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第六章 コイルとエンフィー『幸運の聖水』を求めて
57.二人
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エンフィーとコイルが海龍との戦闘を開始したころ、ナヴィは『竜門の滝』の目の前にいた。
乱れた呼吸を整えながら、滝を凝視する。
「勢いで来ちゃったけどこの滝どうしようかしら……」
一応二人の書き込みが入ったマップを持ってきたけど、ここに書いてあるのは二人での入り方だしなぁ。ここで立ち止まってもらんないし。
「どうしようかなぁ、ねぇハンナ?」
わざとらしい大きな声でナヴィは言った。
「んな!」
「もう、いるの分かってるんだからさっさと出てきなさい」
「僕の尾行はばれないと思ったんだけどなぁ。どこから気づいてたのかな?」
そういいながらハンナは草むらの陰から姿を現した。
「あたしが店を飛び出した時から」
「さ、最初からじゃないかー!」
「ふふ。まだまだだね、ハンナ」
「さすがナヴィ。それで、調子はどうだい?」
ハンナは声のトーンを一段階落とした落ち着いた口調でナヴィに問いかける。
「うん。何とかね。ありがとうハンナ」
「僕はなにもお礼を言われるようなことなんてしてないさ」
「あなたにあんなこと言われるまでは部屋の外にさえ出ようとしなかった。あなたのおかげよ」
「僕の? 違うよ。君が思うエンフィーへの愛の強さに感謝するべきさ。部屋を出たのは僕のためじゃないでしょ?」
「まぁそれもそうね。やっぱさっきの無し」
「え、そこ素直に受け取らないでよ! 感謝してよ。お礼言ってよ!」
「冗談よ。だって、その大切さに気付くきっかけをくれたのはハンナよ」
ハンナは腕を組みうんうんと頷いた。
「ふふ。どういたしまして。でも大事なのはここからさ。マップを見た君なら一瞬で気づいたでしょ?」
「えぇ、適性レベルが高いから正直二人には厳しいダンジョンだわ。とにかく早くいきましょう。さぁ、さっさと手伝ってちょうだい」
「うぅ、調子いいなぁ。相変わらず僕の扱い雑じゃない?」
「信頼してるからよ。ふふ」
「じゃあ行きますか!」
「ええ!」
こうして二人は無事にダンジョンの入り口に到達し、洞窟の中へと入っていった。
ナヴィとハンナはエンフィーたちのマップを見ながら最短ルートでボスの部屋に向かっていた。
「ねぇ、ナヴィ。さっきからビッグフロッグしか出てこないんだけど……」
「うん。おかしいわね。それに……」
神妙な面持ちで顎に手を添えるナヴィ。
「それに……?」
「エンフィーはカエルがめっちゃ苦手なのよ」
「……だめじゃん」
「ええ。多分終わったわ。どこかに逃げ隠れてるんじゃないかしら」
「そこに関しての信頼はゼロなんだね」
「普段の小さなカエルでも泣くレベルなのに、こんな大きなカエルなら絶対逃げだすに決まってるわ」
「余計心配だね」
「とにかく早く探さなきゃ……!?」
「うわわ!」
大きな地響きが二度三度起こった。
二人はその大きさに立っていられずその場で尻もちをついた。
「いった。何これすっごい音!」
「うん、地震なのかな」
地面に耳を当てるハンナ。
「……!? これまさか……」
「何か聞こえたの?」
「かすかだけど魔法陣が展開される時のあの独特な音と、剣が何かを斬ってる音が聞こえてくるよ」
剣……。ということはコイル様? まさかね。
「ナヴィ。ボスの部屋はこの階なのかい?」
「いいえ、確か地下二階よ……あ!」
「……ビンゴだね急ごう! 地響きが鳴ってる間は戦闘をしている証拠だよ。まだ間に合うかも!」
