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第十一話 搾乳のススメ

②! 続・エレナさんの場合

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■応用編、続き



 その後も談笑を続ける私達であったが、ふと、私の太もも辺りを誰かが触ってきた。
 ――エレナさんだ。

 彼女は飲み会の最中少しずつ移動して、いつの間にやら私のすぐ隣に座っていた。

「………ねぇ」

 ぞくっとするような流し目で私を見つめながら、彼女は小声で私に話しかけてきた。

「……もう、我慢できない……待ってるからね?」

 エレナさんは私の太ももから股間までをすぅっと撫で、最後にイチモツを軽く握る。
 そこまでされれば、如何に察しが悪いと評判の私であっても彼女の意図には気づく。
 ……実のところ、そろそろ私の方から誘おうかとも考えていたところだ。

 私が軽く頷いたのを見ると、エレナさんは席を立って。

「ごめん、ちょっと席外すねー」

「お、何だエレナ、小便か?――――いってえ!!?」

 少々デリカシーの無い発言をしたジャンさんを殴ってから、彼女は部屋を出て行った。

「え、エレナの奴いきなりぶん殴りやがって……しかもグーで」

「いや、今のはジャンが悪いだろ」

「……うん、流石に酷い」

 愚痴るジャンさんを、陽葵さんとコナーさんが嗜める。
 二人から責められたからか、ジャンさんはしゅんとなって頭を下げる。

「うっ……わ、悪かったよ……酒が入って調子に乗りすぎた」

「ははは、ジャンさんは結構飲んでますからね。
 一応、彼女が帰ってきたらちゃんと謝っておいた方がいいでしょう」

「ああ、そうする」

 私の言葉にジャンさんは首肯した。

 ――さて、余りエレナさんを待たせるといけない。
 私は軽くテーブルを見渡してから、

「料理が大分減ってきましたね。
 まだ作り置きがありますから、持ってきますよ」

 そう言って席を立つ。

「クロダさん、俺も運ぶの手伝おうか?」

「いえいえ、お気遣いなく。
 少し倉庫の方へ食料を取りに行くだけですから。
 ジャンさん達は陽葵さんと親睦を深めていて下さい」

「……そっか。
 すいません、このお返しは後で絶対しますんで」

「はは、大丈夫ですよ、これ位。
 では、少々失礼します」

 手伝いを申し出るジャンさんへやんわりと断りを入れてから、私は部屋を後にした。



 その少し後、私は目的地へと到着する。
 ここは倉庫――ではなく、私の寝室。
 まあ、倉庫の方へはまた後で行くのだが、まずはこっちだ。

 私が寝室のドアを開けると――

「……クロダ、君っ!」

 ――部屋の中に居たエレナさんが、いきなり抱きついてきた。
 彼女はそのまま私に口づけをしてくる。

「……んむっ……んんっ……れろ、れろっ……あむっ……」

 後ろ手でドアを閉めながら私もエレナさんを抱き締め、互いに舌を絡ませあう。
 彼女の黒髪が私の顔にかかり、少しくすぐったい。

「……ん、んんんっ……ぺろっ……ちゅっ……んぅうっ……」

 エレナさんは大分溜まっていたようで、なかなか私を離してくれなかった。

「……あぅっ……んっんっんっ……はむっ……はぁああ……」

 数分程キスを続けただろうか。
 ようやく落ち着いたのか、エレナさんは私から口を離した。

「も、もう、これ、ダメ……ボク、感じ過ぎちゃって……」

 瞳を潤わせながら、エレナさんが語り掛けてくる。

「そんなに気持ち良かったのですか?」

「だ、だってぇ……ジャン君やコナー君、ずっとボクのミルク美味しそうに飲んでるんだもんっ」

「だから、感じてしまったと?」

「うん、うんっ……あの部屋でボク、何回かイッちゃったんだよ…?」

「そうでしたか、それは気づきませんでした。
 ……確かに、絶頂していてもおかしく無い程に濡れていますね」

「あ、あぁあっ……」

 私は片手で彼女の股間を弄ってやる。
 そこは愛液が滴り落ちる程に濡れていたのだった。

 ――既に気づいている方も多いと思うが、今日の飲み会でカクテルに使っていたミルクは、牛乳ではない。
 例の搾乳機でエレナさんから搾った代物なのだ。
 ジャンさん達は、本人の目の前で母乳を飲み続けていたということである。

