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第一章 ナヴィ 職業『村人A』編
5.最期の言葉
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「お姉ちゃん、どうして、どうしておじいちゃんは……」
エンフィーは動揺を隠せない。
「エンフィー、まずは手当てを!救急箱を!」
もたれかかったトニーを横向きに倒しエンフィーが持ってきた救急箱に手を掛けようとしたとき、トニーがナヴィの手を強く掴んだ。
「ナヴィ、もうよい。帰る途中に勇者様達に何度も回復魔法をかけてもらった。ポーションもたくさん使ってくれた。わしはもう……」
「変なこと言わないで、お医者様も呼ぶから。今は喋らないで!」
トニーの手を振りほどく。ナヴィのような普通の女の子でも振り払えるほどトニーは弱っていた。
横にいて目をそらし続けていたテリウスがそのまま口を開く。
「ナヴィちゃん、『英雄 スーパーアドバイザー トニー・マクレガン』の最後の言葉なんだ。聞いてやってくれ」
「テリウス様……」
テリウスの左頬から透明な線がきらりと光る。
勇者パーティーはそれ以上は何も言わず、ゆっくりと外に出ていった。
そのボロボロで小さくうつむいた四人の後姿は物語の主人公達のようにはとても見えなかった。
テリウス達の後姿を見ていたナヴィは手が止まっていた。
「お姉ちゃん何やってるの!早くおじいちゃんを」
「エンフィー……」
焦るエンフィーにナヴィが手を取り、顔を合わせ無言で目をつぶり、首を横に振った。
エンフィーにもそれが何を意味するのかがしっかりと伝わっていた。
二人はトニーの前に座り手を取りながらトニーの話を聞いた。
「ナヴィありがとう。すまんのぉ。わしはもう長くない」
続けてトニーは言った。
「勇者様達には感謝しないとのぉ。致命傷を負ったわしの最後のわがままを聞いてくれ」
「わがまま……?」
「ナヴィ約束したじゃろ。必ず帰るって」
はっとした表情のあとナヴィは強い口調に切り替わった。
「でも、でも、こんな風に帰ってきてなんて誰も約束してない!!」
「あたしおじいちゃんがいない間もエンフィーと一緒に頑張ったんだよ。小屋もしっかり守ったんだよ。それなのに……」
うんうんと聞くトニー。
少し目線を変えたトニー。ナヴィの胸にある小さな緑色に輝くタトゥーがちらりと見えた。
そうか、もうこんなに早く…
「ナヴィ、エンフィー。いいかい」
二人はさらに弱弱しくなるトニーの声に全神経を集中させて聞いた。
「どんな仕事でも誇りを持って全うすること。それがたとえ冒険者様であっても、勇者様であっても、もちろん村人でも、じゃ。さすればどこにいたって、どんな職業だって輝くことができる。それだけは忘れないでおくれ」
いつもおじいちゃんが言っていた言葉……。
その言葉と同時に、二人にトニーとの思い出が駆け抜けるようにフラッシュバックされていく。
二人は顔を向かい合わせ同時に優しく応えた。
「「うん」」
「おじいちゃん、見ててね。あたしたちこの仕事頑張るから。ずっとそばで見守っててね」
トニーの手をさらに強く握った。
「あぁ、もちろん……じゃ。わしはずっと……ずっと見守って……」
強く握られた手に対して反比例するかのようにトニーの手の温もりが無くなっていく。
ありがとう勇者様。
ありがとうナヴィ。エンフィー。
どうか、どうかこの二人を……わしの大切なこの二人を……。
最後に一粒の涙が落ち切ったところで、トニーの緑色に輝いていたタトゥーは消えていった。
「おじいちゃん、おじいちゃん、ねぇおじいちゃん。うわああああああああ」
隣でトニーを抱きしめながら、泣き叫ぶエンフィーの背中をナヴィはゆっくりとさする。
数分の時が経った。
ナヴィは何か思い立ったかのように立ち上がり、玄関の扉に手を掛ける。
「グスッ。お姉ちゃん?」
枯れた声でエンフィーが尋ねる。
「ごめん。エンフィー。すぐ戻る」
背中を向けたまま話すナヴィはそういった後、勢いよく外に飛び出していった。
全速力で走る。
まだそう遠くに行ってないはず。話さないと。話さないと。
いた!