「うん!」
二人は全速力でボス部屋へと走り始めた。
<ツヴァイエアシュート!>
<ツヴァイエアウォール!>
「おいおい、ナヴィ、流石にちょっと飛ばしすぎじゃないかい?」
ハンナは双剣でモンスターを倒しながらナヴィに話しかける。
「一歩も止まってられないわ。早くいかないと。ほらハンナ、走りながら倒していくよ!」
<ドライマルアタックグロウ!>
「おお、攻撃力アップの上位魔法だね!」
ハンナの体が赤く光り、戦っていたモンスターを一撃で倒した。
「杖がないから効力はあまり期待しないでね」
「いやでもすごいよ。これなら止まらずに行ける!」
「よし、一気にボス部屋まで行くわよ!」
二人は走りながら道を塞ぐモンスターを倒していった。
「よし、ここさえ抜ければ……もうボス部屋はすぐよ!」
「うん。ナヴィ。魔力はまだあるかい?」
「ええ。半分くらいは!」
「オーケー! ……!? ちょっとストップ!」
急ブレーキを掛け、ハンナはその場で耳を澄ました。
「どうしたのハンナ……?」
「あ、ああ……」
目を見開き驚いた表情を見せるハンナ。
「ちょ、どうしたの!?」
「音が……。音が消えた」
「え……」
戦闘が終わったってこと……? あの二人だけじゃ勝てるはずがない。ということは……。
止まっていた二人だったが、ナヴィはハンナを待たず、反射的にボス部屋へと再度走り出した。
「ナヴィ!」
遅れてハンナも動き出す。
だめ、そんなのだめ。エンフィー。あなたが死んだらあたし……。
ナヴィはボス部屋の扉の前に到達したが、そのまま止まらず扉を思い切り開けた。
「エンフィー!」
……あ、あぁ。
続いてハンナが到着した。
「ナヴィ。相変わらず君は速いね……あ……」
横を見ると口を大きく開けたナヴィがいた。
「ナヴィ?」
「……間に合わなかった」
ナヴィの見つめる先にはボロボロになり、横たわっていたコイルとエンフィーの姿があった。
乱れた呼吸を整えながら、滝を凝視する。
「勢いで来ちゃったけどこの滝どうしようかしら……」
一応二人の書き込みが入ったマップを持ってきたけど、ここに書いてあるのは二人での入り方だしなぁ。ここで立ち止まってもらんないし。
「どうしようかなぁ、ねぇハンナ?」
わざとらしい大きな声でナヴィは言った。
「んな!」
「もう、いるの分かってるんだからさっさと出てきなさい」
「僕の尾行はばれないと思ったんだけどなぁ。どこから気づいてたのかな?」
そういいながらハンナは草むらの陰から姿を現した。
「あたしが店を飛び出した時から」
「さ、最初からじゃないかー!」
「ふふ。まだまだだね、ハンナ」
「さすがナヴィ。それで、調子はどうだい?」
ハンナは声のトーンを一段階落とした落ち着いた口調でナヴィに問いかける。
「うん。何とかね。ありがとうハンナ」
「僕はなにもお礼を言われるようなことなんてしてないさ」
「あなたにあんなこと言われるまでは部屋の外にさえ出ようとしなかった。あなたのおかげよ」
「僕の? 違うよ。君が思うエンフィーへの愛の強さに感謝するべきさ。部屋を出たのは僕のためじゃないでしょ?」
「まぁそれもそうね。やっぱさっきの無し」
「え、そこ素直に受け取らないでよ! 感謝してよ。お礼言ってよ!」
「冗談よ。だって、その大切さに気付くきっかけをくれたのはハンナよ」
ハンナは腕を組みうんうんと頷いた。
「ふふ。どういたしまして。でも大事なのはここからさ。マップを見た君なら一瞬で気づいたでしょ?」
「えぇ、適性レベルが高いから正直二人には厳しいダンジョンだわ。とにかく早くいきましょう。さぁ、さっさと手伝ってちょうだい」
