村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第五章 逆襲の『ガイド殺し』 エンフィー奪還編

43.絶体絶命

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「囲んで一気に取り押さえろぉ!」

「「おぉ!」」

 冒険者たちの攻撃がナヴィ達に降りかかった。

「ナヴィさん。離れてください! ガーディアンを出します!」

「分かった。よろしく!」

<ガーディアン・パワードタイガー!>

 グレーの魔法陣から白黒の縞模様の虎が召喚された。

 その虎は冒険者に威嚇をするように咆哮した。

「ホワイトタイガーみたい……これならいける!」
<アクセル!>
<アタックグロウ!>

 召喚された虎がナヴィの補助魔法により青と赤のオーラを纏った。

「さぁ、パワードタイガー行きなさい!」

「グルァァァァ!」
 冒険者に突っ込んでいくガーディアン。 

「ひっひぃ!」

「落ち着け。たかがガーディアンが一体増えただけだ。おい魔法使いども! 援護しろ」
 槍の冒険者が指示を出すと魔法使いたちの前に魔法陣が展開され始めた。

「はぁぁぁ!」

「!?」

 ナヴィは一人の魔法使いに杖で応戦した。

「邪魔だ! 魔法が撃てねぇだろ」

「絶対撃たせない。はぁ!」

「ぐあっ」
 ナヴィはその魔法使いを杖で薙ぎ払う。

<エアシュート!>

 魔法を唱えていた別の魔法使いに空気の弾丸を食らわした。

 よし、魔法はもう使えないけど、このまま杖で一気に気絶まで持ち込める……。


「きゃあ!」

「おいおい、あんまり暴れんなよなぁ」

 槍の冒険者……くそ。

 ナヴィは杖を振りかざし槍使いに攻撃した。

「あ? なめてんのか。」

 しかし、その攻撃はいとも簡単に槍で止められた。

「お前がいくら上級ガイドだからって、冒険者様に敵うわけないだ、ろ!」

 ナヴィのみぞおちに槍使いの蹴りが炸裂する。

「ぐはぁ!」


「ほらどんどんいくぜ!」

 攻撃が始まった。


 くっ、この槍使いデニス達よりずっと強い。攻撃が早くて止められない。

 攻撃を受けつつもナヴィは槍使いに問いを発した。

「あなた、なんでこんなに強いのにデニス達に加担するの……?」

「あ、さっきも言ったろ。金だよ!」

「ぐっ!」

 槍の重い一撃によりナヴィは吹き飛ばされた。

 想像以上に強い。ルナたちのことを気に掛けられるほど余裕がない……大丈夫かしら。それにしてもこの人……。

「そんなに強かったら普通は依頼が来たり報酬がたくさんもらえたりするはずよ。あたしにはあなたがこのグループで行動している理由がとてもお金だけだとは思えない」

 ナヴィの真っ直ぐな目に槍使いの動きが止まる。

「は、どうせ死ぬんだから話してもいいか。理由は単純だ。稼げなくなったからだ」

「それはどういうこと?」

「報酬がいい高難易度のクエストを受けたが、失敗した。その噂はガイドから広まり、依頼は激減。与えられるクエストは簡単なもののみ。さっきのデニスさんの話聞いてただろ。落ちこぼれたんだよ」


「それで、あなたはその後もその簡単なクエストを受けるようにしてたのかしら?」

「するわけねえだろ! 簡単なクエストじゃ金ももらえねぇ。だからこうやって金を稼ごうとしてるんじゃねぇか」

「はぁ、ガイドも報われないわね」

 呆れたという顔をするナヴィ。

「は? あいつらのせいで俺らの仕事がなくなったんだぞ」

「そのガイドはきっとまたあなたに自信を取り戻させるために簡単なクエストを依頼したんじゃないの? 冒険者様は一度の失敗を重く受け止めすぎることがよくある。そこから立ち直らせるための配慮だったんじゃないの? あたしならそうするけどね」

 ナヴィのその言葉に槍使いははっとさせられた。

「それで、そのガイドは?」

「その簡単なクエストの同行を依頼し殺してやった」

「きっとその人はあなたが同行を頼んでくれたのを喜んでくれていたはずよ」

「るせぇ。そんなわけねぇだろ……」


「おい!何を止まっている? さっさとナヴィを殺せ!」

 デニスの一括で槍使いの身体が無意識に動いた。

「お前はただの村人上がりだろ! 余計な口出しするんじゃねぇ!」

「くっ」

 やばい、さっきよりもスピードもパワーも桁違い。これじゃ杖が……。あっ。

 ナヴィの杖が槍の強烈な突きにより、真っ二つに折れた。

「死ねぇ!」
<サウザンドランス!>


「きゃあぁぁぁぁぁ!」
 槍使いの目にも留まらぬ連撃がナヴィに襲い掛かった。
 ナヴィはその攻撃により数秒宙に浮き。そこから真下に落ちていった。



「お姉ちゃん! うっ」

 大盾使いがエンフィーの首元のナイフをふらふらと動かす。
「ふん、人質を使うまでもなかったな」

 折れた杖が手からするりと抜け、ナヴィはその場で倒れた。

「ナヴィさん! きゃ!」

 他の冒険者を相手にしていたパワードタイガーも力尽き、ルナの魔力も底を尽きていた。 

「う……く……もう」

「お前も大人しくしてなガーディアン使い」

 刀使いがルナの首に鞘をすとんと当てた。



「う、うぅ……」
 ナヴィは目を覚ました。

 ルナ……ガーディアンも倒されてる。やっぱりだめか……。

「いっ……」

 槍使いはナヴィの長い黒髪を手に絡め、デニスの元へと引きずっていく。ルナも同様の扱いを受けデニスの元へと連れられた。

「げほっ。げほっ。デニス……デニスゥ!」

「ははは、よくまだそんな怖い顔ができますね。もう抵抗する力なんてないくせに」

「お前なんかにあたしは屈しない! ルナ。起きて。ルナ!」

 ジタバタと抵抗しながらナヴィはルナを呼び続けた。

「まだ起きないでしょうね、しっかりと気絶させたので」

「これからあたし達をどうするつもりなの」


「社会的に抹殺するだけさ。『冒険者を手玉に取る淫乱ガイド』こんな記事でどうかな?」

「デニス……。お前!」

<キャプチャーロープ!>

 デニスパーティーの魔法使いがルナとナヴィの腕を魔法で縛り上げた。

「何これ、外れない……」

「そんな簡単には外れません。僕も強めに魔力を込めたので」



「さぁ、協力者の皆さん。後はお好きにどうぞ」

 にやにやとしながら取り囲んでいた冒険者たちが武器と防具を捨て、ナヴィ達に一斉に襲い掛かった。

「やだ! お姉ちゃんお姉ちゃん!」

「うるせぇ、よく見てろ。お前のお姉ちゃんたちがお前の目の前で恥ずかしい姿になるのをな!」



「ナ、ナヴィさんこ、これは……や、いや! こ、こないで!」

「やめろ! 触るな! ルナにも触るな!」



 抵抗する二人の防具に冒険者の手が触れた瞬間。

 部屋の入り口から強力な衝撃波が飛んできた。

「ぐっなんだ!」


「貴様ら。何をしている」


「な、なんだてめぇ!」
「いいところなのに邪魔しやがって」


「あ、あれは……」
 ナヴィには一瞬で誰が来たのかを理解することができた。

 ブラウンの髪に、白銀のロングコート、背中に背負っている漆黒の大剣。

「テリウス様……」


 テリウスは遠くからデニスを睨みつけた。

「お前たち、覚悟しろ。一瞬で蹴りを付けてやる」
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