Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶

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第1章

第二十七話 ~風呂上がりのミルクとキスをした。そして明日はトウヨウの冒険者と手合わせをすることになった~

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 第二十七話




「ふぅ……いい湯だったわね。それと、何だか私の前に入っていたリーファとツキが騒がしくしてたから何事かと思ったわ」
「あいつらは人の実家の風呂で何してるんだよ……」

 風呂から出てきたミルクに、俺はそう言葉を返した。
 湯上りのミルク。バスタオルで濡れた髪の毛を抑えながら俺に向かって微笑んでいた。

「ふふふ。どうしたのよ、ベル。そんなにジッと見つめてきて」
「いや、ミルクも大人になったんだなと思ったんだよ」

 彼女と別れてから二十年。
 七歳だったミルクは今では立派な女性になってる。
 こうして見ていると時間の流れをひしひしと感じるよな。

「そうね。あれから二十年も経ったんだから」

 彼女はそう言うと、俺のところまでやってきて身体を抱きしてめくる。

 湯上りで体温の少し上がったミルクの身体。とても良い匂いがする。
 生地の薄い寝間着も相まって理性がどんどん削られていくのがわかる。

「み、ミルク!?」
「そうよ。私は大人になったのよ。どのくらい大人になったのか、知ってみたいと思わないのかしら?」

 ミルクはそう言うと、俺の顔を見ながら目を閉じる。



『リーファと同じで、私とした行為までならミルクとすることを許しますよ』
『……そ、そうなのか』
『まぁ、ベルフォードの正妻は私ですから。今後も増えるであろう側室に対しての『余裕』という物も無いと行けませんからね』


 ツキからはそう言われている。
 だから、ここで俺がミルクに『キス』をする所までは許しを得ていると言っていい。

「あまり女を待たせないでくれるかしら?と言っても、二十年も待たされてるんだから今更かしら?」
「す、すまん……」

 片目を開けてそう言うミルクに、俺は思わず謝罪をいれる。

「ほら……早くしてよ。私は待ってるわよ」
「……わかったよ」

 俺はそう答えると、ミルクの唇に自分の唇を重ね合わせる。

「……んぅ……」

 耳に残る彼女の吐息に、それ以上を求めたくなる欲求が強くなる。だけどそれは我慢しないといけない。

 それにしても、こんなに短期間の間に三人の女性とキスをしている。
 全く……幸せな男だと思ってしまう。

 そしてどちらともなく唇を離すと、ミルクは少しだけ頬を赤く染めながら俺に言う。

「貴方が好きよ、ベル。二十年間も待たされたけど、とても幸せだわ」
「俺が冒険者として頑張ってこれたのは、ミルクに認められたいって思いもあったんだ。まぁ連絡をしなかったのは本当にすまん」
「全くよ。私はとても寂しかったわ」

 その言葉を受けて、俺はもう一度ミルクとキスを交わす。

 先程よりも深く……長く……今俺が彼女に渡せるだけの愛情を込めて。



「そう言えば、隣国から俺に会うためにやって来た人がいたって話を聞いたけど、どんな人なんだ?」

 ミルクとのキスの後、椅子に座って水を飲みながら俺は彼女にそう問いかけた。

「そうね……とても大きくて、筋肉の塊みたいな男の人だったわよ。背中にはその人よりも大きな剣を装備していたわ。ただ、そんな厳つい見た目とは裏腹にとても礼儀正しい人だったわ」

 ミルクはそう言うと、少しだけ思案するように視線を上にあげる。

「トウヨウの国の冒険者だって話をしてたわ。ベルと手合わせがしたいって話をしていたのよ」
「……筋肉質で大きな身体に身の丈ほどの大剣。トウヨウの冒険者……もしかしたら『剛剣』かもしれないな」

 俺がそう答えると、ミルクは少しだけ笑いながら俺に言う。

「その剛剣って人?今日は森で野宿をする。って言ってたのよ。なんて言うか野性味の溢れる人よね」
「なるほどな。彼らしい行動だと思うな。それならもしかしたら明日は会えるかもしれないな。あの有名な剛剣と手合わせ出来るなら楽しみだ」

 トウヨウの国の『最優』と呼ばれる冒険者の一人だ。
 ガルムで言うところのSランクに相当する。

 わざわざ俺を訪ねてこんな場所まで来てくれたんだ。
 その誠意には応えないといけないよな。

「それじゃあ明日に備えてもう寝ようか」
「ふふふ。さっきまでは甘い空気だったのに残念だわ」

 そうだな。先程まではミルクとのキスで甘い時を過ごしたというのに、今はもう明日の手合わせのことで頭がいっぱいだ。

「ねぇ、ベル。一つだけ約束して欲しいわ」
「何を約束すればいいんだ?」

 二人で並んでベッドの中に入り、ミルクは俺の身体を抱きしめる。彼女の甘い香りに頭がクラクラしてきた。

 おかしいな。さっきまでは手合わせのことで頭がいっぱいだったのに……

「明日の手合わせでは負けないで欲しいわ。私、貴方が負けるところは見たくないわ」
「ははは。向こうもかなりの手練だ。苦戦は必至だと思うけど、負けないように努力する」

 俺はそう言った後、彼女の身体を抱きしめる。

「二十年間で俺がどれだけ強くなったかを見せるからな。まぁ、全盛期には劣るけど今でもまだ一線級の実力は持ってるつもりだからな」
「ふふふ。期待してるわよベル」

 そう言って俺とミルクはキスをしたあと、部屋の明かりを落として目を閉じる。

 明日はトウヨウの最優冒険者『剛剣』との手合わせか。
 ははは。今から楽しみだ。

 俺は心躍る気持ちを抑えつけながら眠りに着いた。
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