「皆さん喜んで下さいましたね。
 振る舞った甲斐があったというものです」

「んん、皆、ごくごく飲み過ぎだよー。
 ボクのミルク、あんなに……あんなにっ……!」

 思い返してまた感じ入ってしまったのか、エレナさんは身をよじって甘い息を吐く。
 彼女は一旦深呼吸してから、私へと問いかけてくる。

「クロダ君は、どう?
 んん、クロダ君は、ボクのミルク楽しんでくれたっ!?」

「勿論ですよ。
 エレナさんから搾った乳は、極上の味でした」

 私の答えに満足したのか、エレナさんは微笑んで、

「んー、じゃあね、ボクもミルク飲みたいなー」

「? あのミルクなら、一緒に飲んだでいたではないですか」

 彼女だけ別のドリンクを用意していたというわけではない。
 エレナさんもまた、私達と同じカクテルを飲んでいたのだ。

 ……考えてもみれば、エレナさんは自分の母乳を平然と飲んでいたわけで。
 今更ながらだが、彼女の兵っぷりを認識できる。

「んんー、違うよー。
 ボクが飲みたいミルクは――」

 エレナさんは私の股間に手を当てて、

「クロダ君の、チンポミルクだよ?」

 愚息を摩りながら、からかうような笑顔で私に告げた。
 ……そういうことであれば仕方ない。

「なるほど、コレが欲しい、というわけですね」

 私はズボンのチャックを下げ、勃起した肉棒を取り出す。
 すぐさまエレナさんはそれに飛びついて、

「んん、これが欲しかったの!
 クロダ君のチンポっ!」

 喜々とした表情で私の男根にしゃぶりついた。
 股間が彼女の暖かさに包まれていく。

「んんっ……ぺろぺろっ……んんぅっ……れろっ……」

 そして、丹念に棒を舐めていくエレナさん。
 一心不乱に精液を欲しがる姿を見ていると、私の気持ちも昂っていく。

「んちゅっ……ん、んぁっ……はむっ……んんんーっ……」

 少しでも早く私をイかせたいのか、エレナさんは舌だけでなく手も使ってきた。
 亀頭を舐められ、竿を扱かれている状態だ。
 膣とはまた別の快感が私に広がる。

「いいですよ、エレナさん。
 これならすぐにイけそうです」

「ん、んぅう……そう?
 それなら、良かったよー……はむっ……ちゅっ……」

 一層激しく私を責め立てるエレナさん。
 快楽の波が私に打ち寄せてくる。
 ――私のザーメンを飲みたいと彼女も言っていることだし、ここは早めに一発出しておくべきか。

