気だるげ王子の微笑みが見たくて

うかかなむらる

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10.必死すぎ。かわいいかよ。

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 目が覚めると、保健室で寝ていた。ここまで、佐和田くんに運んでもらったような気もするんだけど、そんなはずはないし……夢かな……。正直、眠る前の記憶が全然と言っていいほど無い。
「あら、瑞木さん。どう?具合は。」
「……あ、だいぶ……多分……。」
先生が体温計を持ってきてくれた。数秒後、ピピピとなる。
「……38℃……。」
「少しは下がったけれど、まだ高熱よ。やっぱり早退しましょう?」
「……そう、ですね……。」
なんで早退しなかったんだっけ?
「おうちに電話しますね。」
先生はパタパタとどこかに行ってしまった。今何時だろう。……あ、昼休みだ……。保健室の扉が開いて、茉琴といのりちゃんが入ってくる。
「あ、紗華。」
「具合はどう?」
「うーん……微妙……。」
ふたりは椅子を持ってきて、私が寝てるベッドの近くに腰掛けた。
「八神くんも佐和田くんも、すごく心配してた。」
保健室に運ばれてくる映像が浮かぶ。佐和田くんは身長が高いから、少し高めの背中。やけに鮮明な夢だなぁ。
「紗華、体調悪いの、気がつかなくてごめんね。」
「ごめん……。」
「えっ、ふ、2人のせいじゃないよ……我慢した、私が悪いんだから。」
「まぁ、そうよ。紗華はそういう所あるよね。辛い時は頼って欲しいのに……。」
茉琴はそうこぼして、私に微笑みかけた。
「ありがと……。」
「あ、そういえば、さわだくんとは何をお話ししたの?」
いのりちゃんが空気を変えるようにそう言った。
「……?」
「さわだくんに、ここまで運んでもらった時。」
「……!?」
「もしかして、あんまり覚えてないの?」
「ぜ、全然、細かいこと、覚えてない……だから、夢だと思ってた……。」
「マジか~!もったいない!夢じゃないよ!」
「さわだくん、ちょっとおかしかったから、さやちゃんがもてあそんだのかと思った~。」
「ち、ちょっとおかしかった……?」
「うん。だいきくんに、とりあえず謝ってた。」
「な、なんでだろ……本当に覚えてない……。」
「紗華、何したんだろ~!」
「すごい必死に、"ご、ごめん、乃希"って、いっぱい言ってたよね。」
「うん。何事かと思ったよ。あんなに物事に興味の無さそうな佐和田くんがね、と思って。」
「た、たしかに……私、何したんだろ……。」
保健室は、妙な間に包まれた。……ん?なんで八神くんに謝ったの?

 一方、教室。
「……ね、ねぇ、乃希、そんな怒んないでってば……きっと、熱だからだって。僕は関係ないって。」
「……ほんとかよ。」
「そんなふてくされないでよ。女の子じゃないんだからさ。」
「……羨ましいじゃねぇか、だって。」
「あぁ、やっぱり話さなきゃ良かった。乃希が無理矢理、聞き出すのが良くないんだからね。」
「……まぁ、その、話自体は、美味しかったけど……。」
ツンデレ……?クラスの女子に注目されてるじゃん。嫌なんだけど。後々、瑞木さんが乃希ガチ勢に目をつけられるんじゃない?その時は全力で守るんだよ、乃希。……いや、でもそういう系のことは、さらっと自分で論破しそうだな、瑞木さん……。
「そんなに好きなら、告ればいいじゃん。」
「断られたら傷付くじゃん。」
「断るかな?八神乃希が告ってきたら、だいたいの女子がオーケーするって。」
「えー、なんでだよ。」
なんでだよ、じゃねぇ。無自覚にもほどがあるよ、乃希……。
「あ、小鳥遊さんと早乙女さんが帰ってきた。」
「いのり!」
「まだお熱下がらないって。だから、今日はもう早退。」
「マジか!代議員として、瑞木さんの荷物をまとめる!代議員として!」
必死すぎ。かわいいな。
「ありがと~、だいきくん。」
「いいんだぜ、代議員として、当然の仕事だからな!」
いや、決して代議員の仕事ではないと思うけどね。
「……瑞木さんって荷物少ないな!?」
「効率よく物事を進める天才だからだよ~。」
「さすがだぜ。」
「じゃあ、保健室ま」
「俺が持って行く!代議員として!」
おかしい。
「あ、じ、じゃあ、よろしく……。」
早乙女さん、引いてるから。頑張れ~。僕は乃希の幸せを願ってるよ~。


To be continued…
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