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第三十二話 魔龍討滅戦 青龍ケセド
① 前日のこと
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「……おい、ヒナタ。
もう一度確認しろ」
<次元迷宮>の中、アーニーさん――通称兄貴さんの声が響く。
声をかけられた相手である陽葵さんはそれに応じ、
「あ、ああ、間違いねぇよ。
ここが――その、“目的地”だ」
彼は手に持った蒼い宝石『青の証』をじっと見つめながらそう答える。
一緒に居た他の2人――リアさんと三下さんはその言葉を聞き、
「ほ、ホントに、到着したの……?」
「ま、マジっすか……?」
呆然とした面持ちでそう返す。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
四者が四様に沈黙した。
無理も無い。
<次元迷宮>の奥底、青龍ケセドの場所にまで辿り着くというこのミッション。
その至難さを、彼等は身に染みて理解しているのだから。
これまでの道程で、どれほどの苦難を4人乗り越えてきたか、その苦労は余人である私が語ることなどできないだろう。
しかし、その静寂も破られる時が来る。
彼等の前に、ケセドの居場所へと繋げる『ゲート』があるのは間違いないのだから。
「――お、おお、おぉおおおおおっ!!!
やった! やりましたぜ!! とうとう到着したんだ、俺ら!!
うぉおおおっ!! 凄くね、コレ!!?」
最初に口火を切ったのは、案の定三下さんだった。
両手を突き上げ、派手に騒ぎ立てている。
「と、到着したんだ……!!
凄い!! あたし達、凄い!!!
やった――やったぁあああっ!!!」
リアさんが満面の笑みを浮かべた。
彼女がここまで喜ぶのは何気に珍しい。
一度<次元迷宮>の赤色区域に挑み手痛い目に遭っている分、感激もひとしおなのだろう。
「……どうした、ヒナタ。
浮かない顔だな。
お前の目的が達成したんだぞ」
一方で兄貴さんは冷静さを保ったまま。
なんだか貫禄すらある。
この探索行で彼は(なんのかんの文句言いつつも)年長者としてパーティーを取りまとめていた。
今もなお、若干挙動不審な陽葵さんのことを気にかけてくれている。
「い、いや、だってさ。
まさか、本当にここまで来れるだなんて――なんか、現実感がなくて。
……夢じゃないよ、な?」
必死に迷宮の奥へ進んではいたものの、到着できるかどうか半信半疑なところがあったのだろう。
実際、陽葵さんが<次元迷宮>で遭遇した“悲惨さ”は他の3人を余裕で凌ぐ。
毎日のように異形の怪物に尻穴犯されては出産を繰り返していたのだ、自分の未来へ疑問も抱くというもの。
だがそれでも、彼は見事に困難をやり遂げた!
雄としての尊厳は最早欠片も残っていないかもしれないが!
「よし! そんじゃ早速――」
「待ちな、ボーイ!」
目の前の『ゲート』に入ろうとする陽葵さんを、三下さんが止める。
「な、なんだよ急に!」
「お前さんよぅ、そんな“なり”で先に進むつもりかい?」
「……う」
痛いところを突かれたように、陽葵さんが呻く。
今の彼は――まあ、一言で言い表すなら“ボロボロ”だった。
それはそうだ、今日だけでもいったい何匹の魔物と戦い、いったい幾つの罠を掻い潜って来たか。
もっとも、服装の損傷具合については他の3人も似たり寄ったりではあるが。
「ケセドは曲がりなりにもお前の親父さんなんだろ?
感動の再開んときにボロ着てちゃみっともないぜ。
こういう時ゃ、カッコ良く決めていくもんさぁ!」
「んー、まあ、確かに……」
三下さんの言葉に、陽葵さんが考え直し始める。
リアさんもうんうんと頷いて、
「まだ何があるか分かったもんじゃないんだから、準備はちゃんとしてから向かった方がいいんじゃない?
……ケセドが素直に助けてくれるとも思えないし」
「というより、確実にまだ何かあるだろう。
赤龍が“あんな”だったんだ、青龍がまともだとは思えん。
さらなる無理難題を課されても、俺は驚かんぞ」
同じ六龍である赤龍ゲブラーには散々な目に遭わせられたのだ。
2人が青龍ケセドを信じられないのも無理はない。
「じゃあ、今日はいったんここで帰って、明日改めて進む?」
「それがいいんじゃないかしら」
陽葵さんが思案の末出した結論に、リアさんが同意した。
他の2人も異論が無いようだ。
と、いうわけで。
ゴール直前に迫った彼等は一度ウィンシュタットへと戻る選択をとった訳である。
「お疲れさまでした、陽葵さん」
「お、黒田。久しぶり!」
セレンソン商会に戻った陽葵さんに声をかける。
「久しぶりという程、長く会っていない訳ではありませんよ」
「あー、そっか。
いや、最近迷宮探索ばっかやってるせいか、一日がやたら長く感じてさー」
確かに、朝から晩まで<次元迷宮>に篭りっきり。
時間感覚が少しばかりおかしくなっても不思議はない。
陽葵さんはさらに続けて、
「……それにほら、最近オマエ、オレのこと抱いてくれないし」
頬を染めて、そんなことを言ってくる。
むぅ、可愛い。
毎日のように迷宮探索という重労働をこなしているというのに、その美貌にはまるで陰りが無い。
商会でシャワーでも浴びたのか、短めに整えた金色の髪はしっとりとしている。
ほのかに上気した肌が実に艶めかしい。
ともあれ、確かに彼の言う通りだ。
前に陽葵さんを抱いてから、なんと3日も間が空いてしまっている。
これは由々しき事態といえよう。
「申し訳ありません。
陽葵さんのお仕事に支障が出るといけませんので……」
頭を下げて謝罪した。
実際問題、陽葵さんは非常に感じやすい体質なので、一度ヤると次の日に影響が出る程に精が果ててしまうのだ。
この探索には彼の命がかかっている以上、如何に私とて早々妨げるような真似はできない。
美咲さんから控えるよう厳命を受けていた、というのもあるが。
「……毎日してくれるって言ってたのに」
「うっ!?」
その言葉を持ち出されると立つ瀬がない。
“最初の約束”を破ってしまうとは、一生の不覚である。
まあ、これまで本当に毎日していたかというと、一週間のうちに1、2回くらいはしなかった日もあったりした訳だが――それは今問題ではない。
つまるところ、陽葵さんをそれだけ寂しがらせてしまったことこそが焦点である。
「本当に申し訳ないことをしました……」
「あっ」
そう言う訳で、すすすっと彼のお尻に手を伸ばす。
「おおお――」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
ショートパンツの上からでも分かる理想的な曲線。
相変わらずこの尻肉は素晴らしい。
いや、しかしこれは――
「ひょっとして、前より肉付きが良くなったんじゃないですか」
「んっ、ふぅっ、尻揉みながら変なこと聞くなよっ!
……いやその、最近ちょっとパンツがきつくなったかな、とは思ってたけど」
「なるほどなるほど」
陽葵さんの尻はさらなる進化を遂げていたらしい。
出会った当初から雌尻として完成の域にあったのだが、よりプリプリと尻肉を付けていったのだ。
この感触、最早生半可なものではない。
「私を含め、色々な人に揉まれてきましたからね」
「またそういうことを言う――あ、んんっ、急に強く揉むなよ、あ、あぅっ」
軽く悶えながら、ピクピク肢体を震わす陽葵さん。
実に可愛らしく、実にエロい。
そしてエロいといえば尻だけでなく。
「こちらも、いい眺めですよね」
彼のシャツを捲り上げた。
なだらかな丘の頂点には、ピンク色の鮮やかな果実がちょこんと鎮座している。
この美しさ、女性でもそうは出せない。
「というより、これはもう女性の胸と呼んでいいのではないでしょうか?」
「誰に聞いてんだよ!?
だいたい、男の胸をさして女みたいだなんて、おかしいだろ!
