6 / 14
街での買い物
しおりを挟む
「本当に、さっきは何だったのかしら? 今は体調が良いみたいね」
「ええ。ありがとう、マティー」
冬の空気に晒されてルナの頬と鼻は少し赤らんでいる。ルナの長いまつ毛を瞬かせる瞳は、お人形のようにだとマティーは思った。
ホテルの周りにはブティックや商店、土産物屋が軒を連ねて、外国からの観光客も多く見られた。
ルナとマティーは、ホテルからすぐ近くのデパートに入った。この街で暮らすのに困らない衣料品や日用雑貨を購入する為に。
マティーは、自分の買い物を楽しむように次々とルナの衣服を選んでいく。その手際の良さは『鬱陶しいほどのお節介焼き』を豪語しているだけあった。鬱陶しいというよりも、頼もしさそのものだった。
「こんなに要らないわ」
「あら? 貴女の荷物、トランク一つだけだったわよね。この街で毎日生活するのには余りにも少ないわよ? 」
「私、あまり物に執着が無くて……」
それは、新しい職を見つけたら直ぐに出られるように手荷物を少なくしておきたくて……とは、言えない。不安そうな顔をするルナに、マティーは気合を入れて言い放つ事にした。
「ルナがウィンリーからの脱走癖があるのは聞いているわよ。突然消えたりしないでね。残されたフィンリーの相手をするのはとても面倒だわ!? 」
マティーのパワフルな口調に、ルナは目を見開いて驚いた。
「そんな事まで、仰っていたの? 」
マティーが目を細めてルナを見た。
「仰ってるって……さすが、ルナ、聞きしに勝る堅物ね。ウィンリーでも、これは骨が折れそうだわ」
呆れた様子を見せるマティーにルナは恥ずかしくなる。マティーは買い物をする手を休めない。タンスが一つ二つと埋まる様な買い物が済むと、ホテルに送り届ける手配をした。
ルナはオークラルドにきた思惑をフィンリーにバレていた事にショックを受けていた。どうやってフィンリーから消えたら良いのかまでは、考えに至っていない。
手早く買い物が終わると昼をわずかに過ぎて、マティーはルナをカフェに連れて行った。
ホテルからもデパートからも少し離れ、閑静な住宅街に近い落ち着いた通りに面しているカフェで、窓際の木目の美しいテーブルの席に案内されると、軽食と珈琲を注文した。
「私もね、看護士をしているの。分かると思うけど、ウォルカーとは不釣り合いなのよ」
マティーはウォルカーとの馴れ初めの話と、結婚の話をし始めた。
「ウォルカーのご両親には恋人としては公認扱いにしていただいているけれど、結婚については首を縦に振ってもらえていないわ」
マティーはそう告白すると、珈琲を一飲みした。
「だからね、今日はとても楽しんだのよ。私の中で結婚準備って、こんな感じなのかしらと。予行練習にでもなれば良いと思って。何にしてもイメージは大事よ。例え夢が叶わなくてもね……」
マティーは雫が滴っている窓ガラスの外に目を向けた。朝の時の陽気が失せた空を雲が覆って、今夜は雪が降る様だ。ルナは、マティーの話が続くのを見守った。
「ルナ、ウォルカーの妹のリーザの事だけど、一人では相手にしないでね」
「え……」
「嘘をついてでも、構わないであげて」
ルナには、リーザについて何かを判断するには迷いがあった。深く聞いていい話なのか、躊躇った。
「ええ。ありがとう、マティー」
冬の空気に晒されてルナの頬と鼻は少し赤らんでいる。ルナの長いまつ毛を瞬かせる瞳は、お人形のようにだとマティーは思った。
ホテルの周りにはブティックや商店、土産物屋が軒を連ねて、外国からの観光客も多く見られた。
ルナとマティーは、ホテルからすぐ近くのデパートに入った。この街で暮らすのに困らない衣料品や日用雑貨を購入する為に。
マティーは、自分の買い物を楽しむように次々とルナの衣服を選んでいく。その手際の良さは『鬱陶しいほどのお節介焼き』を豪語しているだけあった。鬱陶しいというよりも、頼もしさそのものだった。
「こんなに要らないわ」
「あら? 貴女の荷物、トランク一つだけだったわよね。この街で毎日生活するのには余りにも少ないわよ? 」
「私、あまり物に執着が無くて……」
