戦隊ヒロイン16

うかかなむらる

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第69話『恩返しのタイミング (3)』

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 倉庫。
「翼っ!」
僕が駆け寄ると、翼はゆっくりと僕に手を伸ばした。僕は抱え起こして、ペットボトルを渡す。翼の体重が、支える僕の左手にかかる。
「大丈夫?飲めそう?」
「……開けて。」
「あ、う、うん。」
たしか、自分で飲み物が飲めたら救急車は呼ばなくて大丈夫なんだよね。
「ありがと……。」
翼は、ゆっくりと自分の口の方にペットボトルを近づけた。そして、ゆっくりと、でもしっかりと飲み物を飲み込んだ。
「の、飲めた?」
「うん……はい。」
ペットボトルを閉めて、もう一度寝かそうとしたとき。
「あ……このままにしてて……す、座ったままの方が……いい……。」
「あ、わ、分かった。」
「あ……。」
「ん?」
「ごめん……賢大の腕に……僕の汗……。」
「あ、あぁ!大丈夫だよ、そんなの。」
「……そう……。」
翼が、僕の体育服をギュッと掴んだ。
「ど、どうしたの?」
「……もう、ひとりにしないでね……?」
翼は、そのまま目を閉じた。
「うおっ。」
高畑翼の体重が、俺の、左腕にっ……ね、寝たの?すーすー言ってるし。
「つ、翼……?」
……ね、寝てるよね?これ。気を失ってるとかじゃなくて、寝てるよね?……人の腕で何しとんのじゃい、コイツァ。……ひとりにしないで、か。そうだよね。不安になるよね……ごめんね、翼。でもね、僕だって……今すぐにでも消えて無くなっちゃいそうな翼を目の前にしたら……不安になるよ?ねぇ……。どうしてもっと早く、気付いてあげられなかったのかな……。

 保健室。翼はベットに寝て、僕はその横に座っていた。
保健室の先生「いやー、きっと田中くんの処置が良かったのね!熱は少しあるけど、もう大丈夫。」
先生「多分、田中だったから良かったんでしょうね。」
け「な、なんで?」
先「高畑って、案外人見知りだろ?田中だったから安心出来たんだよ。」
け「あぁ、確かに……?」
保「それはあるかもしれませんね。」
け「そういえば、なんで出血してたんですか?」
保「倒れたときに頭を打ったんだと思う。軽い傷だったから、数日経てば治るよ。」
け「そうですか……あ……あのー……僕、思いっきり授業サボっちゃってます……よね?」
先「はっはっ!そうだなぁ!」
保「あら、そうだわね。教室に帰らなくちゃ。」
先「そうだな。俺は授業は無い……よな?うん。大丈夫。」
保「あはは。ほら、お2人とも、早く帰る!」
け「はーい。」
先「それじゃ、高畑を頼みます。」
保「えぇ。」
よっこら……ん?あれ、立ち上がれないなー。んー?なんでかなー?って……。
保「あら、高畑くんがっしり田中くんのズボンを掴んでますねぇ。このまま立ち上がったら、ズボンが脱げちゃうわ!」
先「田中の事が本当に大好きなんだな!」
け「ちょ、ちょっと!離してよー!」
手をひっぺがそうとしたその時……ぷーっと怒ったようにほっぺを膨らませた。寝てるのに。。なんだこいつ!!
け「先生……?どうしましょうか、これ。」
先「仕方ないだろ~。」
保「ここにいてあげてっ!!」
くっ、大人たちは楽しんでやがるぜ……。
け「い、良いんですか?」
先「仕方がない!今だけだ!はっ!それじゃ、俺はこれで。」
保「はーい。」
僕が座り直すと、翼は僕の手首をギュッと握った。まるで、どこにも行かないで、そう言っているみたいに……。

プルルルル

保健室の電話が鳴った。
保「はーい。はいはい。はーい分かりましたー。……田中くん、ごめん!先生ちょっと保健室を抜けないといけないんだけど、高畑くんのことを見ててくれない?何かあったらあそこのボタン押してね!」
け「あ、は、はい。」
保健室の先生が部屋を出た。シン、とした保健室。眠っている翼の顔を見つめる。
け「ねぇ、翼……僕、翼に恩返し出来たかなぁ。まだ足りない?覚えてる?翼に僕が借りた恩のこと。」


*本日の主要人物紹介*
・田中賢大
・高畑翼
・先生
・保健室の先生

※作品の雰囲気を守るために、一部「」前の頭文字を割愛いたしました。

☆次回☆
賢大が借りた恩とは?
賢大の知られざる過去が今、明かされる。



To be continued…
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