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第3章
永久side ①
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永久side①
『少し……頭を冷やしてきます……』
そう言って私は霧都の元を離れて、自分の教室へと歩みを進めていました。
こうして私と彼の間に亀裂を作ること。
それこそが凛音さんの策略の一つだと言うことは理解しています。
何があっても彼を信じる。
そう心に決めていました。
中間テストが終わったあの日。霧都は凛音さんと恐らく『キス程度』のことはしてきたのだと予想しています。
『無傷』で彼が開放されるとは考えられません。
きっとなんらかの制約をつけられた上で開放されたと思っています。
だからこそ、彼からのその話を聞いて『気にしないでください。私の愛はその程度では揺らぎませんよ?』と言ってあげるつもりでした。
でも……霧都は私に話をしてくれませんでした……
それはきっと『私に後ろめたいと感じているから』
もしくは『言ったら嫌われると思われているから』
それはつまり、『私の愛が彼に信じられて無いから』と言う理由に繋がります。
それが……私にとっては何よりも辛い事でした……
もしくは……『キスより上の行為をした』という可能性がありますね。ただ、それでしたら凛音さんは私にあんな台詞は吐きません。つまり、霧都が凛音さんとした行為は『キス止まり』という事です。
霧都が望んでそれをしたのなら、話は別ですが、罠に嵌められたような形でした行為なんて気にしません。
犬に噛まれたようなものです。
そう……思ってるんですけどね……
私はそんなことを考えながら、教室の扉をガラリと開きました。
すると中には私の無二の親友の二人が向かい合って話をしていました。
「……うぅ。おにぃから続く万年二位を脱却するために頑張って来たのに、まさか三位になるとはね……」
「今回は相手が強過ぎたよ、雫さん。本来なら君の点数なら一位でもおかしくないくらいだよ?」
「あはは……ありがとう、流くん……」
少しだけ涙目の雫さんに、流くんが微笑みかけていました。
本当に、羨ましくなるくらいに仲が良いですね。
「雫さんに流さん」
私は二人にそう言って話しかけました。
「あ、永久ちゃん!!一位おめでとう!!今回は譲ったけど次は負けないからね!!」
「二人とも満点で同率一位ってのには驚いたよ。それで、君だけがここにきたってことは……」
「はい……そういう事……です」
私が少しだけ俯きながらそう答えると、雫さんが椅子から立ち上がって私のことを抱きしめてくれました。
「し、雫さん……!?」
「良いよ、永久ちゃん……辛い時は愚痴とか聞くって言ったよね?」
雫さんのその言葉に、私の頬を涙が伝いました。
私は……本当に……恵まれてます……
「霧都を悪くいうつもりは……ありません……」
私はそう言って話を切り出しました。
「中間テストの最終日。きっと霧都は凛音さんの家で……キス程度のことはしてきたと思ってます」
「そうだね。私も同じように思ってるかな。凛音ちゃんがあそこまで手を尽くしたんだから、そのくらいことはしてると思うよ」
「でも、霧都からは、北島さんには何も話をされてないんだよね。きっと君にはそれが何よりも辛いことなんじゃないかな?」
流さんのその言葉に私は小さく首を縦に振りました。
「話してさえくれれば……気にしないでください。私の愛はその程度では揺らぎませんよ?と言えるんです。でも……話してくれないと……それも出来ません……」
「永久ちゃん……」
「北島さん……」
「きっと……私の愛が足りてないんです……だから霧都にも信じて貰えない……」
「大丈夫だよ、永久ちゃん」
雫さんはそう言うと、私の身体を強く抱き締めてくれました。
暖かい……彼女の優しい気持ちをたくさん感じます……
「きっと桜井くんは話してくれる。と言うか、きっと今頃はおにぃの所にいるんじゃないかな?」
「桐崎生徒会長の所……ですか?」
「うん。おにぃと朱里さんが桜井くんの味方になるって話をしてたからね」
「それは心強いです!!」
私は雫さんの言葉に、少しだけ希望が見えたような気持ちになりました。
ですが、私はこの時に気が付くべきだったんです……
『桐崎先輩と藤崎先輩が味方になる』
その意味について……
「きっと今頃は、おにぃから活を入れられてるんじゃないかな?だから永久ちゃんは桜井くんを信じて待つ時だと思う」
「そうですね。わかりました」
