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第六章 コイルとエンフィー『幸運の聖水』を求めて
46.決意
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「え、わ、私ですか?」
目をぱちくりとさせコイルに再度尋ねた。
「村でナヴィさんが仕事を離れているという情報を聞きました」
「そうですか、もう村の人たちも知っているんですね……」
「それで僕いてもたってもいられなくて、色々調べてみたんです。それについてエンフィーさんにお話がしたくて」
そうか……コイル様も心配で。
「ありがとうございます。そうしましたら中で話しましょう。入って下さい」
「ありがとうございます!」
始業時間は過ぎていたが、看板はクローズのままにした。
「コイル様こちらでおかけになってお待ちください。何かお飲み物お出ししましょうか?」
「あ、そしたらコーヒーをお願いします」
「かしこまりました」
エンフィーがコーヒーを入れている間に会話はなく、ポットにお湯を入れる音、食器を準備する際のカチャカチャという音が鳴り続いていた。
「コイル様、どうぞ」
「ありがとうございます」
「私も飲んでもよろしいでしょうか?」
「も、もちろんです!」
「……」
「……」
「……静かですね。こんな静かな店内も初めてかもしれません」
「ええ。仕事を再開してからはこんな感じです。ナヴィの常連様も心配してなるべく来ないようにしてくれています。私はまだまだできることもお客さんの数も少ないので……」
「ナヴィさんは上に?」
「はい、しかしもう部屋を出ないで一週間になります。シャワーとトイレの時だけは出てきているのですが私を避けて行動しているっぽいんです」
「そうですか……」
「大丈夫ですよコイル様。ナヴィももう少ししたらすぐ元気になりますよ!」
エンフィーは俯くコイルを元気付けようと、必死で笑顔を作って励ました。
「そ、そうですよね……」
「……」
「……」
エンフィーの笑顔が数秒固まっていたが、このままじゃまずいと自分の顔をパンパンと二回叩き話題を変えた。
「そういえば、コイル様。私に同行の依頼ということでしたよね」
「あ、そうです! そのことなのですが、このマップを見てください」
手に持っていた大きなマップをカウンターに目一杯広げた。
「このマップは……」
「エンフィーさん。ここから南西に向かって半日ほど歩くと滝があるのを知ってますか?」
「はい。確か『竜門の滝」ですよね」
「その通りです。実はこの滝の中にダンジョンがあったことが最近発見されました」
「あ、確か聞いたことがあります。初心者には少し難しめのダンジョンだという情報だけは」
「それで、僕はここの最深部にあると噂されている『幸運の聖水』をゲットしたいんです」
「『幸運の聖水』ですか。最深部ということはレアアイテムでしょうか?」
「そうです。この聖水をゲットするためにぜひエンフィーさんに同行をお願いしたいです」
「分かりました。ちなみにそのレアアイテムにはどんな効果が?」
「それなのですが、僕もいまいちわかっていません。ただ……」
「ただ?」
「それを飲んだものには幸運が訪れると……」
「あはは、コイル様は幸せになるためにその聖水を」
エンフィーはお茶を濁し、コーヒーのカップに口を付けた。
「いえ、僕は飲みません」
コイルは真っ直ぐにエンフィーの瞳を見つめた。
「え……」
「ナヴィさんに飲ませたいんです」
「お、お姉ちゃんにですか!?」
「はい。どんな効果があるかは正直わかりませんが、ナヴィさんには元気になってもらいたいんです。そのために何ができるかなって考えた時、このダンジョンを見つけたんです」
「コイル様……」
「見てください、これ」
コイルはシャツのボタンを外し胸のタトゥーをエンフィーに見せた。
「コイル様……もうレベル二十クラスになったのですか……すごく早いです」
タトゥーを見たエンフィーは目を丸くした。
「はい。最初はスライムにすら怯えて震えていた僕に、同行してくれたナヴィさんは優しく手を取って戦い方を教えてくれました。僕はそれまで何も知らず冒険者なんて嫌だと思っていたのですが、ナヴィさんはその素晴らしさを教えてくれたんです」
「それで思ったんです。今度は僕が助ける番だって。」
「……」
「……エンフィーさん?」
不意にエンフィーの左目から涙がこぼれた。
「あれ、なんで。グスッ。すみません。ちょっと待ってもらえますか……?」
何度も手で涙を拭くもそれ以上の量が流れてきていた。
「えぇ。大丈夫です」
エンフィーはカウンターに顔を伏せ二階には聞こえないように泣いた。
コイルはそれをただ見守り続けていた。
お姉ちゃん、お姉ちゃんはやっぱりすごいよ。こうやって色んな冒険者様を支えて、慕われて……
そこから数分が経ちエンフィーは顔を上げた。その顔は何か決意したような勇ましい表情をしていた。
「コイル様、この度は同行の依頼ありがとうございます。この仕事、ぜひ私に引き受けさせてください!」
コイルは頬を上げしっかりと答えた。
「はい! よろしくお願いします!」
二人はがっちりと握手を交わした。
「コイル様。今回は同行依頼のお代は頂きません」
「あれ? そんないいですよ」
「二人で」
「え?」
「私達二人でゲットしましょうね!」
いつものエンフィーの笑顔に戻った。
『幸運の聖水』を求め、コイルとエンフィーの旅が今始まる。
第六章 コイルとエンフィー『幸運の聖水』を求めて 始動!
