村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
82 / 262
第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編

81.サテラVSエドウィン

しおりを挟む
「それでは一回戦。選手の入場になります!」



 会場の大歓声とともにナヴィとサテラ、タパとエドウィンは同じ入場口から入っていった。


「おぉ第一試合からエドウィンか! これは一瞬で終わりそうだな」
「生まれで選抜されただけの王女様なんてやっつけちゃえー!」
「きゃーエドウィン様ー!」
「これは案内人の力なんか関係ないくらいの実力差だな」

 ナヴィは横を歩くサテラをちらりと見た。

 これじゃまるでサテラちゃんがヒール役じゃない。こんなのって……。


「ふ、聞こえるかサテラ。だぁれもお前のことなんて応援してないぞ」

「……そんなことはわかりきっていることです」

「ちっ、つれねぇな」


 フィールドに入った四人が中心で待つスーザンの前に立った。

「さて、では今回のルールを説明します! 戦うのは選抜のアカデミー生で、案内人はその補助に入ってもらいます。案内人には二回タイムアウトを設けペアでの作戦会議の時間取ることができます。勝敗に関しては案内人が降参を宣言する。またはアカデミー生が戦闘不能になる。のどちらかです」

「もちろん無理に戦わせていたら強制的にこちらから止めに入り、止められたペアの案内人は失格となります!」

「何か質問はありませんか?」

「武器は本当に木製ですか? 俺は鉄製でも構わないのですが」

 エドウィンが手を挙げながら質問を投げかけた。

「そこに関しては一昨日話した通りよ。エドウィン君これは殺しあう試験じゃないの」

 スーザンが真剣な表情で答えた。

「はいはい冗談ですよ。ちょっと興味本位で聞いただけですよ」

「ならよし。他に質問はないようですね! それでは北側南側に分かれ、装備、作戦を確認したのちに開始します」


 フィールドの北側でナヴィはサテラに小手を付けていた。

「サテラちゃん大丈夫?」

「はい、体の調子もばっちりですし、それに……」

「……?」

「私にはナヴィさんが付いてますから。負ける気がしません!」

 ナヴィの前で手をぐっと握りナヴィに微笑んだ。

 この子……。こんな笑い方するのね。

「よし、それじゃあ行ってこいサテラちゃん! あなたを馬鹿にした連中を見返してやりなさい!」

 ナヴィはサテラの背中をパンと叩き、フィールドに送り出す。

「はい!」


 サテラがフィールドの中心で待っていたエドウィンに向かっていった。

「『今日までお世話になりました』を言うことはできたかい?」

「……」

「ふ、女だからって手加減しねぇぞ」

「そんなこと誰も望んでません」


 スーザンが五メートルほど距離の開いた両者の間に入る。


「二人とも、さっきも言ったけどこれは殺し合いじゃないわ。正々堂々と戦ってちょうだい」


「はい」
「おう」



「それでは一回戦第一試合、戦闘開始!」


「くらえや!」

 開始の宣言と同時にエドウィンは開いていた距離を一気に詰めサテラに突っ込んでいった。

 サテラは慎重なタイプの双剣使いだ。双剣のくせにそういう戦い方しかできないから相手に先手を打たれてやられてきた。このまま死ね!

「なに……!」



「はぁぁぁ!」

 サテラもエドウィン同様距離を詰めエドウィンの槍の切先を剣ではじき返しそのまま懐に潜り込んだ。

 しまったガードを! っく!

 顔を中心にガードしたエドウィンだったが、サテラはそのまま懐からエドウィンのみぞおちに肘鉄を食らわせた。

「がはっ……」

 サテラの攻撃を受けたエドウィンは後ろに下がり膝を着いた。

 会場にはどよめきが走っていた。


 タパがエドウィンに声を掛けた。
「おいおいまじかよ……大丈夫かエドウィンさん!」

「あぁ、ダメージ自体はさほどだ。黙って見ていろ」


 やはりあの後ろの案内人か……。剣で攻撃しかなかったあいつが体術を組み込んできた。

「なんだやるじゃないか王女様」

「顔つきが変わりましたね。エドウィン」

「今のには油断したがここから先はそうはいかないぞ」

「……」

 双剣を構えるサテラ。

「こっからが本当の勝負だ!」

 槍を持ち直したエドウィンがサテラに向かって走ってきた。

「速い! しかも、これは魔力……?」

「サテラちゃん、右!」

「え!?」

 サテラの目の前を走ってきたエドウィンが消えた。

「この!」

 ナヴィの指示で体を強引に右に向けた、サテラの前には槍を突き刺そうとしていたエドウィンがいた。

「!? この攻撃を受け止めた……」

 エドウィンのこの攻撃に対してもサテラは上手く剣で受け流した。

「お前、昨日一日で何が……」

「言ったでしょ。私は『勝つために』ここに来たの」

 サテラは受け流した反動を使い、そのままエドウィンに回し蹴りを入れた。


「ぐはっ!」

 なんで俺が二度もあいつに攻撃を入れられてるんだ……。こんなはずじゃ。


「今度はこっちから行きますよ!」

 ちっ、それはただ闇雲に突っ込んできてるだけじゃねぇか、迎え撃ってやる!

<連撃!>

 エドウィンは切先が見えなくなるほどの速度で槍を何度も突いた。

 手ごたえがない……どこだ。

「こっちですよ」

「え、後ろ!?」

<パワースラッシュ!>

 サテラの重い斬撃がエドウィンを切り裂いた。

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

 空中に飛ばされたエドウィンはそのまま地面に叩きつけられた。

「エ、エドウィンさん!」

「うるせぇタパ! 黙って見てろって言ったろ!」

「ひっ!」

 くそ、なんだ……別人じゃねぇか。今までの動きとまるで違う。どうして。いや、落ち着け。俺が動揺して動きが分かりやすくなってたのかもしれない。一度深呼吸だ。


「すぅーーっはぁぁぁ」

 エドウィンはサテラと一度距離を取り深呼吸を行った。

「さて、サテラ。ここからは……」

 その瞬間だった。

「タイムアウトォォ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...