私はそう言うと、雫さんから少し離れて彼女と流さんに頭を下げました。
「本当に……本当にありがとうございます。雫さんと流さんが居なかったら……私はどうなってたかわかりません」
「えへへ。気にしないでよ永久ちゃん。私は永久ちゃんの親友だからね!!」
「そうだね。あとは俺の方でも霧都のフォローはしておこうかな。霧都も絶対に悩んでるはずだからね」
「助かります……流さんも、本当にありがとうございます」
雫さんと流さんのお陰で、こうして私が少しだけ立ち直った。
その時でした。
『海皇高校生徒の皆さんこんにちは!!放送部の三郷です!!本日は中間テストの結果発表でしたね!!今回の結果はどうだったでしょうか?』
そう言って聞こえてきたのは、放送部に所属する三郷先輩の声でした。
そう、突然校内放送が始まりました。
「え……こんなタイミングで構内放送……??」
「……何だろ……凄く嫌な予感がするんだけど」
「と、とりあえず聞いてみましょう」
私の言葉に二人は首を縦に振って肯定を示してくれました。
そして、私たちが放送に耳を傾けていると、信じられないような内容で続いていきました。
『今回もバスケ部の小悪魔で有名な南野凛音さんに来ていただいてます!!南野さんは今回のテストでは満点の同率一位に輝いています!!文武両道で素晴らしい!!それでは南野さん、お言葉をお願いします!!』
「り、凛音ちゃんの言葉!!??」
「……これはかなりまずいことになると思う」
「凛音さん……何を言うつもりですか……」
そして、私たち三人の耳に凛音さんの言葉が聞こえてきました。
『はぁ……バスケ部の小悪魔は辞めてって話は何度もしてると思うけど?まぁいいわ。もう諦めるわよ』
凛音さんは呆れたような語り口でそう話を始めました。
『皆さんこんにちは、南野凛音よ。中間テストお疲れ様。私は満足のいく結果が残せたけどみんなはどうだったかしら?良い思いをした人は、油断をしないように。悔しい思いをした人はその思いを忘れずに、期末テストに向けて頑張って貰いたいわね』
「普通の話をしてるね……凛音ちゃんらしくないと言うか……」
「いや、油断出来ないよ……多分、本命はこの後だと思う」
流さんの言うように、凛音さんの『語り』はここからが本番でした……
『さて、ここで皆に話をしようと思うわ』
少しの間。そして、凛音さんは言いました。
『私の愛しい霧都との……蜜月の時間の話を……ね』
『少し……頭を冷やしてきます……』
そう言って私は霧都の元を離れて、自分の教室へと歩みを進めていました。
こうして私と彼の間に亀裂を作ること。
それこそが凛音さんの策略の一つだと言うことは理解しています。
何があっても彼を信じる。
そう心に決めていました。
中間テストが終わったあの日。霧都は凛音さんと恐らく『キス程度』のことはしてきたのだと予想しています。
『無傷』で彼が開放されるとは考えられません。
きっとなんらかの制約をつけられた上で開放されたと思っています。
だからこそ、彼からのその話を聞いて『気にしないでください。私の愛はその程度では揺らぎませんよ?』と言ってあげるつもりでした。
でも……霧都は私に話をしてくれませんでした……
それはきっと『私に後ろめたいと感じているから』
もしくは『言ったら嫌われると思われているから』
それはつまり、『私の愛が彼に信じられて無いから』と言う理由に繋がります。
それが……私にとっては何よりも辛い事でした……
もしくは……『キスより上の行為をした』という可能性がありますね。ただ、それでしたら凛音さんは私にあんな台詞は吐きません。つまり、霧都が凛音さんとした行為は『キス止まり』という事です。
霧都が望んでそれをしたのなら、話は別ですが、罠に嵌められたような形でした行為なんて気にしません。
犬に噛まれたようなものです。
そう……思ってるんですけどね……
私はそんなことを考えながら、教室の扉をガラリと開きました。
すると中には私の無二の親友の二人が向かい合って話をしていました。
「……うぅ。おにぃから続く万年二位を脱却するために頑張って来たのに、まさか三位になるとはね……」
「今回は相手が強過ぎたよ、雫さん。本来なら君の点数なら一位でもおかしくないくらいだよ?」
「あはは……ありがとう、流くん……」
少しだけ涙目の雫さんに、流くんが微笑みかけていました。
本当に、羨ましくなるくらいに仲が良いですね。
「雫さんに流さん」
私は二人にそう言って話しかけました。
「あ、永久ちゃん!!一位おめでとう!!今回は譲ったけど次は負けないからね!!」
「二人とも満点で同率一位ってのには驚いたよ。それで、君だけがここにきたってことは……」
