腹ぺこお嬢様の飯使い ~隣の部屋のお嬢様にご飯を振舞ったら懐かれた件~

味のないお茶

文字の大きさ
27 / 94
第1章

第二十四話 ~放課後。山野先生から生徒会に入らないか?と誘われた件~

しおりを挟む
 第二十四話




 学級委員に任命された美凪は、意気揚々と教壇の前まで歩いてくる。
 そして、豊かに育った胸を張りながら挨拶をした。

「学級委員になった美凪優花です!!隣人さん……海野くんではこの大役は務まらないと思ったので立候補しました!!別に愛してるとかそういうのじゃないです!!勘違いしないでください!!」

 一昔前の『ツンデレヒロイン』みたいなことを言うなよ……

「このパーフェクト美少女の美凪優花ちゃんが学級委員になったのでこのクラスは一年間は安泰です!!安心して学業に励むと良いです!!」

 そう言ってこいつは挨拶を締めた。

 どうやらもう取り繕うつもりは無いようだ。

「それでは、海野と美凪。これから先はお前たちが司会をしろ」

「「はい!!」」

 俺たちはそう返事をする。

 俺は美凪に

「じゃあ美凪、書記をやってくれ。お前の方が文字が綺麗だからな」

 と話をした。

 テストの答案を見る限り、こいつの文字は俺より綺麗だった。

「ふふーん!!美しいこの私から生み出される文字は美しい。これは世の中の必然です!!」
「あはは……じゃあ美凪。よろしく頼むわ」
「任されました!!」

 そして、美凪は黒板に

 学級委員

 美凪優花・海野凛太郎

 と書いた。

「それでは各委員を決めたいと思います」

 俺は教壇に上がってクラスメイトに話を始める。

「それでは図書委員から決めていきたいと思います。希望の方は挙手をお願いします!!」



 そして、LHRの時間をめいっぱい使い、各委員の選出が終わった。

 幸也と奏は図書委員になっていた。

『くじ引きで変な委員に強制的に入ることになるくらいなら、二人で平和そうな委員に入った方が良いよね』
『そうそう。私は嫌だもん、幸也以外の男とペアになるとか。あ、凛太郎くんは別だよ?まぁでも、凛太郎くんにはもう優花ちゃんが居るからね。しくしく。昔の女は立ち去ることにするわ……』

 なんて話をしていたからな。


 LHRを終えて、帰宅に向けたSHRの時間になっていた。
 その場で山野先生は俺と美凪を見て話をした。

「海野に美凪。ご苦労だったな。しっかりと時間内に委員の選出を行えたのは評価が高いぞ」
「いえ、山野先生。俺の評価にしないでください。クラスメイトのみんなが協力的だったお陰です」

 山野先生の言葉に俺は首を横に振った。

「ふふーん!!そうですね。隣人さんはクラスメイトの意見を集めてただけです!!結局のところ、くじ引きも使いませんでしたしね。クラスメイトと、この美凪優花ちゃんのお陰と言えるでしょう!!」


