十年間片思いしていた幼馴染に告白したら、完膚なきまでに振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

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第1章 後編

第七話 ~彼女と過ごす一日目・彼女のお父さんとお話をしました~

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 第七話




「それで、お兄ちゃんと永久さんはこの後どうするの?」

 朝ご飯を食べ終わり、麦茶を飲みながら美鈴が聞いてきた。

「昨日の夜に、永久さんのお母さんから電話があってね、事情を説明したら一晩だけはとりあえず了承を得られたよ。だけど、まだ彼女のお父さんがこの話を知らないからね。顔見せも兼ねて、今日の十二時に永久さんの自宅に行く予定だよ」

 時計を見ると十時を指していた。

 彼女の自宅までは、だいたいここから一時間くらいとみておけばいいかな。

「お父さんは飲み会があるとこのくらいの時間に帰って来ます。ですので、もしかしたらそろそろ……」

 そんな話をしていると、彼女のスマホが着信を知らせた。

「あー……確実にお父さんですね」

 そう言って、永久さんは苦笑いを浮かべる。

 スマホを見てみると

『自宅』

 と出ていた。

「スピーカーにして出ます」

 俺と美鈴はその言葉に首を縦に振った。

 永久さんがその電話に出ると、

『永久かな?』

 優しそうな男性の声が聞こえてきた。

「はい。そうですよ、お父さん。おはようございます」

 なんてことも無いように、永久さんは話を始めた。

『……はぁ。話はお母さんから聞いたよ。全く、君は一見大人しそうに見えるけど、昔からこうと決めたら一直線なのは変わらないね』
「あはは……」
『もう高校生なんだから。もう少し慎みを持ちなさい。わかったかい?』
「はい。申し訳ありませんでした」

 とても理性的で優しい。父親の理想のような男性だと思えた。

『さて、正直に話してね。今君は何処に居るんだい?』
「桜井霧都くんの自宅です。今、朝ご飯をいただき終わったところです」

 彼女がそう言うと、電話口からため息が聞こえた。

『お母さんからは『永久は高校で出来た友達の家に泊まった』と、聞いていたけど、もしかしたらとは思っていたよ。はぁ……君も年頃の娘なんだから。もう少し考えて行動して欲しいよ。桜井くんのことは君から良く聞いているよ?でもね、彼だって高校生の男の子なんだから、何か間違いがあったらどうするんだい?』
「私としては間違いが起きて欲しいと思ってますが?」

 ぶふっ!!

 俺は思わず吹き出してしまった。

『……永久?もしかして近くに桜井くんが居るのかな?』
「はい。ちなみにこの会話は、スピーカーにしてるので彼とその妹さんも聞いています」

 彼女のその言葉に、お父さんは少しだけ思案した後に、

『永久。桜井くんに代わってもらえるかな?』

 やはりそう来たか。

「はい。問題ありませんよ」

 永久さんはそう言うと、スマホを俺に渡してきた。

 そして、俺は電話口に向かって挨拶をする。

「初めまして、桜井霧都と申します。最初の挨拶がこの様な形となってしまい大変申し訳ございません」
『いや、気にしないでくれ。こちらとしても君とは早いうちに話したいとは思っていたよ。私の名前は雄平(ゆうへい)と言う。好きに呼んでくれて構わないよ』
「では、雄平さんでお願いします」
『ではこちらも霧都くんと呼ばせてもらおうか』

 俺たちは軽く自己紹介をした後に、本題に入る。

『さて、霧都くん。昨晩は君の家に僕の娘が泊まったようだね?』
「はい。そうです」
『間違いが起きることは無かったかい?』

 確実に聞かれると予想していた質問だ。
 俺はしっかりとした言葉で返す。

「ありません。一睡も出来ませんでしたが、永久さんのお母さんや雄平さんを裏切るようなことはしてません」

 俺のその言葉に、雄平さんはため息をついた。

『そうか……いや、僕も男だからわかるけど、うちの娘はとても器量が良く育ってくれた。高校生の時分で良く我慢してくれたね』
「そ、そんな……まだ交際もしてないのに手を出すような人間ではありません」
『まだ。という事は、いずれはそういう関係になる。という意味かい?』
「はい。いずれは永久さんと結婚して家族になりたいと思っています。ですので、軽率な行動は出来ないと思っています」

 まぁ……『軽率な行動』を一度だけ取ってしまっているから、説得力に欠けるけど、今後は本当に気を付ける。

『なるほどね。少しは話が出来る人間みたいだ。今日はこの後うちに来て直接話を聞けるんだろう?』
「はい。十二時頃を目安に永久さんと一緒にお邪魔させてもらう予定です」
『わかった。じゃあ詳しい話はその時にしようか。君が思ったよりもしっかりとした男の子で安心したよ』
「恐縮です」

 そう答えると、雄平さんは優しい声で言った。

『お母さん……あぁ優美(ゆうみ)さんも言っていたと思うけど、僕も彼女も君には感謝してるんだ。昨夜のことだって、他の男の家にあの子が行った。なんて聞いていたらきっと彼女は警察に電話してたよ』
「あはは……」

 本当にやりそうな声だった。

『でも、優美さんも君なら安心だ。と信じて永久を君に預けたんだろうね。その信頼を裏切らないでくれて良かったよ』
「……とても、大変でしたが」

 俺のその言葉に、雄平さんは笑った。

『あはは!!まぁそうだろうね。さて、あまり長電話もあれだし、そろそろ切ろうかな。君と永久がうちに来るのを楽しみに待っているよ』
「はい。ではまた後で。失礼します」


 俺はそう言うと、雄平さんとの電話を終わらせた。


「その、何とかなったかな?」
「はい。お疲れ様でした」

 緊張から解き放たれ、苦笑いを浮かべる俺に、永久さんが微笑んでくれた。

「お父さんがあそこまで認めてくれるのは意外でした。流石は霧都くんですね」
「あはは……そうかな?でも、大切なのはこれからだと思うよ」

 俺はそう言うと、グッと背筋を伸ばす。

「よし。キチンとした服を着て挨拶に行こう。美鈴、どんな服が良いかな?」
「えへへ。よーし、私が責任を持って用意してあげるからね!!」
「あはは。美鈴、ありがとう」

 美鈴はそう言うと、俺の服が入れてあるタンスに向かっていく。

「美鈴さんが選んでくれるんですか?」
「うん。美鈴曰く『お兄ちゃんは服を選ぶな』って言われてる」

 買うのも、着るのも。

「では、私も着替えてきますね。霧都くんの自室を使わせてもらっても良いですか?」
「うん。良いよ。俺はどこでも着替えられるから」

 そう言って俺は彼女を送り出す。
 永久さんは少し歩いた後に振り向いて、俺に言った。

「覗いてもいいですよ?」
「昨日も言ったけど、そこは覗いちゃダメですよ?だと思うよ!!」
「あはは。では準備をします」

 永久さんはイタズラっぽく笑いながら、居間から姿を消した。


「ホント……心臓に悪い……」

 俺はテーブルに突っ伏しながら、今後もこうやって彼女の手のひらの上で遊ばれるんだろうなぁと、思っていた。
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