――――その。オレ、おっぱいちっちゃいし」
陽葵さんが愛らしく俯く。
普通、男性は自分の胸を小さいだなんて形容しないし、小さいことを気にしたりもしないのだが。
それをここで突っ込むのは野暮というものである。
突っ込むのはイチモツだけで十分だ、いや指とかも挿れたいが。
「では早速――」
「ちょ、ちょ、ちょっと待った!」
床に押し倒そうとする私を、陽葵さんが手で制した。
頬を赤く染めたその表情を見るに、嫌がっている訳では無さそうだが――
「どうしました?」
「いや、こんなところじゃなくてさ。
その――オマエの家で、したいんだけど……」
「おや、そうでしたか」
確かにベッドの上の方がリラックスする分、性交に集中できる。
久々のセックスを愉しみたいという、陽葵さんなりの配慮であろう。
幸いというかなんというか、今日は美咲さんをはじめとした来客はいない。
「ならば、まずは一緒に帰りましょうか」
「お、おうっ!」
その嬉しそうな笑顔の魅力に、やはりここで食べてしまいたいという欲求を私は必死に抑えるのであった。
そんなこんなで。
「……一緒に行くとは言ったけどさ」
今は帰宅途中。
日が暮れる街並みを、陽葵さんと一緒に歩いているのだが、
「これは、流石に……」
陽葵さんは俯きがち。
顔が真っ赤になりながら、もじもじしている。
「どうかされましたか?」
「どうかされましたか、じゃないだろう!?
な、なんでこんな格好させてんだよ!」
怒鳴る陽葵さん。
しかし――
「――探索の時の装備になって貰っただけではないですか」
「そうだけど。そうだけどさぁ!」
今、彼が着ているのは<次元迷宮>探索でいつも着ている服である。
即ち、ミスリル繊維を縫い込んだジャケットにタンクトップ、それとショートパンツ。
ここだけ抜き取れば割といつもの服装そのままなのだが――
「探索してる時はそっちに必死であんま気になんなかったんだよ!
まあシャツはいいさ、腹が出るだけだし。
でもこのパンツは――し、尻丸出しじゃないか。
丈が無さすぎて、は、はみ出しそう……」
後半、台詞に勢いが無くなっている。
改めて彼の服を説明させて頂くと。
丈の短いタンクトップに、エグイ程にローライズなショートパンツ――形状としては最早ショーツに近い――なのである。
陽葵さん的にお腹を露出するのは気にならないようだが、パンツは流石に厳しいらしい。
実際、お尻の北半球が露わになっているし、下側だって本当にギリギリのところしか隠れていない。
「でもその格好でこれまで戦ってきたんですよ?」
「う、うぅぅ……」
耳まで赤くなって、完全に下を向いてしまった。
今更自分の痴態を自覚したということなのか。
もっとも、探索時はこれに加えて全身を覆うボディスーツも下に着込んでいるので、然程肌の露出が気にならなかったのだろう。
ピッチピチのスーツなので、見てる分には裸と大差ないが。
おかげで、仕事中も大分目の保養ができた。
「こ、こんな格好してたら、変態だと思われる」
「……否定はしにくいですね」
「してくれよ!?」
いやしかし、私はその服を着て欲しいとお願いしただけで強制はしていないのだ。
あくまで、今の服装は陽葵さんの意思である。
「ですが安心して下さい。
この時間帯のウィンガストは慌ただしいですから。
皆さん、余り気にしてはいませんよ」
「そうかぁ?」
実際は、先程から結構な視線を向けられてたりするけれども。
すれ違う男達は誰もが陽葵さんの姿を目で追っていた。
目で追うどころか、後をついてきている人すら幾人もいる。
そりゃ、こんな美少女(彼の性別を外見から判断することは不可能である)がお腹とお尻を丸出しにして歩いていたら、ストーキングの一つもしたくなるというものだ。
「それに、やはり陽葵さんにはその服装が似合っていますよ」
「……そ、そうかな」
「勿論です」
一転、照れ笑いを浮かべだす陽葵さん。
何度も言うけれども本気で可愛らしい。
この笑みに堕ちない男などいないと断言できる。
それはそれとして、この服装がお似合いであることもまた事実である。
彼の魅力を十二分に引き出していると言えよう。
まあ、陽葵さんはスタイルが(胸以外)神懸かり的に整っているので、何を着ても愛らしいことに変わりはないのだが。
臀部の双丘をこれでもかという程に見せつけ、それでいて一番大事な部分だけは隠れているというコンセプトが、フェチ心を擽ってくる。
それに何より――
「この格好ですと、尻穴を弄るのも楽ですからね」
「んお!?」
腕を伸ばし、徐に陽葵さんの菊門を擦った。
ローライズすぎて、尻の割れ目を広げてさえしまえば、パンツを降ろさずともソコに触れるのである。
「ま、待って、クロダっ――お、お、お、こんな、こんなとこでされたら――
お、お、お、おお、お、バレちゃうっ、お、お、お、バレ、ちゃうよっ!?」
軽く悶えつつも、制止の言葉らしきものを口にしてくる。
しかし全力で拒んでこないあたり、陽葵さんもこれから起こることに期待しているのではないだろうか?
「ココを弄られるのは、嫌ですか?」
そう言いつつ、指をぐいっと尻穴に押し込む。
グチュッという音が立ち、根本まで指が挿入された。
「はっ!? あ、う――!?」
陽葵さんの肢体が一瞬硬直する。
既に歩きは止まっていた。
それに気を回せる程、今の彼に余裕はないようだ。
「どうです?
嫌というなら、止めますが……」
「んぉ!? おっおっおっおっ!?」
穴に突っ込む指をさらに1本、また1本と増やす。
合計3本の指で陽葵さんの直腸を掻き混ぜてやる。
これだけ挿入しても、彼の菊門は余裕をもって受け入れてくれた。
流石は数多の魔物の産卵管を受け入れ、幾度もの産卵を潜り抜けた尻穴である。
「お、お、おお、おおお、お、い、嫌じゃ、ない、お、お、お、お、お――!?
嫌じゃない、けど、お、お、お、おおおおおっ!?」
「では、もっとして欲しい、と」
3本の指を抜き差しする。
尻穴はもうぐちゃぐちゃになっていた。
ポタポタと汁が垂れてくる程に。
陽葵さんのアナルは既に出来上がっている。
「し、して欲しいっ! お、お、お、お、おっ!?
気持ちいいんだ、気持ちいいか、ら、お、お、おお、お、おおおおっ!!
で、でも、でも、このままだと、お、お、お、このままだとっおっおっおおおっ!!!」
「このままだと、どうなるというんです?」
「で、で、出ちゃうっ! このまま尻穴じゅぽじゅぽされたら、出しちゃうんだよぉっ!!
おっ! おっ! おおっ! おっ! おっ!!」
言いつつ、陽葵さんは自分でも腰を動かし始める。
言葉と裏腹にもっと快感を得たい様子。
これまで余り見たことの無い、凄い積極性である。
ティファレトによる調教の成果だろうか?
「あっ! あっ! あっ! あっ! 出るっ!!
あっ! あっ! ああっ! あああっ!! 出ちゃうよぉっ!!?」
「いいんですよ、思い切りだして下さい」
就き込んだ指の位置を調整する。
奥へと進ませるのではなく、それより手前――腸の肉壁をなぞる。
すると、指先に軽く違和感の出る場所があった。
その壁の先に“何か”あるのが分かる。
「おひぃいいいっ!!?」
触っただけで、陽葵さんが一際高く嬌声をあげた。
ココこそが、前立腺だ。
「さあ、思い切りイキましょう」
宣言と共に、前立腺を指先で力強く叩く。
手をピストンのように動かし、何度も何度も突いてやる。
「おふっ! おっ! おおっ! おぉおっ!!
ひ、響くっ!! ちんこ後ろからゴリゴリされて、響いてるぅっ!!?
おっ! おっ! おっ! おっ! おおおおっ!!!」
足をガクガクと震わせながらも、
ここは一つ、彼の自主性を重んじてみよう。
そう考え、私は一端手の動きを止めた。
「お、お、お…………?」
突然刺激が止められ、訝し気な顔をする陽葵さん。
瞳が蕩けきった彼をじっと見据えて、
「自分でイクんです。
できますよね?」
「……あ、ああ」
こくりと頷くと、陽葵さんは大きく腰をグラインドしだした。
一番気持ちの良いところへ私の指が当たるように、どうにか角度を調整してお尻を振っている。
「お、おお、おお、おおおおっ! おっ! おっ! おっ! おっ!」
再び喘ぎ声が上がる。
今、彼は他人により強制ではなく、自分の意思で快楽を貪り始めたのだ。
つまるところ公衆の面前でオナニーをしているだけなのだけれど。
「な、何やってんだ、こんなとこで……!?」
「あんな綺麗な子が、痴女なのか」
「へ、変態」
「頭おかしいんじゃない!?」
周囲の人々も、そんな陽葵さんに興味深々だ。
いつの間にかちょっとした人だかりまでできている。
中には少々侮蔑の言葉も混じっているが、いたしかたない。
やってることがやってることなので、ここは堪えねばならぬところである。
「お、お、おお、お、おおっ! い、イイ、イイっ!!
