村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
76 / 262
第七章 王都公認 案内人適性試験編

75.二次試験終了、そして……

しおりを挟む
ナヴィ達がゴールの門をくぐった後に、ブランのパーティーもゴールに到達した。

 すると終了の合図を待つ受験者たちの目の前にスーザンが現れた。

「皆さんお疲れさまでした! 今ここにいる八人の皆さんが二次試験の合格者になります!」

 ナヴィは左右を見渡す。

「え、これだけ……?」

「えぇ、本当はもう少し残る予定だったんですがね……どうにもどのパーティーも一人は気絶したり、道に迷ったり、執拗に妨害されたりしたそうで。ねぇブランさん?」

 横目でブランをちらっと見るスーザン。

「ちっ。ゴールに早く到達すれば後は『自由』だって聞きましたが」

 ブランはスーザンの視線から顔を逸らす。

「えぇ、もちろん。でもあなたのそれは度を越えていた気がするのだけれど」

「ふん。あの、僕は合格でいいんですよね?」

「まぁいいわ。とりあえず、この空間から出ましょうか」
<転移魔法 アクシステレポート!>

 ナヴィたちが目を開けると会場に転移していた。

「あ、戻ってきたわね」
「眩しいな……まだ夕方なのか」
「わたくしなんかもうくたくたです……」

「あれ、そういえば傷が治ってる」

 傷もそうだし、服も……。どうしてだろ。

「今回のあの空間はあくまでも試験のためのダンジョンで言ってしまえば、現実の空間ではないところに飛ばしたので、戻ってくれば元の状態になります」

 スーザンが得意げに話した。

「へぇ、やっぱりスーザンさんはすごいなぁ」
「スーザンさん、それで三次試験は?」

「あら、ケビンさん。せっかちですね。もう少し余韻に浸ってもいいんですよ」

「必要ない」

「そうですか。ではじゃあ早速ですが三次試験……というか最終試験の説明に移りたいと思います」

 最終試験……ついにここまで来たわね。

「では、出てきてちょうだい!」

「「は?」」

 会場の扉から八人の装備を整えた子どもが会場に入ってきた。

「は、何だ? ガキか?」
「タパ、やめろ。スーザンさんこれはどういうことでしょうか」

「この子たち八人が最終試験の大きな鍵になってきます」

「わたくしたちがその子たちと戦うんですか?」

 ルナの質問を聞いたスーザンが大きな声で笑った。

「あはははは、そんなことあるわけないじゃないですか! 大丈夫ですよ。皆さんは何もしませんから」

「え、何もしないって……」

「ここにいる八人の子どもたちは、王都の冒険者アカデミーの選抜された優秀な生徒八人です」

 冒険者アカデミー、そんなものがあったの。見たところあの子たちは大体十三から十五歳くらいね。確かに冒険者をやる年齢ではないけど、訓練するような学校があったなんて……。

「で、その優秀な生徒をガイドしろと?」

 スーザンはケビンの投げかけに人差し指を揺らしながら答えた。

「ケビンさん。察しがいいですね。でも少し違います。これから皆さんにやっていただくのはこの子たちと二人組のペアを組んで、ほかのペアの子と戦闘してもらいます!」

「は! あたい達じゃなくてこの子たちが戦うってこと!?」

「はいサルミラさん。その通りです。もちろん本物の剣や槍は使わず、あくまで木製。魔法の制御もある程度は考えています」


「いや、そういう問題じゃなくて……それとあたい達の試験に何が関係あるの?」


「はい、大事なのはそこです。今回の試験内容は」

『ペアの冒険者見習いの子をトーナメントで優勝に導いてください』

「戦闘のアドバイス……弱点や攻撃の分析。そこら辺を駆使してこの子たちを勝たせるってことね、ボクシングのセコンドみたいなものかしら」

「流石ナヴィさん! その通りでございます!」

「あの……」
 ブランが手を挙げた。

「はい。何でしょう?」

「そのペアの子はどうやって決まるんですか? 弱い子に当たったら嫌なんだけどな」

 その言葉を聞いた子供たちの視線がブランに集まった。

「お言葉ですがブランさん、先ほど申し上げましたが、この子たちは冒険者アカデミーの見習い冒険者ですが、非常に優秀で学校では首席から第八位までに入ります。それとも、生徒の力量で結果が変わると思っているほど、自分の実力にご不安が……?」

 にこやかに話していたスーザンが鋭い目つきに変わった。

「……くっ」

「ご安心ください。こちらでもうすでにペアは決めてあります」

「え、ランダムとかですか?」

「一応公平を期すため。現時点での成績順に当てはめました」

 スーザンの考えから、二次試験での結果から首席のナヴィパーティーは六位から八位の子ども、ブランパーティーは一位から五位までの子どもに分け、そのパーティー内での一次試験の得点順で低い受験者から、位の高い見習い冒険者がペアとなる形となった。

「では、まずペアになってみましょうかね」

 スーザンが一位の子どもから名前を呼び始めた。

 その間ナヴィ達三人が試験について話していた。

「うぅ、ということはあたしは一番下の子かぁ」
「ふ、さっきのスーザンさんの言ってたことを思い出せ。冒険者は俺たちガイドの振る舞いで弱くも強くもなる」
「わ、わたくしもそう思います!」

「そうね、見せてやるわあたしのガイド力を! さぁあたしとペアの子は誰なの!」


「あ、あの……こ、こん、こんにち……わ」

「あ、こんにちわ!」

「ひっ!」

「あ、あぁごめん! びっくりさせちゃったね」

 さっき入ってきたとき気になってたけどやっぱりこの子が八位の子だったかぁ。恥ずかしがり屋なのかなぁ。

 薄ピンク色のツインテールにフリルのスカートを履いた女の子がナヴィの前でもじもじとしていた。 

「あの、わ、たし、サテラと、いい、ます、明日から、よ、よろしく、お、お願いします」

「えぇ、よろしくね」

 ナヴィはサテラの手を握り、不安そうな顔をしているサテラに微笑んだ。

 そうしているとスーザンのセットしていた時計が鳴った。
「はい。挨拶は済みましたか? トーナメントは明後日。明日はゆっくりするもよし、ペアの子と訓練するもよし、ぜひ明日一日を有効に使ってみてくださいね」


「それでは最終試験! 開始!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...