『しっぽのきもち』♡猫族ミアの旅♡気持ちが分かれば仲良しに。

炭酸水『しっぽのきもち』

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レトナーク編

第12話 新しいコート台無し

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「いや、あそこは、正面で受けるところでしょ?地味過ぎるだろ」

 パワーファイターのガイは、魔猪をサクッと避けて急所を突いてアッサリ仕留めたギルにツッコミを入れる。魔猪の魔石と討伐証明部位を切り剥ぎながら、ギルはガイの話に付き合う。

「無理です。そんな事をしようとするのかはガイぐらいですよ」

 ミアとロゼは、一頭の猪獣の血抜きと解体をする。肉は、依頼を出していた村人たちに渡すつもりだ。

「俺、まだ、ランクは底辺からですから、無理はしませんよ」

 ギルがガイの手習い通り行儀良く作業を終わらせ、立ち上がる。血の匂いが立ち込めて、森の中はまだ緊張感が続いている。ガイ以外は。

 解体作業を終えたミアが魔猪に近づく。

 ロゼが喚いた。

「いやーーー!ミア、やめてぇーー!」

 ミアが、魔猪の遺体にザリザリとコートごと身体を擦り付けた。新品のコートが毛羽立ち、臭いと土がこびり付く。

「あぁ~!せっかくのお揃いのコートがーー!」

 ロゼは涙目になっている。

「あ、そうか…ごめん、、」

 耳もしっぽもシュンとしたミアは、小柄な身体をより小さくすぼませた。

「魔法掛けておけば良かった……」と、ロゼが嘆く。藪の中に突入していた時点で、小枝に引っ掛けまくっていたのだが……。

「こうしておくと、魔物とかに狙われにくいの…」

 ミアは詫びながら理由を言う。

「そっか、なるほど…」

 ギルとガイは感心するが、ロゼは治らない。

「いや、でもね、今、ソロじゃないわけだし、そこまでする冒険者もいないわよ」

「女の子なんだから……」と、言いそうになってロゼは諦めた。長年、ミアを女の子らしくしようと手を尽くして来たが、なかなか叶わない。

「……あの、もう、行こう。レッドウルフが見てる」

 しょぼんとしていたミアが木々の隙間に目を向ける。飢えたレッドウルフ達が、血生臭さに興奮を抑えきれなくなっている。

 魔猪がいなくなれば、自然にレッドウルフが森のバランスを保ってくれる。それが脅威になれば、また、討伐に来ることになる。

 ミア達が魔猪の数頭の猪獣を残して立ち去ると、それらをレッドウルフの群れが取り囲んだ。その様子が見えなくなるほど移動したところで、ミアが3人に声をかける。

「ごめん、少し先に行ってて」

「えっ?」ロゼが驚く。

「レッドウルフのボスが……」

 言う通りにすると、ミアから離れた小高いところからレッドウルフのボスが姿を現す。吹き抜ける風が、レッドウルフのボスの毛並みを美しくたなびかせる。

 ミアとレッドウルフのボスはただ向き合うだけで数十秒、お互いが背を向けて別れる。

「何なの、あれって……」

 レッドウルフのボスが去ってロゼがミアに駆け寄る。

「お礼かな?とりあえず、魔猪の匂いは役に立ったかも」

 と、答えて、コートの袖の臭いを嗅ぐ。しっぽも血と土、草の汁がついてゴワゴワになっていた。

「ミ、ミア、またコート新しいの買おう?次のは獣討伐には使わないようにしようね!使い分けよう?ね、ね?」

「う、うん……」

 ロゼはミアの肩を抑えて、約束をさせる。ロゼは、メンバーに巻き込んだミアをどうにかしたい。

 帰り道は、またピクニック気分でのんびり歩いた。

 冒険者ギルドで、窓口のナサリーさんに報告などを済ます。冒険者ギルドのフロアで、新結成パーティーとして注目を集めた。

 ロゼとガイだけでもレトナークでは有名で目立つのに、新参者のギル…が、身分を隠しても王子様風情がちっとも隠せてない。さらに登録早々に昇級して、噂のネタも作ってしまった。

 ミアを冷やかすような視線も感じる。

(やっぱり、パーティー苦手かも……)

 いつもより多く喋って気疲れし、長く通った冒険者ギルドなのに居心地の悪さを感じるミアだった。
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