村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編

78.トーナメント表

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「ふわぁぁぁ、昨日の今日で疲れも取れてないけどそれにしても朝七時に集合は早すぎたかしら」

 ナヴィは噴水広場の前で大きなあくびをしながらサテラを待っていた。

「ナ、ナヴィさん。おはようございます!」

「あ、サテラちゃん。おはよう!」

 ふふ。訓練用の軽装備ね。やる気満々じゃない。

「あの、ハンナさんとエンフィーさんは……?」

「ハンナは先に行って準備してる。エンフィーはちょっとした調査の下準備かな」

「はぁ、調査ですか」

「まぁ、それは置いといて、早速だけどいこっか!」

「は、はい」

 二人が歩き出そうとした瞬間、ナヴィの目の前にモニターのような画面が出現した。

「うわぁびっくりした!」


 画面越しには部屋の中で椅子に座ってコーヒーを飲んでいるスーザンの姿が映っていた。

「あ、あれ? もしかしてもう撮ってるの!? ちょっとーいってよー!」

 乱れていた前髪を整え、リラックスをしていた表情から仕事モードの顔へと切り替わった。

「おほん。皆さん。朝早くに失礼します! 試験官のスーザン・アレクです。昨日はゆっくり眠れましたか?」

 うわ、スーザンさん切り替えはや! ってそれにしてもまだ七時よね。起きてない人もいるんじゃ……。

「皆さん起きてるのは画面越しで確認できてるのでご心配なくー!」

 うっ。さすがスーザンさん。

「さて、今日は明日からのトーナメントの対戦表を画面共有させていただきますね! 早速ですが一回戦の相手はこちらになります!」

 画面が切り替わりトーナメント表の表示になった。

「ケビン、ルナとは違う山ね。とりあえずよかった」

 でも多分二回戦に上がったらブランだ。厄介なことになりそうね。

「あ、あの、こ、このトーナメント表、案内人の方しか表示されてないのですが」

「あ、確かに……」 


 スーザンはくすくすと笑いながら話しだした。

「ふふ、それもお楽しみってことで。場所は試験会場近くに大きなコロシアムがあるので自分たちの対戦時間を見てその一時間前にはいるようにしてくださいね!」

「それでは皆さん、今日一日を『有意義に』お使いくださいね! ではまた明日!」

 あ、画面が消えた……。相変わらずスーザンさんの使う魔法は便利だなぁ。

 一回戦目はタパか。まぁここは多分大丈夫ね。その後は多分ブラン。そして順当に勝ち進めばルナかケビンね。厳しい戦いになりそう……。

「あの……ナヴィさん?」

 固まっていたナヴィにサテラは声を掛ける。

「あぁ、ごめん! それじゃ行きましょうか」


 二人は噴水広場からハンナが待っている王都の壁外へと向かっていった。


 その道中でのことだった。

「あの、ナ、ナヴィさん。タパさんってどんな方なんですか?」

「うーんあたしもよく分からないけど。罠を仕掛けてサポートするタイプの案内人って聞いてるわ。でも一次試験の順位はそんなに良くなかったはず……」

「こ、困りましたね……」

「へ?」

「案内人の方の席次が低いということは戦闘自体は上位のアカデミー生とぶつかることになるのかなって……」

「あ……」

 確かにそうね……。彼女からすると格上の相手をするんだから不安なのは間違いない。そういうメンタル的なところも払拭しておかないとね……。



「あれ、これはこれは、王族の第一王女、サテラ様じゃないですか!」

「あ……」

 サテラは自分の視線の先に立っていた少年を見て動きが止まった。

「ちょっとそこの金髪頭の僕! 今なんて言ったの!」


 ナヴィはサテラの前に立ち、その少年と対峙する。

「エ、エドウィン……」

「ふ、名前をおぼえてもらってるたぁ光栄だなぁ」

 サテラの手が震えているのにナヴィは気づいた。


「正直一回戦の相手がお前でほっとしたぜ」

「え、あ、あなたが……」

「え! じゃあタパはどこ!?」

 ナヴィは辺りを見渡すもタパの姿が見当たらない。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよエドウィンさん!」

 エドウィンの後ろから、荷物を大量に持ったタパが遅れて到着した。

「どうしたんすか急に」

「なんでもない。さっさと行くぞタパ。今日は調整だけで済みそうだな」


「てかなんで俺が尻に敷かれてんの……?」
 小声でタパが不満を漏らす。

 その瞬間、エドウィンの持っていた槍の先端が一瞬でタパの喉もとに触れた。

「ちょっ! あんたら仲間でしょ!?」

「ふ。仲間? 勘違いするな。俺は俺のために戦う。あんたら案内人は試験かもしれないが、俺らも単位が掛かってるんでね。こいつに口出しされても無意味だからせめてもの慈悲で雑用として使ってるだけだ」

「す、すみませんエドウィンさん。もう文句も言いませんから、殺すのだけは……」

 冷や汗をかきながら謝るタパ。

「今回だけだぞ。それとタパ。今日はもう宿に戻ってていい」

「え?」

「どうやら、俺の一回戦の相手は出来損ないの王女様だからな」

 一瞬サテラに視線を向けるもすぐに目線を外し、その横を通り過ぎていった。

「ちょっとー俺の試験も掛かってるんですから!」

 それを追うようにタパも歩き出した。


「エドウィン君!」

 ナヴィが横を通り過ぎていったエドウィンを呼び止める。

「あ?」

「あなた達がどんな関係なのかはあたし達には関係ないわ。ただね。調整はしっかりしておいた方がいいわよ?」

「なんだと……?」

 エドウィンの眉間にしわが寄った。

「この子はあなたが思ってるようなで出来損ないなんかじゃないわ。明日それを証明してあげる!」

 ナヴィは挑発ともとれる得意げな顔をエドウィンに向けた。

「は! 望むところだ。叩き潰してやるよ。行くぞタパ」

 そういい放つと、エドウィンとタパはその場を後にした。



「ナヴィさんの馬鹿! なんであんなこと……」

「え、えぇ。サテラちゃんどうしたの!?」

「あの人は、エドウィン・クルール。私なんかじゃ歯が立たないほどの戦闘力があります」

「そりゃ席次だけで言えばあなたよりみんな強いわよ」

「そうじゃなくて! あの子は……」

「あの子はアカデミー生『次席』の冒険者見習いなんです!」
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