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第28話『じいや 夏湖Ver.』
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はぁー、全く、なぜわたくしが夏湖ちゃん担当なんですか。アプリコット、話しかけたいんじゃないんですかね?夏湖ちゃんはお部屋ですかね?
コンコン
チ「夏湖ちゃん?良いですか?」
夏「え、チェリー?どうしたの?」
チ「いえ少し、気になることがありまして。」
夏「ふーん。……入っていいよ。」
……何の間ですかね。ガチャっと。
チ「お片付け中でしたか。おっと、すみません、レディーのお部屋に。」
夏「そう、お片付け中。それ、思ってないでしょ。」
チ「はい。入らせていただき、光栄です。」
夏「はいはい。で、何?」
ベッドに腰掛ける夏湖ちゃん。
チ「お隣、良いですか?」
夏「却下。そこの椅子に座って。」
チ「は~~い。では、座らせていただきます。えー、単刀直入に申しますと……あー、誠に申し上げにくいのですが……。」
夏「じいやのこと?」
チ「お、さすが。」
夏「なんで仲が悪いのって?」
チ「ま、まぁ、そうです。」
夏「聞きたいの?」
チ「えぇ、まぁ。」
夏「絶対に?」
チ「は、はい。」
じゃあ話すけど。じいやとは私が覚えていないくらい昔から一緒。昔から両親は忙しかったわ。私の父はパイロットで母はCAなの。小さい頃の記憶なんて曖昧だから、両親との思い出っていうものがほとんど記憶上に無いの。私の育ての親はじいや、みたいな感じ。嫌ではないんだけどね。じいやのこと大好きだったし。まぁ、それは今も変わらないんだけどね……。それに、両親から時々何か届くのも嬉しかったわ。でも、1番嬉しかったのはやっぱり、帰ってきたときに、両親から直接手渡しされるお土産。お土産から手の温もりを感じられる……私と2人の唯一の交わり。それが嬉しかった。
だけど……。
じ「夏湖様、夜ご飯のお時間ですよ。」
夏「はーい!いただきまーす!」
その日はじいやのお手製デミグラスソースがかかったハンバーグだった。ナイフを握り食べようとした私を、
じ「夏湖様。」
じいやが止めた。この時点でなんの話かだいたい想像がつく。長年の付き合いでね。
夏「ん?」
じ「来週の日曜日、紘子様と裕貴様がお帰りになられるそうです。」
やっぱり。
夏「本当に?やったー!何時くらいに帰ってくるの?」
じ「16時頃のご予定だそうです。」
夏「16時ねぇ……何時だっけ?」
この頃の私は少々頭が良くないみたい。
じ「これはすみません。午後4時でございます。皆様でご一緒に夜ご飯を食べましょうね。どこか外で食べましょうか?お家で食べますか?」
夏「んー、お家で食べたいなぁ。パパやママとじいやのお料理を食べたい!じいやのお料理はいつも美味しいもん!」
じ「いたみいります。」
夏「うふふ、楽しみだなぁ~!あ、お土産くれるよね?」
これは、お土産を手渡してくれるよね?という意味のこもった質問。
じ「えぇ。」
夏「絶対?」
じ「はい、絶対です。」
じいやも一応そのつもりで返事したのだろうけれど……そこまで重要視はしてなかったのね。
夏「何かなー?ご当地塩辛とかかなー?なんでも嬉しいけどねっ!」
そして、待ちに待った日曜日。1週間もの間、私の脳内は両親の事で埋まっていた。どんな話をしようかな。どんな話が聞けるのかな。どんな、お土産かな。私は両親との久しぶりの再会に胸躍らせながら、茶道教室からの帰り道を早足で歩いた。
夏「ただいま!!」
じ「おかえりなさいませ。」
夏「パパとママは?」
じ「そのことですが夏湖様……。」
まさか、と思った。
じ「突然お仕事が入られてしまったようで……。」
夏「えっ」
じ「あ、あの、お土産はお預かりしております。こちらです。」
自分でも気がつかないうちに、私の目には涙がたまっていった。すごくショックだった。一週間、ずっと楽しみにしていた。両親に会うことを。両親からお土産を渡してもらうことを。じいやから渡されるプレゼントじゃ、いつもと同じ。すごくすごく楽しみにしていたのに……。
夏「いらないよそんなの……嘘つき。じいやの嘘つき!」
じいやが嘘をついたわけではない。分かってる。そして私は自分の部屋に逃げた。
夏「それからなんとなくじいやとは話しづらくなっちゃったのよね。もともと人とのコミュニケーション能力が欠けている所があるから。一度自ら突き放したものをもう一度引き寄せることができないまま、いつの間にか、コミュ症のJKに成り上がっちゃったってわけ。」
夏湖ちゃんはこのままギャグ路線で終わらそうとしましたが……。
チ「これからもずっとこのままで良いのですか?」
