学園の聖女様と俺の彼女が修羅場ってる。

味のないお茶

文字の大きさ
186 / 292
第2章

第六話 ④ ~登校の時間を使って今後の話をしました~

しおりを挟む
 第六話  ④




 雨の中。俺と朱里は話をしながら自転車を漕ぐ。

「さっそく昨日の悠斗の勇姿を見たよ。ヤバいくらいにかっこよかったね!!」
「あはは。そう言って貰えると俺としても頑張った甲斐があったかな」

 少し興奮気味に話す朱里。こういう彼女を見るのは少し珍しいなと思ったけど、とても可愛い。

「裏の予算会議の動画も見たけど、わがままを言うなら生で見たかったなぁって思っちゃった」

 少しだけ残念そうな声でそう言う彼女。
 そこまで言って貰えるなら本当に嬉しいと思う。

「でもさ、悠斗。気をつけてね?」
「……うん。わかってるよ」

 朱里が何を言ってるのかは理解してる。

「雫にも言われたけどさ、俺って自分の行動の結果を想像する能力が欠けてるみたいでさ……」
「あはは……そうだね」

 苦笑いを浮かべる朱里。あぁ……やっぱり同じことを思ってたんだな。

「昨日朱里とした約束もあるけど、誰でも彼でも優しくする。みたいなのは今後控えようって思ってるんだよね」
「そうなんだね……」

 少しだけ微妙な表情の朱里。何を思ってるのかは伺いしれないが、自分の気持ちは話しておこうと思った。

「朱里はさ、優しい俺が好きって言ってくれたけどさ、あの時朱里にも言われたし、今朝も雫に言われたのもある。やっぱり人は選んでいこうって思ったんだよね」

「うん」

「まぁ、雫にも言われたけど、今後の行動にも注意するけど、今に至るまでにやらかしてる人にはさらに注意していこうかと思うよ」

「あはは……」

「昼の放送で、朱里と真剣に付き合ってる。とは言ってあるけど、いつだかの詩織さんみたいなことをしてくる人が居ないとも限らないしね。気をつけようと思う」

 そこまで話したところで、朱里が俺に言う。

「私も昨日はちょっと言ってることが重いかな。って思ったんだよね」

 でもさ、と朱里が続ける。

「本音でもあるんだ」
「……うん」

 そこまで言ったところで、朱里は自転車を止める。

 大切なことを言おうとしてるんだ。

 俺もそれに続いて自転車を止めた。

「夏休み。悠斗と泊まりの旅行に行くの。すごく楽しみにしてる」
「うん。そう言ってくれるのはすごく嬉しい」

「お父さんもお母さんも、私がその話をしたら、反対どころかすごく賛成してくれて、いろいろ調べてもくれてた」
「うん。さっきもその話をしてたんだよね」

「……そ、それでね。昨日も悠斗に言われたし、私も受け入れたけど。そ、そういう事をね……悠斗とするってのも……私は、嫌じゃないし……寧ろ悠斗に求められて……嬉しいというかなんと言うか……」
「う、うん……」

「あ、あのね!!」

 そこまで話したところで、朱里は俺の目を見て、言う。

「私、悠斗とそういう事をしたら、きっともっと重くなる。悠斗に依存しちゃう!!離れられなくなっちゃう!!………そ、それでも悠斗は私を……」
「嫌いになんかならないよ」
「……え」

 俺はしっかりと朱里の目を見て言う。

「と言うかさ、依存されるくらいに愛される方が嬉しいって思うくらいには、俺も愛が重いかなって思ってる」

 と、俺は少しだけ苦笑いを浮かべる。

「今日の朝さ、朱里と会う前に電車で老夫婦に席を譲ったんだ」
「うん」

 その時のことを思い出して、俺は少しだけ笑う。

「お爺さんがさ、俺に『昔はモテてたんだ』みたいな話をしようとした時にさ、お婆さんの目がスっと細くなってさ。お爺さんがそれに気がついて慌ててた。みたいな一幕があったんだよね」
「あはは……」
「その時俺は思ったんだ」

 何歳になっても、自分のパートナーから嫉妬されるような男でいたい。

「ってさ」
「……悠斗」

「俺はさ、お爺さんお婆さんになって朱里と一緒に居たい。そして、いつまでも朱里に焼きもちを焼かれるくらいに愛される自分で居たいと思ってる」
「うん」

 だからさ、と俺は続ける。

「重くて結構。俺はそんな朱里も大好きだよ」

 俺のその言葉に、朱里は自転車から離れて俺に抱きついてくる。

「その言葉。すごく嬉しい」

 身体が濡れることも厭わず、俺も彼女を抱きしめる。

「最高に楽しい旅行にしよう」






 そして、二人の一生の思い出に残る初めてをしよう。








 俺のその言葉に、朱里は俺の身体を強く抱きしめる事で答えてくれた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...