「はい……そういう事……です」
私が少しだけ俯きながらそう答えると、雫さんが椅子から立ち上がって私のことを抱きしめてくれました。
「し、雫さん……!?」
「良いよ、永久ちゃん……辛い時は愚痴とか聞くって言ったよね?」
雫さんのその言葉に、私の頬を涙が伝いました。
私は……本当に……恵まれてます……
「霧都を悪くいうつもりは……ありません……」
私はそう言って話を切り出しました。
「中間テストの最終日。きっと霧都は凛音さんの家で……キス程度のことはしてきたと思ってます」
「そうだね。私も同じように思ってるかな。凛音ちゃんがあそこまで手を尽くしたんだから、そのくらいことはしてると思うよ」
「でも、霧都からは、北島さんには何も話をされてないんだよね。きっと君にはそれが何よりも辛いことなんじゃないかな?」
流さんのその言葉に私は小さく首を縦に振りました。
「話してさえくれれば……気にしないでください。私の愛はその程度では揺らぎませんよ?と言えるんです。でも……話してくれないと……それも出来ません……」
「永久ちゃん……」
「北島さん……」
「きっと……私の愛が足りてないんです……だから霧都にも信じて貰えない……」
「大丈夫だよ、永久ちゃん」
雫さんはそう言うと、私の身体を強く抱き締めてくれました。
暖かい……彼女の優しい気持ちをたくさん感じます……
「きっと桜井くんは話してくれる。と言うか、きっと今頃はおにぃの所にいるんじゃないかな?」
「桐崎生徒会長の所……ですか?」
「うん。おにぃと朱里さんが桜井くんの味方になるって話をしてたからね」
「それは心強いです!!」
私は雫さんの言葉に、少しだけ希望が見えたような気持ちになりました。
ですが、私はこの時に気が付くべきだったんです……
『桐崎先輩と藤崎先輩が味方になる』
その意味について……
「きっと今頃は、おにぃから活を入れられてるんじゃないかな?だから永久ちゃんは桜井くんを信じて待つ時だと思う」
「そうですね。わかりました」
私はそう言うと、雫さんから少し離れて彼女と流さんに頭を下げました。
「本当に……本当にありがとうございます。雫さんと流さんが居なかったら……私はどうなってたかわかりません」
「えへへ。気にしないでよ永久ちゃん。私は永久ちゃんの親友だからね!!」
「そうだね。あとは俺の方でも霧都のフォローはしておこうかな。霧都も絶対に悩んでるはずだからね」
「助かります……流さんも、本当にありがとうございます」
雫さんと流さんのお陰で、こうして私が少しだけ立ち直った。
その時でした。
『海皇高校生徒の皆さんこんにちは!!放送部の三郷です!!本日は中間テストの結果発表でしたね!!今回の結果はどうだったでしょうか?』
そう言って聞こえてきたのは、放送部に所属する三郷先輩の声でした。
そう、突然校内放送が始まりました。
「え……こんなタイミングで構内放送……??」
「……何だろ……凄く嫌な予感がするんだけど」
「と、とりあえず聞いてみましょう」
私の言葉に二人は首を縦に振って肯定を示してくれました。
そして、私たちが放送に耳を傾けていると、信じられないような内容で続いていきました。
『今回もバスケ部の小悪魔で有名な南野凛音さんに来ていただいてます!!南野さんは今回のテストでは満点の同率一位に輝いています!!文武両道で素晴らしい!!それでは南野さん、お言葉をお願いします!!』
「り、凛音ちゃんの言葉!!??」
「……これはかなりまずいことになると思う」
「凛音さん……何を言うつもりですか……」
そして、私たち三人の耳に凛音さんの言葉が聞こえてきました。
『はぁ……バスケ部の小悪魔は辞めてって話は何度もしてると思うけど?まぁいいわ。もう諦めるわよ』
凛音さんは呆れたような語り口でそう話を始めました。
『皆さんこんにちは、南野凛音よ。中間テストお疲れ様。私は満足のいく結果が残せたけどみんなはどうだったかしら?良い思いをした人は、油断をしないように。悔しい思いをした人はその思いを忘れずに、期末テストに向けて頑張って貰いたいわね』
「普通の話をしてるね……凛音ちゃんらしくないと言うか……」
「いや、油断出来ないよ……多分、本命はこの後だと思う」
流さんの言うように、凛音さんの『語り』はここからが本番でした……
『さて、ここで皆に話をしようと思うわ』
少しの間。そして、凛音さんは言いました。
『私の愛しい霧都との……蜜月の時間の話を……ね』
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