それは、新しい職を見つけたら直ぐに出られるように手荷物を少なくしておきたくて……とは、言えない。不安そうな顔をするルナに、マティーは気合を入れて言い放つ事にした。
「ルナがウィンリーからの脱走癖があるのは聞いているわよ。突然消えたりしないでね。残されたフィンリーの相手をするのはとても面倒だわ!? 」
マティーのパワフルな口調に、ルナは目を見開いて驚いた。
「そんな事まで、仰っていたの? 」
マティーが目を細めてルナを見た。
「仰ってるって……さすが、ルナ、聞きしに勝る堅物ね。ウィンリーでも、これは骨が折れそうだわ」
呆れた様子を見せるマティーにルナは恥ずかしくなる。マティーは買い物をする手を休めない。タンスが一つ二つと埋まる様な買い物が済むと、ホテルに送り届ける手配をした。
ルナはオークラルドにきた思惑をフィンリーにバレていた事にショックを受けていた。どうやってフィンリーから消えたら良いのかまでは、考えに至っていない。
手早く買い物が終わると昼をわずかに過ぎて、マティーはルナをカフェに連れて行った。
ホテルからもデパートからも少し離れ、閑静な住宅街に近い落ち着いた通りに面しているカフェで、窓際の木目の美しいテーブルの席に案内されると、軽食と珈琲を注文した。
「私もね、看護士をしているの。分かると思うけど、ウォルカーとは不釣り合いなのよ」
マティーはウォルカーとの馴れ初めの話と、結婚の話をし始めた。
「ウォルカーのご両親には恋人としては公認扱いにしていただいているけれど、結婚については首を縦に振ってもらえていないわ」
マティーはそう告白すると、珈琲を一飲みした。
「だからね、今日はとても楽しんだのよ。私の中で結婚準備って、こんな感じなのかしらと。予行練習にでもなれば良いと思って。何にしてもイメージは大事よ。例え夢が叶わなくてもね……」
マティーは雫が滴っている窓ガラスの外に目を向けた。朝の時の陽気が失せた空を雲が覆って、今夜は雪が降る様だ。ルナは、マティーの話が続くのを見守った。
「ルナ、ウォルカーの妹のリーザの事だけど、一人では相手にしないでね」
「え……」
「嘘をついてでも、構わないであげて」
ルナには、リーザについて何かを判断するには迷いがあった。深く聞いていい話なのか、躊躇った。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏の顔ありな推しとの婚約って!?
花車莉咲
恋愛
鉱業が盛んなペレス王国、ここはその国で貴族令嬢令息が通う学園であるジュエルート学園。
その学園に通うシエンナ・カーネリアラ伯爵令嬢は前世の記憶を持っている。
この世界は乙女ゲーム【恋の宝石箱~キラキラブラブ学園生活~】の世界であり自分はその世界のモブになっていると気付くが特に何もする気はなかった。
自分はゲームで名前も出てこないモブだし推しはいるが積極的に関わりたいとは思わない。
私の前世の推し、ルイス・パライバトラ侯爵令息は王国騎士団団長を父に持つ騎士候補生かつ第二王子の側近である。
彼は、脳筋だった。
頭で考える前に体が動くタイプで正義感が強くどんな物事にも真っ直ぐな性格。
というのは表向きの話。
実は彼は‥‥。
「グレース・エメラディア!!貴女との婚約を今ここで破棄させてもらう!」
この国の第二王子、ローガン・ペレス・ダイヤモルト様がそう叫んだ。
乙女ゲームの最終局面、断罪の時間。
しかし‥‥。
「これ以上は見過ごせません、ローガン殿下」
何故かゲームと違う展開に。
そして。
「シエンナ嬢、俺と婚約しませんか?」
乙女ゲームのストーリーにほぼ関与してないはずなのにどんどんストーリーから離れていく現実、特に何も目立った事はしてないはずなのに推しに婚約を申し込まれる。
(そこは断罪されなかった悪役令嬢とくっつく所では?何故、私?)
※前作【悪役令息(冤罪)が婿に来た】にて名前が出てきたペレス王国で何が起きていたのかを書いたスピンオフ作品です。
※不定期更新です。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる