155 / 292
第2章
第五話 ⑦ ~激戦の予算会議~ 朝 朱里視点
しおりを挟む
第五話 ⑦
朱里視点
朝。悠斗と別れたあとに、私は体育館へは向かわずに、職員質問へと向かう。
予算会議についての話は悠斗から聞いた。
悠斗は本当に色々なことがすぐに思いついてすごいなと思ってしまう。
『職員室』
そんなことを考えながら歩いていると、目的の場所へと辿り着く。
私はノックをして部屋の扉を開く。
「失礼します。山野先生はいらっしゃいますか?」
私は『咲ちゃん先生』ではなく、きちんとした呼び名で先生を呼び出す。
「藤崎。私なら居るぞ。どうした?」
部屋の奥から咲ちゃん先生が歩いてくる。
そして、松葉杖のとれた私を見て、
「捻挫もだいぶ良くなったようだな」
と笑いかけてくれた。
「はい。これで辛い体幹トレーニングや筋トレとはおさらばです」
と、私も笑う。
「今日はお願いがあってきました」
「お願い?」
「はい」
私は息を吸うと、しっかりと目を見て言う。
「朝練を休ませてください。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。
「ふむ。捻挫も治ってきて、体幹トレーニングなどからも開放された初日にか?」
「はい。個人的な事情です」
「なるほど。ちなみに放課後の部活には参加出来るのか?」
「はい」
「そうか。……よし。ならいいぞ」
と、咲ちゃん先生は了承してくれた。
「ありがとうございます!!」
「なに、気にする事はない。どうせ桐崎絡みだろ?」
「……よくご存知で」
と、私は少しだけ顔を赤くしながら言う。
「ははは。あいつと付き合うのは大変だとは思うが、私は応援しているよ」
「ありがとうございます!!」
先生はそう言うと、手にしていたバインダーを肩にトントンとしながら言う。
「それでは私はこれから体育館へ向かうとしよう。藤崎のことは体調不良としておくさ」
私の横を通り抜け、先生は歩いて行った。
「よし。私も行こう」
行く先は……『生徒会室』
そこには彼女が居るはずだ。
私は決意を持って彼女に会いに向かった。
『生徒会室』
しばらく歩くと、目的の場所へと辿り着く。
中からは、パチパチパチ……とパソコンを叩く音が聞こえてくる。
その音を聞いて、私は自分の予想が正しかったことを確信する。
……居る。私の敵がこの中に居る。
私はひとつ、深呼吸をする。
私は今から彼女に宣戦布告をする。
戦いを挑む。
彼女は強い。
弱い姿を見せたら一気につけ込まれる。
絶対に弱い姿を見せては行けない。
私が格上だという自負を持って挑め!!
私は生徒会室の扉をノックする。
すると、中から「どうぞ、空いてますよ」と言う声が聞こえてくる。
私は扉を開けて中に入る。
そこには、息を飲むほどの美少女が、ライトノベルを片手に佇んでいた。
「入るよ、詩織ちゃん」
「……朱里さん」
私の登場に驚いたのか、詩織ちゃんは少しだけ呆けた表情をしていた。
「……朝練は良いのですか?」
詩織ちゃんは制服姿の私を見てそう問いかけてくる。
「うん。今日は咲ちゃん先生に頭を下げてきて休ませてもらったよ。それに、詩織ちゃんと話したかったからね」
「なるほど……この時間に私がここに居ると、よくわかりましたね?」
さあここだ。しっかりと言葉を発しろ!!
「うん。『悠斗から予算会議のプランは全部聞いてるから』ね」
「……へぇ。そうですか」
私の言葉で自分だけが『生徒会の予算会議のプランを知ってる』というアドバンテージが無くなったと分かったはずだ。
「それで、朱里さんは私と何を話すつもりですか?」
悠斗くんから手を引けと?
そう問いかける詩織ちゃん。私はここで笑みを浮かべる。
詩織ちゃんの形の良い眉がピクリと動くのを見た。
あはは……イラついたね?
私はそんな詩織ちゃんに続ける。
「悠斗から聞いたよ?『友達としての外出がしたい』って詩織ちゃんから言われたって」
「……それで、断るように言った。という事ですか?」
私はその言葉に首を横に振る。
「違うよ。私は悠斗に、出掛けてもいいよ?って言った」
「……へぇ。そうですか。意外ですね」
あなたの事です。絶対に許さないと思っていましたが?
あはは……だよね。私の心を知ってる詩織ちゃんなら、断る前提で話を進めるだろう。と言う風に思ってる。
私はそう確信していた。だから、私は笑う。
「……っ!!何がそんなにおかしいんですか!!」
私の笑みに、詩織ちゃんが感情を露わにする。
そんな詩織ちゃん。初めて見たね?