当たるっ、き、気持ちいいとこ、当たってるっ、お、お、おおっ! おっ! おおおおっ!!」
とはいえ、陽葵さんはもう周りのことなど目に入っていないようだ。
私の指を尻穴で咥え込もうと、一心不乱に腰を振っている。
「お、お、お、お、おお、おっ、い、い、いい、い、イクッ――!!
い、イク、イク、い、い、イク、イク、イク、イクッ――――!!!!」
もうあと一歩で絶頂を迎えそうだ。
快感が最高潮へ昂ったせいか、尻肉からは汁が零れて地面に染みを作っている。
口を半開きにし、ただただ無心に絶頂へと上り詰めていた。
「おっ!! おっ!! おおおっ!! イクっ!! イっちゃう!!
イクっ!! イクっ!! んぉぉぉおおおおおおおおおおっ!!!!!」
陽葵さんが仰け反った。
そのまま肢体を硬直させ――股間から、白く濁った液体が宙に迸った。
ショートパンツが勃起に耐えられず、男性器がはみ出してしまったようだ。
まあ、本当にギリギリの股間部だけしか覆っていなかったのだから、仕方ないことである。
……先ほど陽葵さんが“出る”と言っていたのは、こっちのことだったのかもしれない。
「え、え、男!?」
「男の子なの!? あの子!?」
「うっそー!?」
「女にしか見えなかったぞ!?」
陽葵さんの股間に生えたモノを見た観衆は、一様に驚愕している。
人のコトは言えない、私もまた彼の性別を知った際には大層驚いたものだ。
今では、男であることは寧ろ大切な個性だと認識しているが。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ」
一方で、陽葵さんは未だに周りが見えていない。
絶頂の余韻に浸り、荒く息を吐くのみだ。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ――――あふっ!?」
一瞬、彼の肢体がビクっと震える。
挿入していた指を引き抜いたのだ。
彼の菊門はすぐに閉じることなく、物欲しそうにヒクついている。
「ごくり」
思わず唾を飲み込む。
ソコへイチモツを挿入したい欲求に駆られたのだ。
早くこの名器を味わいたい、と。
「――いけない、いけない」
頭を振って、どうにか邪念を抑え込む。
本番は家に着いてからという約束だ。
破るわけにはいかない。
「しかし、このままだと到着まで大分かかりそうですね……」
前後不覚に陥っている陽葵さんを見て、そう呟く。
まだ時折痙攣を起こす程だ。
正気に戻るまで、少々時間がかかるだろう。
……仕方ない、か。
「よいしょっと」
陽葵さんを抱え上げる。
少々不格好だが、物理的に彼を持って帰ることにした――のだが。
「うぉおおおっ!?」
その時、歓声にも似た騒めきが聞こえる。
いったいどうしたというのか。
「だ、大開帳!?」
「……エロい」
「あんなことまでさせてくれるのかよ」
「お、俺も混じりてぇ」
「変態すぎる……」
観衆の視線が、陽葵さんの股間に注がれていた。
私が彼の太ももを後ろから抱え上げた、背面駅弁のような姿勢をとっているからだろう。
この体勢だと陽葵さんの股が思い切り広がり、恥部を周囲に見せびらかすような形となる。
「くっ、なんたる失態」
互いの位置関係からついついこんな抱え方をしてしまったのだ。
本当に他意は無いのである(強調)。
しかしまあ、本人は未だトリップ中で状況に気付いていないようだし、このまま街中を突っ切るのに不都合はあるまい。
私は陽葵さんを抱いたまま、未だ騒めきの収まらない群衆の間を抜けていった。
そして。
時は経ち、夜。
「んぉっ!? おっ!! おっ!! おっ!! おっ!! おっ!! おっ!!」
場所は私の自宅。
ベッドの上でうつ伏せになった全裸の陽葵さんを犯している最中である。
「――っ! また出しますよ!!」
「おっ!! おっ!! おおっ!!
おぁあああああああああああっ!!!?」
彼は肢体を震わせながら、4度目の射精を受け入れた。
腸壁が私のイチモツを絞り、一滴漏らさず搾り取っていく。
流石は陽葵さんの尻穴である。
「は、あ、う、あ――んんっ!?」
絶頂により息も絶え絶えな少年の頭を掴みこちらを振り向かせると、顔を近づけ口づけをした。
「ん、ん、んん、んふっ――ピチャ、ンチュッ――あ、んぁ、んぅ――んぅぅぅ」
舌と舌が絡まり合う。
女性のように繊細で、しかし男のような力強さも感じられる。
この絶妙さがなんともいえない魅力である。
「んっんっんっ――――は、う」
口内を十分に堪能したところで、一旦口を離した。
ようやく息が整い始めた彼へ、話しかける。
「ふぅ、イイ感じに温まってきましたね」
「あ、温まるどころか――腹の中、オマエの精液でいっぱいだし。
ん、んん、熱い――」
うっとりした顔で、お腹を擦る陽葵さん。
その仕草は実に淫猥な空気を醸し出していた。
彼はさらに自身の股間を一瞥してから、
「――ん、ふぅ。
けつもちんこも、もう、トロトロになっちゃってる」
「確かに、陽葵さんのモノは既にぐちゃぐちゃですね」
「あ――ひゃうっ!?」
先走り汁だとか精液だとか潮だとかで、彼の男性器は濡れ濡れだった。
感度も大分上がっているようで、ちょっと握っただけで反応してしまっている。
シーツには、陽葵さんの“液体”でできた染みがあちこちにできていた。
そのまま少し扱いてやると――
「あ、あ、あ、待った、そんな、されたら、あ、あ、あ、ああ、あ、い、イク、イク、またイっちゃうっ!!!?」
――陽葵さんは脚をピンと伸ばし、呆気なく射精してしまった。
といっても、出るのは白濁した代物ではなく、透明な液体であったが。
「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ――だ、だから、イクって言ったのに」
「いえ、すいません。
陽葵さんが可愛かったもので、つい」
ジロリと睨んでくる彼に、誤魔化し笑いで返す。
「そ、そういうことならいいけどさ」
いいのか。
まあ、実際問題として本気で陽葵さんは愛らしい。
顔を赤くしてそっぽを向いた、今の仕草もまた可愛らしさ全開である。
なので、ちょっと抱きかかえてみた。
「――――あっ」
小さく吐息を漏らすも、特に抵抗は無し。
まあ、ことここに至り、今更嫌がりはしないだろうけれども。
「何度触っても良い心地ですね、陽葵さんの肌は」
「ん、んん――む、胸揉みながら変なこと言うな!」
「では触って欲しくないと?」
「……ここでそういう返しはずるいだろ。
シテ欲しいからここに来たのに」
それもそうだ。
意地悪な質問であった。
「オマエと初めて会ったときは、こんな関係になるなんて思いもしなかったけどな」
「そうだったのですか?
私はなんとしてでも陽葵さんを抱こうと、固く誓ったものですが」
「そんなこと考えてたのかよ……!?」
これだけ愛くるしい子が目の前に現れたら、誰だってお近づきになりたいと思うだろう。
陽葵さんが男であろうと、それは関係ない。
この綺麗な乳首に、むっちりと肉の詰まった尻、そして女性器同然の菊門。
どれをとっても彼の肢体は一級品なのだから。
「あ、あ、あ、あ――て、手つきがやらしいぞ!?」
「まあ、やらしいことしてる訳ですからね」
「そりゃそうだけど――あ、あ、ああ、やば、またイクっ!?
ちょ、ちょっと、ダメ、あ、あ、あああ、ああ、あ、ち、乳首で、乳首でイっちゃう――――っっ!!?!?」
声にならない叫びを上げて、陽葵さんはまたイった。
イチモツから何も出てこないところを見ると、ドライオーガズムのようだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、お、おい黒田、一旦ストップ、イカせるの待って。
オレ、もっと話がしたいんだから」
「むむ、仕方がありません」
まだまだ夜は長い。
そう焦る必要もないか。
「しかし話したいといっても、何を?」
「色々あるだろ、こっちの世界に来てからのこととか」
「……そうですね」
確かに、陽葵さんにとってこっちに来てからは事件の連続だ。
少し整理してみるか。
「突如異世界に来て冒険者になってみたら魔王の息子だと言われ、しかし魔族が欲しいのは陽葵さんの体のみで心を壊されそうになり。
それをどうにか解決したところ、魔王は裏で六龍に操られいる事実発覚、実は陽葵さんは六龍の力を入れる器で、龍達は勇者達を使って虎視眈々とその体を狙っている、と。
やはりどうにかこうにかして赤龍ゲブラーを倒したものの、龍の力に陽葵さんの魂は耐えられないため龍の力を宿しても自分では使うことができず。
しかし実は滅びる一歩手前なこの世界を救うためには六龍の力を集めてそれを行使する必要がありまして。
だから魂が壊れずに済むように、青龍ケセドへ会いに行っている、と」
「状況が複雑な上に深刻だ!?