「そろそろ出しますよ……たっぷり味わってくださいね」

「れろれろっ……うん、いっぱい出してねっ……ちゅぱっ……んんっ!!」

 そこで私は絶頂を迎える。
 宣言の通り、彼女の口内へ私の精液を注ぎ込んだ。

「んっ! んんんっ! んんーっ!
 ……んふふふ、ホントにいっぱい出たねー……んむっ……ぺろっ……」

 エレナさんは口に出されたザーメンを全て飲み込んでから、さらに私のイチモツを舐める。
 一滴残らず私の精液を搾り取るつもりのようだ。

「どうですか、エレナさん。
 私のミルクの味は?」

「粘っこくて濃くて……んん、凄い、男の匂い……」

 ごくり、と最後の精液を飲み込みながら、エレナさんが応える。
 どうやら満足頂けたようだ。

 さて、次はどうするか――と、私が何かを言い出すより先に。
 エレナさんはベッドへ移動すると、その上で四つん這いになる。
 そして、

「ねーねー、ボク、今度は下の口でクロダ君のミルクを飲みたいんだけどー?」

 丈の短いスカートを捲り上げ、お尻を私に向けて振りながら、そう誘ってきた。

 黒タイツに包まれた、小ぶりながらも形の良いお尻。
 それは私を再度興奮させるに十分な魅力を持っていた。

「いいですよ、今度はそちらにもミルクを注いでやりましょう。
 ……ですが、その前に――」

「――んん?」

 私はエレナさんに近寄り、素早く彼女のブラウスを肌蹴けさせておっぱいを露出させる。
 実にハリのある綺麗な胸に、今すぐむしゃぶりつきたい欲求が湧くものの、なんとかそれを我慢。
 今回彼女の胸に吸い付くのは私ではない。

「……クロダ君、コレ、気に入っちゃったの?」

「はい、割と」

 私は、ベッドの下に置いておいた魔法の搾乳機をエレナさんのおっぱいに取り付けたのだった。

「んん、今日ボク薬飲んでないから、たぶんおっぱい出ないよ?」

「そうかもしれませんね。
 しかし――」

 私は搾乳機のスイッチを入れた。
 出力は中程度で装置を稼働させる。

「んっあっ……ああんっ……」

 搾乳機が動き出すのと同時に、エレナさんから艶声が漏れる。

「どうです、ミルクは出なくとも……なかなかいいものでしょう?」

「う、ん……んんっ……気持ち、いいねっ……あうっ……」

 四つん這いのまま身をくねらせるエレナさん。
 その姿に私は満足すると、今度は彼女の下半身に回り込んで、タイツとパンツを脱がす。
 蒸れて濃厚な雌の匂いを放つエレナさんの女性器が露わになった。

「あぁあんっ……このまま、するの?」

「ええ。
 エレナさんの下のお口にもたっぷり私のミルクを味わわせてあげませんと」

 後背位の姿勢で膣口に肉茎を添えると、私はそのまま腰を突き出した。
 散々愛液を垂らしたエレナさんの入り口は、スムーズに私のイチモツを咥え込む。
 ただ、挿入が簡単とはいえ、いざ中に入れば彼女はきつく私自身を締め付けてくる。

「はぁぁあああっ……ふ、深い……んんんぅううっ」

 エレナさんが嬉しそうに喘ぎ出す。
 その声に私の気分も高揚し、自然とピストン運動を始めてしまう。

「あっあっあっあっ! おっぱいと、おまんこで……んんっんっんぅうっんんっ! ボク、感じちゃってるっ……あぅううっ!」

 彼女もまた、自ら腰を振り私を楽しませる。
 膣によるシゴキは、先程までの手や口からのものとは違う快感を私に与えてくれた。

「くうっ……凄い締め付けですね。
 そんなに私のミルクが欲しいのですか?」

「ああっあっあああっ! んん、そんなの……んくぅううっ! 欲しいに、決まってるでしょっ……あん、んんっ!」

 ぎゅうっと私を締めあげながら、エレナさんが答える。
 私は腰を振りながら、

「そうですよね。
 では、少しでも早くミルクを出してあげなくては」

「うんっ……はぅうっ! クロダ君のチンポミルク……あんっ……早くちょうだいっ」

 エレナさんの言葉に、私はさらに激しく己自身を出し入れさせる。
 ――ついでに、搾乳機のダイヤルを回し、出力を最大に設定した。

「んあああああああああああああああっ!!!?」

 エレナさんが突然絶叫を上げる。
 ……やはり最大出力の搾乳は、エレナさんでも辛いのか。

「んおっ!! おぉおおおおおおおおっ!! ああぁあああぁああああっ!!」

 狂ったように叫びながら、激しく身を捩りだすエレナさん。
 同時に彼女の膣圧も高まり、私の愚息が痛い程に絞られる。

「あああっ! あっ! あああああっ!! イク、イクゥウウウウウウウウッ!!」

 エレナさんの身体がびくびくと痙攣する。
 痙攣に合わせて彼女の中もまた強くうねり、私の男根を締めあげた。
 搾乳機によって、一気にオーガズムを迎えてしまったようだ。