 美凪の言葉に苦笑いを浮かべながらも、先生は俺を見て言う。

「なるほどな。そういう姿勢は嫌いでは無い。海野凛太郎。放課後に進路指導室に来い。話がある」
「……え?」

 な、何を言われるのだろうか……

「それでは、今日のSHRはこれで終わりにする。部活動の体験入部など、興味のある部活に顔を出すのも良い。そのまま帰宅しても良い。自由にするがいい。では解散」

 山野先生はそう言うと、教室から出て行った。

「……隣人さん。山野先生から呼び出しを受けてましたね。何をやらかしたんですか?」
「し、知らねぇよ。何だよ、進路指導室って……」

 とりあえず。行かないとまずいよな……

「じゃあな、凛太郎。俺は野球部に顔を出すよ!!」
「バイバイ凛太郎くん。私は幸也に付き添って来るからね」

 幸也は野球部に、奏は『幸也専属マネージャー』になるだろうな。幸也のポジションはキャッチャーだ。

 打力と守備力は高いが『知能』が低い幸也。
 打者の傾向とかを試合前に奏が幸也に叩き込むことで、完璧なキャッチャーに仕立て上げていた。

「じゃあな、幸也に奏」

 俺はそんな二人を見送ってから、席を立つ。

「さて、進路指導室に行ってくるかな」
「じゃあ。私は待ってますね」

 当然です。と言った表情の美凪に俺は聞く。

「先に帰っててもいいぞ?」

 そう言うと、美凪は不機嫌そうな顔をする。

「今日は一緒に買い物をする。そう話してましたよね?忘れてしまったのですか??」
「あぁ……すまん。そうだったな」

 俺がそう言うと、美凪は笑ってくれた。

「それでは進路指導室に向かいましょう。外で待ってますからね」
「あぁ。何を話されるかはわからないけど、とりあえず話は聞いてみるよ」

 そう話して、俺と美凪は進路指導室へと向かって歩いた。



『進路指導室』

「ここですね」
「そうだな」

 俺と美凪は部屋の上に書かれたプレートを見てそう話した。

「それではここで待ってますね」
「あまり遅くならないとは思うけど、もし遅いようなら先に……ん」

 俺の唇を美凪が人差し指で抑えた。

 そして、俺の目をじぃっと見つめて言ってきた。

「私は貴方を待ってます。それはどんなに遅くなっても。です。次に先に帰れ。なんてことを言ったら、貴方の部屋にあったえっちな本の名前を叫びながら帰りますよ?」
「あはは……それは勘弁だな……」

 俺はくるりと踵を返して、扉の前に立つ。

「すぐに終わらせてくる。そしたら一緒に買い物に行こう」
「はい!!」

 コンコンと扉をノックすると、

『ノックなんて文化はここには無い!!鍵は掛かって無いから勝手に入って来い』

 と聞こえてきた。

「あはは。本当に面白い先生だ」

 俺はそう呟いてから、扉を開けて中に入る。

「失礼します」

 中にはタバコを吸っている山野先生が居た。

「来たな。外には美凪が待っているのだろう?そういうイチャイチャは学校では控えろよ?」
「見てたのですか?」

 俺が苦虫をかみ潰したような気分で切り返すと、

「カマをかけただけだ。海野凛太郎。こういう事をしてくる人間は少なくない。今後は気を付けろよ?」
「……はぁ。ご教授ありがとうございます」

 俺はそう呟いて扉を閉めると、先生の前にあるソファーに腰を下ろした。

「それで、先生はなんで俺をここに呼んだんですか?美凪とのことをからかうためじゃないですよね?」
「私はお前のように『会話が出来る』人間は嫌いでは無い。何、悪い話では無いよ」

 先生はそう言うと、テーブルの上にある灰皿でタバコを揉み消した。
 そして、俺の正面に坐る。

「海野凛太郎。お前にお願いしたいことがあってね」
「……お願い。ですか?」

 俺がそう聞き返すと、山野先生は少しだけ笑いながら話を切り出した。

「海野凛太郎。生徒会に入らないか?」

 と。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

『番外編』イケメン彼氏は警察官!初めてのお酒に私の記憶はどこに!?

すずなり。
恋愛
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の身は持たない!?の番外編です。 ある日、美都の元に届いた『同窓会』のご案内。もう目が治ってる美都は参加することに決めた。 要「これ・・・酒が出ると思うけど飲むなよ?」 そう要に言われてたけど、渡されたグラスに口をつける美都。それが『酒』だと気づいたころにはもうだいぶ廻っていて・・・。 要「今日はやたら素直だな・・・。」 美都「早くっ・・入れて欲しいっ・・!あぁっ・・!」 いつもとは違う、乱れた夜に・・・・・。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんら関係ありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。  後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。  香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。  一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。  しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

処理中です...