……改めて聞くと酷いな、コレ。
ところどころでオマエに犯されてたから、いまいち全容が把握しにくかったけど」
「陽葵さんに手を出しているのは、私だけではない筈ですが」
「黒田が事の発端だろ!
オマエがちゃんとしてたら、オレは至極真っ当な異世界ファンタジーを体験してた筈なんだよ!」
そうだろうか。
そうかもしれない。
しかし真っ当なファンタジー世界観は、美咲さんの手によって既に壊されていたような気がしないでもない。
「とにもかくにも、ガチで命の危機がやばいから本気で命懸けの迷宮探索したわけだ!
そんで、今日晴れてゴール一歩手前まで辿り着いたと!」
「御目出度いことです。
パーティーでも開けば良かったですかね」
「今日はしっかり英気を養うこと、て言われてさっさと解散しちゃったからなぁ」
残念そうに言う陽葵さん。。
ただ、他のメンバーが薄情とは言い難い。
実際にケセドに会って、どうなるか予想がつかないからだ。
祝うのは、全てが終わった後でも遅くない。
「あー、しかしですね。
先程の話を蒸し返してしまいますが、<次元迷宮>の冒険は実にファンタジーな体験だったのでは?」
「毎日毎日魔物にけつ犯されるようなファンタジーがあってたまるか!?」
「……意外にありそうな気もしますね」
間違いなくR18な作品だろうけれども。
「うっさい! 変な返答すんな!
オマエはヤってばっかりでヤられたことないから軽く言えるんだ!!」
いや、その、実は既に――
あー、しかしこのことは余り思い出したくないので、口にはしないことにする。
陽葵さんが望んでいる内容でもない筈だ。
「まあまあ、陽葵さんも気持ち良さそう卵を産んでたじゃないですか。
白目剥いて泡吐く程に」
「あの状態を気持ち良さそうと言えるオマエの神経が分からん!
本気で頭真っ白になってぶっ壊れそうになってんだよ、そん時!!
そのせいでオレ、最近うんこするときイクようになっちまったんだぞ!?」
そんな状況になってたのか。
今度その場に立ち会わせて貰おう。
「それはそれは。
スカトロプレイが捗りますね」
「変態も大概にしとけよ!
絶対に付き合わないからな、そんなプレイ!!」
「その割に、股間が勃ち始めましたよ?」
濡れ濡れになった陽葵さんの男性器が、むっくりと立ち上がっている。
興奮してきたということだろう、が。
「せ、生理現象だ!」
本人はあくまで否定。
今の会話のどこにどんな生理現象の起きる余地があったというのか。
「……陽葵さんの期待はよく分かりましたので、いずれやってみましょう」
「しねぇよ!!
……あ、うん、“いずれ”がまたあれば、その、一回くらいやってみてもいいけど」
陽葵さんが一気にトーンダウンした。
……気持ちは察するに余りある。
軽い口調で纏めてしまったが、彼の置かれる立場は非常にシビアだ。
青龍ケセドが神の力で解決――というような展開になればよいが、それは余りに楽観過ぎる。
本人を前に決して口には出せないが、彼がこれから生き延びれる確率は、はっきりと低い。
美咲さんの見立てである以上、間違いないだろう。
「大丈夫ですよ。
いざともなれば、私も協力しますから」
「……うん」
「貴方とのスカトロプレイ実戦のためならば、どんな苦境とて乗り越えてみせましょう」
「そんなところにモチベーションを見出すな!!
もっと、こう、あるだろう!?」
「例えばどのような?」
「た、例えば? そうだな――」
腕を組んで考え出す陽葵さん。
しばしの熟考の後、
「――なあ、皆で旅行してみないか?」
そんなことを呟いた。
「リアとかローラとか、エレナも美咲も一緒にさ。
アーニーやサンも誘って……ついでにボーさんやジャン達にも声かけるか?
皆で、この大陸をあっちこっち旅するんだ。
黒田って、どうせこの街から出たことないんだろ?」
「それは――はい、その通りです」
「やっぱりな。
オマエのコトだからそうだと思ったよ。
探求心とか冒険心とか全くないもんな」
したり顔で頷く陽葵さん。
いや、違うのだ。
この街から出なかったのは、勇者や六龍との戦いを見据えた用意や特訓を行っていたからであって。
……私に探求意欲が無いことに間違いではないけれども。
「せっかく異世界に来たんだから、色々見て回らなきゃ損だって!
きっと、面白いもんが一杯あるぞ!
それを片っ端から皆と見に行くんだ、絶対面白いぜ!!
あ、逆に日本へ誘うのもいいかもな?
アハハ、皆が驚く顔が目に浮かぶようだ」
陽葵さんは意気揚々と語る。
その様子は本当に楽しそうだった。
「そうですね。
様々な場所での遊びや、新たな出会いには心躍るものがあります」
「……なんか違う意味を込めてるだろ」
一転、ジト目になった。
しかしすぐに視線を逸らし、
「――ま、まあ、別にオレは、オマエと2人きりの旅でもいいんだけどさ」
そんな、嬉しいことを言ってくれる。
うむ、陽葵さんと2人旅し、毎日違う場所でプレイに興じるのも、気持ち良さそうだ。
勿論、単純に旅行を楽しむ気持ちもある――本当本当。
「ええ、そういう旅も面白そうですね」
「お、言ったな?
言ったからには、本当にやってもらうぞ」
「はい、構いませんよ」
陽葵さんと一緒に旅をするなんて、嬉しさこそあれ嫌がる理由などどこにもない。
「美咲に止められてもやってもらうぞ」
「……覚悟を決める時間を下さい」
下手をすると私は殺されてしまうかもしれない。
そうなってもよい、という決心を付ける時間が必要だ。
「まあ、なんとかなるでしょう、きっと」
「濁しやがったな」
「はっはっはっは」
その時はその時で考えるしかない。
とりあえず、先のことはともかく――
「――今は、今を楽しみましょう」
「あっ」
陽葵さんを抱きしめる。
柔らかな肉の付いた、細く華奢な身体。
そしてその肌の滑らかさを、全身で感じられる。
肢体の温みは心を落ち着かせてくれた。
欲情を搔き乱してもくれるのだが。
「また、始めるのか――あぅっ」
「ええ、よろしいでしょうか?」
むちむちの尻肉を揉みしだきながら尋ねる。
「あ、あ、あぅ――い、いいよ。
オレも、もっと黒田を感じたい。
オレの中、黒田でいっぱいにして欲しい……!!」
陽葵さんは発情しかけた顔でそう懇願してきた。
「いいですよ、吐き出すくらい、お尻に注いであげます」
抱き合った姿勢のまま、彼の穴にイチモツを挿入する。
解されに解された菊門は、何の抵抗もなく私を受け入れた。
「あ、あ、あ、あ、あっ――は、入って来たあぁぁぁ♪」
嬉しそうに嬌声をあげる陽葵さん。
あちらもイチモツを固く勃起させている。
気持ち良くて堪らないのだろう。
それはこちらも同じで、尻穴は実に心地よく私の愚息を締めつけてくれた。
「さあ、行きますよ」
「うん、うん♪ 来て、来てっ♪」
私が腰を動かし始めると、陽葵さんもまた尻を上下に振り始める。
2人の肉がぶつかり、パンパンと小気味良いリズムを奏でる。
「あ、あ、あ、あ、あ――あぁああ、お、おお、お、おおぉおおっ!!
