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第2章 冒険者編
136話 冒険者登録は日の出の前に
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日が昇り辺りを照らし、スズメのの鳴き声や顔を差す日の光によって一日の目覚めが始まる………よりも前の、周囲が少しだけ明るくなった気がするかもしれない程度の夜中といって差し支えない時間帯。大河は自身の体が何かによって引きずられるという特殊な感覚に眠気が醒めそうになるも疲労のせいかまだ睡魔が勝っており動かずじっとしていた。
しかし暫くするとこれまで真っ暗だった視界が突然光で照らされ、眩しさから瞼を開くとそこにはこちらを困った表情で見つめる受付嬢の前で目を覚ますという特殊な起床によって1日が始まった。
またしても起床早々にも拘わらず理解不明な状況に陥ってはいたのだが視線を下に落とすと身体全体と首に巻かれた包帯という名のリード。そしてそれをわくわく顔で握っている妹王女《エルノア》とその表情に見ながら微笑、もう一つのリードを握っている姉王女《クラリス》それらで一つの疑問の答えは導かれた。
(ああ、なるほど。俺はまたしても拉致られたわけか。2日連続だな~珍しい事もあるものだな~)
呑気な感想が浮かんでくると同時に大河はそこはかとない恐怖を感じていた。しかしそれはこんな狂気とすら言える彼女《クラリス》らの行動だけでなくこんな異常事態《イレギュラー》に遭遇しているにも拘わらずこれまでの常軌を逸した出来事を経験してしまったせいでこの程度では異常事態《イレギュラー》と思わず簡単に順応してしまえるようになってしまっている事にである。自分の対応力に成長というよりかは感覚の麻痺をヒシヒシと感じると同時にこの非日常が日常として当たり前のようになる極めて近い未来という名の現状にも底知れない恐怖を抱いた。
(まあ今日はどこぞの知らない森の中なんていう場所でなく人のいる建物内だから迷子になったり急にモンスターに襲われたりしない点では幾分マシか…という風に受け止められてしまっている辺りそう遠くない内に『はあぁ、今日はモンスターの目の前でおはようございますか。まあ、ドラゴンとかでないだけまだマシか』みたいな考えを抱きそうだな)
溜息を吐きながら再度視線を前に戻すと目の前の自分達にどう対応していいのかわからずオドオドしている受付嬢の姿があった。
「あの…」
「わ、わた、私!私は美味しくないですよ!小っちゃくてお肉も少ないですし可愛くないのできっと不味いですよ!だから食べないでください!!」
「「「………」」」
(どうやら相当混乱しているみたいだな。無理もないか。こんなヤバそうな奴らの相手などいたいけそうな眼前の彼女には荷が重すぎるだろうしな)
文字通り不幸に巻き込まれそうになっている受付嬢に同情しつつ、彼女が落ち着くまで少し時間を置こうと思っているといつからいたのかクラリスらの後方からリリカとルルネのメイド二名がテーブルの前まで進み、俯く彼女の頬に手で持ち上げて彼女の追い詰められた子羊の様に震えた表情を見ながら微笑んだ。
「量より質というでしょう?それに貴女、自分で思っているよりもずっと可愛いお顔をされてますよ」
「え!そ、そうですか?えへへへへ」
「ほら、反応もとても愛らしいです」
「そんな事ありませんよ~」
(た、単純だな)
あまり褒められ慣れていないのか、それとも単純な性格だからか。否定してこそいるもののその表情は誰の目にも明らかな程とても嬉しそうで、さきほどまで恐怖で怯えていた女性とは別人な程の血色が良くなり可愛らしい表情を浮かべていた。リリカとルルネが美人で容姿のレベルが高かった事も彼女を喜ばす要因の一つとして一役買っていたのかもしれない。しかし…
「そう、だからきっと貴女はとっても美味しいと思いますよ」
「ええ、この赤子の様に柔らかい素肌。極上の触感で今すぐにでも頂いてしまいたいです」
「え?………ヒィイイイイ――!!」
まさに持ち上げて落とすというか、幸せを絵に描いた様だった彼女の表情は不幸を絵に描いた表情へと一瞬で変貌した。
「やっぱり私は可愛くありません!この世で一番超絶最底辺レベルどドブスちゃんです!一ミリも可愛い要素はありません!!」
「そんなに自分を卑下しなくてもよろしいのですよ?」
