『しっぽのきもち』♡猫族ミアの旅♡気持ちが分かれば仲良しに。

炭酸水『しっぽのきもち』

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レトナーク編

第5話 ロゼにはお目当があるんだけど

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「それじゃ、また明日。私たちはこれから用事があるの。だから、あとは宜しくね。」

 ミアが最後の一口を口に入れた瞬間にロゼが立ち上がった。

「うぐっむぐっ! (ちょっと待って)」

 ミアは、テーブルクロスの下に隠していた荷物を慌てて抱え込む。ロゼは、ミアの腕を掴んで引き寄せ、強引に席を立たせて、ギルとガイに親しげに手を振りレストランを出た。

 ギルが何か言いたげだったが、ロゼは無視をした。ガイは、「また明日! 」と、返した。

「ねぇ、ちょっと、私、お代払ってないよ」

 ミアはロゼの腕を解いて、口の中の食べ物を飲み込む。レストランの玄関先で口をもぐもぐと、お行儀の悪いことになってしまう。

「いいの、いいの、出す方が失礼よ」

(ロゼは慣れてるんだろうけど、私はそういうの慣れてない)

 ミアは居た堪れなさに、耳が伏せてしまう。一方、ロゼの足取りは軽く、隅々まで石畳みが敷かれたレトナークの街を闊歩する。領主の娘だから、自分の庭のような街だ。どこを歩いていても、誰かしらと挨拶を交わす。

 ロゼの歩幅に合わせてミアが追いかける。

「それに、それに、……私、参加するって言ってないよ。明日って、言われても困るよ! 」

「またまたぁ~、問題ないから。ミアはどうせ常設依頼しか受けないじゃない。予定ないでしょ? 」

 ロゼが手のひらひらさせて、ミアの文句を受け流す。

「そうなんだけど! ロゼ、わざと断れないようにしたでしょ? 私には荷が重過ぎるよ」

 長い付き合いで唯一言いたいことが言える仲だが、ロゼはいつになく強引だ。

「まぁ、さぁ…確かに訳ありなパーティーだけど、メンバー固定される訳じゃないだろうから、そんなに気張らなくてもいいのよ。これは無理だと思ったら私がストップかけるから。それでも、ある程度参加を重ねれば、キャリアに伯がつくでしょ? ギルは初級から始めるんだから、大丈夫よ」

「……でも」

(キャリアなんか要らないし、このメンバー、私以外目立ち過ぎるよ……)

「ね、ミア…、ミアはもうCランクなんだよ。ちゃんと公正に審査されてのランクアップなんだし、もうそろそろ、いいんじゃない? 」

 ロゼは勢いに任せた強引そのものの言い回しから、スッと優しい口調になる。

(ロゼの言いたい事は分かるんだけど……)


「じゃ、決まりよ。クエストに必要な装備を買いに行くわよ! 」

 いつもの事だが、ロゼはミアの買い物をするのが趣味。

 金持ちの道楽なのだろうか。ミアの部屋には、ロゼが買ったミアの服が溢れている。普段使いするには高級でオシャレ過ぎて、薬草採取ばかりしてるミアには勿体ないものばかり。

「もしかして、ロゼ、私の冒険者の服買いたかったの? 」

「ふふっ! だって、ミアとのパーティーだもの! お揃いにしちゃおうかしら~~! 」

(ロゼに似合う服は、私には似合わないから勘弁して~! )

 長くストレートな美しい髪をなびかせて、レトナークの中心街に向かっている。いつも以上にテンションが高いご機嫌のロゼに、ミアは何かを直感する。

「ねぇ、ロゼ。ギル王子連れてレトナークに帰ってきてるのに……」

 ロゼの動きが急に止まる。

「なんのことかなぁ~」

 (全然、はぐらかせてない)

「ギルが王都からここに来たら、ガイさんがパーティー組むって予測できた話よね? ……ロゼのお目当てって、……」

 目を宙に泳がせ、すらっとしたスタイルでポーズを決めるが、顔が赤い。

(しらばっくれるの本当に下手、ガイさんには、王都に行く度に会ってるはず)

「前から、ガイさんのことカッコいいって、言ってたもんね? あちこちの冒険者パーティーに参加して、ガイさんに誘われたらノリますよ~って空気作ってたんでしょ? 」

「えっ? ミア、気がついてた?水臭くない? 」

「…水臭いのはどっちなのよ。ギル王子を無視して露骨にガイさんと話し盛り上げてたじゃない」

 富豪の令嬢なのに、外堀から埋めて相手から声掛けさせようと地道な画策。剣士の適性も技量もあったのに、わざわざ魔道士ポジションを作り込んで冒険者Bランクまで駆け上がる…ロゼのポテンシャルの高さは、……ミアには見習えない。

「いや、なんかね、やる気が出ちゃった? 」

「……聞きたいことあるけど、また後でにするね」

「ごめん! ありがとう、ミア! 大好き♡ 」

 ロゼはミアを羽交い絞めするようにハグをすると、ミアは明日ぐらいは何とかやり過ごそうと覚悟して小さくため息をついた。

 その夜ミアは、久しぶりにロゼの家にお泊まりした。
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