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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編
121.マーラの行方
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マーラを見送ってから数時間が経ち、辺りは暗くなり案内所も締めの作業を行っていた。
「マスター、マーラはまだ帰ってきてないですか?」
「え? あぁそうか、マーラはもう一件同行の依頼があったのか、まだ帰ってきてないな」
「……そうですか」
おかしい。あのダンジョンならここから近いしもう帰ってきていても全然おかしくない時間なんだが……。
「そんなに暗い顔をするな。ダンジョン探索が一日二日伸びることなんてよくあるだろ、それは戦闘に長けているマーラも例外じゃない。気長に待とうぜ、な」
「はい……」
マスターも気には掛かっていたんだろうが俺とマーラの関係も知ったうえでの声掛けだった。
しかし、いくら待ってもマーラは帰ってこなかった。
次の日も。
その次の日も。
その次の週も。
その一か月先も。
「マスター、マーラは……」
「ブラン。マーラの心配もわかるが自分の心配をしろ! そんなにやせ細って。ご飯も食べてないだろ、それじゃ仕事だってろくにできないぞ!」
「でも、マーラがまだ帰ってこない……です」
「それよりも仕事だ、お前最近業績が著しく落ちている。このままじゃ首にしなくちゃならないぞ」
「構いません。僕の、僕のマーラは……」
「……はぁ、仕方ない、か……ほらこれ持ってけ」
「え?」
マスターは俺に一枚の紙を手渡した。
「これは何ですか?」
「あぁ、つい先日別の案内所から情報を預かってな。その場所に行けばマーラに会える。だが……」
「マスター?」
「期待はするな……もう今までの日常は戻ってこない」
そういうとマスターは視線を俺から反らした。
「それってどういうことですか?」
「行けば分かる。今日は有給にしてやるから行ってこい」
「……はい」
その後、出発の準備をしようと自室に戻りマスターにもらった紙を開いた。
「これは……」
そこには、俺とマーラの故郷のカルミ村の住所だった。
「しかも……これってマーラの実家の住所じゃないか、何だよあいつ、長い休暇もらってただけじゃないか。マスターも変な演技するなよなぁ」
自分の中にあった嫌な予感を無理やり捨てようとするも頭にマーラの苦しんでいる姿がちらつき、半信半疑の状態で部屋を出てマーラの実家へと向かった。
カルミ村へは片道二日ほどかかるところだが、俺は気持ちが先走り、不眠不休で走り続け、一日で到達した。
「よし、ここか……夜遅いが明かりはまだ点いてるし大丈夫だろ」
「あら、ブランじゃないの!」
「あ、おばさん、久しぶりだね!」
家の目の前で会った彼女はマーラの母だ。昔からよくお世話になってたなぁ。
「どうしたんだいすごく息が上がってるみたいだけど、急いできたの?、用事は?」
「おばさん、今マーラって家に帰ってきてるの?」
「……あ、マーラね、うん。家にいるけど、今元気がなくてね、前に行ったダンジョン探索で少し疲れてるみたいだからまた後日来てもらえるかしら?」
「……そう……ですか」
「待ってお母さん!」
その瞬間家の扉が開いた。
「え、お父さん?」
「おじさんご無沙汰しております」
「やぁブラン。よく来たね」
この人はマーラの父。優しくて頼もしい、昔は有名なパーティーの槍使いだったらしい。
「お母さん。もう隠してもしょうがないだろ、先延ばししたって、ブランはまた来るよ」
「でも、それじゃこの子たちの……」
「現状から目を反らすのは簡単なことだ。子供でもできる。でもブランもマーラももう立派な大人だ。現実をしっかりと目に焼き付けてどうするかを決めるのは彼ら自身だ。その機会は我々が奪っていいものではない」
「お父さん……」
「おじさん……マーラは?」
「……中に入りなさい」
俺はおじさんに言われるがまま中にマーラの家に上がった。
マーラの家は昔のまま年季の入った木造の家で、俺を足が着くたびにきしきしと床の音が無音の家に鳴り響く。
「変わっていませんね。この家も」
「あぁ、俺の父からの家だからもう数十年は経ってるだろうな」
「……この家すごく静かですね、二階から足音も聞こえないしマーラは寝ているんですか?」
「……マーラは今二階にいないんだ」
「え?」
「今連れてくるから」
そう言うとおじさんはキッチンの奥にある部屋に入っていった。
その中から数度のやり取りが聞こえたが、内容までは聞き取れなかった。
一分ほど経ち、部屋の扉が開いた。
「ブラン、待たせたね」
「え……嘘だろ、マーラ……」
扉からマーラがゆっくりと顔を出した。
「ブラン……ごめんね。今まで何も言わずに顔出さなくなっちゃって」
「お前なんだよそれ……」
