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第2章 冒険者編
148話 お姉ちゃんの判断は…
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駄目だったよ、お姉ちゃん。やっぱり私なんかじゃ荷が重いよ。普通の人に詰め寄られているだけのでも足がすくんじゃってるんだよ?その上であのスキルを持った人だと思うと…
それに…それにもしこれが、この圧力があのスキル。それを身に秘めているが故の片鱗だとしたらやっぱりこの人は…
「~さん達の言いう通り先輩職員や上の方に伺ってみますので…」
「ああ、そんなじゃ駄目ですよ駄目」
「へっ?」
沈んでいた気持ちが一瞬飛んでしまうほどに思いもよらぬ言葉が飛んできた。しかも声色が先程までの否応なしに気圧されるような圧力は消え失せていた事もあり、恐る恐る顔を上げると鬼気迫る感じも何処かへ行ってしまっていてミルナは突然の二人の変化を二重、三重に驚いた。
「経験不足とは言え貴女はギルドの職員なんですよ。そうやって一々冒険者の言う事を鵜呑みにして流されてはいけませんよ」
「ええっ!で、でもさっきはあんなに…」
「あれは…そう、貴女を試していたんですよ。言いくるめられたりしないか」
「ヒトノヨウサソウナヒトガラデケイケンノアサイキミガシンパイニナリヒトシバイウッタノダ」
「そ、そう…だったんですか」
「ミルナさん、貴女は今日が初出勤で色々と自信を持てなかったりするでしょう。ですが先程もいいましたが貴女はもう紛れもなくギルドの人間なんです。上の人が総合的に判断して貴方なら大丈夫だと思ったから採用され貴女はこうしてそこに座っているんです。もっと自分の判断に自信を持ってください」
(こんな感じで大丈夫、だろうか?)
「アラクレノボウケンシャニハサッキマデノワタシタチイジョウニオウボウデハナシヲキカナイモノモスクナクナイ。ソウイウモノタチトタイメンシテイクタメニモジブンヲシッカリモタナイトコノサキヤォツテイケナイゾ」
「お二人とも、もしかして不甲斐ない私の為にわざわざあのような事を?」
うぅっ…何も言い返せない。と言うか出てこないな、言い訳するセリフすら。
「まあ、お節介かとは思いましたが押しに弱く、少々人の意見に流されやすそうな部分が散見されてしまたので心配になり」
「アア、ワタシモソノヒトノヨスギルブブンガキニナッテナ。カレノネライハスグニミヌケタノデ、イチマイカンデミルコトニシタンダ」
『…少なくとも私の知っている彼は誰かの為に行動し、身を投げ出せる人だから』
お姉ちゃん。私、もう少しで勘違いしちゃうとこだった。この人は、タイガさんは、悪い人なんかじゃない!間違いなく良い人だよ。
「うぅ…今日あったばかりの私にそこまで気を遣って下さるなんて。私が情けないばかりに、ごめんなさい。そしてありがとうございます!」
お姉ちゃんの判断は間違ってないよ。きっと、きっと!
混じりっけなしの純度100%の綺麗な感謝の気持ちが涙ながらに訴えかけられる。それに対して自分らの行動は醜い行動を隠すための聞こえいいカモフラージュ。彼女の穢れの無い姿がジリジリと痛み、深く心に突き刺った。
痛いな、目の前のこの笑顔が。そして後ろから『本当にそんな意図があって詰め寄っていたんですか?』と言いたげな視線が。もう地獄への片道切符は切られてしまっているんだ。とっとのこの居ずらい空間から脱出しよう、うん。
「あの、少しよろしいでしょうか?」
大河が一刻も早くこの場を立ち去ろうとすると、背後からクラリスがミルナの方に質問を投げかけた。
おいぃ――!!もうおかしなのは腹いっぱいなんだよ!お願いだからこれ以上変な事は口にしないで下さいましやがれ!
心の中ではそう願いつつもこれまでの経験からきっとまた人類では理解できないような事を口走りめんどくさい事態を招くのだろうなと半分諦めていた。けれど彼女の口から出たのはそんな彼の予想をある種裏切るものであった。
「『先程多数の負傷により街の薬剤等が不足する事態に陥ってしまっている』と仰っていましたね」
「ええ、そうですが」
「元々魔王軍の襲来というイレギュラーに対して王都から誰も派遣…いえ、我々以降援軍が訪れないのもおかしいとは思っていたのですが、王都の方から物資に関しても何も支給されていなのですか?」
「………」
そう尋ねるとミルナは苦い顔を浮かべながら少しの間黙り込んだ。
これは機密事項の内容だけれど彼らに、タイガさん達に話してしまっていいのだろうか?だけど…
『もっと自分の判断に自信を持ってください』
自分の判断、か………うん。この人達を、彼らを信じてみよう。タイガさん達ならきっと大丈夫!
