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第九章 王都公認 案内人適性試験 最終試験 準決勝編
123.少し上で
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マーラに再開したあの日から俺は仕事に行かず、自室に引きこもり続けていた。
カーテンも閉め切っているが、今日はその隙間から差し込んでくる朝日がいつにも増して眩しく感じる。
あの日、彼女にあぁは言われたが俺はお前とじゃないと意味がないんだ……お前に何と言われようと俺はもう案内人はやらない。
「ごめん、マーラ。俺はこれからどうすれば……」
その瞬間部屋の外からガンガンとノックをする音が聞こえてきた。
「おい、ブラン。いるんだろ! 俺だ、出てこい」
「……マスター」
なんでマスターがここに。きっと仕事を勝手にさぼってた俺を見かねて家まで来たのだろう。でもまぁ顔も合わせずらいし居留守を使えば……。
「ブラン、今日来たのは仕事のことじゃない。手紙だ。マーラからの」
え、マーラからの……?
「俺宛だったがもう一通入っていて、これを今日お前に渡してほしいと書いてあってな。それを届けに来た」
マーラからの、マーラからの……。
「て、がみ、です、か?」
「何だ、出てこれるじゃないか。片言になっているが大丈夫か」
「マスター、す、すみません、俺……」
「髪の毛伸びたなぁ。体も一回り小さくなったんじゃないか? ご飯も食べてないだろ。ほら、ハンバーガー買ってきたぞ。これでも食え」
マスターはこんな迷惑かけてばかりの俺なんかにいつも優しくしてくれる。本当に心の温かい人だ。
「どうぞ、中に入って下さい。汚いし臭いですが」
「あ、あぁ」
マスターは床に散乱している服やごみを踏まないように避けながら椅子に腰かけた。
「マスターそれでマーレからの手紙って」
「そうだな、これだ」
「ありがとうございます」
俺はその手紙の日付を確認して驚いた。
「マスターこの日付って……」
「あぁ、お前がマーラの実家に行って実情を知る前日に送られてきた手紙だ。お前には今日渡してほしいと俺宛の手紙に書いてあってな」
「なんでそんなこと……」
「そりゃお前にこうなってほしくなかったからだろ」
「え……?」
「まぁいいや、細かいことはもう言わない。後はその手紙読んで飯食ったらじっくり考えろ。案内所はお前がいなくてもなんとか回ってる。お前の気持ちの整理がついたらでいい。俺はお前の帰りを気長に待ってるよ。それじゃあな」
マスターはそういうとさっき通ったルートをそのままなぞり、部屋を出て扉をゆっくりと閉めて出て行った。
「マスター……」
俺は封を開け二つ折りになった手紙を黙読した。
ーーブランへーー
ブラン。元気してる?
ってんなわけないか。多分君はマスターに言われてそのまま実家に来て、きっと私の姿を見ちゃったもんね。
そのくせ、私達の夢も勝手にブラン一人に背負わせちゃったし。本当にごめんなさい。
あ、この手紙、字が私の字じゃないのはお母さんに代筆してもらってるからね。そりゃ腕が動かないんだから書けるわけないし。
さて、君は今きっと大好きな私がこんな姿になって落ち込んで仕事にもいけてないんじゃないかな?
気持ちはわかる。だって同じ仕事仲間なのに、あんなに頑なにダンジョン同行を止めるんだもん。
でもね、もしそうだったとしたら、私は君を怒るよ? だって私が託した夢を放棄されたってことだよね。
ブラン。あなたはもう私のことなんて心配しなくていいんだよ。だってもう。私は……。
とにかく、君がスーパーアドバイザーになって私の前に現れてくれることを楽しみにしてるよ。
あなたが案内人として輝ける日が来ることを願って、私は少し上の方で待ってます。
それじゃ、また会いましょう。愛してるわ。ブラン。
ーーマーラよりーー
「……なんだよこれ、お前。なんでそんな嘘ついたんだよ。少し上って……お前もうここにはいないのかよ。ふざけんなよ。なんでそんなことする必要があったんだよ。なぁ、マーラ」
この手紙、濡れていた紙が渇いたようなしわがある……きっとおばさんもそれを知りながら書いたんだよな。
「それに……また俺が濡らしちまった……」
「マーラ、お前がここまで言うなら……俺は……必ず」
それから一か月後。
「いらっしゃいませ、お、ブラン。帰ってきたな!」
「はい。マスター」
マーラ。俺は君の言った通り俺たちの夢を叶えてみせる。
「ん? なんか顔つきが変わったな。目つきとか鋭くなったんじゃないか?」
「それなりの覚悟だと思っていただければ」
だけど、君のやり方では、だめだった。
「ふむ。まぁいいだろう。なら早速今日から働いてもらうぞ」
「はい。よろしくお願いします」
冒険者はただの探検好きや武器好き、身の程をわきまえない奴らばかりだ。俺はマーラをあんな姿にした冒険者を絶対に信用したりしない。
「この数か月お前への依頼が溜まってるんだ。頑張って消化しろよ」
「任せてください」
俺は、俺のやり方でスーパーアドバイザーになる。
「お、ブランさんが戻ってる!」
「いらっしゃいませ、冒険者様」
そしていつか必ず君の前に……。
カーテンも閉め切っているが、今日はその隙間から差し込んでくる朝日がいつにも増して眩しく感じる。
あの日、彼女にあぁは言われたが俺はお前とじゃないと意味がないんだ……お前に何と言われようと俺はもう案内人はやらない。
「ごめん、マーラ。俺はこれからどうすれば……」
その瞬間部屋の外からガンガンとノックをする音が聞こえてきた。
「おい、ブラン。いるんだろ! 俺だ、出てこい」
「……マスター」
なんでマスターがここに。きっと仕事を勝手にさぼってた俺を見かねて家まで来たのだろう。でもまぁ顔も合わせずらいし居留守を使えば……。
「ブラン、今日来たのは仕事のことじゃない。手紙だ。マーラからの」
え、マーラからの……?