あはは……嬉しいな。
「あはは。やっと感情を出してくれたね。嬉しいよ」
「…………性格が悪いですね」
「詩織ちゃん程じゃないよ?」
そう。人の彼氏に手を出す女の方が性格悪いよね?
だけど、私は続ける。
さあここだ。『悠斗の彼女』と言う余裕を見せつけろ。
「私は悠斗を信じてる。詩織ちゃんと仮にどっかに出掛けたり、デートしたり、キスしたり、えっちな事をしたり、もし仮にそういう事をする事態になったとしても、彼の中の『一番』は私」
そして、目の前の美少女の目を見て、私は指を突きつける。
絶対に目をそらすな。
私が格上だ!!
「あなたは何をしても彼の中では『二番目の女』」
「……っ!!」
詩織ちゃんの肩が震えるのを見た。
かなり怒りに満ちているのがわかる。
そんな彼女に私は追い討ちをかける。
「あなたに敗北を教えるためにも、悠斗には詩織ちゃんの誘惑には全部乗ってもらう。そして、頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……詩織ちゃんがもうこれ以上無いってくらいに頑張っても、悠斗が私のことを一番だって言うなら」
あなたは諦めるでしょ?
そう。悠斗は言ってくれた。何があっても、誰に惚れられても、私が一番だって。だから私はそれを信じる。
私はくるりと踵を返して背中越しに言う。
「私が言いたいのはそれだけ。いっぱい悠斗を誘惑していいよ?詩織ちゃんがしたいことを全部悠斗にしても構わない。そして、私はあなたに教えてあげるよ」
絶対にあなたは私に勝てない。ってことをね。
私はそう言うと、生徒会室の扉を開け、外に出た。
バン!!!!
しばらくすると、生徒会室から机を叩いたような音がした。
あはははははははは!!!!!!
勝った!!
この瞬間は私の勝ちだ!!
これからあの女は本気で悠斗を誘惑してくるだろう。
それで構わない。
私が好きになった悠斗は優しい。
女たらしのハーレム王だ。
だから色んな女の子から誘惑を受けるし、きっとそれを断れない。
だけど、そんな誘惑を全て受け止めても、私が一番だって言ってくれるなら私はそれで構わない。
悠斗が何人愛人を作ろうが構わない。
正妻は私だ!!
この椅子は誰にも渡さないんだから!!
朱里視点
朝。悠斗と別れたあとに、私は体育館へは向かわずに、職員質問へと向かう。
予算会議についての話は悠斗から聞いた。
悠斗は本当に色々なことがすぐに思いついてすごいなと思ってしまう。
『職員室』
そんなことを考えながら歩いていると、目的の場所へと辿り着く。
私はノックをして部屋の扉を開く。
「失礼します。山野先生はいらっしゃいますか?」
私は『咲ちゃん先生』ではなく、きちんとした呼び名で先生を呼び出す。
「藤崎。私なら居るぞ。どうした?」
部屋の奥から咲ちゃん先生が歩いてくる。
そして、松葉杖のとれた私を見て、
「捻挫もだいぶ良くなったようだな」
と笑いかけてくれた。
「はい。これで辛い体幹トレーニングや筋トレとはおさらばです」
と、私も笑う。
「今日はお願いがあってきました」
「お願い?」
「はい」
私は息を吸うと、しっかりと目を見て言う。
「朝練を休ませてください。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。
「ふむ。捻挫も治ってきて、体幹トレーニングなどからも開放された初日にか?」
「はい。個人的な事情です」
「なるほど。ちなみに放課後の部活には参加出来るのか?」
「はい」
「そうか。……よし。ならいいぞ」
と、咲ちゃん先生は了承してくれた。
「ありがとうございます!!」
「なに、気にする事はない。どうせ桐崎絡みだろ?」
「……よくご存知で」
と、私は少しだけ顔を赤くしながら言う。
「ははは。あいつと付き合うのは大変だとは思うが、私は応援しているよ」
「ありがとうございます!!」
先生はそう言うと、手にしていたバインダーを肩にトントンとしながら言う。
「それでは私はこれから体育館へ向かうとしよう。藤崎のことは体調不良としておくさ」
私の横を通り抜け、先生は歩いて行った。
「よし。私も行こう」
行く先は……『生徒会室』
そこには彼女が居るはずだ。
私は決意を持って彼女に会いに向かった。
『生徒会室』
しばらく歩くと、目的の場所へと辿り着く。
中からは、パチパチパチ……とパソコンを叩く音が聞こえてくる。
その音を聞いて、私は自分の予想が正しかったことを確信する。
……居る。私の敵がこの中に居る。
私はひとつ、深呼吸をする。
私は今から彼女に宣戦布告をする。
戦いを挑む。
彼女は強い。
弱い姿を見せたら一気につけ込まれる。
絶対に弱い姿を見せては行けない。
私が格上だという自負を持って挑め!!
