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第3章
第二話~凛音の放送を聞いた俺は、二つの選択肢の中から向かう場所を選ぶことになりました~
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第二話
『さて、ここで皆に話をしようと思うわ』
『私の愛しい霧都との……蜜月の時間の話を……ね』
生徒会室にあるスピーカーから、凛音のそんな言葉が聞こえてきた。
ふ、ふざけんなよ凛音!!公開しないって約束したじゃないか!!
そこまで考えたところで、俺は致命的なミスに気がついた。
そ、そうだ……凛音が『公開しない』と言ったのは、俺と凛音がキスをしている瞬間を撮られた『静流さんの写真』だけ。
その後の『行為』に関しては『凛音の一存』に託されている。
だとするならば、凛音のこの行為は『約束破り』にはならない……
「あー……この手段の選ばなさ。昔の詩織ちゃんを思い出すね……」
「あの時の詩織さんはクラスの空気だけで戦ってたからな。その時の反省を活かして、今度は全校生徒の空気を味方につけるように助言をしたんだろうな」
「な、何を呑気なことを言ってるんですか!!ど、どうしたらいいんですか!!??」
軽く遠い目をして、昔を懐かしんでいる先輩二人に俺は食ってかかった。
そんなことをしている間も、スピーカーからは俺が凛音に『言わされた愛の言葉とキスシーン』が垂れ流しになっている。
「そうだな。この後桜井が向かわなければならない場所には二つの選択肢がある」
「ふ、二つの……選択肢……」
そう言って桐崎先輩は俺に二本の指を立てて、選択肢の内訳を話し始めた。
「一つ目の選択肢は『放送室へと向かい、南野凛音の放送を辞めさせる。もしくは直接彼女を糾弾する』と言うもの」
「そ、そうですね」
「まぁ、この選択肢はお前がもう向かったところで手遅れ。南野凛音に対して、お前の気持ちを吐露するだけの行為に終わるだろうけどな」
やれやれ。と言った感じで手を広げる先輩。
確かに、もうここまで話が進んでしまった以上
仮に凛音の放送を辞めさせたとしても、意味なんか無い。
「まぁ、お前が南野の所に行けば『これがやらされたことであって本意では無い』と言うシーンを他の生徒に見せることが出来る。と言うメリットがあるな」
「……な、なるほど。それは確かにそうですね」
放送室から出て来た凛音に、俺がブチ切れて居るシーンを生徒たちに見せれば、これが『ヤラセ』であることが示せるはずだ。どっちかと言えば、こちらの方が重要に思える。
「今後のことを考えるなら、南野凛音の場所へと向かうことが選択肢の一つだ」
「そして、もう一つは……『永久の居る場所へと向かう』ですね?」
俺がそう言うと、桐崎先輩はそうだ。という意味を込めて首を縦に振った。
「そうだ。北島永久の居場所は雫からメッセージが来ている。やはりお前のクラスに居るようだ。今はとても落ち込んでいる様子らしい。まぁ……当然だよな?」
俺を責め立てるような視線。俺はその視線から逃げるように目を逸らしてしまった。
「はぁ……もう一つの選択肢は『北島永久の場所へと向かい、彼女に本当のことを話すこと』これをすれば全校生徒には誤解を与えたままだが、北島永久とその周りの人間の誤解は解ける」
「……はい」
「ただ、北島永久は『お前が南野凛音に対して行為に及ばないといけない事情があった』という事を察してはいた」
つまり、俺が今永久の元に向かわなくても、永久は俺が凛音に対して『こういう言葉を吐きながらキスをする』と言うことをしなければならない状況下であったことを予想をしていた。
ってことだ。
「だからこそ、お前は北島永久に話さなければならなかったし、理解を求めていれば何の問題にもならなかったのにな。はぁ……まぁ仕方ないことだがな」
「す、すみません……」
そうだ。俺が永久に事情を話していれば、俺が向かう場所は凛音いる放送室の一択だけ。
そこに行って凛音を糾弾すればいいだけだった。
そこには永久だって味方として居てくれたかも知れない。
「さて。桜井霧都。この話を聞いて、お前は『どちらの選択肢』を選ぶんだ?」
桐崎先輩はそう言うと、俺の前に再び指を二本立てた。
「一つ目は北島永久に対しての説明を放棄して、南野凛音の元へと向かい、今後を見据えてこの放送がヤラセであると告知する」
「二つ目は全校生徒への説明を放棄して、北島永久の元へと向かい、この放送が本意では無いとお前の口からしっかりと説明をすること」
「どちらかを選べ。悩んでる時間は無いぞ。直ぐにどちらかに向かわなければ『どちらも手遅れ』になるからな」
確かに。悩んでいる時間は……もう無い。
後悔している時間すら、もう残されていない。
今すぐ選んでどちらかに向かわなければならない!!
…………………………………………。
そして、俺は自分が向かうべき場所を決めた。
「……ありがとうございます。桐崎先輩に藤崎先輩。俺が向かう場所を決めました」
「そうか。どちらを選んでも一長一短だ。悩んで結論が出せないことが一番の悪手だ。この時点でお前は『正解のひとつ』を選んだと言える」
「あはは……私は何もしてないけどね。まぁ桜井くんの骨くらいは拾ってあげるし、凛音ちゃんには校内放送を私物化した罰としてダッシュ100本を課そうと思うかな!!」
俺は二人に背中を向けて、生徒会室の扉に手をかける。
そして、その扉を開け放ったあと二人の方を向いて、
『行先』を告げた。
「南野凛音の場所に行ってきます」
「……そうか」
「うん……それも正解のひとつだよ」
こうして、俺は生徒会室を飛び出して、凛音の居る放送室へと走って行った。
…………本当に、俺は馬鹿で、自分のことしか考えてない愚か者だと言うことを、痛いほど知ることになった。
『さて、ここで皆に話をしようと思うわ』
『私の愛しい霧都との……蜜月の時間の話を……ね』
生徒会室にあるスピーカーから、凛音のそんな言葉が聞こえてきた。
ふ、ふざけんなよ凛音!!公開しないって約束したじゃないか!!
