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駅の待ち人
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オークラルド行きの汽車に乗り夜の帳が下りると、暗闇に瞬く星と時々掠める汽車の蒸気が見えるだけだった。いくつかの小さな駅を通過し、街明かりが僅かに残る中央都市オークラルドに到着した。
夜の駅は、汽車から忙しく降りる者と待ち人で一瞬の賑わいを起こして、人々は街明かりが消えていく中を方々に散っていく。
ルナとフィンリーが駅の出入口に辿り着くと、二人を待ち構える馬車が一台停まっていた。一人の若い紳士が白い息を吐きながら颯爽と駆け寄った。
「やぁ、フィンリー、お帰り」
大学の学友がフィンリーを迎えに来ていた。
「ウォルカー、紹介するよ。僕が振られかけている恋人のルナだよ」
フィンリーはルナの両肩に手をやって、ウォルカーに笑って見せた。
「初めまして、ウォルカー・スタッドだ。ルナ、オークラルドにようこそ」
ウォルカーは明るい笑顔でルナを迎え入れた。
「初めまして、ウォルカーさん。ルナ・カティブです」
いつ恋人になったんだろう……で、なければ連れて来た説明が出来ないと言えばそうなのだけど、身分を持たない私が紹介される様な立場でも無いのに……と、ルナは思った。
ウォルカーは大きく立派な馬車にルナとフィンリーを乗せ、3人で向かい合って座った。馬車は石畳みの上に車輪を走らせた。
ウォルカーはルナに優しい笑顔を見せた。
「ビックリしたよ、君に会えるとは。フィンリーは、初恋の子が結婚すると実家からの報告を聞いてショックを受けてね。君の式が終わるまでは故郷に戻らないって荒れてたんだ」
「えっ……」
ルナには初耳で、横に座るフィンリーを見ると、いつもなら合わせる目をそらして馬車の窓に顔を向けた。
「ルナには昔から避けられていたし、諦めて油断してた。結婚をぶち壊す自信も無かったし」
不貞腐れるようにため息交じりでフィンリーは告白すると、ルナは動揺して目をキョロキョロさせた。その様子に堪らずウォルカーは吹き出した。
「ははは、良かったなフィンリー! ルナ嬢と運命が重なって! 」
「……いや、それも風前の灯火だよ。ルナがちっとも応じてくれないんだ。ウォルカーにも協力してもらいたいよ」
手振りを大げさに、フィンリーはルナへの恨み言を言った。
「凄いな、オークラルド大学一の色男がルナ嬢に形無しか! 」
チラリとフィンリーがルナを見ると、ルナは肩を竦ませた。
『ズルい……こんな風に弱音を見せるなんて! 散々抱き寄せたりキスしたり勝手にしてくるのに。まるで応じない私が悪いみたいに!! 』
ルナは思わず顔をしかめた。でも、フィンリーが自分を初恋の子とウォルカーに語っていた事に胸がドキドキする。
フィンリーとウォルカーの話が大学の講義の話に移ると、ルナは聞き耳を立てながら馬車の外を眺めていた。
見たことも無い様な大きな建造物が縦並び、繊細なレリーフの街灯が街の美しさを浮かび上がらせる。溶けかけて固まっている雪が光って見える。人工的な都会の街並みがむしろ幻想的にルナの目に映るのだった。
街の中央通りを過ぎて、馬車はホテルの前に到着した。待ち構えていたボーイが出迎えてウォルカーに挨拶すると、荷台の荷物をホテルのロビーに運び入れる。
「さぁ、今夜からしばらくここに泊まってもらうよ。僕の父のホテルだ。まぁ、随分と古いから解体する直前で申し訳ないけど。次は新しい郊外のホテルに招待するよ」
「ありがとうウォルカー」
しばらくとは聞いていないルナは目を丸くした。
フィンリーはそう言うと、ルナをホテルにエスコートして、そっとルナの耳元で小声で話す。
