村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第七章 王都公認 案内人適性試験編

66.答案用紙

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「さーて、採点でもするかな」

 一次試験が終了し、受験者がいなくなった講義室でスーザンは筆記試験の採点を行っていた。

「これも不合格ねぇ。今年はあんまりかしら……」

 不合格の印を答案用紙の右端に押し次の用紙へ、繰り返し作業のように行っていた。

「お、これなかなかいいじゃない」

 ふむ。ケビンさんね……。天才の一人。さて、じっくり読ませていただこうじゃない。

「なるほど、かなり戦闘向きのマップね。これは新しいかも」

 本来ならルート作成やどこに何があるか、そこまで予測しながら書けていれば一流の上級ガイドと言われているけど、そこに生息しているモンスターやトラップの属性まで綿密に計算されて書かれてる。

 それにそのモンスターの倒し方一つ一つも事細かに書かれていてこのマップを受け取った冒険者が対策をしやすいような配慮が随所に見られる。

「さすがだわ。というか予想以上ね。これは文句なしの合格だわ……」

 合格の印をケビンの答案用紙に押した。


「次は……ルナ・マリオットさんね」

 二人目の天才の出来はいかに……。

「げ、何このマップ!」

 雑、凄く雑! これは統計とか経験則とか一切考えてないひどいマップだわ。なんていうか『ここにこれがありそう』っていう直感で全て書いた感じかしら。

 たしかルナさんは占星術やタロットカード、水晶を使った占いからマッピングしていく特殊な案内人とは聞いていたし確かに今回の試験では占いの道具は使えなかったからある程度は予想してたけど。まさかここまでとは。

「うーん期待してたんだけどなぁ、これはぺけかなぁ」

 ため息をつきながらルナの答案用紙をパラパラとめくるとスーザンはあることに気が付いた。

「ん、この子ほとんどの人が気づけていない隠しルートを当ててる……。それに私がひっかけで配置したボスの位置も……どういうこと」

 確かにすごく雑だし的外れなところも多い。けど局所的ではあるけれど、レアアイテムやモンスターの情報等の要所はしっかりと抑えてる。この問題だってさっきのケビンさんでも気づけてなかったのに……。

 これを直感だけでやってたとすると恐ろしいわね。これに本来の彼女の得意な占いが入るんだから、そりゃ天才って言われるレベルなわけだ。

 でもなぁ、相対的に見たらやっぱり他の上級ガイドの受験者の方がまだ点数はいいのよね。今回の試験に関しては確実に彼女のフィールドとは別の場所だったし。

「とりあえず合否は後でにして先に他の人のを見てから決めましょ」

 そういうとルナの答案用紙をほかの紙と交わらないように避け、次の答案用紙へ手を伸ばした。

 そこから一時間後。


「あと二枚! がんばるぞー!」

 大体五十パーセントくらいの合格者数。なんだかんだ後から増えたわね。豊作なのかしら。

 今のところ首席はケビンさんね。あそこまでかけてる人はなかなか見つからなかったし。

 でもこの後控えてるのは……。

 スーザンが次に手に取ったのはブランの答案用紙だった。

「あぁ、理事長の次男ね。こういう形で見るのは初めてかしら。さぁお手並み拝見といこうじゃない」

 数分間無言で目を通した。

 うん。普通。でもその普通のレベルがかなり高い。ケビンさんみたいに特筆すべきところはないけど、すべてが高水準にまとまった教科書みたいなマッピングだわ。他の問題も模範解答見たいな答えの数々。

 削るところがない百点の解答用紙ね。

「うん、この子も歳で言えば十分天才なんだけどね。こんなに綺麗なマッピングができるのに」

 でも何かしら、こんなにマイナスするところがないマップだから逆に違和感を感じちゃう。

「ま、まぁいいか。点数的にも文句なしだしここで私情を挟んでもしょうがないものね」

 ブランの答案用紙にも合格の印が押された。


「よし、じゃあ最後はナヴィ・マクレガンさんね」

 さて周りの評判だと三人目の天才って言われてるけど、ケビンさんの戦闘力、ルナさんの占いと直感の掛け合わせ、この二人に比べると少し見劣りするというか地味なのよね。

 魔法使いで補助魔法が得意。そのレベルも高いとは聞いているんだけど、それだけで天才だなんて言われないはず。魔法が得意な案内人なんて星の数ほどいるわ。

「いざ、三人目の天才の解答用紙へ!」

 そういうと勢いよくナヴィの答案用紙を開いた。

 答案用紙を開いたスーザンが数十秒固まった。

「まじ……これって」


 そこからナヴィの採点も終わり、受験者全員の合否の選定が終わった。



 二日目の朝。

 眠そうに目をこするナヴィとそれを横で苦笑いをしているケビンが会場の前に足を運んでいた

「お前朝弱いのか?」

「んーちょっとね。昨日疲れててすぐ寝たら、気づいたら朝でエンフィーに起こされてダッシュで出てきたの」

 ナヴィは朝にできなかった編み込みをしながらケビンと会話を続ける。

「編み込みもいいがまずは寝癖を何とかしろ」

「え、まじ! 寝癖あるのあたし」

「ったく。お前ほんとこういうところドジだよな」

「あ、ドジって言った! ひどい」

「本当のことなんだからしょうがないだろ」

 そんな言い合いを続けていると会場の二階のテラスからメガホンを持ったスーザンが現れた。

「あーあー。聞こえていますでしょうか受験者の皆さん」
「おはようございます!」

「来たな」
「ええ」

 うー意外と緊張するわね。

「昨日は一次試験お疲れさまでした。細かい話は抜きにして早速皆さんが気になる合否の結果をここで発表したいと思います!」

 テラスから大きな垂れ幕が下げられた。

「おぉ豪快ね」

 これは点数順ね、左に点数、次に名前、そして合否。さてあたしの名前は……。


「え、そんなことってある……」
「ナヴィどうした?」

「ケビンあれ見て」

 ナヴィは自分の名前が書いてあるところを指さした。
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