学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

文字の大きさ
68 / 292
第1章

聖女様side ⑤ 前編 ~あなたの後を追って~

しおりを挟む
 聖女様side  ⑤ 前編



 その日、私はいつもとは違う格好で彼を待っていました。

 彼が彼女と日曜日に水族館でデートをするという情報は、隣の席にいれば嫌と言うほど耳に入ってきます。

 この辺りで水族館と言えばひとつしかありません。
 駅からバスが出てるあの水族館でしょう。

 確かあの水族館は十時開園です。
 そこから逆算すれば、彼がどの電車に乗るかなんてすぐにわかります。

 私は髪を後ろに一本で縛り、胸が目立たなくなる下着を着用します。帽子を目深に被り、黒のTシャツにジーンズを履きます。

 流石にサングラスにマスクをつけたら不審者ですので、そこまではしませんが、この姿を見てすぐに私とは気が付かないと思います。

 彼が使うであろう電車に乗り、彼が乗ってくるであろう車両に移ります。

 移動を終え、しばらくすると彼の最寄り駅に到着します。

「……居ました、桐崎くん」

 見つけました。彼です。

 春休みで見た時と同じように、とてもオシャレをした彼が電車に乗ってきました。

 私は彼をじっと見ていました。

 しかし、その視線に気が付いたのでしょうか?

 彼は突然顔を上げると、周りを見渡し始めました。

 私はゆっくりと彼から視線を切ります。

 彼はその後一度首を傾げたあと、またスマホに目を落としました。

 良かった。気が付かれなかったようです。

 そして、しばらく電車に揺られていると、目的の駅に到着しました。

 電車を降りる彼を、一定の距離で追いかけます。

 すると、バスターミナルがある駅口に向かいます。

 そこには、

「……っ!!藤崎さん……」

 ピンクのトップスにデニムのスカート。手首にはブレスレットを着けてます。
 とてもオシャレな格好をしたクラスメイトがそこにはいました。

 二人が少しだけお喋りをしてるとバスがやって来ました。

「…………」

 二人が手を繋いで乗りました。

 私も少し間を開けてバスに乗り込みました。

 乗客の少ないバスの中では二人の楽しげな声が聞こえてきました。

 どうやら、藤崎さんはお弁当を用意してきたようです。

 ……なるほど。

 そして、バスは水族館へと到着しました。

 二人から少し間を開けて、私も降ります。

「……ち」

 二人で手を繋いで仲良く水族館へと歩いて行きます。

 さっきから胸が痛くて仕方ありません。

 胸を小さく見せる下着のせいでしょうか?

 私は事前に用意していた水族館のチケットを取りだし、二人の後を追いかけます。

「…………っ」

 さっきから私は何を見せられているのでしょうか?

 仲良く手を繋ぎながら海の生物を見る二人。
 楽しそうに会話を弾ませてます。

 私は海の生物ではなく地上の二人を見てます。

 そして、ある程度時間が経った頃でしょうか。

 藤崎さんが化粧直しにお手洗いに行きました。

 彼が一人になりました。

 その時でした、

「あの人かっこよくない?」
「ねー私タイプかもー」
「でも彼女居るでしょー?」

 なんて女性ふたりの会話が聞こえてきました。

 これはチャンスです。

 私は女性ふたりに耳打ちします。

「あの人、先程まで男友達といましたよ」

 と。

 それを聞いた女性ふたりは少しだけ笑いながら、

「えーそうなの?」
「なんでそんなの教えてくれたのー?」
「いえ、おふたりの話し声が聞こえたのですこし言わせてもらっただけですので」

 失礼致します。と言ってその場を離れると、女性ふたりは彼に向かって行きます。

 隠れてみてるとナンパをしてるようです。

 彼はにべも無く突っぱねてますが、

「ふふ……」

 後ろに藤崎さんが居ます。見られてますよ、桐崎くん……

 彼氏がデート中にナンパされて気まずくなる。と言うライトノベルを読みましたから。

 藤崎さんのひと言で女性ふたりは去っていきました。

 しかし、ここからです。

 ほら、藤崎さんがかなり不機嫌そうな顔をしてます。
 桐崎くんもかなり気まずそうです。
 喧嘩のひとつでもしてもらい……

「……え?」

 期待して二人を見ていると、特に大きな諍いも無く、そのまま休憩スペースへと向かって行きました。

「…………失敗ですね」

 私はそう呟くと、しばらくは二人は休憩スペースに居るだろうと当たりをつけ、お手洗いを済ませて、軽く昼ごはんを取りました。


















 はい。そうです。
 私、黒瀬詩織は。
 桐崎悠斗と藤崎朱里のデートを
 覗き見てます。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

処理中です...