「僕の入っていた大学寮は狭くて。部屋もベッドも小さくて一つしかないから……。キッチンも共同だしね。大丈夫、寝室は二つある部屋をお願いしてるから」
「えっ!? 」
フィンリーは笑ってごまかしたが、大学寮にさえ入っていればルナが仕える仕事が最初から無かった。
夜の駅は、汽車から忙しく降りる者と待ち人で一瞬の賑わいを起こして、人々は街明かりが消えていく中を方々に散っていく。
ルナとフィンリーが駅の出入口に辿り着くと、二人を待ち構える馬車が一台停まっていた。一人の若い紳士が白い息を吐きながら颯爽と駆け寄った。
「やぁ、フィンリー、お帰り」
大学の学友がフィンリーを迎えに来ていた。
「ウォルカー、紹介するよ。僕が振られかけている恋人のルナだよ」
フィンリーはルナの両肩に手をやって、ウォルカーに笑って見せた。
「初めまして、ウォルカー・スタッドだ。ルナ、オークラルドにようこそ」
ウォルカーは明るい笑顔でルナを迎え入れた。
「初めまして、ウォルカーさん。ルナ・カティブです」
いつ恋人になったんだろう……で、なければ連れて来た説明が出来ないと言えばそうなのだけど、身分を持たない私が紹介される様な立場でも無いのに……と、ルナは思った。
ウォルカーは大きく立派な馬車にルナとフィンリーを乗せ、3人で向かい合って座った。馬車は石畳みの上に車輪を走らせた。
ウォルカーはルナに優しい笑顔を見せた。
「ビックリしたよ、君に会えるとは。フィンリーは、初恋の子が結婚すると実家からの報告を聞いてショックを受けてね。君の式が終わるまでは故郷に戻らないって荒れてたんだ」
「えっ……」
ルナには初耳で、横に座るフィンリーを見ると、いつもなら合わせる目をそらして馬車の窓に顔を向けた。
「ルナには昔から避けられていたし、諦めて油断してた。結婚をぶち壊す自信も無かったし」
不貞腐れるようにため息交じりでフィンリーは告白すると、ルナは動揺して目をキョロキョロさせた。その様子に堪らずウォルカーは吹き出した。
「ははは、良かったなフィンリー! ルナ嬢と運命が重なって! 」
「……いや、それも風前の灯火だよ。ルナがちっとも応じてくれないんだ。ウォルカーにも協力してもらいたいよ」
手振りを大げさに、フィンリーはルナへの恨み言を言った。
「凄いな、オークラルド大学一の色男がルナ嬢に形無しか! 」
チラリとフィンリーがルナを見ると、ルナは肩を竦ませた。
『ズルい……こんな風に弱音を見せるなんて! 散々抱き寄せたりキスしたり勝手にしてくるのに。まるで応じない私が悪いみたいに!! 』
ルナは思わず顔をしかめた。でも、フィンリーが自分を初恋の子とウォルカーに語っていた事に胸がドキドキする。
フィンリーとウォルカーの話が大学の講義の話に移ると、ルナは聞き耳を立てながら馬車の外を眺めていた。
見たことも無い様な大きな建造物が縦並び、繊細なレリーフの街灯が街の美しさを浮かび上がらせる。溶けかけて固まっている雪が光って見える。人工的な都会の街並みがむしろ幻想的にルナの目に映るのだった。
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「さぁ、今夜からしばらくここに泊まってもらうよ。僕の父のホテルだ。まぁ、随分と古いから解体する直前で申し訳ないけど。次は新しい郊外のホテルに招待するよ」
「ありがとうウォルカー」
しばらくとは聞いていないルナは目を丸くした。
フィンリーはそう言うと、ルナをホテルにエスコートして、そっとルナの耳元で小声で話す。
「僕の入っていた大学寮は狭くて。部屋もベッドも小さくて一つしかないから……。キッチンも共同だしね。大丈夫、寝室は二つある部屋をお願いしてるから」
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