「おおおっ!! んがぁああああああああっ!! イッたのっ!! イッたってばぁああああああああああっ!!!?」

 だが装置は止まらない。
 余り過剰な刺激を与えられ、暴れ出そうとするエレナさんだが――

「――それはご容赦下さい」

 私は彼女に覆いかぶさることで、それを防いだ。
 無茶な動きをされると、装置が壊れる可能性もあるし、そもそも彼女自身危険だ。
 ローラさんの件で、私はそれをよく理解していた。

「んぎぃいいいいいっ!!! おおっあぁああああああああっ!!!」

 乳首から強制的に流れ込む快感によって、悶え苦しむエレナさん。
 一刻も早く彼女をそこから救い出すべく、私も腰の動きにラストスパートをかける。

「あぁあああああっ!! イクイクっ!! またイクゥウウウウウウウウウウウッ!!!!」

 そうこうしている内にエレナさんは再び絶頂。
 今度は女性器から潮がふき出る。
 搾乳機の刺激はかくも凄まじいものか。

「あっあっあっあっ!! あっ!! うそっまた、イクっ!!? あぁああああああっ!!」

 彼女はまたしてもアクメを迎えたようだ。
 ガクガクと身体を揺らしながら、なおもエレナさんは叫び続けた。

「イクッ!!!? あっああっ!! んぉおおっ!! イクッ!! おおぉおおっ!! イクの、止まんないぃいいっ!!」

 搾乳によって連続絶頂するエレナさん。
 最初は断続的だった痙攣が、今はもうまるで治まる気配が無い。
 彼女の膣は愛液と潮が混じり合った液体が、次から次へと滴っていった。

 イって、イって、イキ続けているのだろう。

 そして彼女がオーガズムに達する度に、私の愚息が刺激され極上の快感が走る。

「あーーーっ!! あーーーーーーっ!!! あーーーーーーーーっ!!!」

 白目を剥きかけながら、最早意味のある言葉を発することもできないエレナさん。
 身を捩り、暴れようとする力も強くなっていく。
 ――さて、私もイクか。

「……さぁ、エレナさん!
 お待ちかねの、ミルクですよっ!!」

「おおぉぉおおおおおおおおっ!! んぁあああああああああっ!! あーーーーーーーーっ!!!」

 渾身の力で彼女の最奥へと肉棒を突き挿し、たっぷりと精液を子宮に吐き出す。
 十二分にエレナさんへザーメンを注ぎ込むと、私は搾乳機のスイッチを切った。

「―――――あっ」

 そこで糸が切れたように、エレナさんから力が抜け、身体が崩れ落ちる。

「あっあっあっあっあっ……あーーーーー……」

 びくんっびくんっと大きく震えてから、彼女はベッドへ倒れ伏した。

「……おや」

 一拍置いて、エレナさんの股間から黄金色の液体が漏れてきた。
 気を失うことで、膀胱が緩くなってしまったのだろう。

「……帰るのが余り遅いと、流石に怪しまれますかね」

 そう独りごちると、私は部屋の片づけを始めるのだった。


 ――幸いなことに、エレナさんが正気を取り戻すのに、そう長い時間はかからなかった。


 それから少しして。
 私はリビングに戻るために廊下を歩いていた。

「……ん?」

 扉の前にエレナさんの姿を確認し、私は足を止める。
 念のため、違うタイミングで戻ろうということで、彼女は先に部屋へ向かったはずなのだが。

「どうしました、エレナさん?」

「……しーっ」

 話しかけると、エレナさんは人差し指を唇にあて、静かにするように私へ伝えてきた。
 いつになく真剣な顔をしている彼女。
 どうも、ドアを少し開けて部屋の中を覗いていたようだ。

