SSSランク剣士の海外留学

くろげブタ

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12.反撃、ダブルフロンティア

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相対する10人の貴族クラブメンバー。

卑怯にも俺を狙うのではなく、ゴミィを狙い発砲する。
必然。俺はゴミィを守る盾とならざるをえない状況。

「ケンシン。ゴミィに構わないで……逃げるの」

ゴミィの前に立ちはだかる。
俺の身体を押しのけ、前に出ようとするゴミィ。

「ゴミィ。お前は黙って伏せていろ」

その頭をつかみ、力で地面に押し倒す。

これは俺の意地。
超・天才剣士ともあろう者が、たかがチンピラ10人を相手に。
ゴミィ1人守れないなど、恥ずべき失態。

「んじゃ、もう1斉射」
「よーくねらって」
「いくぜえ」

ターンターン
ターンターン
ターンターン

発砲。
同時に放たれる6発の弾丸。

目を凝らす。見える。
超・天才剣士だけが成し得る脅威の動体視力。

2発は当たらない。
が、4発は直撃コース。

いかに俺の抜刀速度をもってしても。
高速で飛翔する銃弾を切り払うのは、3発が限界。

それも当然。
音速に迫ろうかという銃弾を前に。
4回も刀を振るう時間的余裕があろうはずもない。

必然。
このままでは、1発の銃弾が俺の身体を直撃する。

すでに足に1発の銃弾を受けている今。
さらに銃弾を受けようものなら。
刀の振りに影響が及ぶのは必至。

そして、負傷した身体で切り払えるほど、銃弾は容易い速度でない。
以後。切り払うことも出来ないまま、撃ち抜かれ。
ゴミィともども共倒れとなるのは間違いない。

ならば、どうする?

ゴミィを見捨て、銃撃を回避するか?
それとも、ゴミィを守り、このまま討ち死にするか?

脚を負傷しているが、俺一人であれば、この場から逃げ出すことも可能である。
ゴミィを見捨て、目前に迫る4発の銃弾を回避。
次弾発射までの10秒で、互いの距離を100メートルまで引き離すことができる。
依然として銃の射程内ではあるが、俺にとっては余裕の安全距離。
50メートルの距離からの銃撃を回避するのだ。
6丁の銃相手であれば、倍の100メートルもあれば余裕で対応可能である。

もちろん。
その場合、4発の銃弾を身体に受けたゴミィは死亡する。

だが、ゴミィが死んだとして、それがどうしたという。
たかが昨日出会ったばかりの小娘。
俺が命をかけてまで守る義理もなければ価値もない。

ゴミィの身体が惜しいというのなら、色街にでも行けば良い。
ゴミィ程度の田舎国家の田舎娘。
1万円も出せば、十分に代替品が見つかるだろう。

つまり、ゴミィを見捨て逃げるのが、この場の正着。
それが常人の成すべき選択。

なのだが──悲しくも俺は常人ではない。

両手で握りしめる刀の柄。
右手1本で柄を握り直し、空いた左手を腰へと伸ばす。

眼前に迫る4発の銃弾。

キーン キーン キーン

右手に握る刀を3振り。
澄んだ音を上げ、3発の銃弾を弾き飛ばす。

が、残る1発の銃弾はそのまま。
刀を振り終え、右腕が伸びた状態。
今さら、切り返すも間に合わない。

「やったぜ」
「楽勝やん」
「死んだな」
「アーメン」

腰に伸ばした左手。
その先に握るのは、小太刀。

キーン

再度。弾ける音が鳴る。
直撃すると見えた銃弾は、憲伸の振るう刀により弾かれていた。

「んな?!」
「どーいうことや?」

どうもこうもない。
刀1本では弾丸を3発しか防げないというのなら。
もう1本。刀を持てば良いだけの話。

「超・天才流剣術。ダブル・フロンティア刀流

右手の太刀で3発。
左手の小太刀で1発。
2刀流でもって合計。4発の弾丸を弾き飛ばしたのだ。

見捨て、逃げるのが正着だと?
超・天才剣士を甘く見るにも程がある。
所詮、それは常人の成すべき選択。

「2刀流やと?」
「あんなんハッタリや」
「撃て。撃てー」

ターンターン
キーン キーン

右の刀で3発。
左の小太刀で2発。
残る1発は、見当違いの外れ弾。
切り払う必要すらない。

「んな」
「この前の女は同時に4発しか防げんかったのに」
「なんでや」
「こいつ。前の女より強いぞ」

たかがお荷物の1人や2人。
抱えて守り切れないようでは、超・天才剣士は名乗れない。

しかし、奈美の奴。
刀1本で4発もの弾丸を切り落としたというのか。
俺は3発が限界だというのに……生意気な。

ターン
キーン

そして、俺が奈美より強い……か。
嬉しい褒め言葉ではあるが、それは剣質の差というもの。

直情にして単純な奈美は、攻めの剣術を得意とする。
反面。慎重にして繊細な俺は、守りの剣術を得意とする。

ターン
キーン

このような守りの局面においてこそ。
俺の天才的剣技が最も冴えを見せる場面。

「もっと近づけ」
「6発を防ぐいうても距離があるからや」
「もっと近づけば防ぎようあらへん」
「おうよ」

ターン
キーン

じりじりと距離を詰める貴族クラブ。
今。お互いの距離は50メートルから40メートル。
そして、30メートルまでに近づいていた。

ターン
キーン

2本の刀で5発を弾き飛ばすも。
残る1発を切り捨てるには、間に合わない。
さいわい狙いは逸れ、憲伸の胴をかすめるにとどまった。

「惜しい」
「もーちょい近づくか」
「これで終わりや」

すでに彼我の距離は20メートル。
刀で斬りかかるには遠すぎるも、銃にとっては必中必殺の距離である。

絶体絶命。
互いの勝負が終わる時。

「しねー」
「おらー」
「いっちまえー」

ターン

狙い撃たれた6発。全てが命中コース。

だが……貴族クラブの連中。
刀で銃弾を弾き飛ばすという、度重なる挑発に頭に血が昇ったか。

それは刀を構え立つ憲伸への命中コース。
背後の地面に伏せるゴミィには当たらないコース。

これまで微動だにせず、銃弾を切り払うに徹していた憲伸。
6発の弾丸が命中する寸前。
その身をひるがえし、銃弾をヒラリ回避する。

「はあ?」
「おいぃ。よけんなや」

馬鹿が。元々が6発だろうが10発だろうが。
俺1人であれば、弾かずとも回避すれば良いだけの攻撃。
避ければゴミィに命中するからこそ、曲芸のごとく切り落としていたまでだ。

そして。今。
雌伏の時は終わり、反撃の時。

「超・天才流剣術。ダブルフロンティア2刀流による・リバース銃弾打ち返し

銃弾を回避すると同時。
脇を通過する銃弾へ、左右両方の刀が振るわれる。

これまで、切り払い、地面に撃ち落とすばかりだった刀の振りが。
水平方向。刀の平で銃弾を打ち返す軌跡でもって、振り切られた。

カキーン
カキーン

「んなああ」
「ぐぎゃー」
「いてえー」
「肩を撃たれた」

弾き返した4発の銃弾。
狙いたがわず、4人の男へと命中。
身体深くへめり込んでいた。

銃弾を刀の平で打ち返す。
ただし、距離が開いたのでは効果は望めない。

だから、待ったのだ。
貴様らがが調子にのって距離を詰めるのを。
打ち返す弾丸が、十分な威力をもってお前たちの身体に到達する。
その距離まで。
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