精霊様と魔法使い~強奪チートで妖精キングダム~

くろげブタ

文字の大きさ
43 / 43

40.避難キャンプ

しおりを挟む
 周囲に散らばるはかつての避難民たち。
 かつての山賊たち。
 月夜の荒野に立つのは、ただ俺たちの姿だけ。

「コーネリア。あらためて確認する」

「ん」

「俺やシルフィア様。ミーシャ達のことは内密に頼む」

「ん。分かった」

 本当に分かったのだろうか?
 顔色一つ変えない無表情。鉄面皮。
 まあ、変に騒がれるよりよほど良いか。

 ガブリ ゴクン

「ニク。ウメーーーー!」

 半面。コイツはうるさすぎる。

 そもそもが俺が倒したサイクロプスマン。
 勝手に食べるんじゃない。

 ミーシャに負けじと、俺も食事に参加する。
 シルフィア様はといえば、サイクロプスマンの魔石を食べていた。

 ガブリ パクリ モグモグ ゴクン

────────────────────────────────────
名前:マサキ+シルフィア様
種族:人間+精霊さん?

体力:1075
魔力:770 ↑200

契約スキル
 精霊アイ  :C ↑
 精霊ボックス:C ↑

魔法スキル
 光魔法:C ↑
 風魔法:B ↑
 水魔法:B ↑

習得スキル
 槍術    :A
 古武術   :A
 棍棒術   :A NEW
 剛力    :A
 俊敏    :A
 瞑想    :A
 体力自動回復:A
 光合成: D
 発光 : C
 草食 : D
 肉食 : D
 月を見た:D
────────────────────────────────────

 翌日。
 晴れ渡る荒野に立ち並ぶのは、一時とはいえ旅を共にした避難民たちの墓。

「ナンマイダー」

 チーン

 ミーシャの唱える祈りだけが響き渡る。
 昨晩の惨劇を知る者は、他にいない。
 彼らの最期を知るのは、俺たちだけ。

 荷物をまとめて、無事な馬車へと詰め込む。
 だが、その馬車を引く馬も、すでにいない。

「よし。ミーシャ。馬車を引け」

「ワカッタわ! って、引くわけないでショ! アンタ。最近アタシの扱いが酷くない?」

「おいらの扱いもヒドイぞー。マサキが引けばいいんだぞー!」

 ……まったく。
 お前の取り柄はその体力だけだというのに。
 今。その体力を生かさずして、どうする?

「にゅ!」

 馬車を引くためのハーネスを手に、羽をはためかせるシルフィア様。
 なんと恐れ多い!

 口ばかりで働かない部下とは違い、自らが率先して引こうなど……
 お前たちも見習ってはどうか?

「だいたい一番の力持ちってマサキじゃない。アンタ男でしょ? 引きなさいヨ」

「そうだーそうだー。口ばかりのマサキが見習えー」

 ……ひどい男女差別の上に、口ばかり達者になったものだ。

 やむをえず、俺はハーネスを身体に巻き付け馬車を引く。
 まさかシルフィア様に引かせるわけにもいかない。

 しかし、ミーシャと妖精さん。
 契約者同士、似た者同士というか何というか。

「ごめんなさい。足の怪我……無事なら私が引いたのに」

 それに比べて、コーネリアの立派な姿勢。
 彼女は騎士なのだ。

「……いえ。私は冒険者」

 それでも騎士なのだ。
 心構えが、その性根からして平民とは異なる。

 思えば、自分を犠牲に俺を助けようとしたのがコーネリア。
 もはや誰が何と言おうが、問答無用で俺は信頼する。

「アンタ。コーネリアって言ったっけ? 新参ってことはアタシの部下ね」

「おいらたちが上司だぞー。食べ物を持ってこいだぞー」

 ……それに比べて信頼ならないのが、この2人。

 確かに仲間になったばかりのコーネリア。
 俺たちの中では、その立場は一番低い。

 だからといって、自身の立場を笠にきて理不尽な命令を下すなど。

 ポカリ

「怪我人に何を言っている? 馬鹿なことを言う元気があるなら、俺の代わりに馬車を引くか?」

「ウェ!? あ、あたしアンデッドだから昼は弱いのよ。オヤスミー」

 ミーシャ。戦闘力は大したものだが、やはり知能は20。
 将の器ではない。
 将となろうものなら、部下に寝首をかかれるのが落ちだ。


 あの晩以降。
 襲撃もなく、俺たちは王都を囲む城壁へと辿り着く。

「ウワー。これみんな逃げてきたの?」

 巨大な城壁の入口は、魔族からの避難民で長蛇の列が築かれていた。

 さらには 避難民たちが寝泊りしているのだろう。
 城壁の外に立ち並ぶ無数のテント。
 王都周辺は、さながら避難キャンプの様相を呈していた。

「魔族から逃れて来たのだが、王都に入れないだろうか?」

 テントでくつろぐ男に問いかける。

「各地から大勢が押し寄せているからな。入るには、それなりの身分証が必要らしいぞ?」

 確かに誰でも彼でも王都に入れたのでは、収集がつかなくなる。
 治安も悪化するだろう。

 適切な処置ではあるが、身分証か……

 待てよ?
 そういえば、俺はギルドから冒険者としての身分証を渡されている。

────────────────────────────────────
名前 :マサキ
ランク:F
職業 :力士
担当 :トータス村支部 マキナ
備考 :薄汚い恰好をしており虚言癖を持つが、力はあるっぽい
────────────────────────────────────