「……ん」

 今度は彼女、部屋の中を指さす。
 私にも中を覗けということだろうか。
 私は彼女の指示に従い、<屈折視>を駆使してリビングの中を見てみる。
 するとそこには――

 「お、ヒナタ、もうグラスがほとんど空じゃないか!
  ほら、注いでやるよ」

 「……ん、そ、そうか?
  じゃあ、貰おうか、な…?」

 「……うんうん、じゃんじゃん飲もう。
  ……ジャンだけに」

 3人が仲睦まじく宴会を続けていた。
 私とエレナさんが長い時間席を外していることに、何の疑問も抱いていないようであった。
 ただ――

「……ちょっと、仲睦まじすぎますかね?」

「……あの2人、さっきからずっとヒナタ君にぴったりくっついてるんだよねー」

 私の疑問にエレナさんが答える。

 ジャンさんとコナーさんは、ヒナタさんの両隣に移動していた。
 そして、比喩でなく肌と肌が触れ合う距離まで彼に詰め寄って、談笑していたのだった。
 陽葵さんにとってはなかなか暑苦しそうな状況なのだが、初めて会った人を強く拒めないでいるようだった。
 ……いや、というより寧ろあれは――

 「……んっ……ちょっと、お前ら、近くない、か?……あっ……」

 ――彼の口から、時折甘い吐息が漏れる。
 ひょっとして陽葵さん、感じてしまっていないだろうか。

 「そうか?
  こんなもんだろ、飲み会なんて。
  俺ら、男同士なんだし」
 
 陽葵さんの腰に手を回し、脇腹の辺りを撫でているジャンさん。
 さらには顔を陽葵さんの金色の髪に近づけ、匂いまで嗅いでいる様子。

 「んんっ……そ、そうかな……くぅっ……」

 ジャンさんの手の動きに対し、陽葵さんは敏感に反応している。

 「……そう、僕らは男同士なんだから。
  ……これ位、普通」 

 そう言っているコナーさんは、陽葵さんの太ももに手をやり、揉んでいた。

 「そ、そっか……んっ……男同士、だもんな……あっ!」

 ぴくっと身体を震わせる陽葵さん。
 ジャンさんの指が脇腹から上がり、陽葵さんの胸――ちょうど乳首の辺りを擦りだしたのだ。

 「ん? どうしたヒナタ。
  体の調子でも悪いのか?」

 「い、いや……なんでも、無い……」

 明らかに何でもなくはないだろうが、陽葵さんはそう返事する。
 “普通のこと”で感じてしまっている自分を認めたく無いのだろう。

「……あの野郎」

「!?」

 横からぼそっと聞こえてきた呟き。
 そのドスの利いた響きに、思わずそちらを振り向く。

 ……そこには、完全に目が座ったエレナさんの顔があった。

「……ボクがあれだけモーションかけても全然手を出してこなかったくせに。
 ……ヒナタ君には、自分から攻めていくってか」

 知らない!
 私、こんなエレナさん知らない!

 機嫌が悪くなったとか、そういう可愛い言葉では言い表せない、もっと危険で剣呑な感情に今のエレナさんは支配されていた。
 ――女である自分を差し置いて、男である陽葵さんに手を出されては、プライドも傷つけられようというものか。

 「でもヒナタも災難だったよなぁ。
  聞いた話だけど、東京の暮らしってここよりずっと便利なんだろう?」
 
 「……急にこっちに来て、大変じゃなかった?」

 「あっうっ……そんなこと、無いさ……んんんっ……親切な人、多いし……あんっ……」

 ジャンさんは陽葵さんの乳首を弄り、コナーさんはお尻を揉む。
 エレナさんがかなり危険な状態にあることは露知らず、彼らは変わらず陽葵さんへの愛撫を続けていた。

「…………」

 エレナさんの瞳が怒りと憎悪に染まっていく。

 ――いや、だがしかし待ってほしい。
 意中の相手以外と関係を持っているという意味ではエレナさんとて一緒。
 寧ろ彼らよりもずっと進んでしまっている。
 ジャンさん達を責めるのであれば、エレナさんも――そして私も――責められるべきなのだ。
 ……とかまあ、そういう方向でどうにか矛を収めては貰えないだろうか?