何か悩みながら大河達の方をチラチラと見ながら覚悟を決めた様にその重い口を開いた。
「これは極秘事項なのですが、特別にお教えしますね。実は…」
「それは本当なのですか!?」
その内容を聞いた瞬間に血相を変えたクラリスがミルナに詰め寄り、突然の彼女の豹変振りにたじろぐのだった。
それに…それにもしこれが、この圧力があのスキル。それを身に秘めているが故の片鱗だとしたらやっぱりこの人は…
「~さん達の言いう通り先輩職員や上の方に伺ってみますので…」
「ああ、そんなじゃ駄目ですよ駄目」
「へっ?」
沈んでいた気持ちが一瞬飛んでしまうほどに思いもよらぬ言葉が飛んできた。しかも声色が先程までの否応なしに気圧されるような圧力は消え失せていた事もあり、恐る恐る顔を上げると鬼気迫る感じも何処かへ行ってしまっていてミルナは突然の二人の変化を二重、三重に驚いた。
「経験不足とは言え貴女はギルドの職員なんですよ。そうやって一々冒険者の言う事を鵜呑みにして流されてはいけませんよ」
「ええっ!で、でもさっきはあんなに…」
「あれは…そう、貴女を試していたんですよ。言いくるめられたりしないか」
「ヒトノヨウサソウナヒトガラデケイケンノアサイキミガシンパイニナリヒトシバイウッタノダ」
「そ、そう…だったんですか」
「ミルナさん、貴女は今日が初出勤で色々と自信を持てなかったりするでしょう。ですが先程もいいましたが貴女はもう紛れもなくギルドの人間なんです。上の人が総合的に判断して貴方なら大丈夫だと思ったから採用され貴女はこうしてそこに座っているんです。もっと自分の判断に自信を持ってください」
(こんな感じで大丈夫、だろうか?)
「アラクレノボウケンシャニハサッキマデノワタシタチイジョウニオウボウデハナシヲキカナイモノモスクナクナイ。ソウイウモノタチトタイメンシテイクタメニモジブンヲシッカリモタナイトコノサキヤォツテイケナイゾ」
「お二人とも、もしかして不甲斐ない私の為にわざわざあのような事を?」
うぅっ…何も言い返せない。と言うか出てこないな、言い訳するセリフすら。
「まあ、お節介かとは思いましたが押しに弱く、少々人の意見に流されやすそうな部分が散見されてしまたので心配になり」
「アア、ワタシモソノヒトノヨスギルブブンガキニナッテナ。カレノネライハスグニミヌケタノデ、イチマイカンデミルコトニシタンダ」
『…少なくとも私の知っている彼は誰かの為に行動し、身を投げ出せる人だから』
お姉ちゃん。私、もう少しで勘違いしちゃうとこだった。この人は、タイガさんは、悪い人なんかじゃない!間違いなく良い人だよ。
「うぅ…今日あったばかりの私にそこまで気を遣って下さるなんて。私が情けないばかりに、ごめんなさい。そしてありがとうございます!」
お姉ちゃんの判断は間違ってないよ。きっと、きっと!
混じりっけなしの純度100%の綺麗な感謝の気持ちが涙ながらに訴えかけられる。それに対して自分らの行動は醜い行動を隠すための聞こえいいカモフラージュ。彼女の穢れの無い姿がジリジリと痛み、深く心に突き刺った。
痛いな、目の前のこの笑顔が。そして後ろから『本当にそんな意図があって詰め寄っていたんですか?』と言いたげな視線が。もう地獄への片道切符は切られてしまっているんだ。とっとのこの居ずらい空間から脱出しよう、うん。
「あの、少しよろしいでしょうか?」
大河が一刻も早くこの場を立ち去ろうとすると、背後からクラリスがミルナの方に質問を投げかけた。
おいぃ――!!もうおかしなのは腹いっぱいなんだよ!お願いだからこれ以上変な事は口にしないで下さいましやがれ!
心の中ではそう願いつつもこれまでの経験からきっとまた人類では理解できないような事を口走りめんどくさい事態を招くのだろうなと半分諦めていた。けれど彼女の口から出たのはそんな彼の予想をある種裏切るものであった。
「『先程多数の負傷により街の薬剤等が不足する事態に陥ってしまっている』と仰っていましたね」
「ええ、そうですが」
「元々魔王軍の襲来というイレギュラーに対して王都から誰も派遣…いえ、我々以降援軍が訪れないのもおかしいとは思っていたのですが、王都の方から物資に関しても何も支給されていなのですか?」
「………」
そう尋ねるとミルナは苦い顔を浮かべながら少しの間黙り込んだ。
これは機密事項の内容だけれど彼らに、タイガさん達に話してしまっていいのだろうか?だけど…
『もっと自分の判断に自信を持ってください』
自分の判断、か………うん。この人達を、彼らを信じてみよう。タイガさん達ならきっと大丈夫!
何か悩みながら大河達の方をチラチラと見ながら覚悟を決めた様にその重い口を開いた。
「これは極秘事項なのですが、特別にお教えしますね。実は…」
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ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
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