遠くには汚れた白銀のコートと見た目以上に小さく見えた四人の背中が見えた。
「テリウス様!!!!!」
「ナヴィちゃん……やっぱり追いかけてきたのか」
マリア、ライオ、オネットの足も止まる。
「すまない三人とも先に行ってくれ。後ですぐに追いつく」
うつむいたままの三人はまたゆっくりと進み始めた。
「ナヴィちゃん。トニーさんは」
ナヴィは無言で首を横に振った。
「そうか。すまなかった」
そうじゃない。このままじゃ終われない。それを伝えに来たんじゃない。テリウス様に言わないと。
「テリウス様……。あたし……。あたしを」
「あたしをパーティーに入れてください」
沈みかける夕日を浴びながら、二人の会話が始まる。
エンフィーは動揺を隠せない。
「エンフィー、まずは手当てを!救急箱を!」
もたれかかったトニーを横向きに倒しエンフィーが持ってきた救急箱に手を掛けようとしたとき、トニーがナヴィの手を強く掴んだ。
「ナヴィ、もうよい。帰る途中に勇者様達に何度も回復魔法をかけてもらった。ポーションもたくさん使ってくれた。わしはもう……」
「変なこと言わないで、お医者様も呼ぶから。今は喋らないで!」
トニーの手を振りほどく。ナヴィのような普通の女の子でも振り払えるほどトニーは弱っていた。
横にいて目をそらし続けていたテリウスがそのまま口を開く。
「ナヴィちゃん、『英雄 スーパーアドバイザー トニー・マクレガン』の最後の言葉なんだ。聞いてやってくれ」
「テリウス様……」
テリウスの左頬から透明な線がきらりと光る。
勇者パーティーはそれ以上は何も言わず、ゆっくりと外に出ていった。
そのボロボロで小さくうつむいた四人の後姿は物語の主人公達のようにはとても見えなかった。
テリウス達の後姿を見ていたナヴィは手が止まっていた。
「お姉ちゃん何やってるの!早くおじいちゃんを」
「エンフィー……」
焦るエンフィーにナヴィが手を取り、顔を合わせ無言で目をつぶり、首を横に振った。
エンフィーにもそれが何を意味するのかがしっかりと伝わっていた。
二人はトニーの前に座り手を取りながらトニーの話を聞いた。
「ナヴィありがとう。すまんのぉ。わしはもう長くない」
続けてトニーは言った。
「勇者様達には感謝しないとのぉ。致命傷を負ったわしの最後のわがままを聞いてくれ」
「わがまま……?」
「ナヴィ約束したじゃろ。必ず帰るって」
はっとした表情のあとナヴィは強い口調に切り替わった。
「でも、でも、こんな風に帰ってきてなんて誰も約束してない!!」
「あたしおじいちゃんがいない間もエンフィーと一緒に頑張ったんだよ。小屋もしっかり守ったんだよ。それなのに……」
うんうんと聞くトニー。
少し目線を変えたトニー。ナヴィの胸にある小さな緑色に輝くタトゥーがちらりと見えた。
そうか、もうこんなに早く…
「ナヴィ、エンフィー。いいかい」
二人はさらに弱弱しくなるトニーの声に全神経を集中させて聞いた。
「どんな仕事でも誇りを持って全うすること。それがたとえ冒険者様であっても、勇者様であっても、もちろん村人でも、じゃ。さすればどこにいたって、どんな職業だって輝くことができる。それだけは忘れないでおくれ」
いつもおじいちゃんが言っていた言葉……。
その言葉と同時に、二人にトニーとの思い出が駆け抜けるようにフラッシュバックされていく。
二人は顔を向かい合わせ同時に優しく応えた。
「「うん」」
「おじいちゃん、見ててね。あたしたちこの仕事頑張るから。ずっとそばで見守っててね」
トニーの手をさらに強く握った。
「あぁ、もちろん……じゃ。わしはずっと……ずっと見守って……」
強く握られた手に対して反比例するかのようにトニーの手の温もりが無くなっていく。
ありがとう勇者様。
ありがとうナヴィ。エンフィー。
どうか、どうかこの二人を……わしの大切なこの二人を……。
最後に一粒の涙が落ち切ったところで、トニーの緑色に輝いていたタトゥーは消えていった。
「おじいちゃん、おじいちゃん、ねぇおじいちゃん。うわああああああああ」
隣でトニーを抱きしめながら、泣き叫ぶエンフィーの背中をナヴィはゆっくりとさする。
数分の時が経った。
ナヴィは何か思い立ったかのように立ち上がり、玄関の扉に手を掛ける。
「グスッ。お姉ちゃん?」
枯れた声でエンフィーが尋ねる。
「ごめん。エンフィー。すぐ戻る」
背中を向けたまま話すナヴィはそういった後、勢いよく外に飛び出していった。
全速力で走る。
まだそう遠くに行ってないはず。話さないと。話さないと。
いた!
遠くには汚れた白銀のコートと見た目以上に小さく見えた四人の背中が見えた。
「テリウス様!!!!!」
「ナヴィちゃん……やっぱり追いかけてきたのか」
マリア、ライオ、オネットの足も止まる。
「すまない三人とも先に行ってくれ。後ですぐに追いつく」
うつむいたままの三人はまたゆっくりと進み始めた。
「ナヴィちゃん。トニーさんは」
ナヴィは無言で首を横に振った。
「そうか。すまなかった」
そうじゃない。このままじゃ終われない。それを伝えに来たんじゃない。テリウス様に言わないと。
「テリウス様……。あたし……。あたしを」
「あたしをパーティーに入れてください」
沈みかける夕日を浴びながら、二人の会話が始まる。
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