 私は彼女を説得すべく、口を開く。

「あのですね、エレナさん」

「あ”?」

「なんでもありません」

 説得終了。

 無理、無理無理無理無理。
 やばい、今のエレナさん超やばいよ。
 怒りモードに入ったリアさん以上の殺気を彼女は放っていた。

 ジャンさん達には非常に申し訳ないが、もう私がどうこうできる状況にない。
 私にできることは、これ以上彼らが行き過ぎた行為をしないよう祈ることのみ。

 「おおっと、すまん。
  酒をこぼしちまった」

 かなりわざとらしく、ジャンさんはお酒を陽葵さんのシャツにこぼした。
 ……私の祈りは、届かなかったらしい。

 「悪いな、ヒナタ。
  今、拭くからさ」

 「い、いいよ……自分で、やるから……」

 「まあまあ、遠慮すんなって」

 陽葵さんの意見を半ば無視し、ジャンさんは零れたカクテルを拭くべく(?)、陽葵さんのTシャツを捲りあげた。
 彼らの目の前に、陽葵さんの綺麗な桃色をした乳首が姿を現す。

 「うお、なんだこの胸!?……んん、ごほんごほん」

 男のものとは到底思えない、陽葵さんの胸の色気に、一瞬本音を漏らしてしまうジャンさん。
 コナーさんもまた、陽葵さんの乳首を目を丸くして見つめている。

 「結構濡らしちゃったな。
  今拭くから、じっとしてろよ」

 ジャンさんはそう言うと、タオルで陽葵さんの胸を拭きだす。
 “拭く”というより、“揉む”手つきではあるが。

 「……あっ……んんっ……やっぱ待った……あぅうっ……自分で、やる……あぁんっ……自分で、やるよっ……ああっ……」

 「慌てんなって。
  もう少しできっちり拭きとれるからさ」

 言ってから、ジャンさんは陽葵さんの乳首をタオル越しに弄りだした。

 「あ、あっあっ……あああっ……ジャン、やめろって……あぁぁああっ……」

 もう隠しようもなく喘ぐ陽葵さん。
 身体に十分力が入らないのか、ジャンさんの為すがままである。

 そんな二人を見て、今度はコナーさんが動く。

 「……あ、コップ倒しちゃった」

 コナーさんは自分のグラスを態と倒し、中身のアルコールを陽葵さんのショートパンツへとかけた。
 完全な二番煎じである。

 「……次から次にごめんね。
  ……こっちも、ちゃんと拭くから」

 「んっんっんんっ……だ、だから……んぅうっ……いらないって……あぅうっ……」

 コナーさんもまた陽葵さんの言うこと等聞かず、ショートパンツをずり下げる。
 陽葵さんのボクサーパンツが露わになるが、

 「……パンツも濡れちゃってるね」

 そう言うと、コナーさんはそのボクサーパンツも脱がす。
 これには陽葵さんも慌て、

 「待てっいくらなんでもそれは――あぁああんっ!?」

 何とかコナーさんの暴挙を止めようとする陽葵さんだが、そのタイミングでジャンさんが乳首を摘まんできた。
 その刺激に陽葵さんは動きを止めてしまい、哀れ、彼の男性器は衆目に晒されることとなる。
 ――今までの二人の愛撫によって、勃起してしまっている性器が。

