65 / 262
第七章 王都公認 案内人適性試験編
65.試験終了!
しおりを挟む
「あと一時間です! 最後まで問題を見てできるところからやって下さいね!」
スーザンの声にほぼ全ての受験者が反応した。
「うう。やべぇ全然間に合わねぇ」
「こんなん終わんねぇだろ」
「しょうがねぇ、もうこの問題は捨てるしかねぇ」
「くそ、くそ……全然出てこねぇ」
しかし三人の『上級ガイド』はその時間経過の報告に動じず問題に取り組んでいた。
ふふ、あたし以外のみんなはやっぱり焦ってるわね。あたしの現実世界でのテストスキルを舐めないでちょうだい。でもケビンはあまり動じてなかった、それにもう一人……。
ナヴィは横目でブランを凝視した。
この人もあたしと同じぐらい問題を解くのが早い……。雰囲気を見ても何となくできそうな感じしてたけど想像以上ね。
ってこんな見てる場合じゃない! とりあえず次が最後の問題。集中しないと。
ナヴィは頬を二度強めに叩きペンを握り直した。
『第四問 このマップはレベル四十クラスのパーティーが適性のダンジョンマップである。このダンジョンをどうしても探索したいレベル二十クラスのパーティー、剣士、弓使い、魔法使いの三人がいる。この環境下で安全かつ彼らのためになるダンジョン探索になるよう再度マッピングし直せ』
なるほど、一問目の問題とは真逆で、ある程度条件がある中での最適解を出す問題ね。
この追記の所に色々書かれてるけど、この三人は雷属の適性……ってこのダンジョン土属性じゃない! 根本がひどい……。とはいえ、しょうがないよね。だってこの冒険者様達はダンジョン探索に行きたいんだから。
ならあたしができるのはこの問題の書いてある通り、安全に、かつ冒険者様が充実したダンジョン探索ができるように最善の方法を考えながらマッピングしていくこと。
それに、この状況は前にあったエンフィーとコイル様のダンジョン探索と同じ状況ね。あの時二人の作ったマップは見事だったわ。あれを思い出しながらこの問題に昇華させさえすれば……。
「よし、いける!」
こうしてナヴィは残りの時間を全て最後の問題に費やし、書き切ることができた。
「はい、あと五分です! 書き漏れが無いよう最後に確認お願いしますね」
ふぅとりあえず終わったぁ。出来は云々時間内に書きたいことは全部書けたかな。
「五、四、三、二、一。はいお疲れさまでした! 書くのをやめてください。それでは今から回収したいと思います」
「ひい、ふう、みい……これで全部集まりました。では今日はこれで解散になります結果は明日の朝に会場の外で発表します! その後午後から合格者は二次試験です。忘れずに朝来てくださいね」
「それでは! 解散!」
ほとんどの受験者が肩を落としため息を吐きながら会場を後にした。
少し遅れてナヴィも講義室を出ようとした時、隣にいたブランが話しかけてきた。
「終わったーナヴィさんお疲れー」
「あ、ブランさんお疲れさまでした!」
「すごいスピードだったね。横から見てびっくりしちゃったよ」
「いえそんな。ブランさんだってあたしと同じくらいにはもう終わっていたじゃないですか」
「いやぁ必死だったよあれでも、隣でナヴィさんがそんな感じだったから負けてらんないなって」
「あはは、何かすみません」
「むしろ感謝してますよ。『ナヴィさんも』受かってるといいですね!」
「え、あ、はい」
この人笑顔でさらっと……自分が受かることを確信している。
「ではナヴィさん、また明日」
「ええ、また明日」
ブランさん。あの笑顔を見た時寒気がしたけど気のせいよね。善意だと思うけど少し天然交じりなのかしら。まぁ頭のいい人ってどこか変わってる人が多いっていうし。
「ナヴィ、途中まで一緒に帰ろう」
「あ、ケビンお疲れ様。もちろん!」
あれ、ルナはもう帰っちゃったのかしら。
こうして一次試験が終わったナヴィはエンフィー達の所に、ケビンは自分の案内所にそれぞれ帰っていった。その別れ際にケビンがある人物について口にした。
「ナヴィ、今日お前の隣にいたやつ覚えてるか?」
「あぁ、ブランさんね。理事長の息子」
「それなんだがあいつには一応気を付けておけ」
「え、別にそんなに悪いそうな人ではなかったんだけど……」
「そこが問題だ。お前は知らないかもしれないが、ブランも俺達と同じかそれ以上の実力の持ち主らしい」
「あーテストの取り組み方でそれは何となくは……」
「だが、おかしいと思わないか? 上級ガイドとしても歴は俺たちの倍はあるが推薦もされず、試験に落とされてる。実力、経験ともにトップクラスなのは間違いないが、なぜ公認の案内人になれないのか」
「た、確かに……理事長が自分の息子だから一層厳しくしてるとか?」
「それもあるかもしれないが……多分性格そのものにも難がありそうだな」
言われてみればさっきの言い方もちょっと上から目線っぽい感じはしたんだよね……。
「うん。分かった注意しとく」
「無視しろってわけじゃないからな、気を付ける程度だ。あくまで俺の憶測にすぎない」
「まぁ、備えあれば憂いなしだしね。注意喚起ありがと。それじゃあね」
「あぁ。また明日」
こうして、一日目の一次試験の幕が下りた。
二日目の朝。試験発表であたし達に予想もしない結果が待ち受けていた。
