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レトナーク編
第13 ビアは頼んでないよ
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日が暮れる前にギルドに戻って報告と報酬の受け取りが済んで、身綺麗にした4人はビアホールに集まった。
ミアは、次のクエストを断りたい。
ロゼがいる安心感があるものの、何しろCランクに上がるまで、経験と言えるパーティー参加をしたことがない。
「ミア、はい、食べて!」
「あ、うん…」
ロゼが、ミアの前にどんどん料理を取り分けて並べていく。厚い木の板のテーブルの上には、盛り皿料理が次々と運ばれてくる。
(りょ、量はちょっとずつだけど、食べ切れるかな……私、食べるの遅いんだよなぁ…)
「ミア、ちゃんと出来るでしょ?」と、ロゼは横に座るガイに話しかける。
「そうだな。戦闘力あるのはイメージに無かったよ」
ロゼはミアの話題を膨らませる。
(誰も彼も、私の事は気に留めないで欲しい…ロゼに言ったら怒られるから、言わないけど)
ビアホールは賑やか過ぎて、耳が良すぎるミアの聴覚は少しマヒしかけている。緊張が解けてぼーっとしてしまう。
「この間ミアを見かけたときは、数匹のゴブリンに混じって、きのこを採ってたのよ」
「マジか!」
「で、私も参加したパーティーと出くわして、討伐が始まっちゃったもんだから、ミアもゴブリンに見つかっちゃって。あれは、ないわー。あのパーティーには二度と関わらないわ」
「誰だよ、そのパーティー」
ギルがミアの横で、その話に怪訝な顔をする。昨日よりは食事が進んでいる。出て来る名前を少しずつ覚えている。
ろくに確認せず、いきなり討伐開始。ミアは仕方なくゴブリンを仕留めなければならなくなった。その魔石を横取りするわ、採取していたきのこは蹴飛ばされ踏みつけられ……ミアには散々なクエストの日だった。
危うくゴブリンに向けられた矢を受けるところだったが……自分を狙ってたのかと疑ったぐらいだ。
(あれ、ジャレグだったよね……)
死んだゴブリンの頭をわざわざ蹴飛ばして、気分も悪いパーティー。あれで今は同じCランクなのは、不愉快でしかない。
珍しいきのこは、結構な金になるはずだった。良い薬の素材になるはずだった。
ロゼがギルドの受付で、ミアの報酬分を話してくれて受け取ることになったが、その代わりあのパーティーには目を付けられることになった。事あるごとに妨害を受けている。
(Cランクになったのを気が付かれてしまい、さらに肩身が狭くなってしまったのは、ロゼは知らないんだよね。)
これで、目立ち過ぎるパーティーに参加してたら、ここの街のギルドで居心地悪くなるのではと、ミアは悩み始めた。
(どうやって、パーティー参加を断ればいいんだろう……)
食べるのが早いガイや、ロゼに合わせて食べるだけで、頭がいっぱいになる。
「ミア、聞いてるかな?」
ガイが、ニコニコしながら顔を覗き込んでくる。
「は、はぁ…(聞いてなかった)」
「俺は獣道面白かったと思う」と、ギル。
(思いっきり迂回しながらついてきてたのに?)
王子様が獣道を楽しむ発想にどうしてたどり着いたのか不明だが、どうやらミアの索敵が評価されたようだった。
「じゃ、そういうわけで、また明日な!」
と、ガイが盛り上げに入った。
(また、明日??)
ミアの前にガイから大ジョッキを置かれて、半ば強引な乾杯が始まり、断るタイミングを失った。明日のクエストのメンバー入りが決まってしまった。
(私、ビア頼んでないんだけどなぁ~)
ミアは、3人に乾杯をさせられて一口飲むと、目が開かなくなって脱力し、テーブルに頭を乗せる。
「ロゼ、…ミア、寝ちゃったんだけど……」
くってりとしたミアがギルに倒れかかった。
「預かっといて。大丈夫、胃には食べ物詰めといたから」
「預かってって…荷物かよ……」
ギルは困った顔をするが、ロゼは構わずに葡萄酒を飲む。
「……なんだ、ミア、お酒飲めないんだ?」
ガイが、ミアの残したジョッキを受け取る。
「もしかして、ミアが明日からのクエスト断りそうだったから、酔い潰したのか?」
と、ギルがロゼに問いただすと、
「あら、ギル、勘がいいところあるのね~♬」
と、ロゼが指先をヒラヒラさせて調子良く答えた。
ミアは、次のクエストを断りたい。
ロゼがいる安心感があるものの、何しろCランクに上がるまで、経験と言えるパーティー参加をしたことがない。
「ミア、はい、食べて!」
「あ、うん…」
ロゼが、ミアの前にどんどん料理を取り分けて並べていく。厚い木の板のテーブルの上には、盛り皿料理が次々と運ばれてくる。
(りょ、量はちょっとずつだけど、食べ切れるかな……私、食べるの遅いんだよなぁ…)
「ミア、ちゃんと出来るでしょ?」と、ロゼは横に座るガイに話しかける。
「そうだな。戦闘力あるのはイメージに無かったよ」
ロゼはミアの話題を膨らませる。
(誰も彼も、私の事は気に留めないで欲しい…ロゼに言ったら怒られるから、言わないけど)
ビアホールは賑やか過ぎて、耳が良すぎるミアの聴覚は少しマヒしかけている。緊張が解けてぼーっとしてしまう。
「この間ミアを見かけたときは、数匹のゴブリンに混じって、きのこを採ってたのよ」
「マジか!」
「で、私も参加したパーティーと出くわして、討伐が始まっちゃったもんだから、ミアもゴブリンに見つかっちゃって。あれは、ないわー。あのパーティーには二度と関わらないわ」
「誰だよ、そのパーティー」
ギルがミアの横で、その話に怪訝な顔をする。昨日よりは食事が進んでいる。出て来る名前を少しずつ覚えている。
ろくに確認せず、いきなり討伐開始。ミアは仕方なくゴブリンを仕留めなければならなくなった。その魔石を横取りするわ、採取していたきのこは蹴飛ばされ踏みつけられ……ミアには散々なクエストの日だった。
危うくゴブリンに向けられた矢を受けるところだったが……自分を狙ってたのかと疑ったぐらいだ。
(あれ、ジャレグだったよね……)
死んだゴブリンの頭をわざわざ蹴飛ばして、気分も悪いパーティー。あれで今は同じCランクなのは、不愉快でしかない。
珍しいきのこは、結構な金になるはずだった。良い薬の素材になるはずだった。
ロゼがギルドの受付で、ミアの報酬分を話してくれて受け取ることになったが、その代わりあのパーティーには目を付けられることになった。事あるごとに妨害を受けている。
(Cランクになったのを気が付かれてしまい、さらに肩身が狭くなってしまったのは、ロゼは知らないんだよね。)
これで、目立ち過ぎるパーティーに参加してたら、ここの街のギルドで居心地悪くなるのではと、ミアは悩み始めた。
(どうやって、パーティー参加を断ればいいんだろう……)
食べるのが早いガイや、ロゼに合わせて食べるだけで、頭がいっぱいになる。
「ミア、聞いてるかな?」
ガイが、ニコニコしながら顔を覗き込んでくる。
「は、はぁ…(聞いてなかった)」
「俺は獣道面白かったと思う」と、ギル。
(思いっきり迂回しながらついてきてたのに?)
王子様が獣道を楽しむ発想にどうしてたどり着いたのか不明だが、どうやらミアの索敵が評価されたようだった。
「じゃ、そういうわけで、また明日な!」
と、ガイが盛り上げに入った。
(また、明日??)
ミアの前にガイから大ジョッキを置かれて、半ば強引な乾杯が始まり、断るタイミングを失った。明日のクエストのメンバー入りが決まってしまった。
(私、ビア頼んでないんだけどなぁ~)
ミアは、3人に乾杯をさせられて一口飲むと、目が開かなくなって脱力し、テーブルに頭を乗せる。
「ロゼ、…ミア、寝ちゃったんだけど……」
くってりとしたミアがギルに倒れかかった。
「預かっといて。大丈夫、胃には食べ物詰めといたから」
「預かってって…荷物かよ……」
ギルは困った顔をするが、ロゼは構わずに葡萄酒を飲む。
「……なんだ、ミア、お酒飲めないんだ?」
ガイが、ミアの残したジョッキを受け取る。
「もしかして、ミアが明日からのクエスト断りそうだったから、酔い潰したのか?」
と、ギルがロゼに問いただすと、
「あら、ギル、勘がいいところあるのね~♬」
と、ロゼが指先をヒラヒラさせて調子良く答えた。
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