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9.妹?子犬?
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保健室まで瑞木さんを担ぐなんてことが、僕にできるんだろうか……この非力な僕に。
「瑞木さん、体調悪かった?」
「……ちょっと。」
ちょっとかなぁ……けっこう熱いけど。背中の体温だけ上昇してるのが分かる。
「……今日、体育だったから、学校来たかったんだもん……。」
「そ、そうなの?」
いつもよりゆっくりとした口調で喋る瑞木さん。いつもは言わなさそうなことを言うものだから、不覚にも少しどきっとした。何の"どきっ"?知らない感情だ。
「……佐和田くん、ごめんねぇ、運んでもらっちゃって……。」
「大丈夫だよ。」
「……ほんとはね、歩けるんだけど……おんぶしてほしくて……。」
……!?ど、どういう意味……?歩けることには歩けるけど、保健室まで行くのはちょっと辛いってこと??
「……い、今の、忘れて……///」
……!?!?
「み、瑞木さん、もうすぐ着くからね。」
僕の心臓が不規則な鼓動を奏でている。
「……降りたくないなぁ……。」
「だ、ダメだよ。ちゃんとベッドに寝てね。」
保健室のドアを開ける。
「こんにちは。」
「こんにちは。この子の熱、測っていいですか。」
「どうぞ。」
瑞木さんをベッドに座らせ、体温計を渡す。
「僕、教室に戻っても大丈夫?」
「……だめ。」
「え。」
「……まだ、もうちょっと、居て。」
「わ、分かった……。」
心から思う。これは、乃希が居るべき場所だろう。いつもあんなにしっかりしてて、僕なんかよりずいぶん大人っぽいのに、今は、なんか……守りたくなる。いや、ダメだよ、そんなこと思っちゃ。乃希の好きな人なんだから。
「……さんじゅう、くど……。」
「えっ、高いね。先生、39℃あるみたいなんですけど。」
「あらあら。早退した方がいいわねぇ。」
「……。」
瑞木さんは僕の手首を掴んだまま、首を振った。
「でもけっこうな高熱よ?」
「……体育……。」
「体育は何時間目?」
「7時限です。」
今は3時間目が始まった頃。
「じゃあ、それまではここでお休みする?」
こくりと頷く瑞木さん。
「僕は帰った方がいいと思うけどなぁ……無理は良くないよ。」
「……やだ。」
なんか、妹の世話してる気分……妹いないけどさ。
「とりあえず、横になろうか。」
寝かせようと思って瑞木さんに触れると、瑞木さんは僕の制服をきゅーっと掴み、僕のお腹に頭を付けて、犬みたいにすりすりした。体調不良の時に、人に甘えたくなる気持ちはよく分かる。これは別に、僕だからとか、そういうわけじゃないだろう。それでも罪悪感が……乃希に申し訳ない。僕から離れようとしない瑞木さんをそっと引き剥がして、ベッドに寝かせる。
「僕は戻るね。」
「……も、もうちょっと、もうちょっと居てよ……。」
「先生がいるから大丈夫だよ。」
「……佐和田くんがいい……。」
心がざらざらする。もしかしたら、僕だからこんなに甘えん坊なのでは?と自意識過剰になってしまう。そんなはずはないし、もしそうだったら大いに困るのに。
「授業始まっちゃったし。」
「……じゃあ、あと10秒、10秒いて。」
そう言って、僕の手を握る。女の子の手だ……。白くて小さくて、柔らかい。
「……10秒たっちゃった……ばいばい。」
「うん。ごめんね。お大事に。」
瑞木さんは力なく手を振った。心が痛い。子犬をお留守番させる飼い主の気持ちだ。……わんちゃん飼ってないけど。
僕は、後ろ髪引かれる思いで教室に入った。
「おう、おかえり。」
あ、担任の授業だった。良かった。
「瑞木さん保健室で寝てます。」
「早退しなくていいのか?」
「僕はそう言ったんですけど……。」
「そうか。あ、今、教科書25ページの問4を解いてるところだからな。」
「あ、はい。」
ちらっと乃希を見ると、真剣にノートに何かを書いていた。あとで謝ろ。
To be continued…
「瑞木さん、体調悪かった?」
「……ちょっと。」
ちょっとかなぁ……けっこう熱いけど。背中の体温だけ上昇してるのが分かる。
「……今日、体育だったから、学校来たかったんだもん……。」
「そ、そうなの?」
いつもよりゆっくりとした口調で喋る瑞木さん。いつもは言わなさそうなことを言うものだから、不覚にも少しどきっとした。何の"どきっ"?知らない感情だ。
「……佐和田くん、ごめんねぇ、運んでもらっちゃって……。」
「大丈夫だよ。」
「……ほんとはね、歩けるんだけど……おんぶしてほしくて……。」
……!?ど、どういう意味……?歩けることには歩けるけど、保健室まで行くのはちょっと辛いってこと??