夏「……良いわけないでしょ。」
☆本日の主要キャラクター☆
・谷口夏湖
・じいや
・伊藤チェリー
To be contened…
コンコン
チ「夏湖ちゃん?良いですか?」
夏「え、チェリー?どうしたの?」
チ「いえ少し、気になることがありまして。」
夏「ふーん。……入っていいよ。」
……何の間ですかね。ガチャっと。
チ「お片付け中でしたか。おっと、すみません、レディーのお部屋に。」
夏「そう、お片付け中。それ、思ってないでしょ。」
チ「はい。入らせていただき、光栄です。」
夏「はいはい。で、何?」
ベッドに腰掛ける夏湖ちゃん。
チ「お隣、良いですか?」
夏「却下。そこの椅子に座って。」
チ「は~~い。では、座らせていただきます。えー、単刀直入に申しますと……あー、誠に申し上げにくいのですが……。」
夏「じいやのこと?」
チ「お、さすが。」
夏「なんで仲が悪いのって?」
チ「ま、まぁ、そうです。」
夏「聞きたいの?」
チ「えぇ、まぁ。」
夏「絶対に?」
チ「は、はい。」
じゃあ話すけど。じいやとは私が覚えていないくらい昔から一緒。昔から両親は忙しかったわ。私の父はパイロットで母はCAなの。小さい頃の記憶なんて曖昧だから、両親との思い出っていうものがほとんど記憶上に無いの。私の育ての親はじいや、みたいな感じ。嫌ではないんだけどね。じいやのこと大好きだったし。まぁ、それは今も変わらないんだけどね……。それに、両親から時々何か届くのも嬉しかったわ。でも、1番嬉しかったのはやっぱり、帰ってきたときに、両親から直接手渡しされるお土産。お土産から手の温もりを感じられる……私と2人の唯一の交わり。それが嬉しかった。
だけど……。
じ「夏湖様、夜ご飯のお時間ですよ。」
夏「はーい!いただきまーす!」
その日はじいやのお手製デミグラスソースがかかったハンバーグだった。ナイフを握り食べようとした私を、
じ「夏湖様。」
じいやが止めた。この時点でなんの話かだいたい想像がつく。長年の付き合いでね。
夏「ん?」
じ「来週の日曜日、紘子様と裕貴様がお帰りになられるそうです。」
やっぱり。
夏「本当に?やったー!何時くらいに帰ってくるの?」
じ「16時頃のご予定だそうです。」
夏「16時ねぇ……何時だっけ?」
この頃の私は少々頭が良くないみたい。
じ「これはすみません。午後4時でございます。皆様でご一緒に夜ご飯を食べましょうね。どこか外で食べましょうか?お家で食べますか?」
夏「んー、お家で食べたいなぁ。パパやママとじいやのお料理を食べたい!じいやのお料理はいつも美味しいもん!」
じ「いたみいります。」
夏「うふふ、楽しみだなぁ~!あ、お土産くれるよね?」
これは、お土産を手渡してくれるよね?という意味のこもった質問。
じ「えぇ。」
夏「絶対?」
じ「はい、絶対です。」
じいやも一応そのつもりで返事したのだろうけれど……そこまで重要視はしてなかったのね。
夏「何かなー?ご当地塩辛とかかなー?なんでも嬉しいけどねっ!」
そして、待ちに待った日曜日。1週間もの間、私の脳内は両親の事で埋まっていた。どんな話をしようかな。どんな話が聞けるのかな。どんな、お土産かな。私は両親との久しぶりの再会に胸躍らせながら、茶道教室からの帰り道を早足で歩いた。
夏「ただいま!!」
じ「おかえりなさいませ。」
夏「パパとママは?」
じ「そのことですが夏湖様……。」
まさか、と思った。
じ「突然お仕事が入られてしまったようで……。」
夏「えっ」
じ「あ、あの、お土産はお預かりしております。こちらです。」
自分でも気がつかないうちに、私の目には涙がたまっていった。すごくショックだった。一週間、ずっと楽しみにしていた。両親に会うことを。両親からお土産を渡してもらうことを。じいやから渡されるプレゼントじゃ、いつもと同じ。すごくすごく楽しみにしていたのに……。
夏「いらないよそんなの……嘘つき。じいやの嘘つき!」
じいやが嘘をついたわけではない。分かってる。そして私は自分の部屋に逃げた。
夏「それからなんとなくじいやとは話しづらくなっちゃったのよね。もともと人とのコミュニケーション能力が欠けている所があるから。一度自ら突き放したものをもう一度引き寄せることができないまま、いつの間にか、コミュ症のJKに成り上がっちゃったってわけ。」
夏湖ちゃんはこのままギャグ路線で終わらそうとしましたが……。
チ「これからもずっとこのままで良いのですか?」
夏「……良いわけないでしょ。」
☆本日の主要キャラクター☆
・谷口夏湖
・じいや
・伊藤チェリー
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