「うぅ、調子いいなぁ。相変わらず僕の扱い雑じゃない?」
「信頼してるからよ。ふふ」
「じゃあ行きますか!」
「ええ!」
こうして二人は無事にダンジョンの入り口に到達し、洞窟の中へと入っていった。
ナヴィとハンナはエンフィーたちのマップを見ながら最短ルートでボスの部屋に向かっていた。
「ねぇ、ナヴィ。さっきからビッグフロッグしか出てこないんだけど……」
「うん。おかしいわね。それに……」
神妙な面持ちで顎に手を添えるナヴィ。
「それに……?」
「エンフィーはカエルがめっちゃ苦手なのよ」
「……だめじゃん」
「ええ。多分終わったわ。どこかに逃げ隠れてるんじゃないかしら」
「そこに関しての信頼はゼロなんだね」
「普段の小さなカエルでも泣くレベルなのに、こんな大きなカエルなら絶対逃げだすに決まってるわ」
「余計心配だね」
「とにかく早く探さなきゃ……!?」
「うわわ!」
大きな地響きが二度三度起こった。
二人はその大きさに立っていられずその場で尻もちをついた。
「いった。何これすっごい音!」
「うん、地震なのかな」
地面に耳を当てるハンナ。
「……!? これまさか……」
「何か聞こえたの?」
「かすかだけど魔法陣が展開される時のあの独特な音と、剣が何かを斬ってる音が聞こえてくるよ」
剣……。ということはコイル様? まさかね。
「ナヴィ。ボスの部屋はこの階なのかい?」
「いいえ、確か地下二階よ……あ!」
「……ビンゴだね急ごう! 地響きが鳴ってる間は戦闘をしている証拠だよ。まだ間に合うかも!」
「うん!」
二人は全速力でボス部屋へと走り始めた。
<ツヴァイエアシュート!>
<ツヴァイエアウォール!>
「おいおい、ナヴィ、流石にちょっと飛ばしすぎじゃないかい?」
ハンナは双剣でモンスターを倒しながらナヴィに話しかける。
「一歩も止まってられないわ。早くいかないと。ほらハンナ、走りながら倒していくよ!」
<ドライマルアタックグロウ!>
「おお、攻撃力アップの上位魔法だね!」
ハンナの体が赤く光り、戦っていたモンスターを一撃で倒した。
「杖がないから効力はあまり期待しないでね」
「いやでもすごいよ。これなら止まらずに行ける!」
「よし、一気にボス部屋まで行くわよ!」
二人は走りながら道を塞ぐモンスターを倒していった。
「よし、ここさえ抜ければ……もうボス部屋はすぐよ!」
「うん。ナヴィ。魔力はまだあるかい?」
「ええ。半分くらいは!」
「オーケー! ……!? ちょっとストップ!」
急ブレーキを掛け、ハンナはその場で耳を澄ました。
「どうしたのハンナ……?」
「あ、ああ……」
目を見開き驚いた表情を見せるハンナ。
「ちょ、どうしたの!?」
「音が……。音が消えた」
「え……」
戦闘が終わったってこと……? あの二人だけじゃ勝てるはずがない。ということは……。
止まっていた二人だったが、ナヴィはハンナを待たず、反射的にボス部屋へと再度走り出した。
「ナヴィ!」
遅れてハンナも動き出す。
だめ、そんなのだめ。エンフィー。あなたが死んだらあたし……。
ナヴィはボス部屋の扉の前に到達したが、そのまま止まらず扉を思い切り開けた。
「エンフィー!」
……あ、あぁ。
続いてハンナが到着した。
「ナヴィ。相変わらず君は速いね……あ……」
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「ナヴィ?」
「……間に合わなかった」
ナヴィの見つめる先にはボロボロになり、横たわっていたコイルとエンフィーの姿があった。
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