おお、お、おおお、く、黒田っ、キス、キスもしてっ!!」
「分かりましたっ」
繋がったまま、彼の潤った唇にむしゃぶりつく。
「んんっ――ん、んんんっ――ちゅっちゅっ――れろれろっ――ん、ああ、ああ、あああっ――ん、ちゅっ」
ピチャピチャと音を立ててキスをしながら、私達は交わり続ける。
――どうか。
陽葵さんと過ごす日々に、“終わり”が来ないことを祈りながら。
第三十二話②へ続く
もう一度確認しろ」
<次元迷宮>の中、アーニーさん――通称兄貴さんの声が響く。
声をかけられた相手である陽葵さんはそれに応じ、
「あ、ああ、間違いねぇよ。
ここが――その、“目的地”だ」
彼は手に持った蒼い宝石『青の証』をじっと見つめながらそう答える。
一緒に居た他の2人――リアさんと三下さんはその言葉を聞き、
「ほ、ホントに、到着したの……?」
「ま、マジっすか……?」
呆然とした面持ちでそう返す。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
四者が四様に沈黙した。
無理も無い。
<次元迷宮>の奥底、青龍ケセドの場所にまで辿り着くというこのミッション。
その至難さを、彼等は身に染みて理解しているのだから。
これまでの道程で、どれほどの苦難を4人乗り越えてきたか、その苦労は余人である私が語ることなどできないだろう。
しかし、その静寂も破られる時が来る。
彼等の前に、ケセドの居場所へと繋げる『ゲート』があるのは間違いないのだから。
「――お、おお、おぉおおおおおっ!!!
やった! やりましたぜ!! とうとう到着したんだ、俺ら!!
うぉおおおっ!! 凄くね、コレ!!?」
最初に口火を切ったのは、案の定三下さんだった。
両手を突き上げ、派手に騒ぎ立てている。
「と、到着したんだ……!!
凄い!! あたし達、凄い!!!
やった――やったぁあああっ!!!」
リアさんが満面の笑みを浮かべた。
彼女がここまで喜ぶのは何気に珍しい。
一度<次元迷宮>の赤色区域に挑み手痛い目に遭っている分、感激もひとしおなのだろう。
「……どうした、ヒナタ。
浮かない顔だな。
お前の目的が達成したんだぞ」
一方で兄貴さんは冷静さを保ったまま。
なんだか貫禄すらある。
この探索行で彼は(なんのかんの文句言いつつも)年長者としてパーティーを取りまとめていた。
今もなお、若干挙動不審な陽葵さんのことを気にかけてくれている。
「い、いや、だってさ。
まさか、本当にここまで来れるだなんて――なんか、現実感がなくて。
……夢じゃないよ、な?」
必死に迷宮の奥へ進んではいたものの、到着できるかどうか半信半疑なところがあったのだろう。
実際、陽葵さんが<次元迷宮>で遭遇した“悲惨さ”は他の3人を余裕で凌ぐ。
毎日のように異形の怪物に尻穴犯されては出産を繰り返していたのだ、自分の未来へ疑問も抱くというもの。
だがそれでも、彼は見事に困難をやり遂げた!
雄としての尊厳は最早欠片も残っていないかもしれないが!
「よし! そんじゃ早速――」
「待ちな、ボーイ!」
目の前の『ゲート』に入ろうとする陽葵さんを、三下さんが止める。
「な、なんだよ急に!」
「お前さんよぅ、そんな“なり”で先に進むつもりかい?」
「……う」
痛いところを突かれたように、陽葵さんが呻く。
今の彼は――まあ、一言で言い表すなら“ボロボロ”だった。
それはそうだ、今日だけでもいったい何匹の魔物と戦い、いったい幾つの罠を掻い潜って来たか。
もっとも、服装の損傷具合については他の3人も似たり寄ったりではあるが。
「ケセドは曲がりなりにもお前の親父さんなんだろ?
感動の再開んときにボロ着てちゃみっともないぜ。
こういう時ゃ、カッコ良く決めていくもんさぁ!」
「んー、まあ、確かに……」
三下さんの言葉に、陽葵さんが考え直し始める。
リアさんもうんうんと頷いて、
「まだ何があるか分かったもんじゃないんだから、準備はちゃんとしてから向かった方がいいんじゃない?
……ケセドが素直に助けてくれるとも思えないし」
「というより、確実にまだ何かあるだろう。
赤龍が“あんな”だったんだ、青龍がまともだとは思えん。
さらなる無理難題を課されても、俺は驚かんぞ」
同じ六龍である赤龍ゲブラーには散々な目に遭わせられたのだ。
2人が青龍ケセドを信じられないのも無理はない。
「じゃあ、今日はいったんここで帰って、明日改めて進む?」
「それがいいんじゃないかしら」
陽葵さんが思案の末出した結論に、リアさんが同意した。
他の2人も異論が無いようだ。
と、いうわけで。
ゴール直前に迫った彼等は一度ウィンシュタットへと戻る選択をとった訳である。
「お疲れさまでした、陽葵さん」
「お、黒田。久しぶり!」
セレンソン商会に戻った陽葵さんに声をかける。
「久しぶりという程、長く会っていない訳ではありませんよ」
「あー、そっか。
いや、最近迷宮探索ばっかやってるせいか、一日がやたら長く感じてさー」
確かに、朝から晩まで<次元迷宮>に篭りっきり。
時間感覚が少しばかりおかしくなっても不思議はない。
陽葵さんはさらに続けて、
「……それにほら、最近オマエ、オレのこと抱いてくれないし」
頬を染めて、そんなことを言ってくる。
むぅ、可愛い。
毎日のように迷宮探索という重労働をこなしているというのに、その美貌にはまるで陰りが無い。
商会でシャワーでも浴びたのか、短めに整えた金色の髪はしっとりとしている。
ほのかに上気した肌が実に艶めかしい。
ともあれ、確かに彼の言う通りだ。
前に陽葵さんを抱いてから、なんと3日も間が空いてしまっている。
これは由々しき事態といえよう。
「申し訳ありません。
陽葵さんのお仕事に支障が出るといけませんので……」
頭を下げて謝罪した。
実際問題、陽葵さんは非常に感じやすい体質なので、一度ヤると次の日に影響が出る程に精が果ててしまうのだ。
この探索には彼の命がかかっている以上、如何に私とて早々妨げるような真似はできない。
美咲さんから控えるよう厳命を受けていた、というのもあるが。
「……毎日してくれるって言ってたのに」
「うっ!?」
その言葉を持ち出されると立つ瀬がない。
“最初の約束”を破ってしまうとは、一生の不覚である。
まあ、これまで本当に毎日していたかというと、一週間のうちに1、2回くらいはしなかった日もあったりした訳だが――それは今問題ではない。
つまるところ、陽葵さんをそれだけ寂しがらせてしまったことこそが焦点である。
「本当に申し訳ないことをしました……」
「あっ」
そう言う訳で、すすすっと彼のお尻に手を伸ばす。
「おおお――」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
ショートパンツの上からでも分かる理想的な曲線。
相変わらずこの尻肉は素晴らしい。
いや、しかしこれは――
「ひょっとして、前より肉付きが良くなったんじゃないですか」
「んっ、ふぅっ、尻揉みながら変なこと聞くなよっ!
……いやその、最近ちょっとパンツがきつくなったかな、とは思ってたけど」
「なるほどなるほど」
陽葵さんの尻はさらなる進化を遂げていたらしい。
出会った当初から雌尻として完成の域にあったのだが、よりプリプリと尻肉を付けていったのだ。
この感触、最早生半可なものではない。
「私を含め、色々な人に揉まれてきましたからね」
「またそういうことを言う――あ、んんっ、急に強く揉むなよ、あ、あぅっ」
軽く悶えながら、ピクピク肢体を震わす陽葵さん。
実に可愛らしく、実にエロい。
そしてエロいといえば尻だけでなく。
「こちらも、いい眺めですよね」
彼のシャツを捲り上げた。
なだらかな丘の頂点には、ピンク色の鮮やかな果実がちょこんと鎮座している。
この美しさ、女性でもそうは出せない。
「というより、これはもう女性の胸と呼んでいいのではないでしょうか?」
「誰に聞いてんだよ!?
だいたい、男の胸をさして女みたいだなんて、おかしいだろ!
