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プロローグ

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 プロローグ


「隣人さん、隣人さん。私はおかわりを所望します」

 栗色の髪の美少女が、空になったお茶碗を俺に突き出しそう言った。

「うるせぇよ、美凪みなぎご飯くらい自分でよそえ」

 俺はその要求を突っぱね、後ろにある炊飯器を指さす。

「ちぇー……仕方ありませんね」

 彼女はそう言うと渋々立ち上がり、炊飯器を開けてご飯をよそう。

「全部食べても良いですか?」
「構わねぇよ。その方が助かるわ」
「わーい!!やりました!!」

 美凪は俺の言葉を聞いて、ウキウキとお茶碗にご飯をよそっていく。
 そして、一杯目より多く盛った二杯目のご飯を手にして椅子に座り、パクパクと食べていく。

 今日の夕飯のおかずは唐揚げだ。ご飯がすすむのは良くわかるけどな。
 それにしても本当に良く食う女だな。
 その栄養は何処に行くんだろうな?

 俺はそんなことを思いながら、高校一年生にしては豊かに育った美凪の一部分に目が行く。

「……隣人さん。女性は皆、男の人の視線はわかるものですよ?」
「わりいな。不躾な視線だった」

 俺はそう言って謝罪する。

「はぁ……本来なら警察案件ですよ?」
「何言ってやがる。不法侵入にただ飯食らい。警察の厄介になるとしたらお前だろ?」
「ふふーん。私は知ってますよ、隣人さん。あなたは私の食費として、お母さんからかなり多くのお金を貰っていることを!!」
「まぁ、それなりの金額は貰ってるな」

 俺がそう答えると、美凪は

「ドヤァ」

 と笑った。

「いや、でもな。その食費が余らないレベルでお前は食ってるからな。むしろ手間賃の分だけ損してるわ」

 と、俺が呆れながらそう言い返すと、

「何を言ってるんですか、隣人さん。一人分も二人分も手間は変わりませんよ?」
「それは本来食ってる奴じゃなくて、作ってる奴のセリフなんだけどな……」

 と俺は肩を落としながら言った。

 ホント、なんでこんなことになってるんだろうな。

 目を見張るような美少女とひとつ屋根の下でご飯を共にする。
 男なら垂涎もののシチュエーションかもしれないけど、恋愛に発展するような甘いイベントやらなんやらはなんも無い。


 そうだな、俺たちの関係を一言で表すなら……

「今日もご馳走さまでした。美味しかったですよ『飯使い』さん」
「はいはい。お粗末さまでした、お嬢様」

 腹ぺこお嬢様と飯使いってところだな。
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