村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
40 / 262
第五章 逆襲の『ガイド殺し』 エンフィー奪還編

40.補助魔法の使い方

しおりを挟む
「ルナ、ナヴィさん。このダンジョンです」
 アメルダは背中に乗せていた二人を降ろす。

「ありがと!」
「ありがとうございます。アメルダ」

「お安い御用です」

「このダンジョン……」
 確か前にサム様のパーティーの同行をした時の……ボスはビッグゴブリンだったかしら。嫌な相手だった記憶が。

「ナヴィさん?」

「あ、ごめんルナ、昔ここのダンジョンに同行で入ったことがあって」

「なるほど、じゃあここはナヴィさんに任せた方がよさそうですね」

「えぇ、でもアメルダの嗅覚も必要だから疲れてるところ申し訳ないけどもう少しだけ力を貸してくれる?」

「もちろんです。ナヴィさん」

 ただ、ガーディアンを使っている間は術者の魔力が継続的に減っていく。私レベルのガーディアンだと余計減りが早くなる。

「ルナ、大丈夫?」

「アメルダ……大丈夫です。もう少しだけ頑張れます」

「わかりました。では二人とも行きましょう」

「はい!」
「えぇ、アメルダよろしく」


 ダンジョン内は迷路のように複雑な構造になっているが、前回同様ナヴィの的確な道案内で最深部までの最短ルートを歩くことができていた。

「ルナ! アメルダ! ゴブリン型のモンスターよ」

「任せてください!」

 アメルダはスピードを一気に上げゴブリンに突進していく。

<アタックグロウ!>

 ナヴィの補助魔法により、アメルダの攻撃力が上がる。

 アメルダの突進はゴブリンに大ダメージを与え、一撃で倒すことができた。

「ナヴィさんありがとう」

「いいえ、少し強めのモンスターだったから魔力を温存しようとしてたけどつい……」

 あのモンスターは普通のゴブリンじゃなく、ゴブリンゾンビだった。サム様達の同行の時には出てこなかった。ダンジョンのレベルが変わってるのかしら。それとも……


 その後も何度かモンスターに遭遇したがアメルダとナヴィの下級攻撃魔法で順調に倒していった。


<エアウォール!>
 空気の壁がモンスターを押し潰した。

「お見事です! ナヴィさん」

「ありがとうルナ」

 また前に出てこなかったモンスターだった。でも、前回もいた普通のゴブリンもいる。おそらくもう予想できるのは一つしかない。これは確かにまずいかも。



「ナヴィさん。ここです、この部屋の奥に強い匂いを感じるわ」

「ボス部屋の奥ね。前回はレアアイテムをドロップして終わったからその先にはいかなかったのよね」

「ナヴィさんここのボスはどんなボスなんですか?」

「ビッグゴブリンだったわ、攻撃力とスピードがあるけどHPは少ないから強力な攻撃を一気に当てればそんなに苦労しないはずよ」

「なるほど、アメルダ。まだいけそうですか?」

 ダンジョンに入ってからルナのアメルダに注ぐ魔力が少量になっていたためアメルダも疲弊していた。

「えぇ、ここの戦闘くらいなら何とか……最悪消える前にあれもできるし……」 

 ……あれって?

「すみません。お願いします」

 ルナはガーディアンを出してるから他に魔法は使えない。実質アメルダとあたしでやらなきゃいけないってことね。あたしもさっきのMPポーション分はほとんど尽きてるし最小限の魔法でどこまでできるか……。

「時間がない。ナヴィさん、ルナ。行きましょう」

「「はい!」」

 ボス部屋に入ったナヴィはビッグゴブリンの姿に一驚を喫した。

「なんで……」

「ナヴィさん?」

 横を向くルナの目に映ったのは、思考回路が完全に停止してしまったかのように固まったナヴィの姿だった。

「ナヴィさん、ルナ! 危ない!」

 アメルダは体の側面を使い、二人の身体を吹き飛ばした。

 ナヴィとルナがいた場所には、攻撃に移ったビッグゴブリンのこん棒が目では追うことができないほどの速度で振り下ろされていた。

「ナヴィさんしっかり!」

「あれはあたしの知ってるビッグゴブリンじゃない。強化されている……?」

 あのオーラからしてかかってるのは<アクセル><アタックグロウ>の二つ。魔力のレベル自体は低いけど、明らかに前回よりも強い……。

「ルナ、ナヴィ。離れていてください」

「アメルダ!」
<アクセル!>
<アタックグロウ!>

 ナヴィは杖を構え、ビッグゴブリンに突進していくアメルダに補助魔法を掛けた。

 これならいける!このままゴブリンに突っ込めば!

 アメルダはゴブリンのスピードを超え、重い一撃を腹部に与えた。

「グオォ……」

 よし、このままいけば私もこの状態で終われる!

 攻撃を続けるアメルダにゴブリンもスピードの上がった攻撃を繰り出す。

「くっ、やっぱりそれでもこのゴブリン速い……」

「一気に決めます!」
<電光石火!>

 アメルダは目にも留まらぬスピードでゴブリンに連撃を与えていった。

 二人はアメルダの戦いぶりを見て勝ちを確信した。
「ルナ」
「えぇ倒せそうです!」

 大ダメージを受けたゴブリンは持っていたこん棒を足元に落とし、動きが止まる。

「次で決める!」

 その瞬間ビッグゴブリンは緑色の光に包まれた。


 ナヴィは目を大きく見開いた。
「これは<ヒール>……?」

「ぎゃぁ!」
 その光を凝視してしまったアメルダが、ゴブリンのこん棒の振り払いの反撃で壁まで吹き飛ばされた。


「アメルダ!?」


「ナヴィさん、モンスター単体でこんなことって」

「えぇ、普通はありえない。考えられるのは一つ。あたしみたいにモンスターに補助魔法を掛けている人間がいるってことよ」

「そんな……それはまさか」

「間違いなくデニス達の仕業ね。それにあたしでもない限り一人の人間がこんなにバンバンと補助魔法を掛けることはできない」

 おそらく複数の魔法使いがこのボスに力を与えている。ここでは本当は出なかったはずのモンスターもおそらく……。

 アメルダもやられた。それにここを突破したとしても……くそ! どうしたら。 

 エンフィー……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...