目をぱちくりとさせコイルに再度尋ねた。
「村でナヴィさんが仕事を離れているという情報を聞きました」
「そうですか、もう村の人たちも知っているんですね……」
「それで僕いてもたってもいられなくて、色々調べてみたんです。それについてエンフィーさんにお話がしたくて」
そうか……コイル様も心配で。
「ありがとうございます。そうしましたら中で話しましょう。入って下さい」
「ありがとうございます!」
始業時間は過ぎていたが、看板はクローズのままにした。
「コイル様こちらでおかけになってお待ちください。何かお飲み物お出ししましょうか?」
「あ、そしたらコーヒーをお願いします」
「かしこまりました」
エンフィーがコーヒーを入れている間に会話はなく、ポットにお湯を入れる音、食器を準備する際のカチャカチャという音が鳴り続いていた。
「コイル様、どうぞ」
「ありがとうございます」
「私も飲んでもよろしいでしょうか?」
「も、もちろんです!」
「……」
「……」
「……静かですね。こんな静かな店内も初めてかもしれません」
「ええ。仕事を再開してからはこんな感じです。ナヴィの常連様も心配してなるべく来ないようにしてくれています。私はまだまだできることもお客さんの数も少ないので……」
「ナヴィさんは上に?」
「はい、しかしもう部屋を出ないで一週間になります。シャワーとトイレの時だけは出てきているのですが私を避けて行動しているっぽいんです」
「そうですか……」
「大丈夫ですよコイル様。ナヴィももう少ししたらすぐ元気になりますよ!」
エンフィーは俯くコイルを元気付けようと、必死で笑顔を作って励ました。
「そ、そうですよね……」
「……」
「……」
エンフィーの笑顔が数秒固まっていたが、このままじゃまずいと自分の顔をパンパンと二回叩き話題を変えた。
「そういえば、コイル様。私に同行の依頼ということでしたよね」
「あ、そうです! そのことなのですが、このマップを見てください」
手に持っていた大きなマップをカウンターに目一杯広げた。
「このマップは……」
「エンフィーさん。ここから南西に向かって半日ほど歩くと滝があるのを知ってますか?」
「はい。確か『竜門の滝」ですよね」
「その通りです。実はこの滝の中にダンジョンがあったことが最近発見されました」
「あ、確か聞いたことがあります。初心者には少し難しめのダンジョンだという情報だけは」
「それで、僕はここの最深部にあると噂されている『幸運の聖水』をゲットしたいんです」
「『幸運の聖水』ですか。最深部ということはレアアイテムでしょうか?」
「そうです。この聖水をゲットするためにぜひエンフィーさんに同行をお願いしたいです」
「分かりました。ちなみにそのレアアイテムにはどんな効果が?」
「それなのですが、僕もいまいちわかっていません。ただ……」
「ただ?」
「それを飲んだものには幸運が訪れると……」
「あはは、コイル様は幸せになるためにその聖水を」
エンフィーはお茶を濁し、コーヒーのカップに口を付けた。
「いえ、僕は飲みません」
コイルは真っ直ぐにエンフィーの瞳を見つめた。
「え……」
「ナヴィさんに飲ませたいんです」
「お、お姉ちゃんにですか!?」
「はい。どんな効果があるかは正直わかりませんが、ナヴィさんには元気になってもらいたいんです。そのために何ができるかなって考えた時、このダンジョンを見つけたんです」
「コイル様……」
「見てください、これ」
コイルはシャツのボタンを外し胸のタトゥーをエンフィーに見せた。
「コイル様……もうレベル二十クラスになったのですか……すごく早いです」
タトゥーを見たエンフィーは目を丸くした。
「はい。最初はスライムにすら怯えて震えていた僕に、同行してくれたナヴィさんは優しく手を取って戦い方を教えてくれました。僕はそれまで何も知らず冒険者なんて嫌だと思っていたのですが、ナヴィさんはその素晴らしさを教えてくれたんです」
「それで思ったんです。今度は僕が助ける番だって。」
「……」
「……エンフィーさん?」
不意にエンフィーの左目から涙がこぼれた。
「あれ、なんで。グスッ。すみません。ちょっと待ってもらえますか……?」
何度も手で涙を拭くもそれ以上の量が流れてきていた。
「えぇ。大丈夫です」
エンフィーはカウンターに顔を伏せ二階には聞こえないように泣いた。
コイルはそれをただ見守り続けていた。
お姉ちゃん、お姉ちゃんはやっぱりすごいよ。こうやって色んな冒険者様を支えて、慕われて……
そこから数分が経ちエンフィーは顔を上げた。その顔は何か決意したような勇ましい表情をしていた。
「コイル様、この度は同行の依頼ありがとうございます。この仕事、ぜひ私に引き受けさせてください!」
コイルは頬を上げしっかりと答えた。
「はい! よろしくお願いします!」
二人はがっちりと握手を交わした。
「コイル様。今回は同行依頼のお代は頂きません」
「あれ? そんないいですよ」
「二人で」
「え?」
「私達二人でゲットしましょうね!」
いつものエンフィーの笑顔に戻った。
『幸運の聖水』を求め、コイルとエンフィーの旅が今始まる。
第六章 コイルとエンフィー『幸運の聖水』を求めて 始動!
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