気だるげ王子の微笑みが見たくて

うかかなむらる

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7.夕焼け色のあなたの顔

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 ジェットコースター組が帰って来た。
「おかえり~。」
「ただいまぁ!」
いのりちゃん、大はしゃぎ。
「楽しかった?」
「うんうん!」
「いやぁ、怖かったぁ……。」
茉琴が珍しくぶるぶるしてる。
「凄かったね!」
八神くんも楽しそう。似た者幼馴染だね。
「佐和田くんが暑さで溶けそう。」
「怜~、まだ5月だし、そんなに暑くないだろ~。」
「僕からしたら、部屋より暑いところは全部暑いんだよ。」
「あ、暑がりを極めてる!」
あ、茉琴が復活した。
「次は優しめなの行こうよ!メリーゴーランドとか。」
「優しすぎる……!」
「佐和田は空中ブランコ所望で。」
「あ!わたしも空中ブランコ乗りたーい!」
「じゃあ空中ブランコで。」
空中ブランコに乗った。茉琴といのりちゃんのご厚意により、私は佐和田くんの隣に座ることになっちゃったから、吊り橋効果がすごすぎて、何にドキドキしてるのか全然分かんなかった。
「あー、楽しかったね。」
とりあえず頷く。ぶんぶん頷く。
「やっぱ、休みの日に会うと知らない一面を結構見るよね。」
「そ、そう?」
「うん。瑞木さんってものすごくしっかり者ってイメージだったけど、案外普通っぽくて安心した。」
「普通だよー?私。」
「うん、どうもそうみたい。」
普通じゃないと思われてたんだ……。

 なんだかんだで、色々なアトラクションで遊んだ。お化け屋敷は入れる人がいなくて、断念したけど。そうそう、途中でお昼ご飯も食べた。
「お、ハンバーガーあるんだな、ここ。」
「ハンバーガー食べたい!」
「ハンバーガーで良い~?」
いのりちゃんが後方を歩いてた私と佐和田くんに訊く。
「うん、いいよ~。」
「僕もなんでも。」
「じゃあ、ハンバーガーで!」
いや、でもよく考えたら、ハンバーガーかぁ……綺麗に食べないとだね……!って思って、頑張ってたら、佐和田くんに、
「瑞木さん食べるの上手だね。」
って言ってもらえたよ……泣けるね……。そういえば、お昼ご飯の直後にちょっとした修羅場も。
大翔ひろと!?」
急に大きな声を出した茉琴は、前を歩くカップルに近づいた。あれ……あの人、茉琴の彼氏さんじゃ……?
「わ、ま、マコト!?」
「やっほー、久しぶり。」
「ひ、ひさ、しぶり。」
彼氏さんの彼女さんらしき人がキョトンとする。
「どなた?」
「あ、友達です!中学の同級生で。」
茉琴、にこっ。彼氏さん、申し訳なさそうな顔。
「じゃあね、大翔。楽しんで~。」
後からメッセージが届いたみたいだったけど。
「なんて送られてきたの?」
「『茉琴、さっきはごめん。本当にありがとう。正直に言います。4股かけてます。』逆にすごいわ!」
よ、4股……!?
「"そうなんだね。じゃあ、私とは別れてください。ただ、大翔はそのうち彼氏ができそうな顔なので、連絡先は保存しておくね。彼氏できたら最初に私に教えてね。"っと。」
「最後がおかしい……。」
茉琴はにこにこして携帯を閉じた。つ、強い……。男子たちがすごいびっくりした顔してた。
「4股もかけたら俺、頭がこんがらがるかもな。」
「あの人、頭良いんだろうね……。」
結局、茉琴と彼氏さんはお別れしました。すぐに。

 帰り道。
「あ、あたしこっち。」
「わたしはあっち。」
「俺らはまっすぐだよな。」
「うん。」
左に茉琴、右にいのりちゃん、真っ直ぐ方向に私と佐和田くん、八神くんで別れた。
「ばいばーい!」
「楽しかったねー!」
「気をつけてー!」
手を振って別れる。
「いやぁ、4股は本当にびっくりだよな。」
八神くんがしみじみとそう言った。
「ね~。茉琴も気が付かないもんなのかな?」
「……。」
「怜?大丈夫かー。」
「……意識飛んでた。」
「えっ、大丈夫!?」
「休日に歩き回ることが無さすぎて……。」
「良かったじゃん、たまには。」
「うん。……楽しかった。」
「そりゃ良かった。俺も楽しかったぜ。」
「ねー。また5人で遊びたいね。」
「うん、遊びたい。」
「お?怜がそんなこと言うなんて、珍しいな?」
「うん。楽しかったからね。」
本当にちょっと嬉しそうで、微笑んでるってほどじゃないけど、緩んだ表情。初めて見た顔。佐和田くんの言う通り、今日は知らなかった表情をたくさん見れた。怖がってるとか、嫌がってるとか、美味しそうな顔とか、楽しかった表情とか。もっともっと色んな顔が見たい。色んな顔を見て欲しい。傾きかけた夕暮れに照らされた佐和田くんの横顔を見ながら、私はそう思った。


To be continued…
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