村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第五章 逆襲の『ガイド殺し』 エンフィー奪還編

38.追跡

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「デニスとエンフィーの匂いを追跡できるかしら?」

 焼き焦げた店の中でナヴィはアメルダに確認していた。

「えぇ、かすかにですが匂いは続いているので辿っていくことはできます」

「ナヴィさん、すぐに向かいましょう!」

「ルナ、アメルダ、ちょっとだけ待っててもらえるかしら」

 そういうとナヴィは店の外を出て、もう一つの駆け出し冒険者用の店に駆けこんだ。



 カウンターにある棚を漁り、アイテムをいくつか取り出していく。

「これと、これと、これ……アイテム系はこっちには全然ないけど、このくらいはとりあえず持っておかないとね」

 よし。これでオーケー。



「お待たせ!」

 小さなポシェットを持ったナヴィが店に戻ってきた。

「早かったですね! じゃあアメルダ、ここから追跡よろしくお願いします!」

「その前にルナ、はい、これ」

「これはポーションとMPポーション……」

「向こうのお店からとってきたの、ちょうど在庫切らして二本ずつしかなかったけどとりあえず飲みましょ!」

「ありがとうございます!」


 二人は二本のポーションを飲み干し、アメルダを先頭に玄関を出た。

「ん? ちょっと待ってもらってもいいかしら」

「アメルダ? どうしたんですか?」

 異変に気付いたアメルダは周辺の匂いを嗅ぎ始める。

「ない……」

「ない?」

 ナヴィが聞き返した。

「匂いがない……というより、消されています」

 どういうこと……私の鼻でも消せるほどの消臭力? 魔法を使ってるのかしら。


「そんな、ナヴィさんどうすれば。ってナヴィさん何を?」


 ナヴィは魔法で吹き飛ばした玄関の扉の残骸を見ていた。

 魔法陣の跡……。見たところそんなに時間が立っていない。

「アメルダ。この魔法陣の跡の匂いを嗅いでくれる?」

「分かりました」

 クンクンとその跡を嗅ぎ始めた。

「匂いはする?」

「えぇ、先ほどの中年男性の匂いとは違いますが、その中年男性に付着していた腐敗臭がします」

「ふっ、そこまでは頭が回らなかったようね。デニス」

「ナヴィさん、この腐敗臭を追っていきましょうか?」

「匂いの跡は続いているかしら」

「はい、この匂いに関しては消されておりません」

「ではそちらを目指しましょうか」

「えぇ、きっとそこにエンフィーとデニスもいるはず」

「かしこまりました。では二人とも、乗って下さい」

「え?」

 何も言わずにアメルダに乗り始めるルナをナヴィはぼーっと見ていた。

「ナヴィさん?」

「え、アメルダに乗れるの?」

「えぇ、二人ぐらいなら何も気にせず乗せて走ることができますが」

 なんかこういうの憧れてたのよね……。やっぱり今度あたしもガーディアンの魔法探してみよ。

「じゃあお邪魔します」

「ではナヴィさんは初めてだと思うのでしっかり掴まっててくださいね」

「わたくしの身体に抱き着いててくださいねナヴィさん!」

「そんな、ちょっと恥ずかしい……」

「じゃないと吹き飛んじゃいますよ?」

 ……?

「それじゃあ二人とも。行きますよ!」

 アメルダは全力で走り出した。

「きゃあーー!」

「ナヴィさん! もっとしっかり掴まって!」

「これでも頑張って掴まってる! 思ってた三倍は速いわ!」

 時速百キロを超えるスピードで匂いの残っている方向へと進みだした。


 アメルダってめちゃめちゃ便利なガーディアンね。あたしのもらった電気エイも空を飛んだりできるのかしら……


 そこから五分ほど走っているとアメルダは急ブレーキを掛けた。

「アメルダ?」

「また匂いがなくなってたの?」

 あたりの匂いを再度確認し始めたアメルダ。

「いえ、逆です、ここにはエンフィーさんの匂いも中年男性の匂いも感じます。しかし……」

 この匂いの交わり方。数人なんてものじゃない。

「アメルダ?」

「すみませんナヴィさん。匂いはこの先のダンジョンに繋がっています。しかし、他の冒険者の匂いが何人、いえ、何十人も交わっています。敵か味方かはわかりませんが非常に危険な匂いがします。あまりここから先はお勧めできません」

「うん、わかってる。それでもあたしはエンフィーを助けたいの。」

 まっすぐな目……ぶれそうにないわね。ルナ?

 アメルダはルナに目で確認を取った。ルナはうんと大きく頷き、それに呼応するようにアメルダも頷いた。

「ではナヴィさん先を急ぎましょう。ダンジョンはもうすぐそこです」

「ありがとうアメルダ」




 その頃、ダンジョン内最深部では、デニスのパーティーとエンフィーがいた。

「大人しくしてなさいよ。エンフィー」

 弓使いの女が縄で縛られ何度も暴行されたエンフィーを無理やり起こす。

「ゴホッゴホッ。お姉ちゃんは来ないわ。私を連れてきても無駄よ!」

「うるせぇ!」
 横にいた大盾の男がエンフィーを殴った。

「そこまでやると死んでしまいますよ」
 魔法使いが大盾の男を止める。


「ふん、今日でまた『ガイド殺し』は復活するぞ」

「デニス! お前だけは…ぐっ」

 エンフィーはデニスに腹を思い切り殴られた。


 お姉ちゃんのことだからきっと来てしまう……でも、来ちゃだめ。お姉ちゃんは強くなったけど、それでもここに来たら必ず殺される……。
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