「そうですよ。もっと自分に自信を持ってくださいませ」
「イヤァアア――――!!今だけは持ちたくありません」
こうして一日の始まりも始まりの時刻にか弱い受付嬢の悲鳴が意地悪な笑み浮かべるメイド姉妹により室内に響き渡るだった。
しかし暫くするとこれまで真っ暗だった視界が突然光で照らされ、眩しさから瞼を開くとそこにはこちらを困った表情で見つめる受付嬢の前で目を覚ますという特殊な起床によって1日が始まった。
またしても起床早々にも拘わらず理解不明な状況に陥ってはいたのだが視線を下に落とすと身体全体と首に巻かれた包帯という名のリード。そしてそれをわくわく顔で握っている妹王女《エルノア》とその表情に見ながら微笑、もう一つのリードを握っている姉王女《クラリス》それらで一つの疑問の答えは導かれた。
(ああ、なるほど。俺はまたしても拉致られたわけか。2日連続だな~珍しい事もあるものだな~)
呑気な感想が浮かんでくると同時に大河はそこはかとない恐怖を感じていた。しかしそれはこんな狂気とすら言える彼女《クラリス》らの行動だけでなくこんな異常事態《イレギュラー》に遭遇しているにも拘わらずこれまでの常軌を逸した出来事を経験してしまったせいでこの程度では異常事態《イレギュラー》と思わず簡単に順応してしまえるようになってしまっている事にである。自分の対応力に成長というよりかは感覚の麻痺をヒシヒシと感じると同時にこの非日常が日常として当たり前のようになる極めて近い未来という名の現状にも底知れない恐怖を抱いた。
(まあ今日はどこぞの知らない森の中なんていう場所でなく人のいる建物内だから迷子になったり急にモンスターに襲われたりしない点では幾分マシか…という風に受け止められてしまっている辺りそう遠くない内に『はあぁ、今日はモンスターの目の前でおはようございますか。まあ、ドラゴンとかでないだけまだマシか』みたいな考えを抱きそうだな)
溜息を吐きながら再度視線を前に戻すと目の前の自分達にどう対応していいのかわからずオドオドしている受付嬢の姿があった。
「あの…」
「わ、わた、私!私は美味しくないですよ!小っちゃくてお肉も少ないですし可愛くないのできっと不味いですよ!だから食べないでください!!」
「「「………」」」
(どうやら相当混乱しているみたいだな。無理もないか。こんなヤバそうな奴らの相手などいたいけそうな眼前の彼女には荷が重すぎるだろうしな)
文字通り不幸に巻き込まれそうになっている受付嬢に同情しつつ、彼女が落ち着くまで少し時間を置こうと思っているといつからいたのかクラリスらの後方からリリカとルルネのメイド二名がテーブルの前まで進み、俯く彼女の頬に手で持ち上げて彼女の追い詰められた子羊の様に震えた表情を見ながら微笑んだ。
「量より質というでしょう?それに貴女、自分で思っているよりもずっと可愛いお顔をされてますよ」
「え!そ、そうですか?えへへへへ」
「ほら、反応もとても愛らしいです」
「そんな事ありませんよ~」
(た、単純だな)
あまり褒められ慣れていないのか、それとも単純な性格だからか。否定してこそいるもののその表情は誰の目にも明らかな程とても嬉しそうで、さきほどまで恐怖で怯えていた女性とは別人な程の血色が良くなり可愛らしい表情を浮かべていた。リリカとルルネが美人で容姿のレベルが高かった事も彼女を喜ばす要因の一つとして一役買っていたのかもしれない。しかし…
「そう、だからきっと貴女はとっても美味しいと思いますよ」
「ええ、この赤子の様に柔らかい素肌。極上の触感で今すぐにでも頂いてしまいたいです」
「え?………ヒィイイイイ――!!」
まさに持ち上げて落とすというか、幸せを絵に描いた様だった彼女の表情は不幸を絵に描いた表情へと一瞬で変貌した。
「やっぱり私は可愛くありません!この世で一番超絶最底辺レベルどドブスちゃんです!一ミリも可愛い要素はありません!!」
「そんなに自分を卑下しなくてもよろしいのですよ?」
「そうですよ。もっと自分に自信を持ってくださいませ」
「イヤァアア――――!!今だけは持ちたくありません」
こうして一日の始まりも始まりの時刻にか弱い受付嬢の悲鳴が意地悪な笑み浮かべるメイド姉妹により室内に響き渡るだった。
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