村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編

80.一回戦!

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「『勝つための』特訓ですか?」

 サテラが首を傾げる中、ナヴィは話を続けた。

「えぇ。サテラちゃん。あなたはこのお昼までで、特に最後の数分はだいぶハンナの動きを読んで躱したり剣で受け止めてたりしたわよね?」

「はい、何とかしようって気持ちで……」

「それって反射的に躱そうとか受け止めようって思ったのかしら?」

「いえ、朝から戦ってたのでハンナさんの癖とか動き出しのパターンを何とか頭に叩き込んで、頭の中でそれを自分の次の行動へ繋がるように昇華させながら動いてました」

「ふふ、やっぱりね……」

 その言葉を聞いたハンナがぽかんと口を開けてサテラを見た。

「僕の動きを読んでた……それで後半は動きが良くなったのか……」

「えぇ、あたしもいろんな冒険者様を見てるけどハンナの戦闘のセンスはなかなかのものよ。それをあの短時間で動きを見極められるなんて……」


「で、でも私ハンナさんに全然攻撃を当てられてないですよ?」

「それはハンナもそこら辺の冒険者様よりは頭一つ抜けてるからね」

 ナヴィがサテラの前に座り頭を撫でた。

「サテラちゃん。あなたは目もいいし、頭も切れる。きっと明日はみんなあなたにびっくりすると思うわ」

「あの、でもハンナさんとは午前中ずっと戦ってやっと最後の数分で……」

「そこであたしの妹の出番よ! ね、エンフィー!」

 ハンナの横でサンドウィッチを食べようとしていたエンフィーがサテラに親指を立ててにかっと笑った。

「さぁ、午後はもっと大変になるわよ! しっかり食べてまた一緒に頑張りましょ!」

「はい!」

 こうしてナヴィ達とサテラの特訓は日が沈むまでみっちりと行われた。


 そして一回戦当日になった。

「サテラちゃん、おはよう!」
「おはようございます!」

 お、覚悟を決めた顔をしてる感じね。初日の顔つきとは全然違う。


 同刻。ルナ・マリオット。

「ルナさん、おはようございます」
「あ、ロイ君おはよう」

「占いの調子はどうですか?」
「今日は調子がいいみたい。昨日通りにできればいいね」

「はい、それじゃ行きましょうか」


 同刻、ケビン。

「ケビンさんおはよう!」
「ナターシャ、朝からそんなくっつくな」
「えぇ、いいじゃないですかぁ」

 ケビンの腕に絡みつき顔をすりすりとこすりつけるナターシャ。

「昨日の疲れは取れたか?」
「えぇばっちり!」

 ナターシャ。昨日はかなりハード目に特訓したはずだがこんなにケロッとしてるなんて。こいつ席次は七位だが、もしかして……。

「ケビンさん?」
「すまん。さぁ勝ちに行くぞ」
「もちろんです」


 同刻、ブラン・ゴードン。

「やぁ、ダリウス。昨日はよく眠れたかい?」
「……は、はい」

「傷がまだ癒えていないようだね」
<ヒール!>

 ダリウスの傷が一瞬で無くなった。

「ひっ!」
「回復魔法だよ。そんなに怯えないでくれ」
「あ、ありがとうございます……」

「それじゃ今日は頼むよダリウス」
「はい。お任せください。ブラン様」


 同刻。タパ。

「おはようございます。 エドウィンさん」
「……あぁ。タパか」

「タパかって……昨日こっそり夕方様子見に行ったけど本当に調整しかしてなかったんですね……」
「……? 昨日の朝にそういったはずだけど。とはいえ型の確認や対人戦の動きをしながらの調整だったがな」

「ふーん。頼みますよ。俺の試験が掛かってるんすから」
「興味ねぇよ。けど、俺も狙うのは優勝だけだ」

 クールだなぁ。

「じゃあ、行きましょうか」
「俺に指図すんじゃねぇ」


 時刻は九時五分前。それぞれが控室に入り準備を進めている中、コロシアムの観客席には大勢のアカデミー生や王族、名のある案内人で埋め尽くされていた。

 スーザンはコロシアムのフィールドの中心に立ちアナウンスを始めた。

「皆様時刻は八時五十五分となりました。王都公認案内人適性試験、最終試験のトーナメント第一試合、ナヴィ・マクレガン対タパ・ルセットの試合は九時からの開始となります。今しばらくお待ちください」



 フィールドの入り口では準備ができたナヴィ達とタパのペアが顔を合わせた。

「エドウィン……」

「やぁ王女様。王女様らしく美しくやられる準備はできたか? まぁお前のことだから怖気づいて棄権すると思ったんだがな。ちゃんと来たことだけは褒めてやるよ」

 その言葉にナヴィが反応する。

「ちょっとあなたね、言っていいことと悪いことくらい」
「ナヴィさん!」

 サテラはエドウィンに向かっていこうとするナヴィの手を取り、振り向いたナヴィに対して首をゆっくり横に振った。

 そのままエドウィンの前に立ち、サテラは言った。

「エドウィン……私はあなたにやられるために来たんじゃありません。『勝つために』来たんです」

「はぁ? 何言ってんだ?」

「あなたには負けない。私がナヴィさんを優勝まで導きます!」

「……! いい目をするようになったじゃねぇか、昨日の朝とは別人みたいだな、女。何をした」

 サテラの真っ直ぐな視線に驚いたエドウィンがナヴィを見た。

「ふふ、さぁね。あたしは何も。そろそろ九時になるわよ」

 コロシアムの鐘が会場全体に鳴り響いた。

「それでは皆様時間になりました! 一回戦第一試合。選手の入場です!」
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