「俺宛だったがもう一通入っていて、これを今日お前に渡してほしいと書いてあってな。それを届けに来た」
マーラからの、マーラからの……。
「て、がみ、です、か?」
「何だ、出てこれるじゃないか。片言になっているが大丈夫か」
「マスター、す、すみません、俺……」
「髪の毛伸びたなぁ。体も一回り小さくなったんじゃないか? ご飯も食べてないだろ。ほら、ハンバーガー買ってきたぞ。これでも食え」
マスターはこんな迷惑かけてばかりの俺なんかにいつも優しくしてくれる。本当に心の温かい人だ。
「どうぞ、中に入って下さい。汚いし臭いですが」
「あ、あぁ」
マスターは床に散乱している服やごみを踏まないように避けながら椅子に腰かけた。
「マスターそれでマーレからの手紙って」
「そうだな、これだ」
「ありがとうございます」
俺はその手紙の日付を確認して驚いた。
「マスターこの日付って……」
「あぁ、お前がマーラの実家に行って実情を知る前日に送られてきた手紙だ。お前には今日渡してほしいと俺宛の手紙に書いてあってな」
「なんでそんなこと……」
「そりゃお前にこうなってほしくなかったからだろ」
「え……?」
「まぁいいや、細かいことはもう言わない。後はその手紙読んで飯食ったらじっくり考えろ。案内所はお前がいなくてもなんとか回ってる。お前の気持ちの整理がついたらでいい。俺はお前の帰りを気長に待ってるよ。それじゃあな」
マスターはそういうとさっき通ったルートをそのままなぞり、部屋を出て扉をゆっくりと閉めて出て行った。
「マスター……」
俺は封を開け二つ折りになった手紙を黙読した。
ーーブランへーー
ブラン。元気してる?
ってんなわけないか。多分君はマスターに言われてそのまま実家に来て、きっと私の姿を見ちゃったもんね。
そのくせ、私達の夢も勝手にブラン一人に背負わせちゃったし。本当にごめんなさい。
あ、この手紙、字が私の字じゃないのはお母さんに代筆してもらってるからね。そりゃ腕が動かないんだから書けるわけないし。
さて、君は今きっと大好きな私がこんな姿になって落ち込んで仕事にもいけてないんじゃないかな?
気持ちはわかる。だって同じ仕事仲間なのに、あんなに頑なにダンジョン同行を止めるんだもん。
でもね、もしそうだったとしたら、私は君を怒るよ? だって私が託した夢を放棄されたってことだよね。
ブラン。あなたはもう私のことなんて心配しなくていいんだよ。だってもう。私は……。
とにかく、君がスーパーアドバイザーになって私の前に現れてくれることを楽しみにしてるよ。
あなたが案内人として輝ける日が来ることを願って、私は少し上の方で待ってます。
それじゃ、また会いましょう。愛してるわ。ブラン。
ーーマーラよりーー
「……なんだよこれ、お前。なんでそんな嘘ついたんだよ。少し上って……お前もうここにはいないのかよ。ふざけんなよ。なんでそんなことする必要があったんだよ。なぁ、マーラ」
この手紙、濡れていた紙が渇いたようなしわがある……きっとおばさんもそれを知りながら書いたんだよな。
「それに……また俺が濡らしちまった……」
「マーラ、お前がここまで言うなら……俺は……必ず」
それから一か月後。
「いらっしゃいませ、お、ブラン。帰ってきたな!」
「はい。マスター」
マーラ。俺は君の言った通り俺たちの夢を叶えてみせる。
「ん? なんか顔つきが変わったな。目つきとか鋭くなったんじゃないか?」
「それなりの覚悟だと思っていただければ」
だけど、君のやり方では、だめだった。
「ふむ。まぁいいだろう。なら早速今日から働いてもらうぞ」
「はい。よろしくお願いします」
冒険者はただの探検好きや武器好き、身の程をわきまえない奴らばかりだ。俺はマーラをあんな姿にした冒険者を絶対に信用したりしない。
「この数か月お前への依頼が溜まってるんだ。頑張って消化しろよ」
「任せてください」
俺は、俺のやり方でスーパーアドバイザーになる。
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