村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編

118.二人の案内人

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「サテラ。僕はどうやって戦えばいいんだ……」

「ダリウス……」

 ブランにこれでもかと追い詰められた先がこれだったのね……。席次が違えば私もそうなってたのかもしれない。

「サテラちゃん! 前!」

「うおぉぉぉ!」

 ダリウスは思考を停止させたままがむしゃらにサテラに突っ込んでいった。

「ダリウス!?」

 さっきまでの動きとまるで違う……こんなの訓練を受けていないただの子供と同じ。もう体がついていってないんだ。

 ダリウスの落ち切ったスピードに合わせてゆっくりと避けようとするサテラ。

「サテラちゃん、同情しちゃ駄目! ここで一気に決めましょう!」

「あ、ナヴィさん……はい!」

 そうだ、これじゃさっき私がダリウスに言ったことそのままじゃないの、だめだここでダリウスを負かして楽にしてあげなきゃ!

 サテラは魔力を剣に込め始めた。

「うわぁぁぁ!」

 怯えた顔をしながら拳を当てようとするダリウスの攻撃を素早く左に回避した。

「終わりよ、ダリウス」
<ウインドスラッシュ!>

 双肩に纏わりついていた風が斬撃となり、ダリウスの体を切り裂く。

「ぐああぁぁぁぁ!」

 ダリウスは後方に吹き飛ばされあおむけの状態で倒れた。

「ダリウス……あなたの体はもう限界よ。お願いだからもう立たないで……」

 サテラの呼びかけに反応せず、倒れた状態のままのダリウス。



「ふー準決勝もこれで終わりね……ひやひやしたけど良かったわ」

 その姿を見ていたスーザンも終了の宣言をしようとフィールド中へと歩き始めた。

 その瞬間だった。

「タイムアウトォォ!」


「「「!?」」」

 スーザン、ナヴィ、サテラが一斉にブランの方に視線を向けた。

「ブラン、あなたの負けよその子を置いてさっさと退場しなさい」

 ナヴィは冷たく乾いた声でブランに促した。

「なにを言っているんだい? まだ終わってないよね、ダリウス」

「無理よ、さっきのサテラちゃんの<ウインドスラッシュ>を直で食らったのよ、それにあなたのここ数日で溜めに溜めたダリウス君への虐待と疲労感を合わせればなおさら立つことなんてありえない」

「ダリウス。早く起きろ。負けたらわかってるんだろうな」

 ナヴィの声を無視してダリウスに話しかけ続けるブラン。その声のトーンは声を掛けるたびに低くなっていった。

「ダリウス、あと五秒だけ待ってやる。五、四、三、」

 その時だった。


「え、うそ……ダリウス……」

「あれだけのサテラちゃんの攻撃を受けたのよ、なんで立ち上がれるの」

 ダリウスはブランの声に呼応するようにゆっくりと体を起こし、戦闘の構えに戻った。

「はあぁ、はあぁ、はあぁ、僕はまだ、戦えます、スーザンさん。タイムアウトを……」

「……ちっ」

 スーザンは、ブランを睨みつけ舌打ちをした後に、タイムアウトの宣言を行った。

『ブラン選手からの申し出により二回目のタイムアウトを取りたいと思います。皆様、しばらくお待ちください』 


「さぁダリウス。こっちに来るんだ」

「……はい」

 よたよたと歩きながらフィールドの外に出るダリウス。

 サテラはその姿を見送った後にナヴィの元へと戻っていった。

「どうせまた叱られて殴られるだけなのに……」

「サテラちゃん……」

 ナヴィはサテラの暗く俯いた姿を見て、自分の拳をぐっと握る。

「サテラちゃん、ごめんこのタイムアウトは自分の回復に専念してもらえるかな?」

「え、作戦はいいんですか……?」

 ナヴィは腰につけていたポシェットをがさごそと漁りビンを二本サテラに手渡した。

「うん。このままで大丈夫。それとこれ、残りのポーションとMPポーションね。しっかり飲んでおいて」

「わ、分かりました。それよりナヴィさんはどこに……」

「ごめんね、すぐ戻る!」

「あ、ナヴィさん!」

 そういうとナヴィはサテラの元から離れていった。


「やっぱりこのままじゃだめだ。勝負だけど……やっぱり……」


 一方ブランとダリウスのペアはというと。

「ダリウス。いい加減にしろ……お前どこまで俺の顔に泥を塗れば気が済むんだ」

 ブランの拳に力が入り、それをダリウスに見せつける。

「ごめんなさい、ごめんなさい。でもブランさんの教えた通りにサテラが動いてくれなくて……」

「言い訳はいいんだよぉ! 自分で考えろって言ったじゃねぇか!」

 ブランはダリウスの胸ぐらを掴み目と鼻の先の距離で大声で怒鳴りつける。

「ひっ……でも僕にはもうどうしていいか分からなくて……」

「てめぇ、ここまで来てまだ口答えするか……。お前は強くなったんだ。その見返りに『俺』を優勝させろ、そういう約束だろうが。てめぇは約束を破るのか?」

 その言葉を聞いたダリウスが睨みつけていたブランの目から視線を反らす。

「……僕はサテラより弱い……きっとこのまま戦っても……」

「てんめぇ……ぶっ殺してやる!」

 ブランは拳を振り上げダリウスに殴りかかった。


「もうやめなさい。ブラン」

 殴りかかろうとしていたブランの腕を止めたのはナヴィだった。

「……なんだよ。ナヴィ」
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