村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編

86.ルナとロイ

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「では只今から第三試合を始めていきたいと思います! 選手入場です!」

 入場口からルナとロイ、そして対戦相手のレノールとキュリオがフィールドに向かって歩いてきた。

「それでは両者とも準備を開始してください!」

 それぞれがフィールドサイドへ行き作戦会議や装備の確認を行う。

 その頃、ナヴィは選手控室でケビンとモニターからフィールドの様子を観察していた。

「ねぇケビン。レノールって確かブランパーティーの二人いたモブのもう一人の方よね」

「お前がモブとかいうな」

「もう! そのくだりはいいでしょ!」

「お二人は本当に仲良しですね!」

「ナ、ナターシャ」

 ナターシャがケビンの肩をぽかぽかと叩くナヴィを遠ざけ、その間に割って入った。

「でもケビンさんは渡しませんから……!」

 ナターシャの猫のような耳がぴくぴくと動いていた。

「あ、あたしはそんなつもりじゃ」

「ナターシャ、腕が取れそうだ、離れてくれ」

「すみません! つい」

 ナターシャはぎゅっと掴んでいたケビンの腕から離れた。 

「そういえばナターシャちゃんって獣人族なのね、髪の毛の色と耳の色が一緒だったから気づかなかったわ」

「あはは、よく言われます」

「アカデミー生はヒューマンだけだと思ったけど、ほかの種族もいるのね……」

「はい、ほかにもエルフとか亜人とかフェアリーとか色々いますよ! それでも実力ではやはりヒューマンが一歩上のことが多いですが……」

 確かに、この選抜組もこの子を除いたほとんどがヒューマンだもんね。てか、あたしもほとんどヒューマンしか見てこなかったし……。

「おい、二人とも。そろそろ始まるぞ」

「「……!」」

 二人はモニターに視線を移した。

『それではこれから一回戦第三試合、ルナ、ロイペア対レノール、キュリオペアの試合を始めたいと思います!』

「なぁナターシャ。この試合のアカデミー生について教えてくれ」

「はい、まずは席次ですね。ロイは六位、キュリオは四位です」

「席次だけ見るとあたし達の時よりも差はないわね」

「はい、キュリオは見ての通り杖を持っているので魔法使いです。冷静沈着で雷属性の魔法を得意とするアタッカーです。魔力を練るのが早くて攻撃までの時間の短さはアカデミー生の中でも随一です。というか魔法使いでナンバーワンですけどね」

「厄介な相手だね……」

「ふむ、それでもまぁ正統派の魔法使いという感じか。それでロイの方は?」

「ロイは大きなハンマーとそこそこのスピードを持ってますが、自由奔放であんな感じなんで正直よく分かりません……が」

「「?」」

「勘がいいというか、鼻が利くというか……運がいい? なんというかそんな感じなんです。戦闘訓練での感覚の鋭さは今回の選抜組の中では一番かと……しかし頭もいいとは言えないし、決して一番強いということはなくよくへまをしている印象です。正直今回の試合はキュリオかなと」

「なるほどな」

「へぇ、そんな子がルナとペアなのね」

 面白そうというか多分つかみにくいタイプの子なのね……。
 でもあの控室を出るときのルナとロイの自信満々の表情。むしろ今の話だけ聞くと逆なようにも思えるけど。

「そういうことか……」

「ケビン?」

「ルナのあの自信満々の面だったの理由が理解できた」

「え? どういうこと?」


「ナターシャ。俺らは優勝目指してるな?」

 ケビンが真剣な表情でナターシャを見た。

「もちろんそのつもりですがどうしてそれを今?」

「なら、俺たちが勝った後の二回戦の相手はロイだ」

「え? どうしてわかるんですか?」

「まぁそれは後で説明してやる」

「今からの試合はロイの動きを見ておけ」

「は、はい」

 ケビンの予測を聞いてナヴィは閃いた。

「ケビンまさか……」

「あぁ」

 これはもしかしたらあのペア、あたしとケビンの予想が当たっていれば相当厄介なペアになりそうだわ……。

 ちょうどその頃フィールドでは戦闘開始の宣言が終わり、ロイとキュリオの激しい攻防が繰り広げられていた。

<ライトニング!>
<ライトニング!>
<ライトニング!>

「くそ、躱せないように攻撃してるはずなのに全然当たらない……」

「へへーん、そんな攻撃おいらには当たらないよー。なんたって今日のおいらの勘は冴えまくってるからね!」

 キュリオの魔法攻撃をひらひらと躱していくロイ。

「ふ、かかったな! いまだキュリオ!」
 レノールの合図で、ロイの足元から魔法陣が展開された。

「これ罠だった……やば!」

「ちっばれたか、でももう遅い! お前のそこそこのスピードじゃ躱せないぞ」


「ロイ君!」

 諦めて受け身の態勢に入っていたロイはルナの声を聞いた瞬間にハンマーの持ち手をぐっと握り直す。

「分かったよルナ!」
<ガイアスタンプ!>

 巨大なハンマーがさらに大きくなり、そのままフィールドを思い切り叩いた。

「「何!?」」

「まさか俺の魔法を地面を砕いて阻止しただと……さっきの案内人そんなこと説明する暇はなかったはずだぞ!?」

「うーん、まぁルナの声と……勘?」


「「は!?」」

 レノールとキュリオは驚愕した。

「ロイ君! そのまま行きましょう!」
「オッケー!」

「キュリオ、攻撃をやめるな! 近づくとやられるぞ!」

「分かってるレノール!」

<ライトニング!>
<ライトニング!>
<ツヴァイライトニング!>

「ロイ君! (右に避けて)」

 ロイはその言葉の通りに避けた。

「ロイ君! (遠回りして敵の背後に!)」

 キュリオの背後を取る。

「ロイ君! (フェイントからのたたき上げ!)」

「うりゃぁ!」

「くっこれは躱せない!」

 目を瞑りガードする態勢をとったキュリオ。しかし、その攻撃は来なかった。

 腕を降ろし目を開けると、そこにはにこやかに手を振るロイの姿が映った。

「はぁい」

「へ……」

「吹き飛べぇぇぇ!」
<ホームランスマッシュ!>

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」

 キュリオはコロシアムの場外へと飛んでいった。

「あ、ああ、あああ」
 レノールは口をあんぐりと開けていた。


「あははは、今回も随分早かったわねー」
 スーザンがフィールドの中心に現れた。

「第三試合、勝者、ルナ、ロイペア!」

「ロイ君!」
「ルナやったな!」

 二人はモニターに映るであろうカメラのような機械の前でピースサインを見せた。
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