「……い、今の、忘れて……///」
……!?!?
「み、瑞木さん、もうすぐ着くからね。」
僕の心臓が不規則な鼓動を奏でている。
「……降りたくないなぁ……。」
「だ、ダメだよ。ちゃんとベッドに寝てね。」
保健室のドアを開ける。
「こんにちは。」
「こんにちは。この子の熱、測っていいですか。」
「どうぞ。」
瑞木さんをベッドに座らせ、体温計を渡す。
「僕、教室に戻っても大丈夫?」
「……だめ。」
「え。」
「……まだ、もうちょっと、居て。」
「わ、分かった……。」
心から思う。これは、乃希が居るべき場所だろう。いつもあんなにしっかりしてて、僕なんかよりずいぶん大人っぽいのに、今は、なんか……守りたくなる。いや、ダメだよ、そんなこと思っちゃ。乃希の好きな人なんだから。
「……さんじゅう、くど……。」
「えっ、高いね。先生、39℃あるみたいなんですけど。」
「あらあら。早退した方がいいわねぇ。」
「……。」
瑞木さんは僕の手首を掴んだまま、首を振った。
「でもけっこうな高熱よ?」
「……体育……。」
「体育は何時間目?」
「7時限です。」
今は3時間目が始まった頃。
「じゃあ、それまではここでお休みする?」
こくりと頷く瑞木さん。
「僕は帰った方がいいと思うけどなぁ……無理は良くないよ。」
「……やだ。」
なんか、妹の世話してる気分……妹いないけどさ。
「とりあえず、横になろうか。」
寝かせようと思って瑞木さんに触れると、瑞木さんは僕の制服をきゅーっと掴み、僕のお腹に頭を付けて、犬みたいにすりすりした。体調不良の時に、人に甘えたくなる気持ちはよく分かる。これは別に、僕だからとか、そういうわけじゃないだろう。それでも罪悪感が……乃希に申し訳ない。僕から離れようとしない瑞木さんをそっと引き剥がして、ベッドに寝かせる。
「僕は戻るね。」
「……も、もうちょっと、もうちょっと居てよ……。」
「先生がいるから大丈夫だよ。」
「……佐和田くんがいい……。」
心がざらざらする。もしかしたら、僕だからこんなに甘えん坊なのでは?と自意識過剰になってしまう。そんなはずはないし、もしそうだったら大いに困るのに。
「授業始まっちゃったし。」
「……じゃあ、あと10秒、10秒いて。」
そう言って、僕の手を握る。女の子の手だ……。白くて小さくて、柔らかい。
「……10秒たっちゃった……ばいばい。」
「うん。ごめんね。お大事に。」
瑞木さんは力なく手を振った。心が痛い。子犬をお留守番させる飼い主の気持ちだ。……わんちゃん飼ってないけど。
僕は、後ろ髪引かれる思いで教室に入った。
「おう、おかえり。」
あ、担任の授業だった。良かった。
「瑞木さん保健室で寝てます。」
「早退しなくていいのか?」
「僕はそう言ったんですけど……。」
「そうか。あ、今、教科書25ページの問4を解いてるところだからな。」
「あ、はい。」
ちらっと乃希を見ると、真剣にノートに何かを書いていた。あとで謝ろ。
To be continued…
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