 なんだこれは……たまげたなあ。
 俺の冒険者証は、受付の女。マキナから貰ったもの。
 あの女。適当に書いているだろう……
 それでも、これで俺の身分は保証された。

「ミーシャ。身分証はあるか?」

「コノ……あるわけないでしょ!」

 孤児のミーシャ。
 冒険者となったが、冒険者カードを貰う前に死んだのだ。
 身分証など持つはずがない。

「私はある。これ」

 そう言って、コーネリアは自身の冒険者証を取り出した。
 ここまでの道中。
 シルフィア様が魔法で治療したおかげで、今はすっかり元気となっていた。

────────────────────────────────────
名前 :コーネリア
ランク:B
職業 :ガード
担当 :ドッカノ町支部 テキト
備考 :しっかりした実力に誠実な人柄。
特に防御に長けており、魔法使いや僧侶の護衛に力を発揮する。
────────────────────────────────────

 さすがは騎士。
 やはり俺の護衛にふさわしいのは彼女しかいない。

 そして、残念だがミーシャは留守番。
 やはり穴に埋めるしかない。
 王都の観光は、俺たちに任せてもらうとしよう。

「あーお前。その身分証ではダメだぞ?」

「なぜだ?」

 冒険者になるには担当者との面接。その許可が必要。
 それなりの身分は保証されているはずだ。

「なぜって、それなりの身分証と言ったろ? ランクFの新人では何の保証にもならん」

 なんてことだ……
 そうなると俺も王都に入れないというわけか。

「ダサッ。あんたこそ穴に埋まれば? というかー。別に王都に入る必要ないじゃん?」

 必要あるのである。
 貴族である俺がテント暮らしなど、出来るはずがない。

 いや。俺のことよりも、シルフィア様だ。
 女王であるシルフィア様に対して、そのような貧しい暮らしをさせるわけにはいかない。

 加えて言うのなら──

「薄情な奴だな……先に避難したアリサのことは良いのか? 王都に知り合いもいない。1人で寂しがっているかもしれんぞ?」

 先に避難しているアリサ。
 商店を経営していたのだから、まともな身分証を所持して当然。
 おそらく王都に入っているはずだ。

「ソウネ。でも、今のアタシが会っても……」

 何をしおらしいことを。
 そもそもが、前回、分かれた時のお前はゾンビだったではないか。
 今の方が臭いもなくマシというもの。

 おまけに微妙に知能も戻ってきている気がする。
 もっとも、その知能も悪態にしか使われないため無駄ではあるが。

「ウッサイわね。でもアリサ。元気なのかな……」

 何とかして王都に入る方法がないものか?
 思案する俺に対して、男が話しを続ける。

「なに。Fだろうと冒険者証を持つなら……そら。そこに冒険者ギルドの出張所があるだろ?」

 男の指さす先。
 難民相手に商売をするテントが乱立する場所。

 その中に、冒険者ギルド 臨時出張所と書かれたテントが鎮座していた。

 なるほど。
 ランクが足りないというのなら。
 ここで依頼をこなしてランクを上げれば良いわけか。

「ありがとう。ミーシャ。行くぞ。冒険者ランクを上げて王都に入る」

「ワカッタわ」

「コーネリアはどうする? 出来れば今後も一緒にパーティを組みたいのだが?」

 ランクB冒険者であるコーネリア。
 彼女の身分証であれば、王都に入るのに何の支障もない。

「貴方は命の恩人。私もお供する」

 魔族との戦いで仲間を失くしたコーネリア。
 行く当てもないというのであれば、彼女も妖精キングダムの住人。

────────────────────────────────────
妖精キングダム

現在の国力
 首都:─ 
 国力:0
 人口:6
 戦力:かなり強い

役職
 女王:シルフィア様
 軍師:マサキ
 騎士:コーネリア
 肉奴隷:ミーシャ
 賑やかし:妖精さん

 別行動:アリサ
────────────────────────────────────

 後は王都で将軍であるアリサを迎え入れる。
 そこからが、俺たちの戦いの始まりだ。
しおりを挟む
感想 11

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(11件)

kirito
2018.01.31 kirito

ステータスも結構上がって来ましたね。天才軍師の無双楽しみです!

2018.02.01 くろげブタ

ありがとうございます。
問題は……そろそろ書き置きのストック切れの予感。

解除
knj
2018.01.27 knj

とても面白いけど、「円」に違和感がある。

2018.01.28 くろげブタ

ありがとうございます。
無難にゴールドに変更します。

解除
tanatosublue
2018.01.19 tanatosublue

面白いです

2018.01.20 くろげブタ

ありがとうございます!
励みになります。

解除

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。