村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第八章 王都公認 案内人適性試験 最終試験編

87.相性

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『第三試合、勝者、ルナ、ロイペア!』

 モニターでその様子を見ていたケビン、ナヴィ、ナターシャは息をのんでいた。

「あはは、何かわからないですけどものすごいペアですね……それにケビンさんの言ったとおりになっちゃったし」

 何とか沈黙から脱したいとナターシャが話始める。

「ナヴィ」

 ケビンがナヴィの方を向いた。

「えぇ、これはさっき言ってたケビンの意味が完全に理解できた。予想外だったわ……」

「え? え? 二人ともどういうことですか?」

「いいかナターシャ。この一回戦の三試合を見てて、お前の予想はどうだった?」

「第一試合はエドウィン、第二試合はミミィ、第三試合はキュリオが勝つと思ってました。じゃないと席次の意味がなくなっちゃいますからね」

「お前の言ってることは正しい。だがそれはあくまでもアカデミー生が一人で戦った時の話だ」

「まぁ、それは……」

「でも実際の結果は違った。何が原因だと思う?」

「それはもちろんパートナーとしている案内人の方の質の良さですよね?」


「ナターシャちゃん。その答えだと半分正解ってところね」

「半分正解……?」

「えぇ、特にこの第三試合が顕著に出ていたわよ」

「うーん話が難しくなってきて分からないですよぉ……」

 ナターシャが頭を抱えケビンに助けを求めるように上目遣いを見せた。

「まだそんな難しい話してねぇだろ。いいか、このトーナメントで大事なのは足し算じゃなくて掛け算だ」

「掛け算ですか?」

「つまり、案内人がどんなに優秀でも、そのペアのアカデミー生がアドバイスをちゃんと実行できる実力が無かったら意味がないだろ? 逆も然りだ。だからこのトーナメントのペアの組み合わせは実はすごくアンバランスなんだ」

「確かに。私たちの席次と案内人の方の席次は逆ですもんね」

「要するにそのそれぞれの実力の差をどう埋めていくかが鍵になる」

「なるほど! だから第一試合のエドウィンとタパさんのペアはそれに失敗して何もできずに負けたってわけですね!」

「そういうことだな。そしてこっからさっきの話に戻すぞ……」

「あ、半分正解ってナヴィさんが言ってたことですか?」

「あぁ、簡単に言うと『ペアの相性の良さ』だ」

「え? それだけですか?」

「ふふ、それだけよ。ナターシャちゃん!」

 ナヴィがうんうんと頷く。

「それならあたしもケビンさんと!」


「あ。あぁそれはそうなんだが、そういう気持ちの問題ではないんだ、さっきナターシャ言ってたよなロイは『勘がいいというか、鼻が利くというか……運がいい』って」

「はい、確かにそう言いました」

「実はこのロイの特性がルナにしっかりとマッチしているんだ」

「マッチしているって?」

「ナターシャちゃん、さっきルナは魔法陣が展開されてどんな効果か知らないけどロイ君に指示を出していたわよね?」

「あ! なんか妙に反応が早かった気がしました」

「そう。ルナの武器は占いや直感力からくる予測や危機察知能力なの。これってさっきナターシャちゃんが言っていたロイ君の特性によく似てないかしら?」

「あ……つまり、第三試合のあのペアはお互いの特性を生かしあった試合をしていたということですか?」

「そういうことよ」

「ということは、そのルナさんの直感力に声だけでそれを判断できる勘の鋭いロイ……これってほとんど無敵じゃありませんか……?」

 冷や汗をかきながらケビンに問うナターシャ。

「まぁな、二次試験でも近くで見ていたがあのルナの力と対峙するとなるとかなり厄介だ」

「だから『相性の良さ』がってことですね。お互いの特性を生かしあった戦いをすればアカデミー生の力は何倍にも膨れ上がる……だから掛け算ってことですか」


『それでは第四試合は今から十分後に開始したいと思います! 選手の皆さんは入場口で待機をお願いします!』

 モニターからスーザンの声が聞こえてきた。

 それを聞いてナヴィがはっと気づく。

「てか、こんなこと話してるけどあんたたちまだ二回戦なんて言ってらんないじゃない!」

「ま、まぁ間違いないですね……あはは」

「あはは、じゃないでしょナターシャちゃん! 相手は首席なんでしょ!? 大丈夫なの?」

「あぁ、ザクレーですね。まぁ正直厳しかったかもしれないですね……」

「え? 厳しかっ『た』かも……?」

「昔のあたしなら」

 ナターシャが武器を取りにやりと笑った。

「ナターシャ準備できたか?」

「はいもちろん!」

 な! 準備はや! いつの間に。って待ってナターシャちゃんその武器ってまさか。  

「ナヴィ、ルナとロイはもちろんだが、お前とサテラのペアにも似たようなものを俺は感じた」

「感じたって相性のことかしら……?」

「あぁ、やはり警戒すべきはお前たち二人だった。だがな」

「……?」

「それはきっとお前ら二人も同じくナターシャを警戒することになる。よく見ておけ」

 そういうとナターシャとケビンが控室を出て行った。

 ナヴィは額から汗を流す。

「嘘でしょ……偶然だと思うけど、そんなの反則じゃない……」

 ナターシャちゃん、大鎌持ってましたけど……。
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