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第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編
77.第一王女
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「サテラ・ビル・ベルフラウ……それが私の名前です」
俯きながらナヴィ達の距離で何とか聞こえるほどの小声でサテラは言った。
「ベルフラウ家の人間だったのね……どうしてそれをあたし達に言わないでいようと思ったの?」
「そ、それは……私が……お、落ちこぼれだから」
「へ? どうして? あなただって席次で八番目なんでしょ?」
「お姉ちゃん。ベルフラウ家と言えば戦家系の王族で戦闘に秀でた人間がほとんどなのよ」
「はい、今までもこのアカデミーではそのほとんどの首席はベルフラウ家の人間でした……そんな中私は八位なんです」
「そ、それでも八番なんだしあなたも相当強いってことなんでしょ?」
元気を無くしたサテラを何とか励まそうと声を掛けるナヴィ。
しかし、サテラはその問いかけに大きく横に首を振った。
「この順位は総合成績なんです。私は座学は首席ですが、戦闘においてはだめだめで今回選抜されていない子たちよりも戦闘力はありません……」
「だから、ナヴィさん。すみません。私には優勝は……」
一週間ほど前のことだった。
私、サテラ・ビル・ベルフラウはアカデミーにある掲示板のチラシの前にたくさんのアカデミー生が群がっているのを見かけた。
「あ、すみません……すみません」
私も気になりその掲示されているチラシを見た。
「え、なんで……」
先の王都公認案内人適性試験、最終試験の選抜トーナメントに私がノミネートされていた。
周りの視線が私に向いている気がする。みんなの顔が見えない。
「ちっなんであいつなんだ、俺より弱いのに……」
「しょうがないでしょ。戦闘力じゃなくて座学の成績も入ってるんだから」
「座学はあいつがぶっちぎりなのはわかるけどよぉ」
「まぁでもトーナメントに出て誰と当たっても瞬殺でしょうね」
「先生たちもそのことわかってんのかな」
「どうせ皇族だから先生たちも忖度とかしたんでしょ」
「まぁそりゃそうよね。あぁお兄様の方はあんなにも強いのに第一王女がこれじゃあねぇ」
やめて、やめて。それ以上言わないで。私だって出たくてこうなったんじゃない。
その時だった。
「ちょっとあんたたち! 自分がノミネートされてないからって僻むのはやめなさいよ!」
オレンジ色の短髪の少女が守るようにサテラの前に立った。
「ナターシャ……」
「この子の努力の結果を王族って言葉だけでまとめるのはやめてもらえるかしら? 座学だってここに選ばれてるのだってあんたたちよりもこの子が頑張ってきたからよ!」
「それとも何! そんなに戦闘力に自信があるならサテラと一つしか変わらない七位に選ばれたあたしと戦ってみる!?」
僻んでいたアカデミー生にグローブを付け拳を向けるナターシャ。
「ちっ行くぞ!」
掲示板の前にいたアカデミー生たちが一斉に退いた。
「サテラ、大丈夫?」
「う、うん。ナターシャ。ありがとう」
「とはいってもあんたも八位なんだから自信持ちなさいよね」
「うん。でもこうやっていつもナターシャに守ってもらってるしやっぱり私には……」
私には無理……それに。トーナメントならきっとナターシャと戦うこともある……。
私とペアになる案内人の人に申し訳ないしやっぱり……。
あ、だめ。また一週間前のこと思い出しちゃった。
サテラの目には薄っすらと涙が浮かんでいた。
「いいじゃない!」
「え?」
サテラはナヴィの思いもよらない発言に顔を上げ目を見開いた。
「あの、ナヴィさん。私の話を……」
「えぇ聞いてたわよ。戦闘力が低くてもいいじゃない。あたし達案内人も最強の冒険者をガイドしてても面白くないもの」
「そ、それはそうですけど……」
「いつもは一人かもしれないけど。今回はあたしがいるわ! それにハンナにエンフィーだって」
ナヴィは椅子から立ち上がりサテラの手を取った。
「サテラちゃん。戦闘力は力や性別、経験もとっても大事よ。でもそれはあくまで要素でしかない。そういうものを全て駆使して戦える力のことを戦闘力っていうのよ。それに、あなたの武器、自分でもよくわかってるじゃない」
「え、私の武器……?」
ナヴィはそういうとサテラの頭を撫でた。
「サテラちゃん。明日一日しかないけどきっとあなたは強くなるわ。だから諦めないで。一緒に強くなりましょ。ね?」
座っているサテラに対して膝を着き微笑んだ。
「わ、私、強くなれますか?」
「えぇもちろんよ」
「ほかの子たちを見返すことができるでしょうか?」
「あなたがそう望むなら」
「私、このトーナメントで優勝したいです」
「えぇ。サテラちゃん。一緒に優勝を目指しましょう」
「はい!」
その姿を見たハンナがボソッと呟いた。
「ったく、人たらしめ」
「ふふ、それがお姉ちゃんの良さですよ。ハンナさん」
「あぁ、そうみたいだね。サテラちゃん。僕たちも手伝えることは何でも手伝うからね!」
ハンナは親指を立てニコッと笑った。
「はい! よろしくお願いします!」
元気になったサテラの姿を見たナヴィが
「さて、じゃあ今日はもう遅いしサテラちゃんもお家に帰ろうか! 明日は朝中央にある噴水広場の前にに集合しましょ!」
