学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

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第2章

第三話 ① ~次の日まで酒を残すような大人にはなるまいと誓いました~

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 第三話  ①



 一睡も出来なかった夜を超え、俺は洗面台で顔を洗う。

 なんか、ここ最近寝れない夜が多くないか?

 睡眠時間はしっかり確保していきたいと思ってる。
 授業中に寝る訳には行かないからだ。
 今年こそは打倒詩織さんで、学年首席を狙っているんだから。

「おはよう、おにぃ。早いねぇ」

 と、俺の後ろから雫が声を掛けてくる。

 朝の四時半。
 妹が起きる時間だ。

「ちゃんと使った?」
「……使ってない」
「えぇ!!??使ってないって……そんな、朱里ちゃん……っ!?」

 朝っぱらからとんでもない誤解をしてる雫に、俺が説明する。

「いや、使ってないってのは、使う場面すらないって話だよ……」
「……え?あんだけ据え膳されてしてないの?」

 こいつは一体兄をなんだと思ってるんだ……

「いや、そもそも朱里が先に寝ちゃったんだし……それに、まだ彼女はぐっすりだよ」

 と、俺が言ったところで

「今起きたとこだよー……おはよう、悠斗に雫ちゃん」

 目を覚ました朱里が洗面台に来る。

「おはよう、朱里」
「朱里ちゃん、おはよー」

 寝起きの彼女を初めて見たけど、可愛いな。

「顔洗うねー」
「うん。どうぞ」

 俺は朱里に場所を譲る。

 パシャパシャと顔を洗う彼女。

 なんだか新婚さんみたいな気分だな。

「親父たちは?」

 俺は雫に聞くと、

「さっき見たけど……居間で酔い潰れて寝てる……」
「おいおい……嘘だろ?」

 と、俺は居間を覗くと

「…………マジかぁ」

 正直な話。親父が酔い潰れて居間で寝てるならまだわかる。

 まさか、理性的だと思っていた勇さんと、遥さんが酔い潰れてるとは思っていなかった……

 それだけ羽目を外していたということか

 だけど、こうなってくると不味いことになるな。

「うわぁ……お父さんとお母さんが酷いことになってる」

 俺の後ろに立っていた朱里が、居間の様子を見て言葉を無くす。

「とりあえず、起きる感じがしないから、もうほっとこう」

 とりあえず、毛布だけは身体に掛けてあげた。

 こんな大人にはならないぞ。

 と心に誓った。

「おにぃに朱里ちゃん昨日のカレーで朝はパン食べよ?」

 と、雫がキッチンから声を掛けてくる。

「おっけー。俺は二枚食べるわ」
「雫ちゃん。私は一枚かな」
「りょーかーい」

 雫はそう言うと、カレーを温めながらパンを焼く

 カレーのいい匂いと、パンの焼ける香ばしい匂いが、朝なのに食欲をそそらせる。

 チーン

 という音と共に、パンが焼けた。

「先に二枚焼けたから、二人で一枚づつ食べてて」

 おにぃの二枚目と、私の分はその後でいいよー

 と、雫は温めたカレーとパンをテーブルに載せる。

 俺はその間に牛乳とコップを三つ。テーブルの上に置く。

「朝は牛乳なんだ」
「へぇ。だから悠斗は大きいのかな?」
「あはは。それが理由かはわからないけどね。でも、健程ではないけど、大きくなれて良かったとは思ってる」

 やっぱり、男としては175は欲しかった。
 とりあえず180くらいにはなれたので良かったと思ってる。

 三つのコップに牛乳を注ぎ、少しだけ残ったので口を開けて残りを流し込む。
 口の端から牛乳が少しだけ垂れる。

「もー悠斗ー行儀悪いー」
「あはは。ごめんごめん」

 と笑いながら言う俺の口元を、朱里が指で拭う。

 そして、その指を舐める。

「えっろ……」
「……悠斗、口に出てる」

 あ、やべ。