 「……じゃあ、綺麗にするよ」

 そんな陽葵さんの棒をまじまじと見てから、コナーさんは迷うことなくそれを咥えた。

 「お前…!?」

 その行為に、ジャンさんが驚く。
 彼だけでなく、私も驚愕の目で見つめていた。

 いくら陽葵さんのものとはいえ、男の愚息を何のためらいもなく口に入れるとは!
 コナーさん、私が思っていた以上に豪の者だったようである。

 彼はそのまま、陽葵さんの肉棒をしゃぶりだす。

 「あっあああっんぁああああっ!?
 あぅっあっあっあっあっあっ! ああぁぁああああああっ!!!」

 十分に昂っていたからなのか、はたまたコナーさんのテクニックが凄かったからなのか。
 あっけなく陽葵さんはイってしまったようだ。

 「…………ふぅ、ご馳走様」

 陽葵さんの精液を全て飲み込むと、コナーさんは満足げに呟いた。
 ――凄いな、この人。

 これにはエレナさんも毒気を抜かれ――

「………フケツ」

 ――抜かれてなどいなかった。
 彼女はまるでゴミクズでも見るかのような目つきで、コナーさんを眺めている。

 エレナさんの怒りメーターは順調に上昇中の様子。
 そろそろ止まってくれないと本気でやばい。
 だがそんな私の心配を彼らに届ける術は無く。

 「コナー、お前――」

 友人の、あんまりと言えばあんまりな行為に、開いた口が塞がらないジャンさん。
 そんな彼を諭すように、コナーさんは語り掛けた。

 「……ジャン。
  ……こんな機会、二度とないよ?」

 「!!」

 ジャンさんの背筋に電流が走る――ように見えた。
 コナーさんの言葉に感銘を受けたらしいジャンさんは、ゆっくりと頷くと、

 「そっか、そうだよな。
  こんなこと、二度も三度もありゃしないよな…!」

 覚悟を決めた男の顔で、ジャンさんは自分のズボンを下ろし、イチモツを取り出す。

「……ふーん」

 そしてそれを見て、目をさらに険しくするエレナさん。

 駄目だジャンさん!!
 こういうことができる機会なんて幾らでも作ってあげるから!!
 今は抑えて!
 これ以上いってしまうと、貴方達の生命を保証できないっ!!

 「さてと、じゃあ、ヒナタ……」

 「……はーっ……はーっ……はーっ……はーっ……」

 ジャンさんは陽葵さんを抱きかかえた。
 一方で陽葵さんは、絶頂によって気をやってしまい、ただただ荒く息をつくのみ。

 それを良いことに、ジャンさんは陽葵さんのショートパンツと下着をずりおろすと、

 「うぉおおっ……尻もすげぇ!!」

 ハリも、形も、大きさも、完璧に整った陽葵さんのお尻を見て、感嘆の声を上げる。
 そして彼は自分の男根を陽葵さんの尻に当てて――

「――何やってんの?」

 エレナさんの言葉によって、動きを停止させた。

「あ? え? うぇ?」

「…………おおう」

 突然現れたエレナさん(と、ついでに私)に、戸惑いを隠せない二人。

「んー、ボクの質問が聞こえなかった?
 ねえ、二人とも何やってんの?」

 静かな、冷たい口調でエレナさんは再度問いかけた。

「え? え? え? え?」

 ジャンさんはなお戸惑うばかり。

「…………クロダさん」

 一方、コナーさんは私へと視線を投げてくる。
 それに対して私はただ首を横に振った。
 ……それしかできなかった。

「……そうか」

 私の態度に、彼は全てを悟ったらしい。
 何もかもを諦めたように、静かに目を閉じる。

「あ、ああ、こ、これはだな!
 深い、深い訳が――!!?」

 ジャンさんは何とか言い訳しようと試みているが――

「深い訳? ふーん、深い訳ね?
 そうなんだ、そんなもの――」

 エレナさんは大きく息を吸ってから、

「――そんなもの、あるわけあるかぁあああああああっ!!!!!」

「ぎゃぁあああああああああっ!!!!?」

 爆発した。
 比喩表現ではなく、本当に。
 まあ、爆発したのはエレナさんではなくジャンさんなわけだが。
 ……<火爆ファイアブラスト>の魔法でも使ったのだろうか。


 その後。
 散々魔法によっていたぶられた挙句、三日三晩、エレナさんの部屋の前で土下座する二人の姿があった。
 とりあえず、どうにかパーティー解散の危機だけは凌げたようである。
 もっとも、その日から彼らに対するエレナさんの態度は相当冷たくなったのだが。

 “そういうこと”をするのは、時と場所を弁えましょう、という教訓。



 第十一話③へ続く
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