「わかりました! 明日からよろしくお願いします!」
こうして案内人適性試験二日目が終わった。
俯きながらナヴィ達の距離で何とか聞こえるほどの小声でサテラは言った。
「ベルフラウ家の人間だったのね……どうしてそれをあたし達に言わないでいようと思ったの?」
「そ、それは……私が……お、落ちこぼれだから」
「へ? どうして? あなただって席次で八番目なんでしょ?」
「お姉ちゃん。ベルフラウ家と言えば戦家系の王族で戦闘に秀でた人間がほとんどなのよ」
「はい、今までもこのアカデミーではそのほとんどの首席はベルフラウ家の人間でした……そんな中私は八位なんです」
「そ、それでも八番なんだしあなたも相当強いってことなんでしょ?」
元気を無くしたサテラを何とか励まそうと声を掛けるナヴィ。
しかし、サテラはその問いかけに大きく横に首を振った。
「この順位は総合成績なんです。私は座学は首席ですが、戦闘においてはだめだめで今回選抜されていない子たちよりも戦闘力はありません……」
「だから、ナヴィさん。すみません。私には優勝は……」
一週間ほど前のことだった。
私、サテラ・ビル・ベルフラウはアカデミーにある掲示板のチラシの前にたくさんのアカデミー生が群がっているのを見かけた。
「あ、すみません……すみません」
私も気になりその掲示されているチラシを見た。
「え、なんで……」
先の王都公認案内人適性試験、最終試験の選抜トーナメントに私がノミネートされていた。
周りの視線が私に向いている気がする。みんなの顔が見えない。
「ちっなんであいつなんだ、俺より弱いのに……」
「しょうがないでしょ。戦闘力じゃなくて座学の成績も入ってるんだから」
「座学はあいつがぶっちぎりなのはわかるけどよぉ」
「まぁでもトーナメントに出て誰と当たっても瞬殺でしょうね」
「先生たちもそのことわかってんのかな」
「どうせ皇族だから先生たちも忖度とかしたんでしょ」
「まぁそりゃそうよね。あぁお兄様の方はあんなにも強いのに第一王女がこれじゃあねぇ」
やめて、やめて。それ以上言わないで。私だって出たくてこうなったんじゃない。
その時だった。
「ちょっとあんたたち! 自分がノミネートされてないからって僻むのはやめなさいよ!」
オレンジ色の短髪の少女が守るようにサテラの前に立った。
「ナターシャ……」
「この子の努力の結果を王族って言葉だけでまとめるのはやめてもらえるかしら? 座学だってここに選ばれてるのだってあんたたちよりもこの子が頑張ってきたからよ!」
「それとも何! そんなに戦闘力に自信があるならサテラと一つしか変わらない七位に選ばれたあたしと戦ってみる!?」
僻んでいたアカデミー生にグローブを付け拳を向けるナターシャ。
「ちっ行くぞ!」
掲示板の前にいたアカデミー生たちが一斉に退いた。
「サテラ、大丈夫?」
「う、うん。ナターシャ。ありがとう」
「とはいってもあんたも八位なんだから自信持ちなさいよね」
「うん。でもこうやっていつもナターシャに守ってもらってるしやっぱり私には……」
私には無理……それに。トーナメントならきっとナターシャと戦うこともある……。
私とペアになる案内人の人に申し訳ないしやっぱり……。
あ、だめ。また一週間前のこと思い出しちゃった。
サテラの目には薄っすらと涙が浮かんでいた。
「いいじゃない!」
「え?」
サテラはナヴィの思いもよらない発言に顔を上げ目を見開いた。
「あの、ナヴィさん。私の話を……」
「えぇ聞いてたわよ。戦闘力が低くてもいいじゃない。あたし達案内人も最強の冒険者をガイドしてても面白くないもの」
「そ、それはそうですけど……」
「いつもは一人かもしれないけど。今回はあたしがいるわ! それにハンナにエンフィーだって」
ナヴィは椅子から立ち上がりサテラの手を取った。
「サテラちゃん。戦闘力は力や性別、経験もとっても大事よ。でもそれはあくまで要素でしかない。そういうものを全て駆使して戦える力のことを戦闘力っていうのよ。それに、あなたの武器、自分でもよくわかってるじゃない」
「え、私の武器……?」
ナヴィはそういうとサテラの頭を撫でた。
「サテラちゃん。明日一日しかないけどきっとあなたは強くなるわ。だから諦めないで。一緒に強くなりましょ。ね?」
座っているサテラに対して膝を着き微笑んだ。
「わ、私、強くなれますか?」
「えぇもちろんよ」
「ほかの子たちを見返すことができるでしょうか?」
「あなたがそう望むなら」
「私、このトーナメントで優勝したいです」
「えぇ。サテラちゃん。一緒に優勝を目指しましょう」
「はい!」
その姿を見たハンナがボソッと呟いた。
「ったく、人たらしめ」
「ふふ、それがお姉ちゃんの良さですよ。ハンナさん」
「あぁ、そうみたいだね。サテラちゃん。僕たちも手伝えることは何でも手伝うからね!」
ハンナは親指を立てニコッと笑った。
「はい! よろしくお願いします!」
元気になったサテラの姿を見たナヴィが
「さて、じゃあ今日はもう遅いしサテラちゃんもお家に帰ろうか! 明日は朝中央にある噴水広場の前にに集合しましょ!」
「わかりました! 明日からよろしくお願いします!」
こうして案内人適性試験二日目が終わった。
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