「はいはい。朝からイチャイチャしない!!私の分も焼けたからもう食べるよ!!」

 と、後ろから雫がやってくる。

「あはは……雫ちゃん、ごめんね」
「そうだな。早く食べようか」

 と、俺たちは雫に急かされ椅子に座る。

 雫も椅子に座ったところで、俺が

「いただきまーす」

 と音頭をとる。

 いただきまーす。

 と二人が続いた。

 程よく焼けたパンをちぎり、小皿に入ったカレーにそれをつける。
 そして、カレーがこぼれないように注意しながら口へと運ぶ。

「あぁ……うめぇ」

 二日目のカレーってなんでこんなに美味いんだろ。

 パンにたっぷり乗せながら、俺はカレーを食べていく。

 そして、最後に残ったカレーを一口大に残ったパンで集めて口に入れる。

 冷えた牛乳を飲むと、朝からしっかりとお腹が脹れた。

「ご馳走様でした」

 俺は手を合わせると、

「お粗末様でした」

 と雫が微笑む。

 そして、続いて朱里もご馳走様でした。と続く。

「朱里ちゃんもお粗末様でした」

「朝から大満足だよ。ほんと美味しかったよ」
「そう言って貰えると嬉しいなぁ」

 と、雫も最後のパンとカレーを食べて、ご馳走様でした。と言う。

「お皿は俺が洗うよ」

 と俺は全員の皿をまとめて流し台に向かう。

「おにぃありがとうね」
「あ、私も手伝うよー」

 と、朱里が続く。

「ありがとう朱里。じゃあ俺が洗った皿をそこの布巾で吹いてもらえるかな?」
「おっけー」

 と俺たちは二人で洗い物を終わらせて行く。

「後ろ姿が新婚さんだね。おにぃと朱里ちゃん」

 なんてことを言う雫。

「あまり動揺させないでくれ。皿を割りそうになる」

 と、俺は滑り落としそうになった皿を持ちながら、雫をたしなめる。

「あはは。ごめんごめん。でもそう見えたからさ」

 私も高校生になったら彼氏作ろうかなぁ……

「雫に彼氏はまだ早い」
「あ、悠斗がシスコンだ」
「俺より背が高くて、俺より頭が良くて、俺より強いやつを連れてこい」
「おにぃ……それは、なかなか居ないかも」

 と、雫が苦笑いを浮かべる。

 大切な雫を何処の馬の骨かもわからないやつには指一本触れさせないからな!!

「あはは。悠斗の意外な一面がみれたかも」
「朱里ちゃん。おにぃは結構シスコンだよ」

 まぁ、私も人のことは言えないけどねー

 なんて言う雫

「で、おにぃ。そろそろ学校に行かないとだよね?」
「そうだな。でも、勇さんも遥さんもあれじゃあなぁ……」

 と、まだまだ起きそうにない二人を見ながら俺はため息を吐く。

「どうするの?朱里ちゃん、捻挫してるし」
「そうだな……よし、こうしようか」
「何がいい案でもあるの?」

 と聞く朱里に俺が言う。

「今の時間なら警察も居ないし、道も空いてるから駅までは原付でニケツして行こう。そしたら、駅からは電車で学校に行こう。朱里には俺のSuicaで電車乗ってもらうよ。俺のクソ親父のせいであぁなっちゃったから、そのくらいはさせて欲しい。そしたら駅から学校までは自転車でニケツしよう。原付よりは大目に見てくれると思うし。そしたら朝練にも間に合うと思うよ」

 と朱里に提案した。

「あんまりいい顔は出来ないけど、それしか無いよね……電車代はありがたくいただくことにするよ」

 と、朱里は首を縦に振った。

 そして、俺は雫にも

「今日は学食で食べるから、お弁当はいいよ」

 と、話す。

「うん。夕飯はカレーだったからね。時間もギリギリだと思うから、今日は学食で我慢するよ」

 雫も納得してくれた。

「じゃあ俺も朱里も学校への支度をしようか」
「うん。じゃあよろしくね!!」
「私は3人が起きた時のために、お粥でも作ってから支度するねー」

 と、三人はそれぞれに行動を開始した。





 ほんと。酒の飲み方には気をつけよう。

 俺はそう強く思った。
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