村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第四章 『上級ガイド』のダンジョン探索編

31.下級魔法で勝負!

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「さぁかかってきなさい!」

 魔力を高めていくナヴィに、それを感じ取ったウナギ型のモンスターが突進をしていく。

<エアシールド!>

 空気の盾がナヴィの前に現れる。

 え! うそでしょ!

 そのモンスターの突進により盾がいとも簡単に破られてしまった。

「く、なんて攻撃力……」
<ツヴァイアクセル!>

 <マーメイル>だけだとやっぱり物足りないけどこれでようやく同じくらいのスピードってところね。

 それから攻撃を避け続けていくナヴィはボスの弱点を探そうとするも、その隙を与えてくれない。

 このままじゃまずい、攻勢に出ないと。
<ボディプロテクト!>

 ナヴィの身体に薄い膜ができる。

 これで数回は耐えられるはず。一気に魔力を練り上げてっと。

<ツヴァイエアシュート!>
 二つの大きな空気の弾丸が放たれた。

 ボスにはうめき声を上げた。

 一応効いてはいるのね。無属性だからといって中級魔法でもこの程度のダメージ……。

 !? まずい。

 ナヴィの目の前から大量の水が放出された。


 このモンスターのスキルね。凄い水圧、<ボディプロテクト>が……。

「ぐっ」
 <ファストテレポート!>

 放出されている水から十メートル離れた陸地に体を転移させた。そこは狭めの足場がありナヴィは<マーメイル>を解いた。

「はぁ。はぁ」
 <ヒール!>
 
 何とか耐えた。さっきのスキルの威力とんでもないわね、直撃でくらってたら吹き飛んでた。

 ボスは水面から頭を出しスキル発動の挙動を見せた。

 くそ! またさっきの水の放射ね。
 <イージスの盾!>

 <エアシールド>の上位互換の<イージスの盾>が何とか攻撃を防いでいる今のうちに。

 あたし苦手なんだけど水だから有効属性はきっと雷。

 <マジックグロウ!>

 魔法の威力を高めて……いくよ!
 <ライトニング!>

 ナヴィは<イージスの盾>から横に飛び出し、雷のレーザーを放った。

「ギャァァァァァ」

 盾に気を取られていたモンスターに見事命中した。

「下級呪文でこの威力……ならいけるわ」
 <マーメイル!>

 ナヴィはもう一度海に潜った。
 
 この手の魚類型のモンスターは鱗や皮が厚くて外からの攻撃のダメージを軽減している。
 ならやることは一つね!

「さぁこっちを向きなさい!」 
 <エアシュート!>

 ナヴィは何度か攻撃を受けながらも、こまごまとした下級魔法を当て続けボスに自身の動きを捉えさせないようにしていた。


「魔力的にもそろそろかしら。」
<ツヴァイエアシュート!>

 大きな空気の弾丸がボスからナヴィへの目線を外させた。

<ファストテレポート!>

 転移した場所はボスの頭部。

 くらえ! 

 ザクッという音とともに、ナヴィが腰に差していたナイフを思い切りボスの眉間に突き刺した。

 そのボスは頭部が弱点だったのか、苦しんでいる鳴き声を上げながら、ナヴィを引きはがそうとジタバタと暴れ始める。

「くっ、ジタバタと……絶対離れないわよ!」

 突き刺したナイフに何とかしがみつくナヴィは、ボスの動きに食らいつきながら少しづつ魔法を打つ準備に取り掛かっていた。

<ツヴァイマジックグロウ!>

 あと少し……あと少し……下級呪文なんだから魔力は全部使うぐらいでやらないと。

 来た!

「はぁぁぁぁぁぁ!」

<ライトニング!>

 雷のレーザーは突き刺したナイフを伝い、ボスの内部から電流を流していった。

「いたたたたたたた。あたしにも感電するのね」

 水中の中で焼き焦げていくウナギのモンスター。

 魔力がなくなるまで流し続ける。

 より一層体を大きく揺らすモンスターだが、ナヴィも必死にナイフを掴み続けた。

「ギャァァァァァァァ」

 ボスの断末魔が聞こえ動きが止まり、その巨体は水面へゆっくりと上がっていく。

 ナイフを掴んでいたナヴィもそれと同時に水面へと戻ってきた。

「はぁー。しんどかったぁ。こんなボス一人で倒せなんて恐ろしいダンジョンね……ねばねばしたかと思えば最後はびちょびちょだし」

 近くの陸地に上がり濡れた紙を取り出した。

「後できれいな紙に描き直すとして、とりあえずモンスターが消える前にメモメモ」


 このダンジョンのボスは大型のウナギモンスター、巨体を使ったシンプルな突進や尾の攻撃とスキルの水を大量に放出する二つの攻撃方法。弱点の属性は雷、体は頭部、おすすめは体の内側から雷属属性の魔法を流すこと。っと、よしオーケー!


 あれ、死体が無くなってる……。

 ナヴィがメモを書き終える寸前に消えてしまっていた。

「十分以上書いちゃってたからそりゃ消えちゃうよね、あ、宝箱……めちゃくちゃ小さいわね」

 手のひらサイズの宝箱が水面にぷかぷかと浮かんでいた。

「ダンジョンは攻略されるたびまた同じのが出てくるからこれはあたしのでいいわね」

 ナヴィはもう一度水の中に入り宝箱を取りに行く。

「さぁて、中身は。ん、ピアス?」

 『水明の耳飾り』……初めて見たわ。すごくきれい。なになに、水属性の魔力アップと魔法防御のアップね。いいじゃない!

 透明で小さな水晶玉が付いており、その下には何本もの絹のような糸が垂れ下がっていた。そのピアスを少し揺らすと光の反射で青色に輝くようになっていた。

「凄く素敵ね……レイ様も妹さんにこれをプレゼントしてあげたかったのね。なんて素敵な兄弟愛なのかしら!」

 陸地にはダンジョンの入り口に転移する魔法陣が浮かび上がっていた。

「とりあえずここから出よう。もう一生こんなトラップ地獄はごめんだわ」

 魔法陣の中に入り、入り口へと転送された。

「よし、入り口の前ね……さぁ帰ろう」

 一歩踏み出そうとした瞬間、近くからバタンと人が倒れた音が聞こえた。

 ん? 後ろから?

 そこには百四十センチほどの二つ結びの紫色の髪と、同色のローブを着た小さな女の子がうつ伏せで倒れていた。

「ちょ、だ、大丈夫ですか?」

 その少女に近づくナヴィ、体を摩ろうと手を出したその時、ナヴィの足に少女の小さな手が伸びた。

「ひっ!」

「……の」

「えっ? 今なんて言ったんですか!?」

「……もの」

「もの?」

「食べ物……を恵んで……ください」

 少女は顔を上げるとアメジストのような紫色の瞳でナヴィを見つめた。

 か、かわいい! 何歳かしらこの子って。ん?

 起き上がった少女の胸のタトゥーに目がいくナヴィ。

 三つ……この子まさか……上級ガイド?
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