「ごめん。もう私はあなたと一緒にいることができないの」
俺の前に現れたのは車いすに座り、後ろからおじさんに押されて出てきたマーラだった。
「マスター、マーラはまだ帰ってきてないですか?」
「え? あぁそうか、マーラはもう一件同行の依頼があったのか、まだ帰ってきてないな」
「……そうですか」
おかしい。あのダンジョンならここから近いしもう帰ってきていても全然おかしくない時間なんだが……。
「そんなに暗い顔をするな。ダンジョン探索が一日二日伸びることなんてよくあるだろ、それは戦闘に長けているマーラも例外じゃない。気長に待とうぜ、な」
「はい……」
マスターも気には掛かっていたんだろうが俺とマーラの関係も知ったうえでの声掛けだった。
しかし、いくら待ってもマーラは帰ってこなかった。
次の日も。
その次の日も。
その次の週も。
その一か月先も。
「マスター、マーラは……」
「ブラン。マーラの心配もわかるが自分の心配をしろ! そんなにやせ細って。ご飯も食べてないだろ、それじゃ仕事だってろくにできないぞ!」
「でも、マーラがまだ帰ってこない……です」
「それよりも仕事だ、お前最近業績が著しく落ちている。このままじゃ首にしなくちゃならないぞ」
「構いません。僕の、僕のマーラは……」
「……はぁ、仕方ない、か……ほらこれ持ってけ」
「え?」
マスターは俺に一枚の紙を手渡した。
「これは何ですか?」
「あぁ、つい先日別の案内所から情報を預かってな。その場所に行けばマーラに会える。だが……」
「マスター?」
「期待はするな……もう今までの日常は戻ってこない」
そういうとマスターは視線を俺から反らした。
「それってどういうことですか?」
「行けば分かる。今日は有給にしてやるから行ってこい」
「……はい」
その後、出発の準備をしようと自室に戻りマスターにもらった紙を開いた。
「これは……」
そこには、俺とマーラの故郷のカルミ村の住所だった。
「しかも……これってマーラの実家の住所じゃないか、何だよあいつ、長い休暇もらってただけじゃないか。マスターも変な演技するなよなぁ」
自分の中にあった嫌な予感を無理やり捨てようとするも頭にマーラの苦しんでいる姿がちらつき、半信半疑の状態で部屋を出てマーラの実家へと向かった。
カルミ村へは片道二日ほどかかるところだが、俺は気持ちが先走り、不眠不休で走り続け、一日で到達した。
「よし、ここか……夜遅いが明かりはまだ点いてるし大丈夫だろ」
「あら、ブランじゃないの!」
「あ、おばさん、久しぶりだね!」
家の目の前で会った彼女はマーラの母だ。昔からよくお世話になってたなぁ。
「どうしたんだいすごく息が上がってるみたいだけど、急いできたの?、用事は?」
「おばさん、今マーラって家に帰ってきてるの?」
「……あ、マーラね、うん。家にいるけど、今元気がなくてね、前に行ったダンジョン探索で少し疲れてるみたいだからまた後日来てもらえるかしら?」
「……そう……ですか」
「待ってお母さん!」
その瞬間家の扉が開いた。
「え、お父さん?」
「おじさんご無沙汰しております」
「やぁブラン。よく来たね」
この人はマーラの父。優しくて頼もしい、昔は有名なパーティーの槍使いだったらしい。
「お母さん。もう隠してもしょうがないだろ、先延ばししたって、ブランはまた来るよ」
「でも、それじゃこの子たちの……」
「現状から目を反らすのは簡単なことだ。子供でもできる。でもブランもマーラももう立派な大人だ。現実をしっかりと目に焼き付けてどうするかを決めるのは彼ら自身だ。その機会は我々が奪っていいものではない」
「お父さん……」
「おじさん……マーラは?」
「……中に入りなさい」
俺はおじさんに言われるがまま中にマーラの家に上がった。
マーラの家は昔のまま年季の入った木造の家で、俺を足が着くたびにきしきしと床の音が無音の家に鳴り響く。
「変わっていませんね。この家も」
「あぁ、俺の父からの家だからもう数十年は経ってるだろうな」
「……この家すごく静かですね、二階から足音も聞こえないしマーラは寝ているんですか?」
「……マーラは今二階にいないんだ」
「え?」
「今連れてくるから」
そう言うとおじさんはキッチンの奥にある部屋に入っていった。
その中から数度のやり取りが聞こえたが、内容までは聞き取れなかった。
一分ほど経ち、部屋の扉が開いた。
「ブラン、待たせたね」
「え……嘘だろ、マーラ……」
扉からマーラがゆっくりと顔を出した。
「ブラン……ごめんね。今まで何も言わずに顔出さなくなっちゃって」
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俺の前に現れたのは車いすに座り、後ろからおじさんに押されて出てきたマーラだった。
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