――――その。オレ、おっぱいちっちゃいし」
陽葵さんが愛らしく俯く。
普通、男性は自分の胸を小さいだなんて形容しないし、小さいことを気にしたりもしないのだが。
それをここで突っ込むのは野暮というものである。
突っ込むのはイチモツだけで十分だ、いや指とかも挿れたいが。
「では早速――」
「ちょ、ちょ、ちょっと待った!」
床に押し倒そうとする私を、陽葵さんが手で制した。
頬を赤く染めたその表情を見るに、嫌がっている訳では無さそうだが――
「どうしました?」
「いや、こんなところじゃなくてさ。
その――オマエの家で、したいんだけど……」
「おや、そうでしたか」
確かにベッドの上の方がリラックスする分、性交に集中できる。
久々のセックスを愉しみたいという、陽葵さんなりの配慮であろう。
幸いというかなんというか、今日は美咲さんをはじめとした来客はいない。
「ならば、まずは一緒に帰りましょうか」
「お、おうっ!」
その嬉しそうな笑顔の魅力に、やはりここで食べてしまいたいという欲求を私は必死に抑えるのであった。
そんなこんなで。
「……一緒に行くとは言ったけどさ」
今は帰宅途中。
日が暮れる街並みを、陽葵さんと一緒に歩いているのだが、
「これは、流石に……」
陽葵さんは俯きがち。
顔が真っ赤になりながら、もじもじしている。
「どうかされましたか?」
「どうかされましたか、じゃないだろう!?
な、なんでこんな格好させてんだよ!」
怒鳴る陽葵さん。
しかし――
「――探索の時の装備になって貰っただけではないですか」
「そうだけど。そうだけどさぁ!」
今、彼が着ているのは<次元迷宮>探索でいつも着ている服である。
即ち、ミスリル繊維を縫い込んだジャケットにタンクトップ、それとショートパンツ。
ここだけ抜き取れば割といつもの服装そのままなのだが――
「探索してる時はそっちに必死であんま気になんなかったんだよ!
まあシャツはいいさ、腹が出るだけだし。
でもこのパンツは――し、尻丸出しじゃないか。
丈が無さすぎて、は、はみ出しそう……」
後半、台詞に勢いが無くなっている。
改めて彼の服を説明させて頂くと。
丈の短いタンクトップに、エグイ程にローライズなショートパンツ――形状としては最早ショーツに近い――なのである。
陽葵さん的にお腹を露出するのは気にならないようだが、パンツは流石に厳しいらしい。
実際、お尻の北半球が露わになっているし、下側だって本当にギリギリのところしか隠れていない。
「でもその格好でこれまで戦ってきたんですよ?」
「う、うぅぅ……」
耳まで赤くなって、完全に下を向いてしまった。
今更自分の痴態を自覚したということなのか。
もっとも、探索時はこれに加えて全身を覆うボディスーツも下に着込んでいるので、然程肌の露出が気にならなかったのだろう。
ピッチピチのスーツなので、見てる分には裸と大差ないが。
おかげで、仕事中も大分目の保養ができた。
「こ、こんな格好してたら、変態だと思われる」
「……否定はしにくいですね」
「してくれよ!?」
いやしかし、私はその服を着て欲しいとお願いしただけで強制はしていないのだ。
あくまで、今の服装は陽葵さんの意思である。
「ですが安心して下さい。
この時間帯のウィンガストは慌ただしいですから。
皆さん、余り気にしてはいませんよ」
「そうかぁ?」
実際は、先程から結構な視線を向けられてたりするけれども。
すれ違う男達は誰もが陽葵さんの姿を目で追っていた。
目で追うどころか、後をついてきている人すら幾人もいる。
そりゃ、こんな美少女(彼の性別を外見から判断することは不可能である)がお腹とお尻を丸出しにして歩いていたら、ストーキングの一つもしたくなるというものだ。
「それに、やはり陽葵さんにはその服装が似合っていますよ」
「……そ、そうかな」
「勿論です」
一転、照れ笑いを浮かべだす陽葵さん。
何度も言うけれども本気で可愛らしい。
この笑みに堕ちない男などいないと断言できる。
それはそれとして、この服装がお似合いであることもまた事実である。
彼の魅力を十二分に引き出していると言えよう。
まあ、陽葵さんはスタイルが(胸以外)神懸かり的に整っているので、何を着ても愛らしいことに変わりはないのだが。
臀部の双丘をこれでもかという程に見せつけ、それでいて一番大事な部分だけは隠れているというコンセプトが、フェチ心を擽ってくる。
それに何より――
「この格好ですと、尻穴を弄るのも楽ですからね」
「んお!?」
腕を伸ばし、徐に陽葵さんの菊門を擦った。
ローライズすぎて、尻の割れ目を広げてさえしまえば、パンツを降ろさずともソコに触れるのである。
「ま、待って、クロダっ――お、お、お、こんな、こんなとこでされたら――
お、お、お、おお、お、バレちゃうっ、お、お、お、バレ、ちゃうよっ!?」
軽く悶えつつも、制止の言葉らしきものを口にしてくる。
しかし全力で拒んでこないあたり、陽葵さんもこれから起こることに期待しているのではないだろうか?
「ココを弄られるのは、嫌ですか?」
そう言いつつ、指をぐいっと尻穴に押し込む。
グチュッという音が立ち、根本まで指が挿入された。
「はっ!? あ、う――!?」
陽葵さんの肢体が一瞬硬直する。
既に歩きは止まっていた。
それに気を回せる程、今の彼に余裕はないようだ。
「どうです?
嫌というなら、止めますが……」
「んぉ!? おっおっおっおっ!?」
穴に突っ込む指をさらに1本、また1本と増やす。
合計3本の指で陽葵さんの直腸を掻き混ぜてやる。
これだけ挿入しても、彼の菊門は余裕をもって受け入れてくれた。
流石は数多の魔物の産卵管を受け入れ、幾度もの産卵を潜り抜けた尻穴である。
「お、お、おお、おおお、お、い、嫌じゃ、ない、お、お、お、お、お――!?
嫌じゃない、けど、お、お、お、おおおおおっ!?」
「では、もっとして欲しい、と」
3本の指を抜き差しする。
尻穴はもうぐちゃぐちゃになっていた。
ポタポタと汁が垂れてくる程に。
陽葵さんのアナルは既に出来上がっている。
「し、して欲しいっ! お、お、お、お、おっ!?
気持ちいいんだ、気持ちいいか、ら、お、お、おお、お、おおおおっ!!
で、でも、でも、このままだと、お、お、お、このままだとっおっおっおおおっ!!!」
「このままだと、どうなるというんです?」
「で、で、出ちゃうっ! このまま尻穴じゅぽじゅぽされたら、出しちゃうんだよぉっ!!
おっ! おっ! おおっ! おっ! おっ!!」
言いつつ、陽葵さんは自分でも腰を動かし始める。
言葉と裏腹にもっと快感を得たい様子。
これまで余り見たことの無い、凄い積極性である。
ティファレトによる調教の成果だろうか?
「あっ! あっ! あっ! あっ! 出るっ!!
あっ! あっ! ああっ! あああっ!! 出ちゃうよぉっ!!?」
「いいんですよ、思い切りだして下さい」
就き込んだ指の位置を調整する。
奥へと進ませるのではなく、それより手前――腸の肉壁をなぞる。
すると、指先に軽く違和感の出る場所があった。
その壁の先に“何か”あるのが分かる。
「おひぃいいいっ!!?」
触っただけで、陽葵さんが一際高く嬌声をあげた。
ココこそが、前立腺だ。
「さあ、思い切りイキましょう」
宣言と共に、前立腺を指先で力強く叩く。
手をピストンのように動かし、何度も何度も突いてやる。
「おふっ! おっ! おおっ! おぉおっ!!
ひ、響くっ!! ちんこ後ろからゴリゴリされて、響いてるぅっ!!?
おっ! おっ! おっ! おっ! おおおおっ!!!」
足をガクガクと震わせながらも、
ここは一つ、彼の自主性を重んじてみよう。
そう考え、私は一端手の動きを止めた。
「お、お、お…………?」
突然刺激が止められ、訝し気な顔をする陽葵さん。
瞳が蕩けきった彼をじっと見据えて、
「自分でイクんです。
できますよね?」
「……あ、ああ」
こくりと頷くと、陽葵さんは大きく腰をグラインドしだした。
一番気持ちの良いところへ私の指が当たるように、どうにか角度を調整してお尻を振っている。
「お、おお、おお、おおおおっ! おっ! おっ! おっ! おっ!」
再び喘ぎ声が上がる。
今、彼は他人により強制ではなく、自分の意思で快楽を貪り始めたのだ。
つまるところ公衆の面前でオナニーをしているだけなのだけれど。
「な、何やってんだ、こんなとこで……!?」
「あんな綺麗な子が、痴女なのか」
「へ、変態」
「頭おかしいんじゃない!?」
周囲の人々も、そんな陽葵さんに興味深々だ。
いつの間にかちょっとした人だかりまでできている。
中には少々侮蔑の言葉も混じっているが、いたしかたない。
やってることがやってることなので、ここは堪えねばならぬところである。
「お、お、おお、お、おおっ! い、イイ、イイっ!!