スーザンの声にほぼ全ての受験者が反応した。
「うう。やべぇ全然間に合わねぇ」
「こんなん終わんねぇだろ」
「しょうがねぇ、もうこの問題は捨てるしかねぇ」
「くそ、くそ……全然出てこねぇ」
しかし三人の『上級ガイド』はその時間経過の報告に動じず問題に取り組んでいた。
ふふ、あたし以外のみんなはやっぱり焦ってるわね。あたしの現実世界でのテストスキルを舐めないでちょうだい。でもケビンはあまり動じてなかった、それにもう一人……。
ナヴィは横目でブランを凝視した。
この人もあたしと同じぐらい問題を解くのが早い……。雰囲気を見ても何となくできそうな感じしてたけど想像以上ね。
ってこんな見てる場合じゃない! とりあえず次が最後の問題。集中しないと。
ナヴィは頬を二度強めに叩きペンを握り直した。
『第四問 このマップはレベル四十クラスのパーティーが適性のダンジョンマップである。このダンジョンをどうしても探索したいレベル二十クラスのパーティー、剣士、弓使い、魔法使いの三人がいる。この環境下で安全かつ彼らのためになるダンジョン探索になるよう再度マッピングし直せ』
なるほど、一問目の問題とは真逆で、ある程度条件がある中での最適解を出す問題ね。
この追記の所に色々書かれてるけど、この三人は雷属の適性……ってこのダンジョン土属性じゃない! 根本がひどい……。とはいえ、しょうがないよね。だってこの冒険者様達はダンジョン探索に行きたいんだから。
ならあたしができるのはこの問題の書いてある通り、安全に、かつ冒険者様が充実したダンジョン探索ができるように最善の方法を考えながらマッピングしていくこと。
それに、この状況は前にあったエンフィーとコイル様のダンジョン探索と同じ状況ね。あの時二人の作ったマップは見事だったわ。あれを思い出しながらこの問題に昇華させさえすれば……。
「よし、いける!」
こうしてナヴィは残りの時間を全て最後の問題に費やし、書き切ることができた。
「はい、あと五分です! 書き漏れが無いよう最後に確認お願いしますね」
ふぅとりあえず終わったぁ。出来は云々時間内に書きたいことは全部書けたかな。
「五、四、三、二、一。はいお疲れさまでした! 書くのをやめてください。それでは今から回収したいと思います」
「ひい、ふう、みい……これで全部集まりました。では今日はこれで解散になります結果は明日の朝に会場の外で発表します! その後午後から合格者は二次試験です。忘れずに朝来てくださいね」
「それでは! 解散!」
ほとんどの受験者が肩を落としため息を吐きながら会場を後にした。
少し遅れてナヴィも講義室を出ようとした時、隣にいたブランが話しかけてきた。
「終わったーナヴィさんお疲れー」
「あ、ブランさんお疲れさまでした!」
「すごいスピードだったね。横から見てびっくりしちゃったよ」
「いえそんな。ブランさんだってあたしと同じくらいにはもう終わっていたじゃないですか」
「いやぁ必死だったよあれでも、隣でナヴィさんがそんな感じだったから負けてらんないなって」
「あはは、何かすみません」
「むしろ感謝してますよ。『ナヴィさんも』受かってるといいですね!」
「え、あ、はい」
この人笑顔でさらっと……自分が受かることを確信している。
「ではナヴィさん、また明日」
「ええ、また明日」
ブランさん。あの笑顔を見た時寒気がしたけど気のせいよね。善意だと思うけど少し天然交じりなのかしら。まぁ頭のいい人ってどこか変わってる人が多いっていうし。
「ナヴィ、途中まで一緒に帰ろう」
「あ、ケビンお疲れ様。もちろん!」
あれ、ルナはもう帰っちゃったのかしら。
こうして一次試験が終わったナヴィはエンフィー達の所に、ケビンは自分の案内所にそれぞれ帰っていった。その別れ際にケビンがある人物について口にした。
「ナヴィ、今日お前の隣にいたやつ覚えてるか?」
「あぁ、ブランさんね。理事長の息子」
「それなんだがあいつには一応気を付けておけ」
「え、別にそんなに悪いそうな人ではなかったんだけど……」
「そこが問題だ。お前は知らないかもしれないが、ブランも俺達と同じかそれ以上の実力の持ち主らしい」
「あーテストの取り組み方でそれは何となくは……」
「だが、おかしいと思わないか? 上級ガイドとしても歴は俺たちの倍はあるが推薦もされず、試験に落とされてる。実力、経験ともにトップクラスなのは間違いないが、なぜ公認の案内人になれないのか」
「た、確かに……理事長が自分の息子だから一層厳しくしてるとか?」
「それもあるかもしれないが……多分性格そのものにも難がありそうだな」
言われてみればさっきの言い方もちょっと上から目線っぽい感じはしたんだよね……。
「うん。分かった注意しとく」
「無視しろってわけじゃないからな、気を付ける程度だ。あくまで俺の憶測にすぎない」
「まぁ、備えあれば憂いなしだしね。注意喚起ありがと。それじゃあね」
「あぁ。また明日」
こうして、一日目の一次試験の幕が下りた。
二日目の朝。試験発表であたし達に予想もしない結果が待ち受けていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる