『しっぽのきもち』♡猫族ミアの旅♡気持ちが分かれば仲良しに。

炭酸水『しっぽのきもち』

文字の大きさ
16 / 22
レトナーク編

第15話 1ヶ月も経っちゃったよ

しおりを挟む
 ギルがレトナークに来て一ヶ月ほどの昼過ぎ、ミアたちは冒険者ギルドで依頼の成果を報告に来ていた。ミアにはあっという間の一ヶ月も、ミアたちのパーティーはすっかり冒険者ギルドで認知されて注目を集めていた。

 ミアたちはナサリーの窓口に揃って報告をしていると、その後ろに距離を置きつつ冒険者たちが集まってくる。広いギルドのフロアーにそこだけ人が密集する。

 ロゼは領主の娘、ガイは王都から来たAランクの剣士で有名な上に、ギルは素性を明かしていないが容姿が目立って仕方ない。冒険者に似つかわしくない王子様然が漂って冒険者の女性陣にファンクラブのようなものまでできてしまっていた。

(このパーティーでギルド来ると落ち着かないよ……)

 ミアだけは珍しい猫族ながらも地味を維持している。

「ギル様、こっち向いたわ♡」

「私を見たわ♡」

 ミアはロゼたちを壁にして存在感を隠しながらナサリーに依頼の報告に集中しようとするが、ギルファンの黄色い声が聞こえる。

「こうなるとは思っていたけどね~」

「ギル、(王宮にいても)ここに来ても同じだったなぁ~」

 と、ロゼが呆れる。ガイがギルの肩に手を置くとまた女性たちの声が上がり、ガイは面白がってギルの肩をポンポン叩く。

「あんまり目立ちなくないんだけど」と、ギルは慣れたように口にするがミアはため息をつく。同じ意見だけど、問題の発振源は自分じゃないのとギルに言いたい。

 ギルドの受付嬢ナサリーは、報告を受けて報酬を用意した。受付のテーブルには金貨が積まれたトレーが置かれた。

「今日の成果も凄いですね。一週間ほどかかると思っていましたけど、三日で帰ってくるとは流石ですね。ミアさんは見つけるのが得意ですからね」

 ナサリーの言葉に「ありがとうございます」とミアは答える。最近はクエストのレベルが上がって遠出が増えてきた。早く帰りたくてミアも必死だ。

「メンバーは増やさないんですか?」と、ナサリーはガイに訊ねる。

「そうしたいところだけど、ギルは乗り気じゃないんだよね。今のところ何も問題ないよ」

 と、ガイが答えた。

 一ヶ月が経ち、ミアは新しいメンバーが入れば抜けられると思って期待しているのだが、なかなかそういう空気にはならない。

 この街にいる冒険者達の中には、ミア達のパーティーに入れて欲しいと申し出る者が絶えず、中には、ミアを外して自分を試して欲しいと頼んでくる者もいたが、ガイが丁重に断っている。

 報酬の分配がされてギルドに預ける手続きが終わるとミアはやっと解放感を得るが、ロゼがガッチリミアをホールドする。

「ミア、今日も、うちに泊まる? 」

「あ、あのね、お家の掃除したい」

「そう? 明日の朝迎えに行くね」

 ハワゼット邸から下がったところにミアの家がある。ハワゼット家に仕える者の家族が多く住んでいる町の一角、林に囲まれた小さな家。

「うん。分かった。今日のうちに掃除済ませるね」

 ほんの休みでもロゼが毎日構ってくるから、ミアのひとり時間がガッツリ減ってる。

(結局、その後にガイさん達と合流なんだよね……)

 ロゼがミアにギューギューとハグしていると、ギルがミアをじっと見て言った。

「ミア、少し太った?」と、聞いてきた。

「……太ったんじゃないわよ。女の子に失礼ね。ミアは痩せ過ぎだったでしょ。まだ、細過ぎなぐらいよ! 」

 ロゼがミアの頭に頬擦りして、撫で撫でする。ロゼの手がミアのふさふさ両猫耳を往復する。「そういうつもりでいったんじゃないけど」とギルはいうが、ロゼはツンとする。

(ギルの目には太ったと見えたんだ。ううっ、そうか、私、食事に連れまわされては肥やされてるんだった)

「おー、本当だ。もう少し太った方が可愛いぞ」

 と、ガイもミアの頭をロゼの真似をして撫で撫でする。ミアは大きな手が乗せられて潰れて丸くなるんじゃないかと思ってしまう。

「でしょーーー♡」

 ギルもミアの頭を撫で撫でしてみようと手を伸ばすと、ロゼが「はい、ダメ」と、ミアの頭をガードした。

「な、なぜ」

「ギルが触ると騒ぎになるでしょう? ガイさんはいいですよ。あ、でも、しっぽはダメです。譲りませんよ」

「そうか、悪いな、ギル」と、ガイはまたミアを撫で撫でした。荷物化したミアは背負わされるのにと、ギルは理不尽さを顔を出した。

「ガイさん、次の依頼の話ですけど!! 」

 と、ナサリーは受付で盛り上がってしまう4人に注意した。

「それと、私にも撫でさせて下さい! 」

 ナサリーもミアをカウンター越しに撫で撫でし、ふさふさの猫耳で癒され破顔になった。

(ハワゼット家だけの恒例行事が、なんでここでも……)

 と、困ってしまうミアだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...