そこまで考えたところで、俺は致命的なミスに気がついた。
そ、そうだ……凛音が『公開しない』と言ったのは、俺と凛音がキスをしている瞬間を撮られた『静流さんの写真』だけ。
その後の『行為』に関しては『凛音の一存』に託されている。
だとするならば、凛音のこの行為は『約束破り』にはならない……
「あー……この手段の選ばなさ。昔の詩織ちゃんを思い出すね……」
「あの時の詩織さんはクラスの空気だけで戦ってたからな。その時の反省を活かして、今度は全校生徒の空気を味方につけるように助言をしたんだろうな」
「な、何を呑気なことを言ってるんですか!!ど、どうしたらいいんですか!!??」
軽く遠い目をして、昔を懐かしんでいる先輩二人に俺は食ってかかった。
そんなことをしている間も、スピーカーからは俺が凛音に『言わされた愛の言葉とキスシーン』が垂れ流しになっている。
「そうだな。この後桜井が向かわなければならない場所には二つの選択肢がある」
「ふ、二つの……選択肢……」
そう言って桐崎先輩は俺に二本の指を立てて、選択肢の内訳を話し始めた。
「一つ目の選択肢は『放送室へと向かい、南野凛音の放送を辞めさせる。もしくは直接彼女を糾弾する』と言うもの」
「そ、そうですね」
「まぁ、この選択肢はお前がもう向かったところで手遅れ。南野凛音に対して、お前の気持ちを吐露するだけの行為に終わるだろうけどな」
やれやれ。と言った感じで手を広げる先輩。
確かに、もうここまで話が進んでしまった以上
仮に凛音の放送を辞めさせたとしても、意味なんか無い。
「まぁ、お前が南野の所に行けば『これがやらされたことであって本意では無い』と言うシーンを他の生徒に見せることが出来る。と言うメリットがあるな」
「……な、なるほど。それは確かにそうですね」
放送室から出て来た凛音に、俺がブチ切れて居るシーンを生徒たちに見せれば、これが『ヤラセ』であることが示せるはずだ。どっちかと言えば、こちらの方が重要に思える。
「今後のことを考えるなら、南野凛音の場所へと向かうことが選択肢の一つだ」
「そして、もう一つは……『永久の居る場所へと向かう』ですね?」
俺がそう言うと、桐崎先輩はそうだ。という意味を込めて首を縦に振った。
「そうだ。北島永久の居場所は雫からメッセージが来ている。やはりお前のクラスに居るようだ。今はとても落ち込んでいる様子らしい。まぁ……当然だよな?」
俺を責め立てるような視線。俺はその視線から逃げるように目を逸らしてしまった。
「はぁ……もう一つの選択肢は『北島永久の場所へと向かい、彼女に本当のことを話すこと』これをすれば全校生徒には誤解を与えたままだが、北島永久とその周りの人間の誤解は解ける」
「……はい」
「ただ、北島永久は『お前が南野凛音に対して行為に及ばないといけない事情があった』という事を察してはいた」
つまり、俺が今永久の元に向かわなくても、永久は俺が凛音に対して『こういう言葉を吐きながらキスをする』と言うことをしなければならない状況下であったことを予想をしていた。
ってことだ。
「だからこそ、お前は北島永久に話さなければならなかったし、理解を求めていれば何の問題にもならなかったのにな。はぁ……まぁ仕方ないことだがな」
「す、すみません……」
そうだ。俺が永久に事情を話していれば、俺が向かう場所は凛音いる放送室の一択だけ。
そこに行って凛音を糾弾すればいいだけだった。
そこには永久だって味方として居てくれたかも知れない。
「さて。桜井霧都。この話を聞いて、お前は『どちらの選択肢』を選ぶんだ?」
桐崎先輩はそう言うと、俺の前に再び指を二本立てた。
「一つ目は北島永久に対しての説明を放棄して、南野凛音の元へと向かい、今後を見据えてこの放送がヤラセであると告知する」
「二つ目は全校生徒への説明を放棄して、北島永久の元へと向かい、この放送が本意では無いとお前の口からしっかりと説明をすること」
「どちらかを選べ。悩んでる時間は無いぞ。直ぐにどちらかに向かわなければ『どちらも手遅れ』になるからな」
確かに。悩んでいる時間は……もう無い。
後悔している時間すら、もう残されていない。
今すぐ選んでどちらかに向かわなければならない!!
…………………………………………。
そして、俺は自分が向かうべき場所を決めた。
「……ありがとうございます。桐崎先輩に藤崎先輩。俺が向かう場所を決めました」
「そうか。どちらを選んでも一長一短だ。悩んで結論が出せないことが一番の悪手だ。この時点でお前は『正解のひとつ』を選んだと言える」
「あはは……私は何もしてないけどね。まぁ桜井くんの骨くらいは拾ってあげるし、凛音ちゃんには校内放送を私物化した罰としてダッシュ100本を課そうと思うかな!!」
俺は二人に背中を向けて、生徒会室の扉に手をかける。
そして、その扉を開け放ったあと二人の方を向いて、
『行先』を告げた。
「南野凛音の場所に行ってきます」
「……そうか」
「うん……それも正解のひとつだよ」
こうして、俺は生徒会室を飛び出して、凛音の居る放送室へと走って行った。
…………本当に、俺は馬鹿で、自分のことしか考えてない愚か者だと言うことを、痛いほど知ることになった。
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