私は生徒会室の扉をノックする。
すると、中から「どうぞ、空いてますよ」と言う声が聞こえてくる。
私は扉を開けて中に入る。
そこには、息を飲むほどの美少女が、ライトノベルを片手に佇んでいた。
「入るよ、詩織ちゃん」
「……朱里さん」
私の登場に驚いたのか、詩織ちゃんは少しだけ呆けた表情をしていた。
「……朝練は良いのですか?」
詩織ちゃんは制服姿の私を見てそう問いかけてくる。
「うん。今日は咲ちゃん先生に頭を下げてきて休ませてもらったよ。それに、詩織ちゃんと話したかったからね」
「なるほど……この時間に私がここに居ると、よくわかりましたね?」
さあここだ。しっかりと言葉を発しろ!!
「うん。『悠斗から予算会議のプランは全部聞いてるから』ね」
「……へぇ。そうですか」
私の言葉で自分だけが『生徒会の予算会議のプランを知ってる』というアドバンテージが無くなったと分かったはずだ。
「それで、朱里さんは私と何を話すつもりですか?」
悠斗くんから手を引けと?
そう問いかける詩織ちゃん。私はここで笑みを浮かべる。
詩織ちゃんの形の良い眉がピクリと動くのを見た。
あはは……イラついたね?
私はそんな詩織ちゃんに続ける。
「悠斗から聞いたよ?『友達としての外出がしたい』って詩織ちゃんから言われたって」
「……それで、断るように言った。という事ですか?」
私はその言葉に首を横に振る。
「違うよ。私は悠斗に、出掛けてもいいよ?って言った」
「……へぇ。そうですか。意外ですね」
あなたの事です。絶対に許さないと思っていましたが?
あはは……だよね。私の心を知ってる詩織ちゃんなら、断る前提で話を進めるだろう。と言う風に思ってる。
私はそう確信していた。だから、私は笑う。
「……っ!!何がそんなにおかしいんですか!!」
私の笑みに、詩織ちゃんが感情を露わにする。
そんな詩織ちゃん。初めて見たね?
あはは……嬉しいな。
「あはは。やっと感情を出してくれたね。嬉しいよ」
「…………性格が悪いですね」
「詩織ちゃん程じゃないよ?」
そう。人の彼氏に手を出す女の方が性格悪いよね?
だけど、私は続ける。
さあここだ。『悠斗の彼女』と言う余裕を見せつけろ。
「私は悠斗を信じてる。詩織ちゃんと仮にどっかに出掛けたり、デートしたり、キスしたり、えっちな事をしたり、もし仮にそういう事をする事態になったとしても、彼の中の『一番』は私」
そして、目の前の美少女の目を見て、私は指を突きつける。
絶対に目をそらすな。
私が格上だ!!
「あなたは何をしても彼の中では『二番目の女』」
「……っ!!」
詩織ちゃんの肩が震えるのを見た。
かなり怒りに満ちているのがわかる。
そんな彼女に私は追い討ちをかける。
「あなたに敗北を教えるためにも、悠斗には詩織ちゃんの誘惑には全部乗ってもらう。そして、頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って……詩織ちゃんがもうこれ以上無いってくらいに頑張っても、悠斗が私のことを一番だって言うなら」
あなたは諦めるでしょ?
そう。悠斗は言ってくれた。何があっても、誰に惚れられても、私が一番だって。だから私はそれを信じる。
私はくるりと踵を返して背中越しに言う。
「私が言いたいのはそれだけ。いっぱい悠斗を誘惑していいよ?詩織ちゃんがしたいことを全部悠斗にしても構わない。そして、私はあなたに教えてあげるよ」
絶対にあなたは私に勝てない。ってことをね。
私はそう言うと、生徒会室の扉を開け、外に出た。
バン!!!!
しばらくすると、生徒会室から机を叩いたような音がした。
あはははははははは!!!!!!
勝った!!
この瞬間は私の勝ちだ!!
これからあの女は本気で悠斗を誘惑してくるだろう。
それで構わない。
私が好きになった悠斗は優しい。
女たらしのハーレム王だ。
だから色んな女の子から誘惑を受けるし、きっとそれを断れない。
だけど、そんな誘惑を全て受け止めても、私が一番だって言ってくれるなら私はそれで構わない。
悠斗が何人愛人を作ろうが構わない。
正妻は私だ!!
この椅子は誰にも渡さないんだから!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる