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第四章 『上級ガイド』のダンジョン探索編
37.匂い
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玄関の扉をガンガンと蹴り続けるナヴィ。
「くそ! 開いて!開いてよ!」
「ナヴィさんこの魔法相当強く掛けられているみたいです。力技では厳しいかと」
「そんなことわかってるわよ。でも……」
「あ、ナヴィさんあっちはどうでしょう?」
ルナはカウンターの奥にある、夕日が差し込んでいた窓を指した。
「なるほどその手があった!」
ルナはそのまま窓の方に向かいロックを外そうと鍵に手を掛ける。
「ん? 待って、ルナ危ない!」
「え?」
鍵に手を掛けた瞬間、鍵から赤い魔法陣が展開された。
「まさか!」
急いでルナの助けに向かおうとするナヴィだったが間に合いそうにない距離だった。
魔法陣はナヴィを待つことなく大爆発を起こした。
その大爆発により、部屋の隅々に仕掛けられていた魔法陣が連動するように展開され、数十秒間爆発し続けた。
煙からは吹き飛んだ家具の木くずと火の粉が混ざり合い、その中にはうつ伏せで倒れていた二人のガイドの姿があった。
ルナはよろめきながらもなんとか体を起こすことができた。
「はぁ、はぁ。何とか助かった。ん、この薄い緑の膜……ナヴィさんの<ボディプロテクト>これは確か複数人はかけられないはず。まさか」
ルナが恐る恐るナヴィの方に視線を向けると、そこにはひどい火傷を負い、大ダメージを受けたナヴィが意識を失った状態で倒れていた。
「そんな!」
ルナは瀕死状態になったナヴィを抱きかかえた。
「ナヴィさん! しっかりしてください! ナヴィさん!」
これじゃあさっきのレミ様と同じ……
「ここで死んではいけません!」
<ガーディアン・ホーリーラビット!>
天使の輪を付けた兎のガーディアンが召喚された。
「ホーリーラビット、わたくしの魔力をフルで使います。全力で治してください!」
ルナの持つ半分以上の魔力をその兎に与えた。
数分経つとその兎の治癒能力により、ナヴィの火傷とダメージが引いていった。
「ル……ナ」
ナヴィはゆっくりと目を開ける。
ぼやけていた視界から徐々にルナの姿が映り始めた。
「ルナ……無事?」
ナヴィは回復しきれていない爛れた手でルナの顔に触れる。
「ナヴィさん! あなたがここで死んでどうするんですか! なんで<ボディプロテクト>をわたくしに掛けたんですか!? わたくしなんか放っておいて、自分に掛けるべきだったのに……」
目に涙を浮かばせながら訴えるルナ。
「あはは、そうだね。昔のあたしだったらそうしてたかも。でも、ルナを助けることができた。あたしにとって今はそっちの方が大事」
火傷の痛みがありながらもルナに微笑んだ。
「グスッ。それにエンフィーさんだって」
「そうだ! エンフィー! いっつ……」
「まだ完全には治りきっていないのでもう少し安静にしてから」
「いいえ、今すぐにでも行かないと」
魔力を高めていくナヴィ。
<ホーリーヒール!>
ナヴィとルナの身体が一気に回復した。
よし、残ってる魔力の大半を費やしたからさすがの回復力ね。とはいってもさっきの<ボディプロテクト>にも相当な魔力を込めたからほとんどもう魔力が尽きてる。
「ナヴィさんありがとうございます。わたくしまで回復してもらって」
「全然いいのよ。ルナには少し手伝ってもらいたいことがあるし」
「それはもちろんです!」
「っと、その前に」
ナヴィは爆発により荒れた部屋をきょろきょろと観察した。
あんな大爆発だったのに壊れたのは家具だけ……家自体も壊れていない。ということは、掛けた魔法は鍵の魔法じゃなくて、家そのものに防御の陣を……?
「ナヴィさん?」
「ルナ、ちょっと扉から離れてて」
ナヴィの杖が光りだす。
<ツヴァイエアシュート!>
普段よりも凝縮され、威力と密度を増した空気の弾丸が扉を打ち破った。
やっぱり……。さっきの大爆発でほとんど陣の耐久力は失っていた。まぁ普通は死ぬレベルの大爆発だったからちょうどいいレベルで作ったってことだったのね。
「ナヴィさん、これってもう」
「えぇ、はっきりしたね。エンフィーは何者かにさらわれた」
「はい、やっぱりカード通りに……」
「気にすることないわ。それよりも助けに行く方法を考えましょ。それでルナ、ガーディアン使いのあなたに折り入って頼みたいことが……」
「使いってほどではないですが何でしょう」
苦笑いで答えるルナ
「あなたのことだからきっと追跡ができたり、手がかりを探すことができるガーディアンもいるわよね?」
目をきらりと輝かせてルナを見つめた。
「ふふ、流石お察しがいいですね。ナヴィさん。では早速」
<ガーディアン・ハウンドドッグ!>
魔法陣から全長二メートルほどのグレーの毛皮を持った大型犬のガーディアンが召喚された。
うわ、毛並み綺麗……足も細いし。可愛いというより高貴な感じですごく綺麗。あたしも欲しいかも。
「ごきげんようルナ。久しぶりね」
「え、しゃ、喋った!?」
「数は少ないですがこのように話すことができるガーディアンもいるんです。ごきげんようアメルダ」
「そちらの美人なガイドさんは?」
「あ、こちらはナヴィさんです」
「ナヴィさんね、よろしく」
ナヴィにお辞儀をするアメルダ。
「え、えぇこちらこそよろしくお願いします。えっとーアメルダさん?」
「ふふ、さんなんて気にしなくていいわ。普通にアメルダで大丈夫よ」
「そ、そう? そしたらよろしくね、アメルダ」
ナヴィとアメルダは手を合わせた。
あれ、これって品はいいけどただの『お手』じゃ……。
「それでルナ、こんなひどい匂いの部屋に私を召喚したということは何かあったのね」
「はい、実は……」
ルナはこれまでの経緯をアメルダに伝えた。
「なるほど、つまり私の鼻を使ってそのエンフィーさんを助けたいと」
「お願いできるかしらアメルダ」
ナヴィはアメルダの前足を握った。
「もちろんですナヴィさん。あなたの大切な妹ですから、必ず探し出します。とはいってももう大方見当は付きました」
「え? もう?」
「このアメルダはすごく優秀なんです! それでアメルダ、何かわかった?」
「香ってくる匂いは殆どはその日限りの匂いですが、染みついている匂いはいくつかありました。ナヴィさんに、エンフィーさん、少し前になると思いますが老人の匂い、そして最近匂いが強くなっている中年男性の香りです」
「四つ……それで?」
ナヴィは質問を続けた。
「玄関に続く道には数刻前に出たと考えられるエンフィーさんと中年男性の匂いがかすかに残ってます」
「ということはやはりデニス……」
「これは私の勘ですがその中年男性から様々な冒険者の匂いが付いていました。それも腐敗したような匂いです」
一分ほどの沈黙が続いた後、ナヴィは二人に話しかけた。
「……ルナ、アメルダ」
「「はい?」」
「ごめん、あたし一人じゃどうしようもないかもしれない、二人がもしよければエンフィーを助けるのを手伝ってもらえないかしら」
ルナとアメルダは不思議そうにナヴィを見た後、笑顔で答えた。
「もちろんです! ナヴィさんはわたくしのことを二回も救ってくれた命の恩人ですから!」
「ルナがそういうなら私ももちろん手伝います」
「ありがとう二人とも……」
待っててねエンフィー。必ず助けに行くからね。
第四章 『上級ガイド』のダンジョン探索編 完
「くそ! 開いて!開いてよ!」
「ナヴィさんこの魔法相当強く掛けられているみたいです。力技では厳しいかと」
「そんなことわかってるわよ。でも……」
「あ、ナヴィさんあっちはどうでしょう?」
ルナはカウンターの奥にある、夕日が差し込んでいた窓を指した。
「なるほどその手があった!」
ルナはそのまま窓の方に向かいロックを外そうと鍵に手を掛ける。
「ん? 待って、ルナ危ない!」
「え?」
鍵に手を掛けた瞬間、鍵から赤い魔法陣が展開された。
「まさか!」
急いでルナの助けに向かおうとするナヴィだったが間に合いそうにない距離だった。
魔法陣はナヴィを待つことなく大爆発を起こした。
その大爆発により、部屋の隅々に仕掛けられていた魔法陣が連動するように展開され、数十秒間爆発し続けた。
煙からは吹き飛んだ家具の木くずと火の粉が混ざり合い、その中にはうつ伏せで倒れていた二人のガイドの姿があった。
ルナはよろめきながらもなんとか体を起こすことができた。
「はぁ、はぁ。何とか助かった。ん、この薄い緑の膜……ナヴィさんの<ボディプロテクト>これは確か複数人はかけられないはず。まさか」
ルナが恐る恐るナヴィの方に視線を向けると、そこにはひどい火傷を負い、大ダメージを受けたナヴィが意識を失った状態で倒れていた。
「そんな!」
ルナは瀕死状態になったナヴィを抱きかかえた。
「ナヴィさん! しっかりしてください! ナヴィさん!」
これじゃあさっきのレミ様と同じ……
「ここで死んではいけません!」
<ガーディアン・ホーリーラビット!>
天使の輪を付けた兎のガーディアンが召喚された。
「ホーリーラビット、わたくしの魔力をフルで使います。全力で治してください!」
ルナの持つ半分以上の魔力をその兎に与えた。
数分経つとその兎の治癒能力により、ナヴィの火傷とダメージが引いていった。
「ル……ナ」
ナヴィはゆっくりと目を開ける。
ぼやけていた視界から徐々にルナの姿が映り始めた。
「ルナ……無事?」
ナヴィは回復しきれていない爛れた手でルナの顔に触れる。
「ナヴィさん! あなたがここで死んでどうするんですか! なんで<ボディプロテクト>をわたくしに掛けたんですか!? わたくしなんか放っておいて、自分に掛けるべきだったのに……」
目に涙を浮かばせながら訴えるルナ。
「あはは、そうだね。昔のあたしだったらそうしてたかも。でも、ルナを助けることができた。あたしにとって今はそっちの方が大事」
火傷の痛みがありながらもルナに微笑んだ。
「グスッ。それにエンフィーさんだって」
「そうだ! エンフィー! いっつ……」
「まだ完全には治りきっていないのでもう少し安静にしてから」
「いいえ、今すぐにでも行かないと」
魔力を高めていくナヴィ。
<ホーリーヒール!>
ナヴィとルナの身体が一気に回復した。
よし、残ってる魔力の大半を費やしたからさすがの回復力ね。とはいってもさっきの<ボディプロテクト>にも相当な魔力を込めたからほとんどもう魔力が尽きてる。
「ナヴィさんありがとうございます。わたくしまで回復してもらって」
「全然いいのよ。ルナには少し手伝ってもらいたいことがあるし」
「それはもちろんです!」
「っと、その前に」
ナヴィは爆発により荒れた部屋をきょろきょろと観察した。
あんな大爆発だったのに壊れたのは家具だけ……家自体も壊れていない。ということは、掛けた魔法は鍵の魔法じゃなくて、家そのものに防御の陣を……?
「ナヴィさん?」
「ルナ、ちょっと扉から離れてて」
ナヴィの杖が光りだす。
<ツヴァイエアシュート!>
普段よりも凝縮され、威力と密度を増した空気の弾丸が扉を打ち破った。
やっぱり……。さっきの大爆発でほとんど陣の耐久力は失っていた。まぁ普通は死ぬレベルの大爆発だったからちょうどいいレベルで作ったってことだったのね。
「ナヴィさん、これってもう」
「えぇ、はっきりしたね。エンフィーは何者かにさらわれた」
「はい、やっぱりカード通りに……」
「気にすることないわ。それよりも助けに行く方法を考えましょ。それでルナ、ガーディアン使いのあなたに折り入って頼みたいことが……」
「使いってほどではないですが何でしょう」
苦笑いで答えるルナ
「あなたのことだからきっと追跡ができたり、手がかりを探すことができるガーディアンもいるわよね?」
目をきらりと輝かせてルナを見つめた。
「ふふ、流石お察しがいいですね。ナヴィさん。では早速」
<ガーディアン・ハウンドドッグ!>
魔法陣から全長二メートルほどのグレーの毛皮を持った大型犬のガーディアンが召喚された。
うわ、毛並み綺麗……足も細いし。可愛いというより高貴な感じですごく綺麗。あたしも欲しいかも。
「ごきげんようルナ。久しぶりね」
「え、しゃ、喋った!?」
「数は少ないですがこのように話すことができるガーディアンもいるんです。ごきげんようアメルダ」
「そちらの美人なガイドさんは?」
「あ、こちらはナヴィさんです」
「ナヴィさんね、よろしく」
ナヴィにお辞儀をするアメルダ。
「え、えぇこちらこそよろしくお願いします。えっとーアメルダさん?」
「ふふ、さんなんて気にしなくていいわ。普通にアメルダで大丈夫よ」
「そ、そう? そしたらよろしくね、アメルダ」
ナヴィとアメルダは手を合わせた。
あれ、これって品はいいけどただの『お手』じゃ……。
「それでルナ、こんなひどい匂いの部屋に私を召喚したということは何かあったのね」
「はい、実は……」
ルナはこれまでの経緯をアメルダに伝えた。
「なるほど、つまり私の鼻を使ってそのエンフィーさんを助けたいと」
「お願いできるかしらアメルダ」
ナヴィはアメルダの前足を握った。
「もちろんですナヴィさん。あなたの大切な妹ですから、必ず探し出します。とはいってももう大方見当は付きました」
「え? もう?」
「このアメルダはすごく優秀なんです! それでアメルダ、何かわかった?」
「香ってくる匂いは殆どはその日限りの匂いですが、染みついている匂いはいくつかありました。ナヴィさんに、エンフィーさん、少し前になると思いますが老人の匂い、そして最近匂いが強くなっている中年男性の香りです」
「四つ……それで?」
ナヴィは質問を続けた。
「玄関に続く道には数刻前に出たと考えられるエンフィーさんと中年男性の匂いがかすかに残ってます」
「ということはやはりデニス……」
「これは私の勘ですがその中年男性から様々な冒険者の匂いが付いていました。それも腐敗したような匂いです」
一分ほどの沈黙が続いた後、ナヴィは二人に話しかけた。
「……ルナ、アメルダ」
「「はい?」」
「ごめん、あたし一人じゃどうしようもないかもしれない、二人がもしよければエンフィーを助けるのを手伝ってもらえないかしら」
ルナとアメルダは不思議そうにナヴィを見た後、笑顔で答えた。
「もちろんです! ナヴィさんはわたくしのことを二回も救ってくれた命の恩人ですから!」
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