当たるっ、き、気持ちいいとこ、当たってるっ、お、お、おおっ! おっ! おおおおっ!!」
とはいえ、陽葵さんはもう周りのことなど目に入っていないようだ。
私の指を尻穴で咥え込もうと、一心不乱に腰を振っている。
「お、お、お、お、おお、おっ、い、い、いい、い、イクッ――!!
い、イク、イク、い、い、イク、イク、イク、イクッ――――!!!!」
もうあと一歩で絶頂を迎えそうだ。
快感が最高潮へ昂ったせいか、尻肉からは汁が零れて地面に染みを作っている。
口を半開きにし、ただただ無心に絶頂へと上り詰めていた。
「おっ!! おっ!! おおおっ!! イクっ!! イっちゃう!!
イクっ!! イクっ!! んぉぉぉおおおおおおおおおおっ!!!!!」
陽葵さんが仰け反った。
そのまま肢体を硬直させ――股間から、白く濁った液体が宙に迸った。
ショートパンツが勃起に耐えられず、男性器がはみ出してしまったようだ。
まあ、本当にギリギリの股間部だけしか覆っていなかったのだから、仕方ないことである。
……先ほど陽葵さんが“出る”と言っていたのは、こっちのことだったのかもしれない。
「え、え、男!?」
「男の子なの!? あの子!?」
「うっそー!?」
「女にしか見えなかったぞ!?」
陽葵さんの股間に生えたモノを見た観衆は、一様に驚愕している。
人のコトは言えない、私もまた彼の性別を知った際には大層驚いたものだ。
今では、男であることは寧ろ大切な個性だと認識しているが。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ」
一方で、陽葵さんは未だに周りが見えていない。
絶頂の余韻に浸り、荒く息を吐くのみだ。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ――――あふっ!?」
一瞬、彼の肢体がビクっと震える。
挿入していた指を引き抜いたのだ。
彼の菊門はすぐに閉じることなく、物欲しそうにヒクついている。
「ごくり」
思わず唾を飲み込む。
ソコへイチモツを挿入したい欲求に駆られたのだ。
早くこの名器を味わいたい、と。
「――いけない、いけない」
頭を振って、どうにか邪念を抑え込む。
本番は家に着いてからという約束だ。
破るわけにはいかない。
「しかし、このままだと到着まで大分かかりそうですね……」
前後不覚に陥っている陽葵さんを見て、そう呟く。
まだ時折痙攣を起こす程だ。
正気に戻るまで、少々時間がかかるだろう。
……仕方ない、か。
「よいしょっと」
陽葵さんを抱え上げる。
少々不格好だが、物理的に彼を持って帰ることにした――のだが。
「うぉおおおっ!?」
その時、歓声にも似た騒めきが聞こえる。
いったいどうしたというのか。
「だ、大開帳!?」
「……エロい」
「あんなことまでさせてくれるのかよ」
「お、俺も混じりてぇ」
「変態すぎる……」
観衆の視線が、陽葵さんの股間に注がれていた。
私が彼の太ももを後ろから抱え上げた、背面駅弁のような姿勢をとっているからだろう。
この体勢だと陽葵さんの股が思い切り広がり、恥部を周囲に見せびらかすような形となる。
「くっ、なんたる失態」
互いの位置関係からついついこんな抱え方をしてしまったのだ。
本当に他意は無いのである(強調)。
しかしまあ、本人は未だトリップ中で状況に気付いていないようだし、このまま街中を突っ切るのに不都合はあるまい。
私は陽葵さんを抱いたまま、未だ騒めきの収まらない群衆の間を抜けていった。
そして。
時は経ち、夜。
「んぉっ!? おっ!! おっ!! おっ!! おっ!! おっ!! おっ!!」
場所は私の自宅。
ベッドの上でうつ伏せになった全裸の陽葵さんを犯している最中である。
「――っ! また出しますよ!!」
「おっ!! おっ!! おおっ!!
おぁあああああああああああっ!!!?」
彼は肢体を震わせながら、4度目の射精を受け入れた。
腸壁が私のイチモツを絞り、一滴漏らさず搾り取っていく。
流石は陽葵さんの尻穴である。
「は、あ、う、あ――んんっ!?」
絶頂により息も絶え絶えな少年の頭を掴みこちらを振り向かせると、顔を近づけ口づけをした。
「ん、ん、んん、んふっ――ピチャ、ンチュッ――あ、んぁ、んぅ――んぅぅぅ」
舌と舌が絡まり合う。
女性のように繊細で、しかし男のような力強さも感じられる。
この絶妙さがなんともいえない魅力である。
「んっんっんっ――――は、う」
口内を十分に堪能したところで、一旦口を離した。
ようやく息が整い始めた彼へ、話しかける。
「ふぅ、イイ感じに温まってきましたね」
「あ、温まるどころか――腹の中、オマエの精液でいっぱいだし。
ん、んん、熱い――」
うっとりした顔で、お腹を擦る陽葵さん。
その仕草は実に淫猥な空気を醸し出していた。
彼はさらに自身の股間を一瞥してから、
「――ん、ふぅ。
けつもちんこも、もう、トロトロになっちゃってる」
「確かに、陽葵さんのモノは既にぐちゃぐちゃですね」
「あ――ひゃうっ!?」
先走り汁だとか精液だとか潮だとかで、彼の男性器は濡れ濡れだった。
感度も大分上がっているようで、ちょっと握っただけで反応してしまっている。
シーツには、陽葵さんの“液体”でできた染みがあちこちにできていた。
そのまま少し扱いてやると――
「あ、あ、あ、待った、そんな、されたら、あ、あ、あ、ああ、あ、い、イク、イク、またイっちゃうっ!!!?」
――陽葵さんは脚をピンと伸ばし、呆気なく射精してしまった。
といっても、出るのは白濁した代物ではなく、透明な液体であったが。
「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ――だ、だから、イクって言ったのに」
「いえ、すいません。
陽葵さんが可愛かったもので、つい」
ジロリと睨んでくる彼に、誤魔化し笑いで返す。
「そ、そういうことならいいけどさ」
いいのか。
まあ、実際問題として本気で陽葵さんは愛らしい。
顔を赤くしてそっぽを向いた、今の仕草もまた可愛らしさ全開である。
なので、ちょっと抱きかかえてみた。
「――――あっ」
小さく吐息を漏らすも、特に抵抗は無し。
まあ、ことここに至り、今更嫌がりはしないだろうけれども。
「何度触っても良い心地ですね、陽葵さんの肌は」
「ん、んん――む、胸揉みながら変なこと言うな!」
「では触って欲しくないと?」
「……ここでそういう返しはずるいだろ。
シテ欲しいからここに来たのに」
それもそうだ。
意地悪な質問であった。
「オマエと初めて会ったときは、こんな関係になるなんて思いもしなかったけどな」
「そうだったのですか?
私はなんとしてでも陽葵さんを抱こうと、固く誓ったものですが」
「そんなこと考えてたのかよ……!?」
これだけ愛くるしい子が目の前に現れたら、誰だってお近づきになりたいと思うだろう。
陽葵さんが男であろうと、それは関係ない。
この綺麗な乳首に、むっちりと肉の詰まった尻、そして女性器同然の菊門。
どれをとっても彼の肢体は一級品なのだから。
「あ、あ、あ、あ――て、手つきがやらしいぞ!?」
「まあ、やらしいことしてる訳ですからね」
「そりゃそうだけど――あ、あ、ああ、やば、またイクっ!?
ちょ、ちょっと、ダメ、あ、あ、あああ、ああ、あ、ち、乳首で、乳首でイっちゃう――――っっ!!?!?」
声にならない叫びを上げて、陽葵さんはまたイった。
イチモツから何も出てこないところを見ると、ドライオーガズムのようだ。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、お、おい黒田、一旦ストップ、イカせるの待って。
オレ、もっと話がしたいんだから」
「むむ、仕方がありません」
まだまだ夜は長い。
そう焦る必要もないか。
「しかし話したいといっても、何を?」
「色々あるだろ、こっちの世界に来てからのこととか」
「……そうですね」
確かに、陽葵さんにとってこっちに来てからは事件の連続だ。
少し整理してみるか。
「突如異世界に来て冒険者になってみたら魔王の息子だと言われ、しかし魔族が欲しいのは陽葵さんの体のみで心を壊されそうになり。
それをどうにか解決したところ、魔王は裏で六龍に操られいる事実発覚、実は陽葵さんは六龍の力を入れる器で、龍達は勇者達を使って虎視眈々とその体を狙っている、と。
やはりどうにかこうにかして赤龍ゲブラーを倒したものの、龍の力に陽葵さんの魂は耐えられないため龍の力を宿しても自分では使うことができず。
しかし実は滅びる一歩手前なこの世界を救うためには六龍の力を集めてそれを行使する必要がありまして。
だから魂が壊れずに済むように、青龍ケセドへ会いに行っている、と」
「状況が複雑な上に深刻だ!?
