホッと胸を撫でおろした。
騎士がいる今この場でなら、襲われることはないだろうと。一旦気持ちを落ち着けるかとそう考えたときだった。
「さ、山賊だ!!」
そんな思ってもみなかった叫びの声が轟いた。
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