……改めて聞くと酷いな、コレ。
ところどころでオマエに犯されてたから、いまいち全容が把握しにくかったけど」
「陽葵さんに手を出しているのは、私だけではない筈ですが」
「黒田が事の発端だろ!
オマエがちゃんとしてたら、オレは至極真っ当な異世界ファンタジーを体験してた筈なんだよ!」
そうだろうか。
そうかもしれない。
しかし真っ当なファンタジー世界観は、美咲さんの手によって既に壊されていたような気がしないでもない。
「とにもかくにも、ガチで命の危機がやばいから本気で命懸けの迷宮探索したわけだ!
そんで、今日晴れてゴール一歩手前まで辿り着いたと!」
「御目出度いことです。
パーティーでも開けば良かったですかね」
「今日はしっかり英気を養うこと、て言われてさっさと解散しちゃったからなぁ」
残念そうに言う陽葵さん。。
ただ、他のメンバーが薄情とは言い難い。
実際にケセドに会って、どうなるか予想がつかないからだ。
祝うのは、全てが終わった後でも遅くない。
「あー、しかしですね。
先程の話を蒸し返してしまいますが、<次元迷宮>の冒険は実にファンタジーな体験だったのでは?」
「毎日毎日魔物にけつ犯されるようなファンタジーがあってたまるか!?」
「……意外にありそうな気もしますね」
間違いなくR18な作品だろうけれども。
「うっさい! 変な返答すんな!
オマエはヤってばっかりでヤられたことないから軽く言えるんだ!!」
いや、その、実は既に――
あー、しかしこのことは余り思い出したくないので、口にはしないことにする。
陽葵さんが望んでいる内容でもない筈だ。
「まあまあ、陽葵さんも気持ち良さそう卵を産んでたじゃないですか。
白目剥いて泡吐く程に」
「あの状態を気持ち良さそうと言えるオマエの神経が分からん!
本気で頭真っ白になってぶっ壊れそうになってんだよ、そん時!!
そのせいでオレ、最近うんこするときイクようになっちまったんだぞ!?」
そんな状況になってたのか。
今度その場に立ち会わせて貰おう。
「それはそれは。
スカトロプレイが捗りますね」
「変態も大概にしとけよ!
絶対に付き合わないからな、そんなプレイ!!」
「その割に、股間が勃ち始めましたよ?」
濡れ濡れになった陽葵さんの男性器が、むっくりと立ち上がっている。
興奮してきたということだろう、が。
「せ、生理現象だ!」
本人はあくまで否定。
今の会話のどこにどんな生理現象の起きる余地があったというのか。
「……陽葵さんの期待はよく分かりましたので、いずれやってみましょう」
「しねぇよ!!
……あ、うん、“いずれ”がまたあれば、その、一回くらいやってみてもいいけど」
陽葵さんが一気にトーンダウンした。
……気持ちは察するに余りある。
軽い口調で纏めてしまったが、彼の置かれる立場は非常にシビアだ。
青龍ケセドが神の力で解決――というような展開になればよいが、それは余りに楽観過ぎる。
本人を前に決して口には出せないが、彼がこれから生き延びれる確率は、はっきりと低い。
美咲さんの見立てである以上、間違いないだろう。
「大丈夫ですよ。
いざともなれば、私も協力しますから」
「……うん」
「貴方とのスカトロプレイ実戦のためならば、どんな苦境とて乗り越えてみせましょう」
「そんなところにモチベーションを見出すな!!
もっと、こう、あるだろう!?」
「例えばどのような?」
「た、例えば? そうだな――」
腕を組んで考え出す陽葵さん。
しばしの熟考の後、
「――なあ、皆で旅行してみないか?」
そんなことを呟いた。
「リアとかローラとか、エレナも美咲も一緒にさ。
アーニーやサンも誘って……ついでにボーさんやジャン達にも声かけるか?
皆で、この大陸をあっちこっち旅するんだ。
黒田って、どうせこの街から出たことないんだろ?」
「それは――はい、その通りです」
「やっぱりな。
オマエのコトだからそうだと思ったよ。
探求心とか冒険心とか全くないもんな」
したり顔で頷く陽葵さん。
いや、違うのだ。
この街から出なかったのは、勇者や六龍との戦いを見据えた用意や特訓を行っていたからであって。
……私に探求意欲が無いことに間違いではないけれども。
「せっかく異世界に来たんだから、色々見て回らなきゃ損だって!
きっと、面白いもんが一杯あるぞ!
それを片っ端から皆と見に行くんだ、絶対面白いぜ!!
あ、逆に日本へ誘うのもいいかもな?
アハハ、皆が驚く顔が目に浮かぶようだ」
陽葵さんは意気揚々と語る。
その様子は本当に楽しそうだった。
「そうですね。
様々な場所での遊びや、新たな出会いには心躍るものがあります」
「……なんか違う意味を込めてるだろ」
一転、ジト目になった。
しかしすぐに視線を逸らし、
「――ま、まあ、別にオレは、オマエと2人きりの旅でもいいんだけどさ」
そんな、嬉しいことを言ってくれる。
うむ、陽葵さんと2人旅し、毎日違う場所でプレイに興じるのも、気持ち良さそうだ。
勿論、単純に旅行を楽しむ気持ちもある――本当本当。
「ええ、そういう旅も面白そうですね」
「お、言ったな?
言ったからには、本当にやってもらうぞ」
「はい、構いませんよ」
陽葵さんと一緒に旅をするなんて、嬉しさこそあれ嫌がる理由などどこにもない。
「美咲に止められてもやってもらうぞ」
「……覚悟を決める時間を下さい」
下手をすると私は殺されてしまうかもしれない。
そうなってもよい、という決心を付ける時間が必要だ。
「まあ、なんとかなるでしょう、きっと」
「濁しやがったな」
「はっはっはっは」
その時はその時で考えるしかない。
とりあえず、先のことはともかく――
「――今は、今を楽しみましょう」
「あっ」
陽葵さんを抱きしめる。
柔らかな肉の付いた、細く華奢な身体。
そしてその肌の滑らかさを、全身で感じられる。
肢体の温みは心を落ち着かせてくれた。
欲情を搔き乱してもくれるのだが。
「また、始めるのか――あぅっ」
「ええ、よろしいでしょうか?」
むちむちの尻肉を揉みしだきながら尋ねる。
「あ、あ、あぅ――い、いいよ。
オレも、もっと黒田を感じたい。
オレの中、黒田でいっぱいにして欲しい……!!」
陽葵さんは発情しかけた顔でそう懇願してきた。
「いいですよ、吐き出すくらい、お尻に注いであげます」
抱き合った姿勢のまま、彼の穴にイチモツを挿入する。
解されに解された菊門は、何の抵抗もなく私を受け入れた。
「あ、あ、あ、あ、あっ――は、入って来たあぁぁぁ♪」
嬉しそうに嬌声をあげる陽葵さん。
あちらもイチモツを固く勃起させている。
気持ち良くて堪らないのだろう。
それはこちらも同じで、尻穴は実に心地よく私の愚息を締めつけてくれた。
「さあ、行きますよ」
「うん、うん♪ 来て、来てっ♪」
私が腰を動かし始めると、陽葵さんもまた尻を上下に振り始める。
2人の肉がぶつかり、パンパンと小気味良いリズムを奏でる。
「あ、あ、あ、あ、あ――あぁああ、お、おお、お、おおぉおおっ!!
おお、お、おおお、く、黒田っ、キス、キスもしてっ!!」
「分かりましたっ」
繋がったまま、彼の潤った唇にむしゃぶりつく。
「んんっ――ん、んんんっ――ちゅっちゅっ――れろれろっ――ん、ああ、ああ、あああっ――ん、ちゅっ」
ピチャピチャと音を立ててキスをしながら、私達は交わり続ける。
――どうか。
陽葵さんと過ごす日々に、“終わり”が来ないことを祈りながら。
第三十二話②へ続く
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